著者
天野 俊康 今尾 哲也 竹前 克朗 岩本 晃明 馬場 克幸 山川 克典 中澤 龍斗 吉田 勝美 杉森 裕樹 田中 利明 方波見 卓行 田中 政巳 テストステロン軟膏共同研究グループ
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.25-29, 2007-01

男性更年期障害(LOH)で暫定的指標として定めた値である血中総テストステロン(TT)3.18ng/ml, 遊離型テストステロン(FT)10.0pg/ml未満を示した50名(年齢34~81歳)を対象としたが解析可能は36名であった。調査項目のCut off値を定め, 男性更年期障害の症状スコア(AMS)総得点50点未満の軽/中等症25名と50点以上の重症11名, TT3.18ng/ml以上の高値12名と未満の低値24名, FT7.3pg/ml(YAM値の50%)以上の高値20名と未満の低値16名, FT9.1pg/ml(YAM値の60%)以上の高値7名と低値20名を重症度分類で2分割し比較した。男性ホルモン軟膏使用前後におけるAMS, 国際勃起機能スコア(IIEF5), 健康調査票(SF-36)変化ではAMSの心理ドメイン, SF-36の体の痛み(BP), 社会生活(SF), RE日常的役割においてAMSスコアが高い重症群に, より改善が見られ有意差を認めた。また, TT値の高値群においてSF-36のBPに, より改善が見られたがその他に有意差は認められなかった。
著者
大島 洋平 森 裕樹 佐藤 達也 濱田 涼太 吉岡 佑二 佐藤 晋 松田 秀一
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.480-483, 2021-06-20 (Released:2021-06-20)
参考文献数
9

無気肺・排痰困難に対して標準的な呼吸リハビリテーションの効果が乏しく,トランポリンを用いた運動療法が有効であった2例を経験した.1例は原発性肺癌に対して右下葉切除術を施行し,無気肺が遷延した症例,1例は重症肺炎発症後に排痰困難となり,呼吸不全及び呼吸困難が残存した症例である.この2例に排痰手技を含む標準的な呼吸リハビリテーションを施行するも,改善は乏しかった.そこで,トランポリン運動を試みたところ,著明な喀痰の自己喀出を得て,画像所見及び低酸素血症の改善を認めた.トランポリン運動が腹部臓器を介して横隔膜の受動運動を誘発し,換気を促進させたことで痰の喀出が得られたものと推察された.
著者
森 裕樹 倉岡 正高 相良 友哉 藤原 佳典
出版者
日本世代間交流学会
雑誌
日本世代間交流学会誌 (ISSN:21857946)
巻号頁・発行日
pp.jsis1301_01, (Released:2023-08-15)

本研究では全国のシルバー人材センターを通じ、参加者の年代と交流形態の点から通いの場での活動実態や運営上の課題を比較検討した。シルバー人材センター職員を対象に高齢者を含む多世代が参加する通いの場について、「発足経緯」「活動概要」「参加者の特徴」「活動の専門性と課題」「活動が地域に及ぼす影響」を尋ねた。分析対象の211事例は、参加者の年代を基に「高齢」「高齢×未成年」「高齢×成年」「高齢×未成年×成年」に分類し、発足経緯や活動内容と運営上の課題を比較した。その結果、高齢者のみの活動と比べ、未成年を含む事例ではボランティア活動の割合が、成年を含む事例では趣味・文化活動や就労的活動の割合が高かった。この結果は、多世代の参加による活動が、多様な高齢者に介護予防の機会を提供し得ることを示唆するものの、活動の普及度という点からは活動継続のための資金獲得やノウハウ継承の難しさ、担い手不足が課題として挙げられた。
著者
山本 美智子 松田 勉 須賀 万智 古川 綾 五十嵐 崇子 林 雅彦 杉森 裕樹
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.8-17, 2013-12-10 (Released:2015-06-26)
参考文献数
12

The Medication Guides for Patients (MGPs) are being offered as information on prescription drugs for patients by the Ministry of Health, Labour and Welfare (MHLW). The MHLW published the Risk Management Plan in April, 2012, and it noted that the MGPs should be utilized in usual risk minimization activities. It is not clear, however, whether the MGPs are efficiently utilized in actual settings. Hence, we conducted a questionnaire survey of the pharmacists in the pharmacies with dispensing and the hospitals in Mie and Yamagata prefectures to investigate the actual circumstances of MGPs utilization and to understand the existing barriers associated with the use of the MGPs as medication instructions for patients. We sent the questionnaires by mail and obtained responses from 444 facilities (33.9%) of 1,309 facilities. The recognition level of the MGPs was about 30 percent in the dispensing pharmacies, and about 50 percent in the hospitals. The MGPs were utilized as a common communication tool with the patients in approximately 20 percent of the facilities. Many respondents requested that the frequency of important and other adverse reactions should be described in the MGPs, and wider ranges of MGPs should be further implemented.Moreover, our data suggests the problem is that the present MGPs are mainly applied to special types of patients, such as those with higher literacy level or those who requested a detailed explanation. Thus, it is apparent that it is necessary to review the MGPs contents again to improve their practical benefits and disseminate them more widely.
著者
杉森 裕樹 大神 英一 小田嶋 剛 丹波 泰子 高安 令子
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

米国のREALM、TOFHLA 等に加え、国立国語研究所「病院の言葉を分かりやすくする提案」を参照して、日本語版ヘルスリテラシー評価ツールを開発した。この評価ツールを用いた疫学調査では、医療用語認知度(ヘルスリテラシー)と、主観的健康度を含む健康関連QOL との間に有意な関連性が認められた。わが国でもヘルスリテラシー向上が、保健医療分野における国民のエンパワーメントに繋がる可能性が示唆された。
著者
杉森 裕樹
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年〜17年に小児を対象として,経年的に反復測定された踵骨乾式超音波法(AOS100)による骨量指標をもとに,マルチレベルモデル等を応用した成長期骨発育曲線の検討を行った。成長期における骨量増加・蓄積とpeak height velocity (PHV)等の身体発育指標との動き(ピーク)に乖離があることが示された。さらに,千葉県下18市町村の小児(小1〜中3,当該登録学童・生徒数55,464名,男児27,811名,女児27,653名)を対象に,平成13年1月〜平成13年12月に発生した学校管理下の骨折について検討した。平成13年における小児骨折の年間発生数773件(1.4%)で,うち男児(527件:1.9%),女児(246件:0.9%)であった。発生頻度は,学年とともに徐々に増加傾向を認め,男児では中1〜中2で,女児では小5〜小6で発生率のピークを認めた。また,発生月では5月,6月,9,月,10月,11月で多く,発生場所は,男児では屋外の運動場が,女児では屋内の体育館が比較的多かった。発生時間帯は,部活動,体育,休憩時間,昼休み,放課後の順であった。発生理由は,転倒,落下,受け損ない,衝突,捻転の順であった。発生原因は,床・地面が最も多く,人やボールが続いた。発生部位は男女児とも上肢が目立ち(男児62.2%,女児70.4%),手指,前腕の橈骨,上腕の肩関節の順で多かった。その他に,下肢では足指,足,腓骨,脛骨が多く,また男児では鎖骨が6%強であった。また,小児の親を対象に成長期骨量についての意識をテキストマイニングにより評価した。さらに,海外の成長期骨発育への取り組みである米国骨粗鬆症財団(NOF)等の『Powerful Bones. Powerful Girls.』の動向も調査した。今後,わが国の小児における骨折の疫学調査を一層すすめて,小児における骨折の積極的な予防対策が講じられることが望まれる。
著者
原 正一郎 杉森 裕樹 古海 勝彦 東福寺 幾夫 窪寺 健 河合 正樹 吉田 勝美
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.32-52, 2003
被引用文献数
1

健康審査(健診)には多数の施設が関わっており,これらの施設の健診情報システム間でデータを交換する必要がある.ところが健診に関わるデータ構造は多様であり,健診依頼元へ検査結果を電子的に還元することすら容易ではない.そこで平成8年より,日本総合健診医学会情報委員会は,健診データの有効利用を図るために日本保健福祉医療情報システム工業会と合同委員会を組織し,標準健診データ交換規約(HDML:Health Data Markup Language)とツールの開発に着手した.HDMLはSGML/XMLを基礎とし,既存の医療情報交換規約との互換性を考慮しつつ,健診に特化したデータ交換規約である.本稿ではHDMLの構造と,HDMLツールを用いた評価試験の結果について述べる.HDMLの導入によりデータ交換にかかわるコストの削減が可能となる.さらにデータ交換の段階でデータ構造が標準化されるため,複数の医療施設で発生した健診データを生涯健康管理データベースとして集積・管理できるようになり,生活習慣病などの予防医学にも大きく貢献することが期待される.