著者
小林 紀子 臼井 俊博 新井 清一 福田 忠彦
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.36-44, 2002-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

人は種々の肌状態を評価する際に, 顔のどの部分をどのように見て判断しているのであろう。本研究の目的は, スキンケアで重視しなければならない部位や, 美しい肌を演出するために重視すべき部位を明らかにすることである。測定方法は, 「キメの粗さ」「つや」「なめらかさ」「肌の美しさ」など14項目についてモデルの肌を評価し, その際の眼球運動データを測定した。その結果, 頬や鼻は多くの評価項目において注視されることがわかった。「毛穴の目立ち」の評価では鼻の頭や小鼻のあたりに注視がみられ, 主観申告による判断部位と一致していた。また, 「つや」の評価では, 鼻の頭や頬のふくらんだ部分に注視の集中がみられた。このように, 評価する肌項目によって注視される部位が異なっていることが本研究より明らかとなった。さらに, 「肌の美しさ」の評価では, 頬上部から鼻周辺, 口周辺, 頬下部の範囲に注視が分布した。本研究により, 肌を評価する際の眼球運動が定量的に示された。このことは, スキンケアや美容に関するカウンセリングに役立つ情報が得られるだけでなく, 新しい皮膚計測法の開発において, 測定すべき部位を決めるためにも役立つと考えられる。
著者
新井 清美 榊原 久孝
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.379-389, 2015 (Released:2015-10-27)
参考文献数
44
被引用文献数
4

目的 都市公営住宅における高齢者の低栄養と社会的孤立状態との関連を明らかにすることを目的とした。方法 名古屋市営 A 住宅の65歳以上の高齢者442人を対象に,無記名自記式質問紙を使用し調査を行った。調査内容は,基本属性,社会的孤立状態や栄養状態などについて質問した。低栄養の指標については,Mini Nutritional Assessment®-Short Form (MNA®) を使用して評価した。「栄養状態良好」,「低栄養のおそれあり」,「低栄養」の 3 区分のうち「低栄養のおそれあり」と「低栄養」を,「低栄養のおそれ群」の一群として,「栄養状態良好群」との 2 群で比較した。社会的孤立については,社会的孤立を関係的孤立としてとらえ,日本語版 Lubben Social Network Scale の短縮版(LSNS–6)を使用して評価し,非社会的孤立(12点以上),社会的孤立(12点未満)の 2 群とした。分析では,従属変数を栄養状態とし,年齢,性別,同居の有無,主観的経済状況,社会的孤立,外出頻度,孤独感,要介護認定の有無,老研式活動能力指標を,独立変数(説明変数)としてロジスティック解析を行った。結果 調査は343人から回答を得て(回収率77.6%),有効回答数は288(有効回答率65.2%)であった。分析対象者288人は,65歳から98歳(平均年齢±標準偏差:74.7±6.1歳)で,男性121人,女性167人であった。孤立を示す12点未満は44.1%であった。MNA® については,「栄養状態良好」171人(59.4%),「低栄養のおそれあり」108人(37.5%),「低栄養」9 人(3.1%)であり,「低栄養のおそれ群」は40.6%に認められた。「低栄養のおそれ群」と関連する要因は,多重ロジスティック解析で,社会的孤立状態(オッズ比(OR)=2.52,95%信頼区間(CI)1.44–4.41)および経済状況(OR=1.98,95%CI 1.15–3.41)であった。交互作用の分析結果から75歳以上の一人暮らしも低栄養のおそれと関連することが明らかになった。結論 「低栄養のおそれ群」には,社会的孤立状態および経済状況が関連要因として示され,75歳以上の一人暮らしも要注意であることが明らかになった。今回調査したような公営住宅では高齢者の低栄養や社会的孤立が潜在化している可能性があり,高齢者の介護予防や健康増進への対策には,高齢者への栄養支援とともに社会的孤立への取組の必要性が示唆された。
著者
林 照次 松木 智美 松江 浩二 新井 清一 福田 吉宏 米谷 融
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.355-373, 1993-12-16 (Released:2010-08-06)
参考文献数
19
被引用文献数
6 7

We measured changes in facial wrinkles and skin texture by aging, sunlight exposure and applicaion of cosmetics.With a replica photographing system and image analysis, we measured wrinkles for parameters of depth and the ratio of wrinkled area (RWA: showing amount of wrinkles). As for skin texture, we measured depth and distance of furrows, ratio of furrow depth (RFD: showing amount of skin texture) and anisotropy.As a result of measuring changes in wrinkles due to aging, it was found that the process of wrinkle formation was classified roughly into 2 stages. In the initial stage of wrinkles, RWA incseased greatly in the 30s, due to many fine wrinkles 0.15mm or less in depth. Then, the second stage showed the acceleration in the increase of wrinkle depth which seemed to be caused by a vicious circle in solar elastosis. It was also observed that, compared to the office workers, the outdoor workers showed higher values of RWA in the initial stage and of wrinkle depth in the second stage.The result of measuring changes of textures revealed that the amount of furrows decreased with aging and morphology after 60s differed from that of natural furrows and resembled to the morphology observed in the initial stage of wrinkles. As for the influence of sunlight exposure, the furrows in the outdoor workers of 30s and 40s became more indistinct in comparison to those of the office workers.Then, as a result of examining changes in wrinkles by the continuous application of moisturizing lotion and eye cream, relatively small wrinkles below 0.15mm depth decreased in both cases probably due to increase in hydration in the stratum corneum. We thought this effect reduced the degree of vicious circle in solor elastosis and delayed the appearances of deep wrinkles. From these results, it was thought that skin care around the age of 30s, when small wrinkles started to increase, was extremely important to control wrinkle appeararances.
著者
窪田 正彦 新井 清 頼光 彰子 島岡 真佐子 星野 響 林 一之 伊田 泰康 南 典昭 山本 博文 田中 恵一 高田 三千人 西原 正勝 藤谷 幸治 神田 博史
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.113, no.11, pp.810-817, 1993-11-25

The cultivation of Papaver bracteatum, having thebaine as a major alkaloid, needs permission by the law of the narcotic regulation in Japan. Therefore, the flowergrowing of P. bracteatum as garden plants is prohibited by law. Chemical, morphological and cytological analyses of gardening 18 plants of the section Oxytona of the genus Papaver collected in western Hiroshima prefecture were carried out as a preliminary study. On inquiry, thebaine was identified as an only alkaloid from one of the gardening plants. The amounts of thebaine contained in this sample was 0.68%. Petals of this plant are scarlet with black spots at their bases which are surrounded by bracts. These results indicated that one of the investigated plants was identified to be P. bracteatum.
著者
新井 清
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.771-774, 1961-06-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11
被引用文献数
3

イタニグサ(Ahnfeltia plicate)の熱水抽出液から凍結,融解法で得られる寒天質は他の寒天質と異なって,そのアセチル化物はクロロホルムに不溶解性である。このことからアガロペクチン型に属することを知る。この寒天質は完全硫酸加水分解によってD-ガラクトース,L-アラピノース,L-ガラクトースおよびD-ダルクロン酸を生じ,また完全メタノリシスによって3,6-アンヒドロ-L-ガラクトース誘導体,β-メチル-L-アラビノシドおよびα-メチル-D-ガラクトシドを与える。紅藻類多糖質からレアラピノースの単離はこれが最初の例であると思われる。
著者
新井 清美
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、プレアルコホリックを早期発見し、早期介入するためのアセスメントツールを作成することであった。この目的に沿って、平成24年度にはアルコール依存症者とその家族に行ったインタビュー調査から、プレアルコホリックに該当すると考えられる質問項目を抽出し、質問紙を作成した。この質問紙を用いて平成25年度には医療機関に所属する者、平成26年度にはアルコール依存症者とその家族の自助グループである断酒会に所属する者に対して質問紙調査を行った。これらの調査によりプレアルコホリックの段階を明らかとし、飲酒のリスクに応じた支援の在り方について検討を行った。
著者
新井 清美
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アルコールに起因する問題が生じてから連続飲酒までの状態であるプレアルコホリックをどのように認識しており、どう変化していったのかを明らかにすることを目的に、アルコール依存症患者と当時の同居家族に対して半構成的面接を行い、質的記述的に分析した。その結果、プレアルコホリックの認識と変化には飲酒による高揚感といった効果を求めて飲んでいる段階、社会的な困難事といった直視し難い現実から逃れるために飲んでいた段階、飲酒量や頻度の増加に伴い健康上の障害が出現するようになった段階の3つの段階があり、医療従事者も適正飲酒の指導、問題飲酒者の抽出や経過観察、短期介入と、段階に合わせた支援をしていく必要性が示唆された。プレアルコホリックの段階では簡単な治療介入により良好な予後が期待できるため、対象がコーピングを図れるような環境調整や、医療従事者による短期の介入によりアルコール関連問題の改善していくこが求められる。
著者
新井 清 東海林 健二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1510-1511, 1988-09-12

物体の識別に関する一手法を提案する。生産工程における部品の組み立てや検査などでは,3次元物体の識別やその姿勢の決定に対する要望がある。幾何学的な物体の場合は,濃淡画像を処理して得られる頂点や辺などが利用できるが一般曲面体の場合には難しい。また,任意の姿勢で置かれた物体への適用も難しい。そこで,3次元物体データと2次元断面データとのマッチングに問題を置き換える。すでに物体形状のデータは得られていて,新たに物体のある部分を切断して得られる断面の輪郭線データが与えられた場合,その輪郭線が物体のどの部分に一致するかがわかれば輪郭線が得られたときの傾きで物体の姿勢を判断できる。また,一致する部分の有無により物体の識別も可能である。今回は,物体と断面輪郭線との照合にDPマッチング法を適用し,その結果について報告する。
著者
新井 清志 坂本 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.77, pp.43-48, 1996-08-22

本報告では、モーションキャプチャの新手法を用いて日立製作所とフジテレビジョンが共同開発した人物のリアルタイムアニメーションシステムについて述べる。モーションキャプチャの技術は、人物アニメーションの動作データの作成に幅広く利用されている。しかし、従来の手法では、データに対する後処理の発生が原因となり、この技術によって人物のリアルタイムアニメーションを生成することは困難だった。本開発では、この問題を解決するため、表情追跡システムからの入力を高速表情生成手法で処理するとともに、人形型入力デバイスからの入力に予約姿勢を混ぜ合わせる処理を行なった。This paper describes a real-time human animation system using a new method of motion capture developed by Hitachi, Ltd. and Fuji Television Network, Inc. Motion capture technology is widely used for making motion data of human animation. In existing methods, however, this technology was difficult to apply to real-time human animation because of data post-processing that was necessary. In our work, we have solved this problem by introducing a rapid facial deformation method for processing the input from a facial expression tracker, and reserved poses blended with real-time input from an articulated input device.