著者
近藤 伸彦 畠中 利治 松田 岳士
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

教学IRにおいて近年とくに重要視されるものに「学習成果の可視化」があるが,成績や就職状況等のデータ,学生調査による間接評価のように,時間粒度の荒いマクロなデータのみから学生が実際に「いかに学んでいたか」という点について詳細に分析するのは難しい.しかしながら,学生の学びの具体的な改善のためには,そうした授業外も含めた学習のようすを把握し,個に応じた支援を行うことが重要であると考えられる.本研究では,Scrapboxを用いてオンラインノートを作成する学習活動を核とした授業を対象に,オンラインノートの学習記録データに基づいて,学習プロセスと学習成果を関連付けた分析を行った.Scrapboxの機能とログデータを用いることで,オンラインノート上に知識のネットワークを構築する際のスタイルを定量化・可視化することができ,また異なる知の関連付けを意識した深い学びを行うほど理解の自己評価が高くなる傾向が見出された.
著者
近藤 伸彦 畠中 利治 松田 岳士
出版者
教育システム情報学会
雑誌
教育システム情報学会誌 (ISSN:13414135)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.252-266, 2022-04-01 (Released:2022-04-01)
参考文献数
15
被引用文献数
1

This paper analyzes the question “How can we give feedback on learning assessment to promote learners’ active learning?” based on the results of class practice. In this class, we designed and implemented a system that allows learners to check the results of their assessments online. In this paper, we analyzed the impact of visualization and sharing of assessments on learning behavior from the perspective of self-regulated learning and engagement, based on online logs of learning behavior, records of assignment submissions, assessment records of learning behavior and assignments, and responses to a questionnaire survey by learners. The results suggest that students’ learning behaviors are characterized by their goals and types of self-regulation, and that the visualization and sharing of assessments leads to the maintenance of motivation and proactive learning planning.
著者
大山 牧子 松田 岳士
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.211-220, 2019-01-20 (Released:2019-02-02)
参考文献数
41

アクティブラーニングでは学習者の活動が多様であり,授業内・外,教室内・外のように,時間や空間の制約を越えて,他者と共に学習することが求められる.そのような特性の授業において学習者を効率的に支援するためには,情報の蓄積や共有を可能にするICT の活用が不可欠である.本稿では,アクティブラーニングにおいて,ICT がどのように機能・活用・研究されているのかを整理した上で,今後の研究動向を模索することを目的とする.具体的には,研究目的を3種(デバイス等の開発研究・ソフトウェア等の開発研究・デバイスやソフトウェアを活用した研究)に大別した上で,アクティブラーニングにおいて学習を深めるためのプロセスである,内化―外化を促すための学習活動(知識の獲得・協調活動・表出活動・リフレクション)について,それぞれICT が何を支援しているのかという観点で検討する.
著者
近藤 伸彦 畠中 利治 松田 岳士
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1P3OS2102, 2019 (Released:2019-06-01)

教学IRにおいて近年とくに重要視されるものに「学習成果の可視化」があるが,成績や就職状況等のデータ,学生調査による間接評価のように,時間粒度の荒いマクロなデータのみから学生が実際に「いかに学んでいたか」という点について詳細に分析するのは難しい.しかしながら,学生の学びの具体的な改善のためには,そうした授業外も含めた学習のようすを把握し,個に応じた支援を行うことが重要であると考えられる. 本研究では,Scrapboxを用いてオンラインノートを作成する学習活動を核とした授業を対象に,オンラインノートの学習記録データに基づいて,学習プロセスと学習成果を関連付けた分析を行った.Scrapboxの機能とログデータを用いることで,オンラインノート上に知識のネットワークを構築する際のスタイルを定量化・可視化することができ,また異なる知の関連付けを意識した深い学びを行うほど理解の自己評価が高くなる傾向が見出された.
著者
松田 岳士 重田 勝介 渡辺 雄貴 加藤 浩
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、大学生が科目を選択する際に必要となる情報を提供することを目的に、教学IRデータと学生の自己管理学習(SDL)レディネスを用いて科目選択の支援を可能にするシステムを開発し、評価したものである。開発したシステムには、SDLレディネスに関するアンケートの結果・授業で求められるSDLレディネスとのマッチング・同じ授業の過去の成績分布・単位取得確率などが表示される。学生からの評価の結果、各画面で示した情報は、おおむね科目選択に役立つと受け止められたが、表示内容・インターフェースともに改善の余地が指摘された。
著者
松田 岳士 渡辺 雄貴
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.199-208, 2018-01-31 (Released:2018-02-05)
参考文献数
35

本稿では,教育工学を媒介として,教学IR(Institutional Research)とラーニング・アナリティクスの関係を整理すると同時に,教育工学の立場からみると教学IR とはどのような研究・実践の分野で,どのような知見をもたらしているのか検討してから,ラーニング・アナリティクスが教育工学とどのように関わっているのかについて考察した.結果的に,教育工学研究は,教育の諸課題を工学的アプローチで解決しようとするがゆえに,教学IR とラーニング・アナリティクスの両者と重複する研究対象・分析手法等を含んでおり,両者と知見を共有する意義がみとめられた.また,教育工学側も研究対象を広げ,新たな学際性の形成領域として両者との連携を積極的に図ることが期待される.
著者
松田 岳士 近藤 伸彦 重田 勝介 渡辺 雄貴 加藤 浩
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は,教学IR情報を用いた学生支援を目的として,大学生活を通じて学生が直面する具体的かつ真正性のある意志決定場面(初年次の科目選択・リメディアル科目の受講・所属研究室決定・留学)に注目し,判断に必要な情報を直接学生に提供するシステム,Decision Support with IR(以下DSIR)を開発・評価するものである.平成29年度は,四場面のうち,初年次の科目選択(およびリメディアル科目の受講)を支援するシステムを,履修授業推薦システムとして開発し,実際に研究代表者本務校のシラバスデータを用いて動作を確認した.平成29年度は,システム内のデータ処理アルゴリズム,特に学生のSDLRSと科目自体のデータのマッチング方法,表示されるデータが増えることによるインターフェースの工夫,システム管理者が修得できるユーザの操作データなど,設計にあたって考慮すべき案件が多数あり,代表者・分担者の間で担当研究分野を細かく割り振って,前年度を上回るペースで打ち合わせを重ねながら研究プロジェクトを進めた.設計協議の中で,パイロット版の形成的評価において学生から指摘された,表示される用語の意味が理解しにくい点や,単位の取りやすい科目推薦システムになってしまうのではないかという懸念を払しょくするため,用語の説明文を表示できる仕組みや,学生が獲得したい能力に基づいた推薦機能などを新たに追加した.また,研究成果としてまとまった知見は,システム完成を待たず,随時発表した.
著者
山下 英明 立石 慎治 大森 不二雄 永井 正洋 林 祐司 椿本 弥生 松河 秀哉 渡辺 雄貴 松田 岳士 高森 智嗣 柳浦 猛
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,高等教育機関の教学データを一元的に管理・分析し,教職員によって学生指導に活用されることを目的としたIRシステムを開発,評価した.具体的には,学生の留年可能性を早期に発見し,指導に役立てるための留年判定モデルを運用するシステムを開発した.留年判定モデルでは,ソフトマージン・サポートベクターマシンを採用し,機械学習ライブラリを用いてスタンドアロンのPC上に実装した.過去の学生データを用いて留年を判定し,予測精度の確認と教員による評価を受けた結果,留年予測の精度は93%であり,判定結果の理解度も高かった.一方で,表示されるデータの解釈やインタフェースについては課題が残された.
著者
山下 英明 立石 慎治 近藤 伸彦 林 祐司 椿本 弥生 松河 秀哉 渡辺 雄貴 松田 岳士
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、学生の学業上の成功(AS; Academic Success)を達成するための修学支援を高度化するために、教学データを用いて大学や学位プログラムごとに重要となるAS指標群を自動生成すると同時に、重要指標を自動選択して、各大学や学位プログラムにおいて「望まれる学生像」とその達成度合いの予測値を示すASモデルを形成し提示するシステムを開発することをめざしている。本研究では、研究内容を以下3つのテーマに分け、順に取り組むことで計画的に研究を遂行するものとしている。《テーマ1》理想的な学生像の解明を通じたASモデルの確立、包括的なデータセットの定義、《テーマ2》重要指標の選定によるASモデルの生成、AS(Academic Success)モデルの表示方法、《テーマ3》開発されたシステムを効果的に用いる学生指導方法のアクションリサーチ。平成29年度は、このうちテーマ1について取り組み、考えうる「理想的な学生像」と、使用可能なデータセットの調査を行い、ASモデル構築のための基本情報を整理した。さらに、具体的な予備調査として、卒業時のAS度合いについて特定の学位プログラムの学生に対するアンケート調査を実施した。また、学習者モデルの分析手法についての研究、教学IRやFDに係る基礎研究、機械学習による修学状態の予測モデルに関する研究などをそれぞれ分担して遂行した。次年度は、これらの研究で得られた知見を活かし、テーマ2におけるASモデル生成に取りかかる予定である。
著者
松田 岳士 松下 佳代
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.521-528, 2014

本論は,活動理論が高等教育における教育実践にどのような示唆を与えることができるかを探ることを目的とする.そのために,活動理論の中でもユーリア・エンゲストローム(ENGESTROM, Y.)の探究的学習理論に着目し,それに基づいた授業デザインおよび実践を行う.実践を担当した教員は,これまで最終的な行動目標から遡って教授内容を設計するインストラクショナルデザイン(ID)モデルに基づいて授業を開発してきたが,本研究では探究的学習理論に立脚したIDによって授業を設計・実践した.その結果,ゴールから遡る方法が,基本的な教授要素を認知的目標と対応させながら成長させていく授業設計方法に変化し,探究的学習理論の6段階のステップが教授方法の選択に影響を与えていることが確認できた.
著者
松田 岳士 近藤 伸彦 岡田 有司 重田 勝介 渡辺 雄貴 加藤 浩
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.47017, (Released:2023-09-18)
参考文献数
20

本研究では,学生が自分自身のすべての学習状況を記録し可視化するシステムの試用版の実証評価を通して,自己主導学習レディネスがシステムの継続的な使用に与える影響を考察した.4大学の1年生から3年生が参加した実証評価における使用継続状況を決定木分析した結果から,自己主導学習レディネスの構成因子のうち,自己責任感が強く,自己効力感も高い学生の中に,外部からの介入がなくても長期間継続して使用する者の割合が高いことが示された.また,様々な状況で効果的な学習ができると考えている程度が高い学生ほどシステムを学習プランニングのツールとみなしておらず,学習記録のモニタリングシステムとして使用する傾向にあった.
著者
松田 岳士
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.537-542, 2015-07-30 (Released:2020-11-05)
著者
松田 岳士
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.351-360, 2012-03-30 (Released:2020-11-05)
著者
松田 岳士 近藤 伸彦 渡辺 雄貴 重田 勝介 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S44122, (Released:2020-08-28)
参考文献数
8

本研究の目的は,大学生の履修科目選択支援システムの改善を目指す評価の結果を検討し,表示内容の理解度や,システム利用の効果を確認することを通して,追加の機能開発や改善に寄与する示唆を得ることである.4大学から51名の学生が参加したヒューリスティック評価の結果,学生の多くは表示内容をおおむね理解できたと考えており,システムの有用性も認めていたことが示唆された.また,自らの弱点である能力を獲得することを促進する効果や,学生自身の自己管理学習レディネスや獲得したい能力に応じた科目選択に導く効果がみられた.一方で,ユーザビリティを損なう表示内容や,理解度が低い用語があることが指摘され,改善の余地が示された.
著者
松田 岳士 山田 政寛
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.Suppl., pp.113-116, 2009-12-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
5
被引用文献数
3

本研究は,eラーニングコースの学習支援担当者にとって進捗管理の重要なポイントであるメッセージ発信タイミング決定の判断基準を探るものである.具体的には,大学が提供する非同期・分散型のeラーニングコースにおいて,学習計画を立てる習慣がある学習者とそのような習慣がない学習者が,実際の学習活動においてどのような差異を示すのかについて調査した.その結果,学習計画を立てる習慣のある学習者は,習慣のない学習者に比べると深夜に学習することが少なく,また,コース実施期間の中期にも学習するといった特徴があった.
著者
松田 岳士 本名 信行 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.239-250, 2006-02-20 (Released:2016-08-02)
参考文献数
15
被引用文献数
4

本研究では,高等教育機関が実施するeラーニングにおける学習者支援活動のうち,メンタリングに焦点を当て,メンタリング活動を体系化し,コースの実態を反映させたメンタリングの実践ガイドラインを開発した.そして,開発したガイドラインを正規授業のeラーニングで用いることによってその有効性を分析した.その結果,メンタリングガイドラインに基づいて学習者支援を行ったコースでは,ガイドライン開発前に比べてメンタからの反応時間が短縮されたほか,学習者のメンタに対する評価が改善されるなどの結果がみとめられた.
著者
雨森 聡 松田 岳士 森 朋子
出版者
京都大学
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-10, 2012-12-01

This paper argues institutional research's possibilities for expansion, and addresses related issues. One of the issues of institutional research concerns the development of suitable analytical methods. This paper addresses that issue by using decision tree analysis. As a conclusion, decision tree analysis is a usable technique for institutional research. Moreover it is able to analyze multiple aspects, for example checking secular change, the effect of educational improvements, and so on. There are currently three issues: 1. database construction and introduction of the analytical system; 2. development of analytical methods; 3. training of institutional researchers in faculty development. We make a beginning in handling the challenges of these issues.