- 著者
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             前田 太郎
             
             坂本 佳子
             
             岡部 貴美子
             
             滝 久智
             
             芳山 三喜雄
             
             五箇 公一
             
             木村 澄
             
          
- 出版者
- 日本応用動物昆虫学会
- 雑誌
- 日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.3, pp.109-126, 2015 
- 被引用文献数
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             4
             
             
          
        
        2010年頃から,飛べないニホンミツバチApis cerana japonica Rad. が巣の周辺を這いまわり,多くのコロニーが消滅していく事例が日本各地で見られるようになった。その症状が,セイヨウミツバチAp. mellifera L. で報告されているアカリンダニ症と酷似していることから,原因としてミツバチに寄生するアカリンダニAcarapis woodi (Rennie)の寄生が疑われた。しかし,実際にアカリンダニの存在を確認した例は少なく,2013年3月までの公式報告はわずか4件のみであった(農林水産省,2014)。前田(2015)の2013年度の調査によると,すでに日本の広い範囲でニホンミツバチがアカリンダニに寄生されており,今後さらに寄生地域が拡大していくことが懸念される。アカリンダニの生態や防除法に関しては,ヨーロッパやアメリカを中心に,セイヨウミツバチを用いた研究調査が行われてきたが,日本ではアカリンダニについて正確な情報が十分知られておらず,現状の把握と対策が遅れている状況にある。