著者
松村 千鶴 雨宮 加奈 雨宮 さよ子 雨宮 昌子 雨宮 良樹 板垣 智之 市野沢 功 伊藤 拓馬 植原 彰 内野 陽一 大川 清人 大谷 雅人 角谷 拓 掃部 康宏 神戸 裕哉 北本 尚子 國武 陽子 久保川 恵里 小林 直樹 小林 美珠 斎藤 博 佐藤 友香 佐野 耕太 佐野 正昭 柴山 裕子 鈴木 としえ 辻沢 央 中 裕介 西口 有紀 服巻 洋介 吉屋 利雄 古屋 ナミ子 本城 正憲 牧野 崇司 松田 喬 松本 雅道 三村 直子 山田 修 山田 知佳 山田 三貴 山田 祥弘 山田 玲子 柚木 秀雄 若月 和道 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.175-180, 2003-12-30
被引用文献数
2

Flower visitations by both native and exotic bumblebee species were investigated at 21 monitoring sites in various regions of Japan in the spring and summer of 2002. The investigation was part of a long-term program that has been in progress since 1997 to monitor the invasion of an alien bumblebee, Bombus terrestris L. (Hymenoptera: Apidae). Flower visitation by B. terrestris was ascertained at two monitoring sites, one in Shizuoka and one in Hokkaido, where a large number of colonies of this species have been commercially introduced for agricultural pollination.
著者
鈴木 美季 大橋 一晴 牧野 崇司
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.259-274, 2011-11-30

生物間相互作用がもたらす形質進化の研究では、個々の生物が果たす役割とそのメカニズムについて、さまざまな角度から調べる統合的アプローチが必要とされている。被子植物のいくつかの種が見せる「花色変化」という現象は、植物、動物の両面から興味深い問題をいくつも含んでおり、こうした研究に適している。花色変化は、送受粉の役目を終えた花をわざわざ維持し、かつ色までも変えるという不思議な現象である。この形質の適応的意義として提唱された従来の仮説には、1)古い花を維持して株のディスプレイを大きく見せ、より多くのポリネーターを誘引する効果と、花粉や蜜を含まない古い花の色を変え、株を訪れたポリネーターを若い花に誘導する効果を組みあわせることで、他家受粉を促進するというものと、2)色を変えることで報酬を含まない花の存在をアピールし、株を訪れたポリネーターの立ち去りを早める効果をつうじ、他家受粉を促進するというものがある。しかし、これらの仮説はいずれも他家受粉の測定による裏づけがなされておらず、また個々の事例に見られるちがいを十分に説明できない。たとえば、古い花を摘みとった実験では、ポリネーターの訪問が減ったとの報告もあれば変わらなかったとする報告もある。また、被子植物の中には花色変化しない種も多数を占めている。さらに、色の変化部位や変化の引き金となる至近要因には著しい種間差がある。今後は、色変化をめぐる諸形質やそれらが引き起こす効果の「多様性」に目を向け、花色変化が、どんな条件のもとで、どんな形質との組みあわせにおいて進化するのか、といったより一般的な疑問に答えてゆく必要がある。そのためには、まず第一に、花の各部位の色や蜜生産の変化パターン、個花の寿命、開花スケジュール、そしてこれらの組みあわせによって実現される株全体のディスプレイ設計について、種間比較をおこなうことが有効だろう。第二に、ポリネーターの種類や個体の学習量のちがいによって生じる、花色変化への反応の多様性を把握する必要がある。そして第三に、花の形質とポリネーターの行動の相互作用をもとに、花色変化の進化を包括的に説明するための理論の整備も望まれる。こうして植物の繁殖生態学にとどまらず、生理学、行動学、そして理論生物学を組みあわせることで、花色変化、ひいては生物間相互作用がもたらす形質進化の研究は大きな進展をとげるだろう。
著者
牧野 崇司
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

傾斜がマルハナバチの訪問頻度に与える影響背景と目的:花数や蜜量といった、送粉者の訪問頻度に影響する要因の解明は、送粉生態分野のもっとも基本的なテーマのひとつである。植物が生える地面の「傾斜」も、訪問頻度に影響するかもしれない。鳥では、水平方向よりも、斜め上や斜め下への移動に時間がかかる例が報告されている(Irschick&Garland 2001)。このことが送粉者にも当てはまるとすると、斜面では時間あたりに訪問できる花の数が減少し、獲得できる餌の量(採餌速度)が減少することになる。結果として、斜面に咲く花は避けられてしまうかもしれない。これらの予測を検証するため、ふたつの実験を行った。実験内容:両実験とも、網製ケージ内にて人工花とクロマルハナバチの農業用コロニーを持ち込んで行った。人工花は斜面上のどの方向から見ても同じ形に見えるように球形とし、1花を1株として、1.8m四方の板の上に、32cm間隔の格子状に並べた。ひとつめの実験では、クロマルハナバチを巣から1個体ずつ放し、人工花を並べた板の上で採餌させた。途中、人工花を並べた板を水平から垂直まで、5段階の傾斜角(0,22.5,45,67.5,90度)に傾け、ハチの行動をビデオで撮影し、移動速度と採餌速度の測定を行った。ふたつめの実験では、人工花を並べた板を二つ用意し、片方を平面に、片方を斜面(45度もしくは67.5度)にして、同時にハチに提示した。ハチを巣から1個体ずつ放し、それぞれの面での訪花回数を記録し、どちらの花を好んで訪れるのかを調べた。得られた知見:実験の結果、i)傾斜が急なほど花間の移動に時間がかかること、ii)そのために採餌速度が落ちること、iii)ハチは斜面よりも平面の花を好んで訪花することの3点が明らかになった。これらの結果は、斜面に生える植物が、送粉者の誘引において不利な状況にあることを示している。また、こうした植物が、花弁などの誘引器官への投資をふやすような選択をうけている可能性を示す新たな知見である。なお、以上の結果をまとめた論文は、Functional Ecology誌に受理された。また、2008年8月に米国ミルウォーキーで開催されるアメリカ生態学会でも発表した。