著者
高安 肇 田中 潔 武田 憲子 渡辺 栄一郎 渡邊 昌彦
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.66-70, 2014

女児鼠径ヘルニアにおいて卵管滑脱,卵巣脱出に加えて子宮も脱出しているヘルニア(本症)はまれである.本症3 例を経験したので報告する.症例1:日齢40 に左鼠径部に還納不可能な大小二つの腫瘤を触れた.超音波検査より本症が考えられ,手術所見で確認された.Woolley 法にて手術した.症例2:新生児期に左鼠径部に小腫瘤を二つ触れた.子宮がヘルニア囊後壁を構成していたため,高位結紮できず筋層と横筋筋膜を用いて内鼠径輪を閉鎖した.症例3:7 か月の女児.超音波検査にて左の卵巣と卵管の脱出が疑われた.手術時に子宮も滑脱していることが確認されWoolley 法にて手術した.文献報告17 例と併せて検討したところ本症は生後3 か月以内に発症した例,左側ヘルニア例が多かった.特に3 か月未満の女児において左鼠径部に複数の腫瘤を触れた場合,本症が疑われる.超音波検査にて診断を得,嵌頓の兆候がなければ待機的に手術をすることが可能である場合が多い.
著者
渡辺 栄 合田 邦雄 谷 勝英 八木 正 大川 健嗣 羽田 新
出版者
明治学院大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

最近のわが国における出稼ぎ労働の動向にみられる特徴の1つは、供給地が次第に特定の地域に集約されつつあるということであり、そしてこれらの地域は、その多くが“辺地"としての性格を強く有しているということである。これらの地域では、その地域経済の虚弱性の故に出稼ぎ以外に生業の方法が稀少なところから、出稼ぎ労働の主要な供給地となりながら、自らの辺地性は依然として脱却しえないでいるのが現状である。わが国における出稼ぎ労働問題がこうした地域に集約化されてきている以上、地域の辺地性と出稼ぎとの関係を究明することは極めて重要な課題であるといえよう。そこでわれわれは、北海道と沖縄とを対象にして、この問題に対する実証的な研究を試みたのである。北海道では、恵山町御崎地区および椴法華村銚子地区を対象に調査票による面接調査を実施し、沖縄では、沖縄本島および宮古島を中心に関係機関や出稼ぎ労働者に対し面接聴取調査を実施した。北海道における出稼ぎ多発地は日本海側と渡島半島に集中しているが、いずれも漁業を生業とする町村が多い。対家地も同様であるが、地形的に平坦地が多くないため、零細な漁家においては漁閑期を出稼ぎに頼らざるをえない。うにとこんぶの採取期を除いて出稼ぎというかたちが多く、又、出稼ぎの専業化も進行している。沖縄の場合、全体的に地場産業の育成が十分に図れていないため、出稼ぎは必要不可欠のものとなっており、最近では実数も増加している。沖縄からの出稼ぎは若年層が多く、目的意識をいだいて出る者が多いといわれるものの、本土に定着することは少ない。その主な要因としては、本土との賃金格差と風土のちがいを指摘することができよう。
著者
江村 隆起 古村 眞 渡辺 栄一郎 尾花 和子 佐藤 毅
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

無用の長物として扱われてきた虫垂は、安易に切除される傾向にあったが、虫垂の免疫学的な重要性が報告され、虫垂を失うリスクが知られるようになった。そこで、虫垂炎を予防し、虫垂を残していくことが重要である。近年、急性虫垂炎の虫垂内は、口腔内細菌であるフゾバクテリウム属菌が優勢であることが報告された。腸管内へ移行し難い口腔内細菌が、虫垂細菌叢で優性となる原因の究明が、虫垂炎の病態解明につながる可能性がある。そこで、口腔内細菌叢と虫垂炎の関連について検討し、口腔内環境改善による虫垂炎の予防法について検討する。
著者
渡辺 栄治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.74, pp.21-29, 2003-07-17
参考文献数
6
被引用文献数
6

筆者の研究グループ(以下我々)は、非線形写像の有限精度における演算法を調査した結果、二つの写像間に計算困難な関係が存在することを発見した。この計算困難性とは、一方向性が確率論的な事象と関係し特定関数の定義が困難である特徴をいう。ゆえに、任意の一方向関数から擬似乱数生成器を作れるとする理論の適用には無理が在る[1][2]。この事態を打開する他の演算法を研究した。表題の生成法は、この計算困難な関係をパラダイムとする、新たな繰り返し演算法そのものである。この出力乱数から、初期値を求めることも、計算ラウンド単位の種を求めることも、計算量的に困難である:結局、この擬似ランダム性は、計算量的に予測困難、生成スピードは256ビット乱数7800個/second(P2-226Mhz_PC)に達する。パッド算出ソフトとして提供される。A research team of the author has been exploring an operation method in the limit precision of a non-liner mapping, and discovered a relationship of computational difficulty between mapping functions of two kinds. This computational difficulty is characterized with that one-way functionality is related to probabilistic events but never related with a specific function, to which such a theory [1][2] is also never applicable that a pseudorandom generator is made of any one-way function. Another method of iteration operation has been researched in order to break through it, which leads to the new iteration operation on the paradigm of this computational difficulty, that is our pseudorandom generator to be reported here. It is difficult from those pseudorandom numbers to seek the initial value or a seed of every computational step by means of any computational power. Consequently, the pseudo-randomness features Computationally unpredictable. Its generating speed of 256bit random number attains 7800 numbers/second in PC of P2-266Mhz, which software is offered as Pad Calculation Software.
著者
山田 幸男 大石 正夫 清水 美知子 小島 紀代子 岩原 由美子 石川 充英 渡辺 栄吉
出版者
日本ロービジョン学会
雑誌
日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集 第10回日本ロービジョン学会学術総会
巻号頁・発行日
pp.80, 2009 (Released:2009-12-17)

【目的】視覚障害者は転倒しやすく、骨折の危険も大きいため、転倒・骨折予防は視覚障害者には極めて重要である。そのため外出を控える人も多いものと思われる。そこで、視覚障害者の転倒の頻度、運動量などについて検討した。【対象と方法】当院視覚障害リハビリ外来受診者81名に、転倒の不安、運動量、骨粗鬆症予防の有無などについてアンケート調査した。また、一部の人には骨密度、片足立ち時間などの測定も行った。【結果】視覚障害発症後、バランス感覚の低下(61.3%)、転倒回数(20.0%)や転倒の不安(66.7%)が増し、運動量は減少し(81.0%)、80.2%の人が運動不足と感じていた。片足立ちでは、ほとんどの人が11秒未満であった。 運動としては、外を歩く(58.0%)、自己流の体操(29.6%)、家の中を歩く(27.2%)、ストレッチ体操(24.7%)、階段の昇降(22.2%)などが上位を占めた。骨密度の減少を認める人が少なくないが、Vit.DやCaの摂取に気をつけている人はそれぞれ34.2%、51.9%に過ぎない。【考按】視覚障害者の転倒の不安は大きく、運動不足の解消、カルシウム摂取など食事に対する意識の向上、陽にあたること、などが必要と思われる。そこで我々のパソコン教室では棒を用いた体操や片足立ちなどを行ったところ、日常生活動作の向上を認めることが多くなった。
著者
渡辺 栄二 大熊 利忠 宮内 好正 山口 卓雄 持永 瑞恵 田中 道宣 上村 邦紀
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.896-902, 1987

新しく開発された注射用オキサセフェム系抗生物質である6315-S (flomoxef, 以下本剤と略す) を開腹術後および内視鏡的治療後の外科的感染症の6例に使用し, その有効性につき検討した。また, 胆道疾患開腹術後に胆管ドレナージを行なった4例については, 本剤1g点滴静注後の血中および胆汁中の濃度を測定し, 薬動力学的検討を行なった。<BR>外科的感染症6例中5例の本剤投与量および投与方法は2g (分2), 3g (分3), 4g (分2) を点滴静注し, 肝膿瘍の1例にはセルジンガー法により腹腔動脈内から1日1回4gをone shotで2日間, 総量8gを注入した。外科的感染症における本剤の有効率は肝膿瘍の著効例を含む6例中4例, 66.7%であった。最高投与日数は13日, 最大投与量は39gで, 副作用はなく, 1例にのみ活性化部分トロンポプラスチン時間 (APTT) の軽度延長を認めた。<BR>本剤1960分点滴静注後の血中および胆汁中動態に関して, 薬動力学的解析を試みた。点滴終了時の平均血中ピーク濃度は42.9μg/ml, 消失相の半減期T1/2 (β) は1.02時間であった。胆汁内濃度は総胆管胆汁採取例 (1例) においてピーク値Cmax.=47.1μg/ml (79分) であり, 肝内胆管胆汁採取例では3例平均Cmax. は12.4μg/ml (100分) であった。総胆管胆汁濃度は, 肝内胆管胆汁濃度に比し, 約4倍の値を示した。<BR>以上, 本剤は消化器外科感染症に対して, 有用な薬剤であることが示唆された。