著者
松村 千鶴 浅田 昇平 榊原 禎宏
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学紀要 (ISSN:03877833)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.73-81, 2010-09

日本の教員の学校間等異動は,教育委員会の行政=経営活動として専ら捉えられる。その眼目は,①全県的な教育水準の維持向上,②各学校の課題への対応,③個人への報奨等処遇,と理解できるが,人的な公教育資源の長期的開発という観点からする,校長に至る異動については,経験的知見をほとんど越えていない。 本稿はこうした問題設定から,事例自治体での教諭の最終年度から学校長への登用年度までの個人の軌跡を辿ることを通じて,人事行政がいかなる教育資源の「適正さ」を担保しているかについて基礎的作業を行った。その結果,自治体内のローカル・ルールの存在,とりわけ教育行政機関での勤務の点で顕著なことを見出した。今後,各学校の時期ごとのプロフィールとの対応関係のほか,他の事例での追試が課題である。Personnel placement (rotation, reshuffling, promotion) policy for Japanese teaching staff is based entirely on the premise that Board of Education administration is a managerial activity. The core ingredients of this are: 1) cross-prefectural maintenance and improvement in levels public of education; 2) an individual school approach to school subjects; and 3) while it is understandable that compensation, etc. is on a per person, individual basis, the transfer to position of Principal, viewed from long-term development of a human public education resource, it does not go beyond experiential knowledge. This study, upon laying out the issue, conducted, from local government case studies focusing on individual career promotions to Principal, a base inquiry into whether personnel administration appropriately supports all educational resources. Results reveal the existence of local rules in local area governments and striking points in the workings of the educational administrative body. Further investigation, to look into corresponding relationships with such things as individual school time scheduling profiles will follow from this work.
著者
松村 千鶴 深井 喜代子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.243-246, 2014-12-20 (Released:2016-06-06)
参考文献数
11
被引用文献数
2

本研究の目的は,感染予防の観点から綿タオルと化繊タオルのどちらが清拭素材に適しているかを比較することである.タオル素材には,市販の使用前の綿タオル (未使用綿タオル),清拭で使用したあとに洗浄・消毒した綿タオル (再生綿タオル),市販の未使用の化繊タオル (湿性不織布),そして湿性不織布から水分と含有成分を除去した化繊タオル (乾燥不織布) の4種類を選んだ.これら4素材の一般生菌,大腸菌,黄色ブドウ球菌の生存数を,ペトリフィルム法を用いて調べた.その結果,一般生菌は,湿性および乾燥不織布ではほぼ陰性であったが,未使用綿タオルからは約260cfu/100cm2 (衛生上問題なし),再生綿タオルからは未使用時の10倍もの約2,360cfu/100cm2がそれぞれ検出された.一方,大腸菌と黄色ブドウ球菌は4素材いずれからも検出されなかった.本研究の結果から,わが国の臨床の場で多用されている再生綿タオルには感染予防上,無視できない量の一般生菌が棲息する可能性が示唆された.未使用・再生にかかわらず綿タオルに一般生菌が検出されたことから,再生綿タオルは感染予防の観点から安全な清拭素材でないことが明らかとなった.
著者
松村 千鶴 雨宮 加奈 雨宮 さよ子 雨宮 昌子 雨宮 良樹 板垣 智之 市野沢 功 伊藤 拓馬 植原 彰 内野 陽一 大川 清人 大谷 雅人 角谷 拓 掃部 康宏 神戸 裕哉 北本 尚子 國武 陽子 久保川 恵里 小林 直樹 小林 美珠 斎藤 博 佐藤 友香 佐野 耕太 佐野 正昭 柴山 裕子 鈴木 としえ 辻沢 央 中 裕介 西口 有紀 服巻 洋介 吉屋 利雄 古屋 ナミ子 本城 正憲 牧野 崇司 松田 喬 松本 雅道 三村 直子 山田 修 山田 知佳 山田 三貴 山田 祥弘 山田 玲子 柚木 秀雄 若月 和道 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.175-180, 2003-12-30
被引用文献数
2

Flower visitations by both native and exotic bumblebee species were investigated at 21 monitoring sites in various regions of Japan in the spring and summer of 2002. The investigation was part of a long-term program that has been in progress since 1997 to monitor the invasion of an alien bumblebee, Bombus terrestris L. (Hymenoptera: Apidae). Flower visitation by B. terrestris was ascertained at two monitoring sites, one in Shizuoka and one in Hokkaido, where a large number of colonies of this species have been commercially introduced for agricultural pollination.
著者
松村 千鶴 中島 真紀 横山 潤 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.93-101, 2004-06-30
参考文献数
25
被引用文献数
10

北海道勇払郡鵡川町・厚真町と沙流郡門別町のほぼ7.75km^2の範囲にある水田や畑地,河川敷,山林において,2003年6月から9月の間にマルハナバチ類(Bombus spp.)の巣を探索し,地中のネズミ類の廃巣に作られたセイヨウオオマルハナバチ(Bombus terrestris L.)の自然巣8つを含む27の巣を発見した.そのうち9巣を採集して分解し,卵,幼虫,マユ,成虫の数をできるだけ雌雄とカースト(働きバチか女王バチか)を区別して計数するとともに,蜜の保存や排泄場所の有無などの営巣特性についての情報を収集した.新女王バチの生産に至った巣の比率には,外来と在来のマルハナバチ間で有意差はなかったが,セイヨウオオマルハナバチの1巣あたりの新女王バチ生産数は在来マルハナバチ類と比較して4.4倍の平均110頭であり,当該地域の野外でのセイヨウオオマルハナバチの増殖率の高さが示唆された.
著者
中島 真紀 松村 千鶴 横山 潤 鷺谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.57-63, 2004-06-30
被引用文献数
7

温室栽培トマトの授粉用に導入されたセイヨウオオマルハナバチの野生化の状況を把握するために,2003年5月下旬から8月下旬にかけて北海道勇払郡厚真町および鵡川町において踏査による営巣場所探索の調査を行った.のべ18人日の調査により,8つのセイヨウオオマルハナバチの野生化巣と11の在来マルハナバチの巣が発見された.巣の発見場所は,主に水田の畦や畑地の用水路の土手であり,特にセイヨウオオマルハナバチとエゾオオマルハナバチ,エゾトラマルハナバチは営巣場所の選択において類似性が高いことが示された.さらに在来種であるエゾオオマルハナバチの1つの巣から,セイヨウオオマルハナバチの働き蜂が出入りしていることが確認された.在来マルハナバチ類とセイヨウオオマルハナバチが同じ巣を利用することにより,寄生生物の異種間感染をもたらす可能性が示唆された.