著者
岩崎 信明 絹笠 英世 渡辺 章充 片桐 朋子 田中 竜太 新 健治 佐藤 秀郎
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.202-205, 2007-05-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

重度脳性麻痺, 重度精神遅滞, 症候性てんかんを基礎疾患にもつ3歳女児に長時間続く吃逆発作が繰り返し出現した. 気管切開・喉頭気管分離術の施行後に発症し, 合併症として呼吸停止がみられた. 薬物治療に抵抗性であったが, 微量の食用酢を点鼻することで速やかに吃逆は消失した. 機序として吃逆の反射弓の求心路と考えられている舌咽神経咽頭枝が分布する鼻咽頭背側領域への刺激の関与が推察された. 安全かつ簡便に施行できることから, 薬物療法が無効な場合には非薬物療法のひとつとして試みてもよい方法であると考えられた.
著者
佐々木 正人 渡辺 章
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.182-190, 1984-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
24
被引用文献数
5 4

ほぼすべての日本人成人に観察される空書行動 (単語等の想起時の手指による書字類似行動・動作) が漢字文化に起源を持つとする仮説を検討するために, 日本と同一の漢字圏, そして非漢字圏からの留学生を対象として 5つの実験が行われた。結果は以下のようであった。1) 日本と同様に母国語の文字体系に漢字を有する中国語話者では, すべての者 (21名) に漢字課題解決時の空書の自発が観察された。2) 中国語を母国語とする者においては, 日本人成人に見られたと同様な空書行動の漢字問題解決促進効果が確認された (FIG. 1)。3) 3種の英単語課題 (単語綴り順唱, 逆唱, 欠落英単語完成課題) 事態で日本人 (83名) と非漢字圏からの留学生 (23名) を対象に空書行動の出現の有無が観察された, 結果, 英単語事態での空書の自発は, ほぼ日本人に限定しうることが明らかとなった (FIG. 4)。4) 英単語完成課題を用い空書行動の機能を日本人と非漢字圏で比較した。結果は空書の英単語想起効果は同事態で空書の出現した日本人のみに見られることを示した。非漢字圏では空書行動を求める手続は, むしろ妨害的ですらあった (FIG. 2)。5) 中国語を母国語とする者を対象とし, 3) と同様な英単語課題事態で空書の出現が観察された。彼等にも日本人同様にすべての課題で空書の自発が見られたが, その出現率には日本人と微妙な差異が見られた (FIG. 4)。以上の結果が空書行動の「漢字文化起源説」及び比較文化認知心理学との関連で議論された。また, 日本人の漢字圏における特殊性が指摘された。
著者
中溝 智也 多田 憲正 宇田川 智宏 菊池 絵梨子 亀井 宏一 森 崇寧 蘇原 映誠 松岡 健太郎 白井 謙太朗 渡辺 章充
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
pp.cr.2022.0206, (Released:2022-10-26)
参考文献数
34

Galloway-Mowat症候群(GAMOS)は小頭症を伴う精神発達遅滞とステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(SRNS)などの腎症を呈する疾患である.GAMOSにおける腎症は,治療抵抗性のため生命予後を規定する.今回シクロスポリン(CsA)で長期間の寛解を維持しているGAMOSの1例を報告する.1歳健診で精神発達遅滞,小頭症を指摘された.2歳時に蛋白尿を認め,5歳時にSRNSの基準を満たし,腎生検で巣状分節性糸球体硬化症を認めた.以上よりGAMOSと診断した.SRNSに対してCsAを導入したところ尿蛋白は減少し,7歳時に不完全寛解した.寛解維持した後にCsAの中止を試みたところ蛋白尿が増悪したため,CsAが尿蛋白減少に寄与していると判断した.腎毒性軽減のため8歳時から1日1回の投与へ変更し,14歳時の腎生検で明らかな腎毒性は認めなかった.CsAの単回投与は腎毒性を抑制し,GAMOS腎症のような遺伝性SRNSの予後改善に有効な可能性がある.
著者
仕幸 三郎 岡本 一生 渡辺 章三
出版者
The Iron and Steel Institute of Japan
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.54, no.13, pp.1353-1366, 1968-11-01 (Released:2010-10-12)
参考文献数
21
被引用文献数
22 21

Effect of metallographical factors on the rolling fatigue life of 1%C-1.5%Cr bearing steel was investigated, and the most profitable component for the bearing life was discussed.The results obtained are as follows:(1) Metallographical factors affected on the rolling fatigue life of bearing steel were not amount and size of residual cementite but the chemical compositions soluted in fhe matrix.(2) The most effective factor affected on the rolling fatigue life was carbon content soluted in the matrix and the most desirable carbon content in the matrix was about 0.5 percent.(3) It was recognized that the mechanism of flaking was related to the third stage of the tempering of martensite. This was deduced from the observation of the micro-structure of cyclic stressed area by the transmission electron microscopy and the result of bearing life test of a new type steel with higher silicon of which the starting temperature of the third stage was rised by silicon.
著者
渡辺 章悟
出版者
東洋大学文学部
雑誌
東洋思想文化 = Eastern philosophy and culture (ISSN:21882991)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.122(1)-99(24), 2018-03
著者
白井 謙太朗 中島 啓介 渡辺 章充 川野 豊 佐久間 啓 吉田 尊雅 宮田 理英 田沼 直之 林 雅晴
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.447-451, 2009 (Released:2016-05-11)
参考文献数
18

インフルエンザ菌 (Hib) による劇症型髄膜炎の1男児例を経験した. 症例は4歳男児. 生来健康であったが, 発熱, 嘔吐を来し傾眠傾向となった. 発症12時間後より細菌性髄膜炎の治療を開始したが, 急激な脳腫脹から脳ヘルニアを来し臨床的な脳死状態となった. 本症例は急性脳症と類似した臨床経過・画像所見を示し, さらには発症1日目の髄液で炎症性サイトカインが著しい高値を呈していた. 文献的考察から, Hibによる劇症型髄膜炎には, DIC (disseminated intravascular coagulation) ・多臓器不全型と急性脳腫脹型があり, 本例はサイトカイン・ストームによる急性脳腫脹型であると考えられた.