著者
板倉 陽一郎
出版者
情報ネットワーク法学会
雑誌
情報ネットワーク・ローレビュー (ISSN:24350303)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.184-195, 2020-12-20 (Released:2020-12-25)

裁判において、一方当事者が、個人データが含まれる証拠を裁判所に提出することは、しばしば生じている。本稿では、個人データが含まれる証拠の裁判所への提供について、従来の整理を確認した上で、法23条1項2号に該当し、適法であるとの解釈について、条文解釈、訴訟法上の救済手段、十分性認定及び欧州法の解釈との関係から適切であることを論証する。
著者
板倉 陽一郎 熊谷 雄介 猪谷 誠一
出版者
情報法制学会
雑誌
情報法制研究 (ISSN:24330264)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.110-120, 2022 (Released:2022-08-28)

The Contract Guidelines on Utilization of AI and Data by METI assume that appropriate negotiations are conducted in advance between the parties concerned regarding the licensing of data, etc. that do not fall under the category of copyrighted works. However, in practice, OSS licenses are often used to distribute training datasets and trained models that are not copyrighted works. It is understood that a license using an OSS license is valid when it is not immediately clear whether the object of the license is a copyrighted work. It is reasonable to interpret “use” in the license terms as equivalent to the “use” under the Copyright Act, even for data that is not a copyrighted work. The issues of commercial and for-profit use and so-called ShareAlike can also be considered on the premise of such an interpretation. It may be necessary to discuss the clause concerning the distribution of data that does not fall under the category of copyrighted works in an international data protection forum.
著者
板倉 陽一郎
雑誌
情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.128(2006-EIP-034), pp.9-14, 2006-11-30

昨今,ブログやSNSが「炎上」したとの報道が後を断たない。「炎上」状態にあっては,民事・刑事的に名誉毀損にすら該当する批判的書き込みが溢れ返り,情報発信源は①閉鎖,②意見欄停止,③放置,などの対応を余儀なくされる。しかしながら,民事・刑事的な対応は稀である。本稿は,炎上状態の背景には「意図せぬ公人化」現象があると考える。「公人」概念を扱った裁判例の分析により,「公人」概念は幅を持ち,私人が「公人性」を備えることで名誉毀損からの保護が減弱するとの帰結が得られる。そして,「意図した公人化」と異なり,「意図せぬ公人化」においては保護減弱が不当であることを明らかにし,対応策として「公人」概念の不適用と名誉毀損罪の非親告罪化を提案する。
著者
板倉 陽一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.128, pp.9-14, 2006-11-30

昨今,ブログやSNSが「炎上」したとの報道が後を断たない。「炎上」状態にあっては,民事・刑事的に名誉毀損にすら該当する批判的書き込みが溢れ返り,情報発信源は①閉鎖,②意見欄停止,③放置,などの対応を余儀なくされる。しかしながら,民事・刑事的な対応は稀である。本稿は,炎上状態の背景には「意図せぬ公人化」現象があると考える。「公人」概念を扱った裁判例の分析により,「公人」概念は幅を持ち,私人が「公人性」を備えることで名誉毀損からの保護が減弱するとの帰結が得られる。そして,「意図した公人化」と異なり,「意図せぬ公人化」においては保護減弱が不当であることを明らかにし,対応策として「公人」概念の不適用と名誉毀損罪の非親告罪化を提案する。These days, there is much news that blogs and SNS profiles are "burned". On "burned" blogs and SNS profiles, many libelous comments are posted, owners of them are forced 1)closing, 2)stopping space of comments, or 3)giving up. However, they scarcely institute civil action, or accuse them. In this paper, "Unintended being public figure" is supposed as a background of "burning". From Cases about "public figure", we can find that a concept of "public figure" has width, and to be "public figure", private figure lost protection from libels gradually. In the case of "Unintended being public figure", to lost protection is injustice, a concept of "public figure" must not be applied, and libel should not require accusation.
著者
板倉 陽一郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.846-849, 2015-08-15

2015年10月から,マイナンバーが住民票を有するすべての者に通知され,2016年1月から利用が開始される.すべての国民は,マイナンバーの利用から逃れることはできないが,マイナンバーの利用は厳格に規律されており,マイナンバー法に定められていない取扱いを行えば,直ちに違法となる.マイナンバーは①利用しないことが許されず,②取扱いを誤れば違法の評価を受けるものであり,しっかりとした予備知識を持たなければIT技術者にとって非常に危険な地雷となり得る.本稿では,以下,本誌読者が常識として知っておくべき①マイナンバー制度の概要,②施行スケジュール,③必要な準備(制度面),④必要な準備(システム面)を概観することとする.
著者
板倉 陽一郎
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2013-EIP-61, no.28, pp.1-8, 2013-09-04

復興庁職員によるツイッターでの不適切発言事案が発生したことから,総務省は,同様の事案の再発防止を期する観点から、各府省庁等に対して職員の服務規律の徹底を求めるとともに、「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」 を取りまとめ、各府省庁等に対して、これを参考に職員への周知徹底を行うほか、必要に応じて、内規の制定、研修の実施等を行うよう求めている。本発表では,同取りまとめの意義を,具体的事例を交えて解説するとともに,その影響等につき考察する。
著者
熊谷 雄介 板倉 陽一郎 見並 良治 猪谷 誠一 道本 龍
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2D3OS7a01, 2021 (Released:2021-06-14)

さまざまな大規模データセットが企業や大学によって公開され,それらを用いた研究や開発が行われている.また,深層学習フレームワークの発展によってデータセットのみならず学習済み統計モデルも広く公開され,利活用が進んでいる.それらの資源には多くの場合さまざまなライセンスが指定されているが,一般の研究者がそれを意識することはまれである.しかし,データセットや学習済み統計モデルを用いた商用システムやソリューションの開発を行う際には,どの用途であればライセンス違反になるのか,またはならないのかを十分に検討しなければならないが,既存研究においては明らかにされておらず,各社の判断において行われているのが現状である.そこで本研究では,データセットと学習済み統計モデルを用いた研究やビジネスのより安心・安全な実現を手助けするために (1) 代表的なデータセットや学習済み統計モデルのライセンスを確認し,(2) データセットや学習済み統計モデルのユースケースを列挙し, (3) ライセンスとユースケースの組み合わせについて何が可能で何が不可能か,の3点を検討した.
著者
板倉 陽一郎
出版者
情報ネットワーク法学会
雑誌
情報ネットワーク・ローレビュー (ISSN:24350303)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.35-46, 2018-11-29 (Released:2020-01-16)

AR(拡張現実)とは、視界全面には及ばない現実世界に仮想の情報を重ね合わせる技術であり、ARの代表的なアプリケーションとしてポケモンGOが存在する。ポケモンGOでは、ポケストップやジムといったゲーム内の拠点が、現実世界のランドマーク等をAR空間内にプロットすることで置かれているが、ポケストップやジムを目当てにプレイヤー(トレーナー)が集まり、土地所有権等への侵害を生じさせることがある。所有権者としてはポケストップ及びジムをAR空間内から削除しようとする、すなわちARに対してコントロールしようとすることになるが、法的根拠としては1)所有権アプローチが効果的であるとみられる一方、2)人格権アプローチでは権利行使が困難であることが考察された。
著者
板倉 陽一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.28, pp.1-8, 2013-09-04

復興庁職員によるツイッターでの不適切発言事案が発生したことから,総務省は,同様の事案の再発防止を期する観点から、各府省庁等に対して職員の服務規律の徹底を求めるとともに、「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」 を取りまとめ、各府省庁等に対して、これを参考に職員への周知徹底を行うほか、必要に応じて、内規の制定、研修の実施等を行うよう求めている。本発表では,同取りまとめの意義を,具体的事例を交えて解説するとともに,その影響等につき考察する。Followed by the careless tweet case by the official of Reconstruction Agency, Government of Japan, Ministry of Internal Affairs and Communications, Government of Japan (MIC) announced government agencies for the compliance of rules for officials and published "Points for attention for personal use of social media by government officials". MIC required government agencies to refer this "Points", set internal rules and have in-house trainings. This paper examines the "Points" with cases and considers the impact of it.
著者
板倉 陽一郎
出版者
情報法制学会
雑誌
情報法制研究 (ISSN:24330264)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.015-037, 2022 (Released:2023-05-26)

Regarding the relationship between the Act on the Protection of Personal Information and privacy, (1) the Act on the Protection of Personal Information includes the protection of privacy as its purpose, but it is not the only one, and (2) in the question of whether the substance of the invasion of privacy is questioned in a violation of the Act on the Protection of Personal Information, if there is a substantial invasion of privacy, it may be considered as a violation of the Act on the Protection of Personal Information (2-1), which is derived from the interpretation of the purpose provision and the prohibition of inappropriate use provision. As controversial points, there are the issues of whether a violation of the Act on the Protection of Personal Information is not a violation of the Act when there is no substantial invasion of privacy (2-2), whether a violation of the Act constitutes an invasion of privacy (3), and (3) can be further broken down into the question of whether a violation of the Act on the Protection of Personal Information constitutes an invasion of privacy (3-1) and whether a lawful act under the Act on the Protection of Personal Information can also prevent the violation of privacy (3-2). In a series of cases involving the submission of evidence of a list of discipline requesting parties, there have been judgments that a violation of the Act on the Protection of Personal Information is not a violation if there is no substantial invasion of privacy (2-2), and there have been a number of cases concerning 3-1 and 3-2.
著者
板倉 陽一郎
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.2013-DPS-156, no.28, pp.1-8, 2013-09-04

復興庁職員によるツイッターでの不適切発言事案が発生したことから,総務省は,同様の事案の再発防止を期する観点から、各府省庁等に対して職員の服務規律の徹底を求めるとともに、「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」 を取りまとめ、各府省庁等に対して、これを参考に職員への周知徹底を行うほか、必要に応じて、内規の制定、研修の実施等を行うよう求めている。本発表では,同取りまとめの意義を,具体的事例を交えて解説するとともに,その影響等につき考察する。
著者
板倉 陽一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.28, pp.1-8, 2013-09-04

復興庁職員によるツイッターでの不適切発言事案が発生したことから,総務省は,同様の事案の再発防止を期する観点から、各府省庁等に対して職員の服務規律の徹底を求めるとともに、「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」 を取りまとめ、各府省庁等に対して、これを参考に職員への周知徹底を行うほか、必要に応じて、内規の制定、研修の実施等を行うよう求めている。本発表では,同取りまとめの意義を,具体的事例を交えて解説するとともに,その影響等につき考察する。Followed by the careless tweet case by the official of Reconstruction Agency, Government of Japan, Ministry of Internal Affairs and Communications, Government of Japan (MIC) announced government agencies for the compliance of rules for officials and published "Points for attention for personal use of social media by government officials". MIC required government agencies to refer this "Points", set internal rules and have in-house trainings. This paper examines the "Points" with cases and considers the impact of it.
著者
板倉 陽一郎
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2013-GN-89, no.28, pp.1-8, 2013-09-04

復興庁職員によるツイッターでの不適切発言事案が発生したことから,総務省は,同様の事案の再発防止を期する観点から、各府省庁等に対して職員の服務規律の徹底を求めるとともに、「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」 を取りまとめ、各府省庁等に対して、これを参考に職員への周知徹底を行うほか、必要に応じて、内規の制定、研修の実施等を行うよう求めている。本発表では,同取りまとめの意義を,具体的事例を交えて解説するとともに,その影響等につき考察する。
著者
板倉 陽一郎 寺田 麻佑
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2022-EIP-96, no.8, pp.1-6, 2022-06-02

欧州・米国間では,個人データの移転のために,欧州の十分性認定制度を前提としつつも,セーフハーバースキーム,プライバシーシールドが採用されてきたが,それぞれ,欧州司法裁判所によって無効とされてきた(SchremsI,SchremsII).プライバシーシールドに対する十分性認定が無効となったのちの,欧米間の個人データ移転のための交渉は表面化していなかったが,2022 年に入り,新たな大西洋横断データプライバシー・フレームワーク(Trans-Atlantic Data Privacy Framework)が検討されていることが公表された.本発表では,同フレームワークについて,現状と課題を述べる.
著者
板倉 陽一郎 寺田 麻佑
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2016-EIP-71, no.2, pp.1-6, 2016-02-12

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 (平成 25 年法律第 27 号) においては特定個人情報の提供が制限されている (法 19 条柱書).番号利用法は行政法規の一種であるため,本条項の違反において主観面は問題にならないことが原則であるが,特定個人情報には個人番号それ自体が含まれるとされており,文字通り解釈すれば,ランダムな 12 桁の数字を述べるだけでも違法になり,12 桁の数字をすべて読み上げると膨大な違法行為をすることになる.そのような解釈はあまりにも現実離れしたものであるが,主観面の要件がない中で,どこまで違法性に制限を設けることが出来るか,考察する.