著者
崎村 夏彦 大泰司 章 楠 正憲 上原 哲太郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.714-734, 2020-06-15

社会からPPAPをなくすために,PPAPよりも良い方式について議論した.議論の結果,まずできるだけ通常のメールを使うのはやめる.通常の業務は,汎用メールクライアントではなく,CRM,EDI,電子契約システムなどの業務システムを使う.これらがSMTPを使う場合にはTLSを強制する.非定形のコミュニケーションは,お互いに認証されているSlackやTeamsなどの「ビジネスチャット」を使う.ファイルはこの上で送るか,「認証連携ファイルアクセス制御」の効いているクラウドストレージを使う.このような結論となった.
著者
楠 正憲
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.599-606, 2016-12-01 (Released:2016-12-01)
参考文献数
2

インターネットを通じた不正アクセスはここ数年,なぜ顕著に増加しているのか。本稿ではまず攻撃者の手法に関し,歴史をさかのぼってそのトレンド分析を行い,防御技術に課せられた課題と限界について解説する。またセキュリティー対策の今後について,「まず観察して情勢を判断し,意思決定に基づいて行動,その結果を再び観察する」OODA(Observation-Orientation-Decision-Action)サイクルにも着目する。さらには組織と人材の育成において,何が急務とされているのかについて示す。
著者
長谷川 恒雄 岸 久博 重野 幸次 種村 純 楠 正 木船 義久 吉田 道弘
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.638-646, 1984 (Released:2006-08-04)
参考文献数
3
被引用文献数
31 1

Factor and scalogram analyses were carried out on data obtained from 313 aphasic patients whose clinical state was evaluated by the Standard Language Test of Aphasia (SLTA). This report describes the results of scalogram analysis following up the previous report which dealt with the results of factor analysis, and proposes a rating scale which determines over all severity of aphasic patients.    Guttman's scalogram analysis was performed in various ways on the SLTA items in order to construct a simple and practical scale. The 26 items were classified into three item-groups based on the results of the factor analysis which was reported in the previous report : group A consisting of items with high factor loadings on the 1 st factor (writing), group B consisting of items related to the 2 nd factor (speech) and group C related to the 3 rd factor (comprehension). Four compound items were constructed in group A and three each in groups B and C, and these compound items were analyzed separately. The analysis reveals that they are sufficiently unidimensional for scale construction. A rating scale with total scores of A, B and C was proposed for overall assessment of aphasia.
著者
楠 正憲
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.820-821, 2019-08-15

筆者が12年以上も利用しているTwitterアカウントが6月1日夕刻,2007年4月から突然凍結された.アカウントの凍結は一方的に行われて,何ら説明なく唐突に解除されるものであることを実感できた.不正対策の自動化でジレンマとなるのは,広く仕組みを公開してしまうと,悪意ある利用者が自動処理を回避する手がかりを与えてしまうことだ.とはいえ自動処理によって利用者に不利益ある措置が行われた場合に,異議申し立てが適切に処理されて,当事者間で同意に至らない場合には,司法なりの枠組みを通じて紛争解決するための仕組みは必要となるのではないか.
著者
小林 美奈子 楠 正人
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.87-91, 2016 (Released:2016-07-29)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

術後感染予防抗菌薬の目的は手術部位感染(SSI)の予防であり,遠隔部位感染を含むSSI以外の術後感染性合併症は対象としていない.手術を行う部位に常在する細菌をターゲットとし,広域スペクトラムを有する抗菌薬を使用しない事が原則である.術後感染予防に用いられる抗菌薬は,清潔創手術に対してはcefazolin(CEZ)あるいはsulbactam/ampicillin(SBT/ABPC)が推奨される.準清潔手術では,cefotiam(CTM),第2世代のセファマイシン系薬であるcefmetazole(CMZ),オキサ型のflomoxef(FMOX),あるいはCEZとmetronidazole(MNZ)の併用が推奨される.投与開始のタイミングは手術開始前1時間以内が推奨される.投与量・再投与は体重や腎機能によって調節が必要である.投与期間は術後24時間以内投与が基本である.
著者
楠 正憲
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.384-392, 2021-07-15
著者
楠 正憲
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.566-567, 2017-06-15
著者
楠 正
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.8-21, 1985-03-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1

SLTA(Standard Language Test of Aphasia)was administered to a total of 313 aphasic subjects and the test records were analyzed by means of factor analysis and scalogram analysis. Factor analysis gave a simple structure which allowed a classification of test variables into three groups representing three language modalities; group A of writing, group B of speech and group C of comprehension. Separate scalogram analyses of these groups A, B and C revealed an almost ideal unidimensionality for scaling in respective groups. Distribution of the subjects was displayed by three axes of comprehension, speech and writing corresponding to three edges of a cuboid. The subjects were laid along the three edges, jointing each other to form a“gzigzag way”in the cuboid. Thus an ordering of comprehension, speech and writing, from severe impairment to mild, was found along the“zigzag way”which represented a continuous3-dimension structure.
著者
大北 喜基 荒木 俊光 近藤 哲 奧川 喜永 藤川 裕之 廣 純一郎 問山 裕二 大井 正貴 内田 恵一 楠 正人
出版者
一般社団法人 日本外科感染症学会
雑誌
日本外科感染症学会雑誌 (ISSN:13495755)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.655-659, 2018-12-31 (Released:2019-04-20)
参考文献数
21

近年の炎症性腸疾患に対する内科的治療は,従来から使用されてきたステロイドとともに免疫調節薬,生物学的製剤などの新しい内科的治療が開発され,治療薬の選択は多様化している。内科的治療は進歩したものの,治療抵抗や腸管合併症などの理由で手術を余儀なくされる症例は存在し,手術症例においては内科的治療が周術期管理に影響を与える可能性がある。長期ステロイド投与患者では,急性副腎不全に対する予防としてステロイドカバーが行われるが,従来の侵襲の大きさにかかわらず一律に高用量ステロイドを投与する方法から,近年では侵襲の程度に応じて投与量を決定する方法が推奨されている。炎症性腸疾患に対する手術は,内科的治療による免疫抑制のみならず,低栄養,慢性炎症などが原因で術後合併症,とくに感染性合併症の発生頻度が高いと考えられている。これまで多くの報告で術前ステロイド高用量投与が術後合併症のリスクとなることが示されており,ステロイドの投与量は手術タイミングと術式の選定,周術期管理を行ううえで重要な情報となる。
著者
楠 正憲
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.324-326, 2018-03-15

2018年1月26日深夜,みなし仮想通貨交換業者のコインチェック社が記者会見を行い,ブロックチェーンNEM上で流通する仮想通貨XEMの約580億円分が不正アクセスによって漏洩したと発表した.本稿では流出した仮想通貨が取り戻せる可能性, NEM財団によるコインの追跡と犯人側の対抗策について解説するとともに, 仮想通貨業者の安全性を高め, 社会からの信頼回復のために必要となる安全対策基準, これまでの公開鍵基盤とは異なる仮想通貨の鍵管理や, 仮想通貨や仮想通貨交換業者についての体系的な脅威分析の必要性について解説する.
著者
楠 正憲
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1066-1068, 2018-11-15

1月末のコインチェックに続いて,9月14日夕刻にテックビューロ社の運営する仮想通貨交換所Zaifから約70億円分の仮想通貨が流出した.Zaifは先に事件を起こしたコインチェックとは異なり,改正資金決済法に基づいて登録された「登録仮想通貨交換業者」であった.Zaifにおける仮想通貨の管理が適切であったかというと,ホットウォレットに多額の仮想通貨を入れていたこと,それらが流出して4日間も気付かなかったといった点は問題だ.事業者を信用できない,被害の迅速な報告が見込めないとなると,規制当局が直接モニタリングすることの必要性が増すことも考えられる.
著者
楠 正和 百武 大志 田中 芳征
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1765, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに】近年リハビリテーションにおけるレセプト減額査定が増加している。平成27年度,福岡県理学療法士会の減点査定調査結果によると,年齢により一律に減額査定されている傾向があり,特に80歳以上が6単位を超える単位数を「過剰」という理由で減額査定されている。また平成28年より,回復期リハビリテーション病棟(以下回復期病棟)では,アウトカム評価を実績指数で表し27未満の場合に,6単位を超える介入が入院料に包括される事となった。そこで本研究は,80歳以上の患者に対する6単位を超える介入が,80歳未満の患者と同等の効果があるのか,アウトカム評価である実績指数を用いて比較検討をおこなった。【方法】対象は当院回復期病棟を2013年4月1日~2014年3月31日までに退棟した351名のうち,算定区分が脳血管疾患のもの113名と運動器疾患のもの160名とした。除外基準は在棟中の死亡患者,回復期病棟対象外患者とした。後方視的に診療録から,年齢,1日あたりの単位数,FIM(入棟・退棟・利得),在棟日数を収集した。また,実績指数と,その計算式の分子に当たる運動項目FIM利得(以下m-FIM利得),分母にあたる算定上限日数比(在棟日数を回復期病棟入院料の算定上限日数で除した値)を患者あたりにて算出した。疾患別の対象を80歳以上と80歳未満の2群にわけ,各項目の比較検討をおこなった。統計解析にはSPSS ver16を使用し,Mann-Whitney U検定とχ2検定にて検討した。有意水準は5%未満とした。【結果】脳血管疾患:80歳以上/80歳未満(対象:50/63名,年齢:85.6/70.9歳(p<0.05),1日あたりの単位数:7.10/7.25単位,入棟FIM:58.1/78.9点(p<0.05),退棟FIM:75.5/104.4点(p<0.05),FIM利得:18.7/25.1点,在棟日数:43.2/49.4日,m-FIM利得:14.4/20.9点(p<0.05),算定上限日数比:0.27/0.31,実績指数:65.4/94.1)運動器疾患:80歳以上/80歳未満(対象:104/56名,年齢:87.4/65.6歳(p<0.05),1日あたりの単位数:6.51/6.85単位(p<0.05),入棟FIM:71.8/96.5点(p<0.05),退棟FIM:89.9/111.6点(p<0.05),FIM利得:18.1/15.2点,在棟日数:34.6/28.5日(p<0.05),m-FIM利得:16.6/13.4点,算定上限日数比:0.38/0.32(p<0.05),実績指数:56.6/54.4)【結論】脳血管疾患と運動器疾患は共に,実績指数に有意差はみられなかったことから,80歳以上の患者であっても,80歳未満の患者と同等の改善効果があることが示唆された。80歳以上の患者は実績指数が27を大きく超えており,平成28年の回復期病棟連絡協議会における全国平均データ(脳血管:FIM利得17.7,在棟日数88.2,運動器:FIM利得17.2,在棟日数56.7)においても,上回る成績であった。これらのことから,80歳以上の患者の6単位を超える介入は過剰ではなく,年齢で一律に減額査定されるべきではないと考える。
著者
問山 裕二 荒木 俊光 吉山 繁幸 坂本 直子 三木 誓雄 楠 正人
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.1431-1435, 2003 (Released:2011-06-08)
参考文献数
14
被引用文献数
1

今回我々は遅発性膿瘍およびapical bridge, blind loopによる回腸嚢の形態的問題が原因と考えられた2次性回腸嚢炎に対してsalvage operationを施行し, 良好に経過をした1例を経験したので報告する.患者は20歳の女性. 潰瘍性大腸炎2期分割手術の1期目手術後約3か月目に突然の粘血便を認めた. 回腸嚢の形態的問題およびperipouch abscessに起因する2次性回腸嚢炎と判断し, 残存直腸切除, 回腸嚢部分切除, 回腸嚢再建, 回腸嚢肛門吻合, 回腸人工肛門造設術を施行した. 術後回腸嚢の炎症は軽快し, 肛門機能低下も認めない. 現在は回腸人工肛門閉鎖術を終了し, 外来で経過観察中であるが回腸嚢炎は認めない.
著者
小西 尚巳 楠 正人
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.864-870, 2004-10-01
参考文献数
41
被引用文献数
4 5

家族性大腸腺腫症(FAP)は,常染色体優性遺伝疾患であり,若年から高率に大腸癌を発症するとともに,特徴的な大腸外病変を来たす.FAP家系のサーベイランスと予防的大腸切除術の普及により,大腸癌罹患率は減少し,死因に占める大腸癌の割合も減少してきている.反面,FAP患者の生存期間の延長とともに,大腸外病変の重要性が増加してきた.本稿では,デスモイド腫瘍に代表される腸管外病変について概説した.デスモイド腫瘍は,FAP患者の死因の第二位を占め,FAP患者の約10%に発症する.病因としては遺伝子的要因,手術,性ホルモンの関与が報告されている.腹壁のデスモイド腫瘍には切除術が第一選択とされるが,腹腔内のデスモイド腫瘍に対しては切除術よりも保存的治療が優先される.他の腸管外病変として,甲状腺腫瘍,網膜色素上皮肥大(CHRPE),肝芽腫,脳腫瘍などを取り上げ,若干の知見を紹介した.<BR>Familial adenomatous polyposis (FAP) is an autosomal, dominantly inherited disease predisposing to colon cancer. Surveillance of the pedigree and widespread use of prophylactic colectomy have resulted in a reduction in the incidence of colon cancer in FAP patients. Thus, a greater percentage of morbidity in FAP patients appears to be attributable to extracolonic manifestation of the disease. In this article, the characteristics of extra-intestinal manifestation, as represented by desmoid tumors, are reviewed. Desmoid disease is a second cause of death in FAP patients, and it is associated in approximately ten percent of cases. Trauma, sex steroids, and an inherited defect have been implicated in the etiology of desmoids. Surgery is accepted as the first-line treatment for abdominal wall desmoids, while intraabdominal desmoids should be treated medi-cally. We also reviewed extra-intestinal manifestations, such as thyroid tumors, congenital hypertrophy of retinal pigment epithelium (CHRPE), hepatoblastomas, and brain tumors.
著者
楠 正
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.3-12, 1996-03-25 (Released:2011-02-28)
参考文献数
42
被引用文献数
3
著者
内田 恵一 井上 幹大 小池 勇樹 松下 航平 近藤 哲 大北 喜基 藤川 裕之 廣 純一郎 問山 裕二 荒木 俊光 楠 正人
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.633-644, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
81
被引用文献数
1

小児の炎症性腸疾患に対する治療のゴールは患児に正常発育と優れたQuality of Lifeをもたらすことであり,すべての領域の医療従事者が協力しながら,小児特有の問題に留意して治療を進めなければならない.診断においては,おおよそ10歳以下の超早期発症の症例や成人と比して非典型的な経過の症例では,原発性免疫不全症が鑑別疾患に入るため専門家にコンサルトすべきである.治療においては,成長障害と学校生活の障害に常に注意し,内科的治療内容,内科的治療の限界の見極めと外科手術適応,外科治療方法と時期,ワクチン接種などを考慮に入れて治療計画を立てるべきである.また,小児IBD患者が増加し優れた内科的治療が発展する現代では,小児期から成人期へシームレスで適切なトランジションが行われることが重要な課題の1つである.本稿では,本邦の現状と最新の文献をもとにこれらの課題について述べる.