著者
小路田 泰直 住友 陽文 小関 素明 岡田 知弘 小林 啓治 白木沢 旭児 澤 佳成 荒木田 岳 立石 雅昭 原田 政美 川瀬 光義 布川 弘 竹永 三男 張 貞旭 鬼嶋 淳 八木 正 西谷地 晴美
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2011年3月11日の東日本大震災につづいて生じた原子力発電所の深刻な事故は、戦後、日本政治が長く取り組んできた原子力政策を頓挫させる、歴史的にきわめて重大な事件だった。この事件につながった原子力政策の歴史を解明することが、われわれの研究課題であった。原子力政策が保守派および革新派の合同プロジェクトとして、暗黙の合意を得てはじまったこと、またそれにもとづいて55年体制が形成されたことが、明らかにされた。すなわち、日本の戦後政治において、原子力政策は、たんなる電源開発にとどまらない、きわめて重大な政治的意義をもっていたことが解明されたのである。
著者
鈴木 恵輔 加藤 晶人 光本(貝崎) 明日香 沼澤 聡 井上 元 中島 靖浩 前田 敦雄 森川 健太郎 八木 正晴 土肥 謙二
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.611-615, 2020-08-31 (Released:2020-08-31)
参考文献数
10

ジフェンヒドラミンは抗アレルギー薬,風邪薬,睡眠改善薬などとして用いられている。今回,ジフェンヒドラミン4,990mgを内服した急性中毒例に対して血液透析を施行し,血中濃度測定を行った症例を経験した。症例:22歳,女性。意識障害のため当院に搬送され,眼振や痙攣を認めた。現場に落ちていた空包からジフェンヒドラミン中毒を疑い,人工呼吸器管理,血液透析などの集中治療を行った。第4病日には抜管し意識清明となり,本人よりレスタミンUコーワ錠®などを内服したことを聴取した。その後,合併症なく経過し第8病日に自宅退院となった。血中濃度測定を行うと腎排泄だけでなく,効果が乏しいと考えられていた血液透析によってもジフェンヒドラミンが除去されることが示唆された。したがって,重症のジフェンヒドラミン中毒例では血液透析を考慮してもよいかもしれない。
著者
中村 元保 加藤 晶人 井上 元 鈴木 恵輔 中島 靖浩 前田 敦雄 森川 健太郎 八木 正晴 土肥 謙二
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.407-410, 2020-12-28 (Released:2020-12-28)
参考文献数
7

症例は89歳の女性。身長147cm, 体重43kgと小柄で慢性閉塞性肺疾患 (Chronic Obstructive Pulmonary Disease : COPD) の既往歴がある。1カ月前から呼吸困難を自覚していた。朝に呼吸困難が増強したためにツロブテロールテープ2mgを1枚胸部に貼付したが, 症状改善ないために夕方に2枚目を胸部に追加貼付した。追加貼付2時間後から動悸, 嘔気を自覚したために救急要請した。救急隊到着時は意識レベルJCS1であったが, 嘔吐が出現し意識レベルJCS100まで低下し当院へ救急搬送された。搬送時意識障害は改善傾向であり, 胸部に貼付されていたツロブテロールテープ2枚を剝離したところ動悸と嘔気が消失した。臨床症状よりツロブテロールテープによる中毒症状が疑われた。貼付薬は容易に自己調整できるが, 高齢者や乳幼児など管理能力に問題がある場合や, 低体重の症例では使用方法に注意が必要となる。また, 救急対応の際には全身観察での貼付薬の有無の確認も必要となってくる。
著者
佐藤 悟 八木 正自 藤田 達生
出版者
実践女子大学
雑誌
年報 = Nenpo (ISSN:09100679)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.159-187, 2020-03-28

ページ他に口絵あり
著者
村田 勝昭 原田 耕介 八木 正昭 遠藤 功 木田 隆夫
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.1505-1508, 1999-04-15
被引用文献数
3

We present the magnetic characteristics of a compressed amorphous powder core developed in our laboratory and a boost converter using this core. The powder core has a higher saturated flux density and lower power dissipation than a conventional ferrite core. A boost converter using this powder core is highy efficient and very small.
著者
渡辺 栄 合田 邦雄 谷 勝英 八木 正 大川 健嗣 羽田 新
出版者
明治学院大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

最近のわが国における出稼ぎ労働の動向にみられる特徴の1つは、供給地が次第に特定の地域に集約されつつあるということであり、そしてこれらの地域は、その多くが“辺地"としての性格を強く有しているということである。これらの地域では、その地域経済の虚弱性の故に出稼ぎ以外に生業の方法が稀少なところから、出稼ぎ労働の主要な供給地となりながら、自らの辺地性は依然として脱却しえないでいるのが現状である。わが国における出稼ぎ労働問題がこうした地域に集約化されてきている以上、地域の辺地性と出稼ぎとの関係を究明することは極めて重要な課題であるといえよう。そこでわれわれは、北海道と沖縄とを対象にして、この問題に対する実証的な研究を試みたのである。北海道では、恵山町御崎地区および椴法華村銚子地区を対象に調査票による面接調査を実施し、沖縄では、沖縄本島および宮古島を中心に関係機関や出稼ぎ労働者に対し面接聴取調査を実施した。北海道における出稼ぎ多発地は日本海側と渡島半島に集中しているが、いずれも漁業を生業とする町村が多い。対家地も同様であるが、地形的に平坦地が多くないため、零細な漁家においては漁閑期を出稼ぎに頼らざるをえない。うにとこんぶの採取期を除いて出稼ぎというかたちが多く、又、出稼ぎの専業化も進行している。沖縄の場合、全体的に地場産業の育成が十分に図れていないため、出稼ぎは必要不可欠のものとなっており、最近では実数も増加している。沖縄からの出稼ぎは若年層が多く、目的意識をいだいて出る者が多いといわれるものの、本土に定着することは少ない。その主な要因としては、本土との賃金格差と風土のちがいを指摘することができよう。
著者
中島 進 青山 勲 八木 正一
出版者
Japanese Society of Water Treatment Biology
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-8, 1994-06-15 (Released:2010-02-26)
参考文献数
21

In order to clarify the mechanism of growth of musty-odor producing cyanobacteria, the effects of iron (III) citrate and iron (III) phosphate as the iron source on the growth of musty-odor producing cyanobacteria Oscillatoria tenuis, Anabaena macrospora, Phormidium tenuis and Oscillatoria brevis were studied using laboratory cultures.The growth of O. tenuis was remarkably suppressed at even high levels of iron (28μ M as Fe) when not-autoclaved iron (III) citrate was used as the iron source. A. macrospora and P.tenue grew better by using not-autoclaved iron citrate as the iron source compared with the use of autoclaved iron citrate. On the other hand, O. brevis was capable of growing even at low levels of iron (2μM as Fe) using autoslaved iron citrate as the iron source. In addition, the growth of cyanobacteria was assessed using iron (III) phosphate as the iron source. When iron phosphate was used as the iron source, none of cyanobacteria except O. brevis were able to grow. Thus, the order of the ability of Fe absorption among musty-odor producing cyanobacteria used in this study was suggested as follows: O. brevis>>P. tenue≥A.macrospora>O. tenuis. The present results and previous studies (Water Sci. Technol., 25: 207-216, 1992) indicate that O. brevis has the ability to utilize a wide variety of iron forms such as Fe (III) -EDTA, FeII (BPDS) 3, Fe (III) -Desferrioxamine B (microbial siderophore) chelates, colloidal iron, iron oxides, and furthermore autoclaved iron citrate and iron phosphate. On the other hand, O. tenuis seemsto have specific requirements for the iron form it can utilize for growth.
著者
土肥 謙二 加藤 晶人 八木 正晴
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1056-1065, 2021-09-10

Point・診断については低髄液圧症に関する症状を理解し,直接的な髄液の漏出を証明するために診療指針に基づいて画像診断を行う.・治療についてはまず安静と十分な補液を行う.硬膜下血腫合併例では患者ごとの病態と緊急性を判断して治療の優先順位を決定する.・病名については臨床・研究ともに未だ混乱している.グローバルな研究を推進するためには正しい診断と病名の統一が必要である.
著者
八木 正博
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.69-74, 2002 (Released:2009-01-08)
参考文献数
12

化学物質過敏症やシックハウス症候群といった室内空気中の化学物質による健康被害について社会的関心が高まっており,厚生労働省の⌈シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会⌉は既にホルムアルデヒド,トルエン,キシレンなど12物質の室内濃度指針値案及び暫定指針値案を策定し,総揮発性有機化合物(TVOC)の暫定目標値を定めた1).個別の指針値案はリスク評価に基づいた値であり,その濃度以下であれば通常の場合はその化学物質は健康への悪影響を及ぼさないと推定された値である.上記検討会は今後も引き続き他の化学物質の指針値案を策定していく予定である.しかし,実際の室内空気には複数の化学物質が存在すること,リスク評価を行うためのデータが不足していること及び指針値を決めていない化学物質による汚染の進行を未然に防ぐ目的からTVOCの暫定目標値も定められた1).ところで,最近の室内空気問題というのは新建材の開発や建築技術の発展などに伴い,種々の化学物質が用いられ,それらが室内空気中に揮散され,さらに住居の気密化が進んだことにより室内空気中の有機化学物質濃度が高まったために問題が生じてきたと考えられている.家具や電気製品などの家庭用品についても種々の化学物質が用いられており,これらも有機化学物質の発生源になっていると推定されている.今回,室内空気中化学物質の濃度指針値案が策定されたことにより,建築物や家庭用品等の関係者が室内空気中化学物質の濃度を下げる工夫をすることが期待され,今まで原因がわからず,健康被害があった人々の多くが健康を取り戻すことができると思われる.さらに調査研究が進み,有害な化学物質の発生の少ない,地域の風土に適した21世紀型住居が建てられ,その住居に適した住み方が検証されることにより,室内空気中化学物質による健康被害で悩む人が減ることが期待される.
著者
福田 賢一郎 森川 健太郎 八木 正晴 土肥 謙二 村上 雅彦 小林 洋一 中島 靖浩 中村 元保 香月 姿乃 鈴木 恵輔 井上 元 柿 佑樹 前田 敦雄 加藤 晶人
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.58-68, 2020

患者に対する医療安全の確保は感染管理とともに病院における危機管理の骨格である.さらに病院評価としても院内の医療安全システムの構築が求められている.近年では予期せぬ院内急変への対応だけではなく,院内急変の予防に向けた取り組み(RRS:Rapid Response System)が注目されている.昭和大学病院および昭和大学付属東病院では緊急性に応じて院内急変プロトコールがいくつか存在する. RRS導入前における予期せぬ院内急変について,特に緊急性の最も高い緊急コード事例(コードブルー事例)について検討を行った.方法:2014年4月から2018年3月までの4年間にコードブルーの要請があった症例129例を対象として解析を行った.院内急変のうち入院患者は41.0%であり,その他が外来患者や患者家族・職員であった.平均年齢は63.6歳であった.心肺停止症例は26.4%であり,平均年齢は71.2歳であった.心肺停止症例の82.4%は入院患者であった.発生頻度は入院1,000人当たり4.36人であった.心肺停止患者のうち44%で蘇生に成功したが,神経機能が急変前まで改善した例は全心肺停止症例の20.6%のみであった.心拍再開までの時間が短い症例で神経機能予後は良好であった.昭和大学病院および昭和大学付属東病院では院内心肺停止の発生頻度は過去の報告よりは少ない傾向にあったが,今後の院内急変対応の課題としては院内心停止患者の救命率をより向上させること,さらには院内心停止発生率をさらに低下させるためRRSの導入を含めたシステムの構築が必要である.院内発生の心肺停止症例でも予後不良例は依然として存在している.したがって,院内急変あるいは院内心肺停止を予防することが将来的な病院の医療安全の確保の方策として極めて重要である.
著者
大久保 祥嗣 八木 正博
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.14-19, 2021-02-25 (Released:2021-03-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1

農産物中に含まれる農薬の分析を,セルフクリーニングイオン源搭載GC-MS/MSにより行うことについて検証を行った.セルフクリーニングイオン源は,測定終了後または測定中常時,イオン源内に水素を一定圧で注入することにより,イオン源の汚染を防ぐ機能を有したイオン源である.セルフクリーニングイオン源搭載GC-MS/MSにより,農産物中の農薬分析を行ったところ,明瞭なイオン源の汚染防止効果がみられた.251種類の農薬成分において良好なピーク感度が得られ,253成分について決定係数(R2) 0.990以上の検量線が得られた.6作物による添加回収試験では180~221成分が,真度70~120%,併行精度25%未満の目標基準に適合した.
著者
大前 麻理子 岩井 大 池田 耕士 八木 正夫 馬場 奨 金子 敏彦 島野 卓史 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.393-398, 2005-06-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

耳下腺多形腺腫症例60例についてMRIT2強調画像の信号強度と病理像とを比較し, 検討を行った.MRIT2強調画像の信号強度を3タイプに分類したとき, 正常耳下腺組織より著明に高い信号を示すタイプは, 45例75%に認められた.軽度高信号から等信号を示すタイプは9例15%, 低信号のタイプは6例10%であった.これらの症例それぞれの病理像を見ると, 粘液腫様・軟骨腫様間質は高信号領域に相当し, 一方, 細胞の密な領域は軽度高信号から等信号領域に, 線維性結合織は低信号領域に一致した.耳下腺多形腺腫はMRIT2強調画像で一般に高信号を示すとされるが, 今回の検討では, 等信号からそれより信号の低いタイプが全体の25%に認められたことになる.耳下腺腫瘍で多数を占める本腫瘍の, MR所見における特徴の把握が, この腫瘍の診断と他の耳下腺腫瘍との鑑別に有用であると考える.