著者
宮元 万菜美 加藤 和彦
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2019年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.38-41, 2019-12-25 (Released:2019-12-23)

「両利きの経営」は、イノベーションを論じる際に重要な概念としてよく取り上げられる経営概念である。ある企業や組織が中長期的な存続と発展を志向するならば、両利きの経営の実現を目指すのが望ましいこと自体は概ねの支持を得るところである。しかし、論者によって本概念を捉える切り口には違いがある。このことがイノベーションとの概念上の位置づけや、実行のプロセスとの関係性についていくつかの混乱を惹起することとなり、実際の企業活動との対応関係がわかりにくくなっている。本稿では探索と深化の関係を、実務時系列的な視点から整理することを提案する。
著者
小磯 知之 阿部 洋丈 池嶋 俊 石川 宗寿 リチャードポッター 加藤 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.13-26, 2007-02-15
被引用文献数
4

本論文では,大規模障害を含めた様々な障害を自律的に乗り越えて持続可能な(サステーナブルな)サービスを実現するための基盤ツールキットの設計について述べる.本方式は,多数の計算機を連合させ,それらにサービスの実行とサーバ機能の状態保存を自律的に分担させることでサービスのサステーナブル化を実現する.また,本提案方式は,仮想計算機を用いることで,既存のサービスを容易にサステーナブルにすることを可能にしている.In this paper, we describe our design of an infrastructure toolkit for realizing sustainable services, which can surmount various kinds of failures, including catastrophe. Our system consists of many federating computers. It enables the service to be sustained by making some of the computers run server functions, and the others share storing states of the service. And also our method is designed to be applicable for existing services by using virtual machines.
著者
保理江 高志 榮樂 英樹 品川 高廣 加藤 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [システムソフトウェアとオペレーティング・システム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.35-42, 2009-01-21
参考文献数
12

「セキュアVMプロジェクト」では2006年より、仮想マシンモニタ技術に基づくセキュアなコンピューティング基盤の実現を目指し、仮想マシンモニタ(以下、VMM)BitVisorの開発を行っている。BitVisorはICカード認証、ストレージの暗号化、仮想プライベートネットワーク(以下、VPN)の機能を提供し、それらを上位で稼働するオペレーティングシステム(以下、OS)からは不可避のものとして、強制することができる。本稿では、ダイレクトメモリアクセス(以下、DMA)に起因する不正アクセスのリスクを排除するため、"Intel VT for Directed I/O (VT-d)"等のハードウェアベースのI/O仮想化支援技術に基づいた機能拡張に関する検討及び実装について報告する。
著者
榮樂 英樹 新城 靖 加藤 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.10, pp.17-24, 2007-01-30
被引用文献数
4

LilyVMは,静的なコード変換技術と準仮想化技術を用いて,実機用のOSをユーザ・プロセスとして動作させる仮想マシン・モニタである.従来のLilyVMでは,多くの特殊な機能をホストOSに要求しており,他のOSへの移植性が低く,性能にも問題があった.この論文では,LilyVMにおいてカーネル・レベル・コードを用いることにより,他のOSへの移植性を高めることについて述べている.カーネル・レベル・コードは,高い特権レベルで動作し,CPU例外のリダイレクトをOSに依存せずに実行する.LilyVM is a virtual machine monitor (VMM) which runs an operating system (OS) for a real machine as a user process using a static code translation technique and a paravirtualization technique. Former LilyVM required many special features of host OSes. Therefore, it had less portability to other OSes, and also had a performance problem. In this paper, we discuss about improving portability of LilyVM to other OSes by using a kernel-level code. The kernel-level code runs in a higher privilege level and redirects CPU exceptions without dependence on a host OS.
著者
相川 拓也 杉木 章義 加藤 和彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.138-151, 2012-10-15

サーバのチューニングは,性能を左右する重要なタスクである一方で,管理者にとって困難をともなう.パラメータの最適値は多くの場合, 1 回のチューニングでは求まらず,さまざまな試行錯誤を行う必要がある.また, 1 回の試行においても,サーバの設定を変更するだけではなく,複数台からなるクライアントの設定を変更し,起動するなど,煩雑な手続きが必要である.本研究では,このチューニングにおける試行錯誤の過程を効率化するスクリプティング環境を提案する.本提案では,サーバやクライアントなどチューニングに関連する要素をすべて分散オブジェクト化し,統一的な環境で高水準に試行の過程を記述可能とする.また,自動チューニングアルゴリズムのライブラリ化を行うことで,利便性の向上を図る.実験では, SPECweb2005 ベンチマーク下の Apache ウェブサーバと Hadoop を対象として実験を行い,本環境を利用してチューニングができることを確認した.Although parameter tuning is critical for server performance, that tuning process is error-prone and time consuming. An administrator must repeat many iterations to find an optimal configuration and even at each step non-trivial tasks, including proper configuration of a server and launching benchmark clients, are required. In this paper, we present a scripting environment for efficiently describing such tuning process. We offer distributed objects as ways to manipulate a server and benchmark clients. By this way, tuning process can be described by scripting them in an integrated environment. We also provide automatic tuning as a library for further efficiency. In the experiments, we confirmed that tuning of an Apache web server under SPECweb2005 benchmark and a Hadoop cluster were successfully possible in our tuning environment.
著者
稲葉 敦 島谷 哲 田畑 総一 河村 真一 渋谷 尚 岩瀬 嘉男 加藤 和彦 角本 輝充 小島 紀徳 山田 興一 小宮山 宏
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.809-817, 1993-09-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
15
被引用文献数
5 5

太陽光発電の大規模導入を前提として, 多結晶シリコンとアモルファスシリコンの太陽光発電システムのエネルギー収支を検討した.本試算には, 開発中の技術の導入, 太陽電池セル製造プロセスの効率向上が仮定されている.系統連系することを仮定し, 蓄電設備を持たない集中配置型の発電所を建設する場合のエネルギーペイバックタイムは, 年間10MWの生産規模で, 多結晶では5.7年, アモルファスでは6.3年となった.100GWの場合は, さらに技術開発が進行すること, およびスケールアップ効果により, 多結晶で3.3年, アモルファスで3.0年となる.集中配置による太陽光発電システムでは, 発電所を建設するためのエネルギー投入量が大きく, 生産規模に応じた発電システムを構築することが重要である.
著者
加藤 和彦 山田 興一 稲葉 敦 黒川 浩助 小宮山 宏
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.753-759, 1995-07-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

屋根置きタイプおよび地上設置タイプの太陽光発電システムについて, 太陽電池モジュールの製造から発電システムの建設までのCO2排出量を求め, 太陽光発電システムから得られる電力のCO2排出原単位を試算した.例えば, 年産規模10MWの場合の多結晶シリコンセルを用いた屋根置きタイプ及び地上設置タイプシステムのCO2排出原単位は, それぞれ179g-C/kWh及び39g-C/kWhとなった.一方, 同年産規模のアモルファスシリコンセルを用いたシステムのCO2排出原単位は, それぞれ10g-C/kWh及び47g-C/kWhとなった.太陽光発電システムからのCO2排出削減には, モジュール面積に応じて必要となるアルミフレームやカバーガラスなどの素材使用量を削減する必要がある.また, システム全体の効率の向上や長寿命化も有効である.さらに本稿では, 太陽光発電システムがわが国に大規模に普及する場合の, 系統電力と太陽光発電システムのCO2排出原単位の関係についても検討を加えた.
著者
馬渕 充啓 高田 真吾 小沢 健史 豊岡 拓 松井 慧悟 佐藤 聡 新城 靖 加藤 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.974-988, 2010-03-15
被引用文献数
1

多くの大学では,情報コンセントや無線LANをいたるところから利用することができるようになりつつある.利用者がすべてのネットワークに対して接続するための権限(接続権限)を持っているとは限らないため,ネットワークを利用できないことがある.それらを利用できる利用者が接続権限を信頼できる他の利用者に手軽に渡すことができれば,他の利用者も手軽にそれらを利用することができる.本論文では,接続権限を利用者間で受け渡し可能なネットワーク制御機構CaNectorについて述べる.我々は,ケーパビリティに基づくアクセス制御を用いてCaNectorを実現している.CaNectorで扱うケーパビリティは,管理権限(接続権限を管理するための権限)ありのケーパビリティと接続権限のみのケーパビリティに分類される.管理権限ありのケーパビリティを保持している利用者は,そのケーパビリティを元に手軽に新しいケーパビリティを作成し,信頼できる他の利用者に渡すことができる.CaNectorは,筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻所属のソフトウェア研究室内で約6カ月間問題なく稼働している.Information outlets and wireless LANs are becoming available everywhere in many universities. Since a user doesn't always have access rights for all the networks, the user sometimes cannot use a network. If a user who can use them can pass his or her access rights to other trusted users easily, other users can use them readily. This paper describes CaNector, which enables passing access rights among users. We realize CaNector by using capability-based access control. Capabilities in CaNector are classified into two types: the first one is a capability that includes both management rights and access rights, and the second one is a capability that includes only access rights. A user who has a capability that includes management rights can create new capabilities based on his or her own capability and then pass them to another trusted user easily. CaNector has been working for 6 months in Software laboratory in Department of Computer Science, Graduate School of Systems and Information Engineering, University of Tsukuba.
著者
東 耕平 竹腰 開 深井 貴明 品川 高廣 加藤 和彦
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2016-OS-136, no.9, pp.1-8, 2016-02-22

仮想化技術を用いたクラウドコンピューティングによって提供されるサービスが広く利用されている中,ベアメタルクラウドと呼ばれる新しいサービスが近年注目を集めている.ベアメタルクラウドとは Infrastructure as a Serivce (IaaS) の一種であるが,従来の IaaS がユーザに対して仮想マシンを提供するのに対し,ベアメタルクラウドは物理マシンを提供する.これによって,ユーザは安定して高い性能・機能を発揮するマシンを比較的安価かつ容易に利用することが出来る.しかし物理マシンをユーザにそのまま提供してしまうと,ユーザは物理マシンのハードウェアに直接アクセスすることが可能になるため,重要な情報が記憶されている EEPROM などの不揮発性領域のデータが書き換えられてしまうことによって,マシンが恒久的に起動しなくなったりマルウェアに感染して次のユーザが影響を受けるなどの問題が発生する可能性がある.本稿では,軽量なハイパーバイザを利用して,重要なデータが記憶されている不揮発性領域へのアクセスを遮断する手法を提案する.これにより,ベアメタルクラウドの利点は維持しつつも,クラウド事業者が物理マシンのハードウェアを保護して安全性を確保できるようにする.
著者
江島 昇太 岡 瑞起 橋本 康弘 加藤 和彦
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

近年、ソーシャルメディアは新たな情報源として、あるいは新たな関係性構築のための手段として、人々の生活に広く浸透している。中でも SNS において、ユーザが行動を起こすモチベーション要因は、どのようなところにあるのだろうか。本研究では、ユーザの行動に対するフィードバックや、周りのユーザ同士の関係性をネットワークとして捉えたとき、その構造から計算できる特徴量でユーザの行動を説明できないかを調べる。
著者
鈴木 与範 小磯 知之 阿部 洋丈 加藤 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.48, pp.9-14, 2005-05-25
参考文献数
16
被引用文献数
1

ネットワークやハードウェア,ソフトウェアなどの障害によって,ネットワーク上のサービスはしばしばサービス不能状態に陥ることがある.本研究の目的は,クライアントからの要求によってサーバの状態が更新されるような形態のインターネットサービスに対して,ハードウェア障害や通信障害などを自律的に乗り越えるシステムを設計することである.我々は自律的に環境変化を克服できるサービスをSustainable Serviceと呼んでいる.本稿では,仮想機械の技術とPeer-to-Peerネットワークを用いたSustainable Serviceの実現方式について述べ,さらにそれらを発展させた内容についても考察する.Network services sometimes fall into unavailable in some reason(network error, hardware error, software error, etc.). The objective of our research is to develop a system which can make survices on this system sustainable. Our system aims to cover not only static services but dynamic services. We describe a service as Sustainable Service when it can stand any error autonomically. In this paper, we introduce the method to realize Sustainable Service by using virtual machine technology and Peer-to-Peer networks. Moreover, we discuss advanced techniques for improving proposal system.
著者
佐藤 晃矢 岡 瑞起 橋本 康弘 加藤 和彦
出版者
The Japanese Society for Artificial Intelligence
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.667-674, 2015

Social Tagging System (STS) which is one of the content management techniques is widely adopted in the online content sharing service. Using STS, users can give any strings (tags) to contents as annotations. It is important to know the usage of tag statistics for accomplishing an effective database design and the information navigation. The frequency of tag usage as well as their dynamics are similar to the ones found in the natural language. It is possible to reproduce the branching process of the tag dynamics using a classical model called Yule-Simon process. Another characteristic aspect of tags is the tag co-occurrence generated from the simultaneous use of tags. Using the tag co-occurrence, STS is able to reconstitute the hierarchy of tags, and recommend the tag which is probably used next. However, Yule-Simon process does not consider the tag co-occurrence and thus how the tag co-occurrence is generated from the model like Yule-Simon has not been addressed yet. In this paper, we propose to expand the Yule-Simon process to model the tag co-occurrence. From the point of view of network hierarchy, we confirm the similarity in the structure of the tag co-occurrence with the empirical data obtained from a social network service called 'RoomClip'. The present result suggested that this simple model like extended Yule-Simon process generates the tag co-occurrence feature.
著者
加藤 和彦 白井 清昭 戸田 巖 和田 隆夫 星野 力 加藤 和彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.726-733, 2001-07-15

ITの花咲き乱れる昨今ではあるが,ITを支える基盤ソフトウェアの分野は閉塞感に覆われているのではないだろうか.立ち止まって考えてみよう.足下を見つめてみよう.そして,新たな地平を切り開く可能性を論じよう.