著者
根来 龍之 足代 訓史
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.19-32, 2021-09-30 (Released:2021-09-30)
参考文献数
32

本稿は,マーケティング機能を対象に,媒介型プラットフォーム(Platform: PF)におけるPFと補完者(個別事業者)との関係の相互作用的進化について論じる。その目的は,既存のPF研究が基本的に依拠する,「PFを中心に据えて,PFとその補完者との間の関係を論じる見方」とは異なる関係モデルと一般化仮説を提示することである。そのために本稿では,飲食店チェーン業界において,PFと個別事業者との間で,顧客接点機能を相互発展させている現象を事例分析する。事例研究の結果として,以下の命題を主張する。媒介型PFと個別事業者のマーケティング機能は,相互的機能拡張競争によって発展する。また,個別事業者は媒介型PFのネットワーク効果を活用するために,協業的にPF機能の開発を行うことがある。
著者
木村 誠 根来 龍之
出版者
日本経営学会
雑誌
日本経営学会誌 (ISSN:18820271)
巻号頁・発行日
no.23, pp.98-111, 2009-05-25

To succeed in content business in fields such as broadcasting, comics, hobbies, movies, novels and video-games, content business players must solve the problem of "the chicken and the egg." They must decide which content to prioritize in the market: the goodwill value of the original contents as a potential asset or the economic value of the derivative contents. This paper focuses on the cyclic structure which includes the goodwill value of the original contents and the economic value of the derivative contents. This cyclic structure seems to be one mechanism of the development (expansion of distribution scale and sales) of the content ecosystem consisting of both original and derivative contents. Examining the modeling of the cyclic structure using a causal loop diagram of the system dynamics, we show the logic of the pseudo-mutually-complementarity between contents. This logic could be a factor that the rights holders and its licensers be in the control of the causal loop in order to attain the overall growth. Connecting the various contents across different media and industries, the induction of the pseudo-mutually-complementarity between contents can add higher value to the contents and also support for developing the overall value of the content ecosystem. After analyzing the case of "Pocket Monsters Advance Generation," we propose a new original-derivative content loop model. This model consists of four causal loops based on the four product types of content cost structure (deficit, lower, middle, superior), and each loop includes distribution opportunities and the induction of the pseudo-mutually-complementarity between contents. We argue that content business players, such as licensers and licensees of an original content, should keep ones' view of virtuous cycle of the original-derivative content loop model-inspired, and selectively manage in order to the induction of the pseudo-mutually-complementarity between contents.
著者
根来 龍之 後藤 克彦
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.40-51, 2005-12-20 (Released:2022-08-05)
参考文献数
10

本稿では,技術革新をきっかけとした既存品と代替品の代替構造を分析し,代替戦略の構築方法を提案する.まず,代替品と既存品の関係を4つに分類し,各分類毎に代替品企業の攻撃戦略と既存品企業の防衛戦略の定石を示す.次に,提案するフレームワークをICタグの事例に適用して,方法の有効性を例示する.代替品と既存品は,買い手のニーズをそれぞれの製品機能によって取り合う構造になっている.この機能に着目する考え方が本稿に一貫する着想である.
著者
木村 誠 根来 龍之
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.271-274, 2012

本研究はリアル世界の商品(物財とその属性である情報)とバーチャル世界の商品(情報通信ネットワーク上のデジタル情報財)間に関係性を付与することによって価値創造を行う事業(R=V連携事業)のメカニズムの記述を試み、業績の成長を促す方策を論じる。R=V連携事業の全体像を把握するために、情報間の静的構造モデル(R=V連携構造モデル)と活動連鎖の循環モデル(R=V連携循環モデル)の両面からアプローチする分析手法を提示する。事例として、GANZ社の「Webkinz」、バンダイの「プロ野球オーナーズリーグ」、コロプラの「コロニーな生活」を取り上げ、R=V連携事業の成長のために考慮すべき問題について検討する。
著者
根来 龍之 藤巻 佐和子
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2013年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.18-21, 2013 (Released:2014-02-03)

ネット化、デジタル化を背景とする産業のモジュール化の進展により、産業構造が従来の「バリューチェーン型」から、「レイヤー型」へと変化している。本稿では、レイヤー型の産業構造はバリューチェーン型の構造とは異なり、戦略課題も異なることを示す。産業構造の変化により、得意としてきたバリューチェーン統合戦略が通用しなくなり、国際競争力が低下する日本企業に「レイヤー戦略」が求められている。
著者
根来 龍之 釜池 聡太 清水 祐輔
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.45-57, 2011-09-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
28

本稿では,複数のエコシステムからなる製品システムを,パラレルプラットフォーム市場と呼び,その市場特有の戦略的観点について事例分析を通じて論じる.事例分析から抽出されたポイントは以下の5つである.⑴ネットワーク効果のマネジメント,⑵利益格差のマネジメント,⑶セットとしてのプラットフォーム製品のマネジメント,⑷結合プラットフォームのマネジメント,⑸マルチホーミングのマネジメント.
著者
根来 龍之
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.54-65, 2007-09-20 (Released:2022-08-19)
参考文献数
22

本稿は,ネットビジネスの特性を,「情報民主化」の圧力と「市場経済」の圧力の各時点における創造的均衡点として捉える.技術としてのインターネットの歴史は浅く,未だダイナミックな変化を続けている.インターネットはもともと分散型の民主的参加の世界として誕生した.ネットビジネスは,あとから持ち込まれた「市場経済」の論理と誕生の時点から存在する「情報民主化」の圧力の均衡点として存在する.この均衡点は,技術の変化によって変化する.2005年頃から出現したネット第2世代も,技術の変化を受けた新しい均衡点として出現したものだと捉えられる.
著者
根来 龍之 足代 訓史
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2008年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.94, 2008 (Released:2009-01-07)

本稿は,因果連鎖の網の目構造論の立場(根来, 2008)から,意図せざる結果の類型化とそれへの対処について考えることを目的とする.意図せざる結果に関する議論は,基本的にはいかなる行為も,意図した結果のみならず,多かれ少なかれ意図せざる結果をも産むという問題認識に立っている.本稿では,行為者が自らの置かれている因果連鎖環境をどこまで読みきれているかどうかによって,意図せざる結果を5つのパターンに類型化する.類型化によって意図せざる結果の議論を網羅的に理解するとともに,避けることのできない宿命にある意図せざる結果への一定の対処方法として,因果連鎖の読みのパターンを広げることを提案する.
著者
根来 龍之 大嵜 昌子 木村 俊也
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2012年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.9, 2012 (Released:2012-07-25)

「mixi」のユーザー行動のログデータに基づいて、ユーザーのアクティブ度にどのような特性・要因が作用しているかについて、統計的に検証する。 結論としては、ある「友達」数のユーザーのアクティブ度がもっとも高いこと、アクティブ度にはフィードバックしてくれる仲良しの友人「数」が影響するなどの結果を得た。 なお、ログデータは、個人が特定されない形に修正された上で提供を受けたものである。
著者
根来 龍之 足代 訓史
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.94-94, 2008

本稿は,因果連鎖の網の目構造論の立場(根来, 2008)から,意図せざる結果の類型化とそれへの対処について考えることを目的とする.意図せざる結果に関する議論は,基本的にはいかなる行為も,意図した結果のみならず,多かれ少なかれ意図せざる結果をも産むという問題認識に立っている.本稿では,行為者が自らの置かれている因果連鎖環境をどこまで読みきれているかどうかによって,意図せざる結果を5つのパターンに類型化する.類型化によって意図せざる結果の議論を網羅的に理解するとともに,避けることのできない宿命にある意図せざる結果への一定の対処方法として,因果連鎖の読みのパターンを広げることを提案する.
著者
根来 龍之 國領 二郎 木村 誠 森田 正隆
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

プラットフォームビジネス・サービスについて、理論追求と事例研究の双方について成果を発表した。前者については、メディア機能型PFBと基盤機能型PFBの概念的区分とその融合に関する研究を行った。同時に、上記の理論的研究に基づきながら、事例研究も進めた。具体的には、電子マネー、ソフトウェアビジネス、ゲームビジネス、ネットプロモーションについて、事例研究を発表した。同時に、研究の背景となる情報システムと競争優位に関する研究も進めた。