著者
星川 竜彦 小林 健二 鹿股 宏之 篠崎 浩治 加瀬 建一 尾形 佳郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.2135-2140, 2009 (Released:2010-01-05)
参考文献数
10

症例は42歳,男性.検診で肝機能障害を指摘され,当院を紹介受診し,腹部CT検査と腹部超音波検査で肝内側区域に腫瘤性病変を認め,精査加療目的で入院とした.腹部MRI検査で左肝内胆管の閉塞と右前後区域の分岐部にも胆管壁の不整像があり,腹部血管造影検査では左門脈枝の完全閉塞と門脈本管の左右分岐部付近での狭窄を認めた.以上より切除不能胆管癌と診断し,減黄後にGemcitabine 400mg/body/week投与と放射線照射(50.4Gy)を施行した.3カ月後の腹部MRI検査で腫瘤は縮小し,6カ月後には腫瘤を指摘できなかった.その後,治療開始から9カ月目に溶血性尿毒症症候群(以下HUS)を発症し,血漿交換などを施行したが2カ月後に死亡した.切除不能胆管癌は予後不良であり,今回われわれは化学放射線が奏効した後にGemcitabineによると思われる溶血性尿毒症症候群をきたした1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
著者
東海林 健二 森 博志
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、対象物体や人物を手持ちのカメラで同時に撮影したスナップ写真群から少ない手間で対象物体形状を得ることを目指し、視体積交差と投影を繰り返すことにより、カメラ撮影画像から物体のシルエットを矛盾の少ない形で取り出す方法と、視体積交差のためのカメラ姿勢を最適化する方法を提案した。また、視体積交差のためのよいカメラ配置とは、各カメラから得たシルエット形状が相互に異なり、なるべく複雑であるようなカメラ配置であることを実験的に示した。
著者
新井 清 東海林 健二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1510-1511, 1988-09-12

物体の識別に関する一手法を提案する。生産工程における部品の組み立てや検査などでは,3次元物体の識別やその姿勢の決定に対する要望がある。幾何学的な物体の場合は,濃淡画像を処理して得られる頂点や辺などが利用できるが一般曲面体の場合には難しい。また,任意の姿勢で置かれた物体への適用も難しい。そこで,3次元物体データと2次元断面データとのマッチングに問題を置き換える。すでに物体形状のデータは得られていて,新たに物体のある部分を切断して得られる断面の輪郭線データが与えられた場合,その輪郭線が物体のどの部分に一致するかがわかれば輪郭線が得られたときの傾きで物体の姿勢を判断できる。また,一致する部分の有無により物体の識別も可能である。今回は,物体と断面輪郭線との照合にDPマッチング法を適用し,その結果について報告する。
著者
竹本 幹夫 山中 玲子 小林 健二 落合 博志 大谷 節子 石井 倫子 表 きよし 三宅 晶子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

本研究においては、現代の能楽研究における資料調査の実績を踏まえ、全国に散在する文庫・図書館・個人所蔵の謡本を博捜し、曲目索引を作成して『国書総目録』【能の本】以後に発見された謡曲作品・伝本を網羅的に補足することから出発し、上記500曲の各作品ごとに、伝存するテキストの系統関係を調査した上で、主要な系統の伝本を、一曲につき数本ずつ翻刻することを目指した。室町期成立の能のテキストを網羅的に翻刻・集成するような事業は今まで全く存在せず、本研究が能楽のみならず、近世・近代前期の文芸研究、および国語学に与える影響は、きわめて大きい。最終的な成果は、『謡曲大成』(仮称)の刊行を企図しているが、一曲ごとに数十本存在する伝本を書写・校合する作業が予想以上に難航し、このたびようやくア行74曲の系統付けが完了した。C-18として付属させた冊子がその成果内容である。これらの作業過程で、古写本・古版本の新出資料を複数調査することが出来た。その中には江戸時代版行番外謡本の系統研究に重要な位置を占める、伊藤正義氏蔵「寛永頃刊行観世流異書体小本」のような稀覯本も含んでいる。早稲田大学演劇博物館蔵「春藤流升形十番綴謡本」三百番のような、従来存在は知られていたが位置付けが不明であった本についても発見があった。この本は、観世流系ワキ方であった福王流の江戸後期の大規模な謡本集成に先駆けて行われた、金春流系ワキ方系の謡本集成としては比較的早い例に属することなどが明らかとなった。また謡本研究とは直接関連しないが、本研究費による謡本の所在調査の過程で、研究分担者や研究協力者による、曲ごとの作品研究が活性化した。さらには、本研究費による謡本調査の過程で、研究代表者の竹本による世阿弥能楽論書『三道』の最善本の発見なども行われた。いずれも本研究の特筆すべき副次的成果といえよう。
著者
松岡 心平 天野 文雄 磯田 道史 小川 剛生 落合 博志 小林 健二 高桑 いづみ 高橋 悠介 橋本 朝生 宮本 圭造 山中 玲子 横山 太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

観世文庫の能楽関係資料は、質・量ともに能楽に関する最重要の資料群である。本研究では、これらの資料の調査・研究に基づき、インターネット上で画像と解題を公開するデジタル・アーカイブ「観世アーカイブ」を拡充させると共に、これを活用して、近世能楽史の研究を大きく進めた。特に、15世観世大夫元章(1722~74)の能楽改革に関する研究に重点を置き、観世元章に関する用語集と関係書目、年譜をまとめ、刊行した他、元章による注釈の書入れが顕著な謡本『爐雪集』の翻刻と検討を行った。さらに、観世文庫に世阿弥自筆能本が残る「阿古屋松」の復曲を行い、観世文庫資料の展覧会でも研究成果を公開した。