- 著者
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江口 一久
- 出版者
- 国立民族学博物館
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2003
フィールドワークの前後、国内においては、現地で収集された資料を文字化した。文字化されたものは、そのモチーフ、話型などの比較をおこなった。同時に、すでに出版されているマンダラ山地民の社会・文化にかかわる書籍、研究論文などをよみ、今後の問題点をあきらかにした。そのうち資料としてまとまりのあるマタカム族の民間説話の「コイネー・フルフルデ語」のテキストを完成し、その英文のレジュメを作成した。この資料に関しては、北部カメルーンのフルベ族の民間説話との比較研究をおこなった。また、このテキストをもって、フィールドにのぞんだ。フィールド調査は、二度、雨期明けの一月から二月にかけておこなった。フィールド調査では、西部のマンダラ山地民、すなわち、マンダラ、マダ、ムヤン、ズルゴ族などの資料もあつめた。トコンベレ、モラ、マルアなどで、インフォーマントから直接民間説話の収集をおこなった。かれらのフルフルデ語学習歴をしるために、民間説話と同時に語り手たちのライフストーリーもあつめた。北部カメルーンの都市だけでなく、マンダラ山地民の出身地の村落なども、物質文化や精神文化をしるために、訪問調査をおこなった。とくに、イスラム化されていないかれらの村落には、さまざまな民間信仰につかわれる事物があるので、そういったものには、注意をはらった。帰国後、ある種のものに関しては、内容を理解するのが困難だから、収集した民間説話は、現地において、文字化の一歩手前の状態、すなわち、外部のものには、わからない表現、とくに、歌などの徹底的な聞き取りをおこなった。いままで、収集整理された資料を方向所としてまとめて、国立民族学博物館調査報告として、出版の準備をすすめている。この研究で得られた資料は、データ・ベースとして、インターネットで公開する予定である。