著者
平井 松午 鳴海 邦匡 藤田 裕嗣 礒永 和貴 渡邊 秀一 田中 耕市 出田 和久 山村 亜希 小田 匡保 土平 博 天野 太郎 上杉 和央 南出 眞助 川口 洋 堀 健彦 小野寺 淳 塚本 章宏 渡辺 理絵 阿部 俊夫 角屋 由美子 永井 博 渡部 浩二 野積 正吉 額田 雅裕 宮崎 良美 来見田 博基 大矢 幸雄 根津 寿夫 平井 義人 岡村 一幸 富田 紘次 安里 進 崎原 恭子 長谷川 奨悟
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

本研究では、城下町絵図や居住者である侍・町人の歴史資料をもとに、近世城下町のGIS図を作成し、城下町の土地利用や居住者の変化を分析した。研究対象としたのは米沢、水戸、新発田、徳島、松江、佐賀など日本の約10ヵ所の城下町である。その結果、侍屋敷や町屋地区の居住者を個別に確定し地図化することで、居住者の異動や土地利用の変化を把握することが可能となった。その点で、GISを用いた本研究は城下町研究に新たな研究手法を提示することができた。
著者
渡邊 秀一
出版者
佛教大学歴史学部
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
no.7, pp.55-73, 2017-03

本稿は17世紀初期に刊行された「都記」と後継二鋪の板行京都図の分析を通して、17世紀初期京都の地域意識とその変化について検討したものである。「都記」は慶長期後半から寛永初期までの内容が重層化している点、市街の北限を一条通に設定した点に大きな特徴がある。一条通に都市空間を分節する境界を設定することは、初期洛中洛外図屛風にすでに現れている。しかし、「都記」では平安京を旧左京域にまで限定し、その外側を排除する態度をみせている。慶長期後半から寛永年間初期にかけて進んだ内裏域や公家町の整備、急速な京都市街の拡大を背景に、旧平安京左京域の外を他者として、旧左京域こそが平安京を継承する正当な都であるというメッセージを発しているのである。後継の二図はこの「都記」の地域意識を受け継ぎながら、記載範囲を若干拡大している。平安京から徳川政権下の「京」へと意識が変化しつつあることがそこからうかがえるのである。京都都市図初期洛中洛外図屏風平安京地域意識