著者
加計 佳代子 佐藤 寛 石川 信一 嶋田 洋徳 佐藤 容子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.113-125, 2008-05-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究は児童の社会的スキルと認知の誤りが社会不安に与える影響について検討することを目的とした。対象者は小学4年生から6年生1,163名(男子575名、女子588名)であった。対象者は、SocialPhobiaandAnxietyInventoryforChildren日本語版(石川ら,2008)、Children'sCognitiveErrorScale改訂版(CCES-R;佐藤ら,2004)、小学生用社会的スキル尺度(嶋田ら,1996)への回答を求められた。対象者1,163名のうち、無作為抽出された197名の児童の担任教師40名は小学生用社会的スキル尺度(嶋田ら,1996)を他者評定用に改訂したものに回答した。分析の結果、認知の誤りの高さが社会的スキルの自己評定と他者評定の差に関係していることが明らかになった。また、社会的スキルよりも認知の誤りの方が児童の社会不安に直接影響していることが示され、児童の認知変数への介入が有効である可能性が示唆された。
著者
荒木 秀一 石川 信一 佐藤 正二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.133-144, 2007-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
5

本研究の目的は、維持促進を圏指した児童に対する集団社会的スキル訓練(SST)の効果検討であった。54名の児童は維持促進訓練群と標準訓練群の2群に分けられた。2つの群ともに7セッションからなる通常の集団SSTが実施された。加えて、維持促進訓練群では維持の手続きとして、1)スキルの構成要素の掲示、2)朝の会・帰りの会でのワンポイント・セッション、3)保護者への働きかけの3つがなされた。結果、自己評定、教師評定により、両群とも通常の集団SSTに参加することでスキル得点の上昇がみられた。標準談練群においては、集団SST後から3か月フォローアップにかけて得点が減少したのに対して、維持促進訓練群ではフォローアップまで効果が維持されていた。以上のことから、通常の集団SSTはスキルの獲得を促すのに有効であるが、長期的な効果を維持するためには維持の手続きが必要不可欠であることが示唆された。
著者
石川 信一 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.125-136, 2004-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本論文の目的は、児童期の不安障害のレビューを行い、児童における不安障害に対する認知行動療法の効果について検討を行うことであった。第1に、児童期の不安障害は、全般性不安障害/過剰不安障害、社会恐怖、分離不安障害、パニック障害、特定の恐怖症、強迫性障害の6つに分類されることが示された。第2に、児童期の不安障害の有病率は10%弱であること、不安障害の各症状は併発率が高いことが示された。第3に、不安症状をもつ児童は学校や他の社会的状況において不適応を示すこと、不安障害を示す成人の多くは児童期から不安症状をもつことがわかった。不安障害の児童に対する認知行動療法の展望の結果、個別介入、集団介入、早期介入、両親を含めた介入の効果が無作為化比較試験によって証明された。最後に、本邦において、効果的な治療法を構築するために、不安障害の児童に対する治療法の研究が必要であることが指摘された。
著者
石川 信一 美和 健太郎 笹川 智子 佐藤 寛 岡安 孝弘 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.17-31, 2008-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、日本語版Social Phobia and Anxiety Inventory for Children(SPAI-C;Beidel et al.,1995)を開発することであった。本研究の対象者は小学生859名(男子434名、女子425名)であった。因子分析の結果、SPAI-Cは「対人交流場面」「パフォーマンス」「身体症状」の3因子構造であることがわかった。再検査信頼性、およびCronbachのα係数から、本尺度は十分な信頼i生をもつことがわかった。妥当性分析の結果、本尺度はスペンス児童用不安尺度(Spence,1997)と日本語版State-TraitAnxietyInventoryforChildren(曽我,1983)と中程度の正の相関関係にあることがわかった。多変量分散分析の結果、女子が男子よりも社会不安の症状を多く報告することが明らかにされた。最後に、日本の児童の社会不安症状の特徴とSPAI-Cの有用性について議論がなされた。
著者
蓑田 和麻 阿内 宏武 川頭 信之 石川 信行
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4O2J201, 2019 (Released:2019-06-01)

Webサイトを運営する企業にとって、サイトを訪れたユーザの状況に応じた適切なコミュニケーションが必須である。その戦略の1つとして、ユーザ行動のレコメンドが考えられる。しかし検索条件の選択のような、Webサイト上のコンバージョン(例:予約ページ、購入ページなど)と直接関連しないユーザ行動をレコメンドする場合、従来の教師あり学習を用いた最適なユーザ行動の導出は困難であった。本研究では、深層強化学習を用いて上記問題を解決し、実際のユーザのWebアクセスログを用いた実験によりその有効性を示す。
著者
友寄 英基 久保 四郎 村橋 護 小谷 勝 加藤 洋一 石川 信広 中條 英俊 高橋 孝二 山本 悦秀 小浜 源郁
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.2290-2296, 1985-10-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
17

From 1976 to 1984, 126 cases with angular fractures of the mandible were treated in Department of Oral Surgery, Sapporo Medical College Hospital. These were analysed clinicostatistically and the following results were obtained:1) Age of patients distributed widely with peak of second and first (74.6%).2) Fight injuries were the most frequent (32.5%) followed by traffic accidents (27.8%), athletic injuries (18.3%), work accidents (11.9%), and falls (9.5%).3) Wisdom teeth were 88.3% of the line of angular fractures of the mandible and the extraction of wisdom teeth in the line of angular fractures of the mandible were carried out in 46.0%.4) The procedure of wisdom teeth in the line of angular fractures of the mandible must be decided for each individual case, i. e., vitality, periodontal disease, luxation and positions of these teeth and degree of displacement of the bone fragment.
著者
肥田 乃梨子 石川 信一 ヒダ ノリコ イシカワ シンイチ Hida Noriko Ishikawa Shin-ichi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.3-17, 2018-12-15

研究論文精神疾患に対する否定的な態度は,援助を必要とする者の専門家への受診を妨げる重大な問題であると指摘されている。しかしながら,そのような態度を測定できる青年版の尺度は存在しないというのが本邦の現況である。そこで本研究は,パブリックスティグマの一側面に位置づけられる社会的距離の概念に基づいた,青年版社会的距離の近さ尺度(Social Distance of Adolescents Scale : SDAS)の作成および信頼性と妥当性の検討を目的として行われた。中根他(2010)の成人を対象とする社会的距離尺度を参考に,教育現場での活用を考慮した上で,青年期の生徒が理解できる表現に改めた6項目が作成された。研究1では中学生を対象に調査を行い,信頼性と妥当性を検討したところ,十分な信頼性と妥当性が確認された。続いて研究2において,高校生を対象にSDASを測定し尺度の因子構造を再度探索的に検討したところ,中学生と同様の結果が得られた。SDASは不安症の子どもに対する態度を示すパブリックスティグマを測る尺度として有用であることが示唆され,SDASの汎用可能性について議論された。
著者
河津 里沙 石川 信克 内村 和広
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.395-400, 2015 (Released:2016-09-16)
参考文献数
31

〔目的〕わが国の結核罹患率は減少傾向が続いている一方で,患者は高齢者,社会経済的弱者,結核発病の高危険因子を有する者らへの偏在化を進めている。これまでに「医学的ハイリスク者」や「高齢者」に対する課題は議論されてきたが,日本における結核のリスク集団の総合的な評価はされてこなかった。本稿では,主に文献調査を通してリスク集団の罹患率比(relative risk: RR)および人口寄与割合(population attributable fraction: PAF)を算出,比較することで,今後必要とされる調査研究等を明らかにし,介入の優先度の決定を導く指標の一つとなることを目的とした。〔方法〕HIV陽性者,糖尿病患者,関節リウマチ患者,血液透析患者,高齢者,医療従事者,ホームレス者,生活保護受給者,外国人,刑事施設被収容者,喫煙者およびアルコール過剰摂取者のRRおよびPAFを算出し,PAFが5%以上を「高PAF群」,1%以上5%未満を「中PAF群」,1%未満を「低PAF群」とし,RRと共に検討した。〔結果〕PAFが5%以上で,なおかつRRも5以上であったリスク集団は高齢者と糖尿病患者であり,これらは公衆衛生上,最も優先度が高い集団と考えられた。
著者
兒玉 裕二 石川 信敬
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.41-51, 1993-03
被引用文献数
1

融雪に寄与する熱源としての重要な要素である短波長放射の特徴について,1988年1月1日から消雪日の4月3日まで,北海道大学低温科学研究所裏の気象観測露場で観測を行い,以下の結果を得た。 1) 全アドベドは,積雪期には融雪と新降雪によって 0.7-0.9 で推移し,融雪期には新降雪の日を除いて徐々に減少し,消雪日には 0.2まで下がった。 2) 近赤外領域の反射率は,可視領域のそれよりも 10-20%小さく,消雪後はその関係が逆転した。 3) 日射に対する可視と赤外領域の割合は50%ずつであった。 4) 全反射に対する可視領域の割合は55%,近赤外領域の割合は45%であった。 5) 晴天指数が減少すると日射に対する近赤外領域の割合が減少した。 6) 融雪期において,朝夕の全アドベド,可視や近赤外領域の反射率は日中のそれよりも大きくなる傾向が認められた。融雪期前には,このような傾向はあまり強くなかった。
著者
桂 敏樹 古俣 理子 小倉 真衣 石川 信仁 星野 明子 志澤 美保 臼井 香苗
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.457, 2018 (Released:2018-12-18)
参考文献数
32

本研究は,要介護状態でない地域在住高齢者を対象に,閉じこもり及び非閉じこもり高齢者におけるソーシャルキャピタル(SC)とフレイルとの関連を検証することを目的とした。 閉じこもり高齢者47名と,性別と年齢でマッチングした非閉じこもり高齢者47名を対象に,2016年7月~10月の期間で訪問調査測定を実施した。調査項目は身体的フレイル,精神的フレイル,社会的フレイル,ソーシャルキャピタルである。閉じこもり群におけるフレイルとソーシャルキャピタルの関連はχ2検定により分析した。 地域閉じこもり高齢者ではSCは精神的フレイルと有意な関連が認められた。一方地域非閉じこもり高齢者においてSCは全てのフレイルと有意な関連が認められた。 地域在住高齢者においてSCは包括的なフレイルと精神的フレイル出現の予防と関連している。一方地域閉じこもり高齢者では地域における抽出方法と精神的フレイル予防の介入方法開発が必要である。
著者
石川 信一 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.45-57, 2005-03-31 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、Children's Self-Statement Scale(CSSS)を作成し、その信頼性と妥当性を検討するとともに、児童における自己陳述と不安症状との関連を検討することであった。研究1では、小学生217名を対象に予備調査を行い、項目を抽出した。そして、小学生693名を対象とした因子分析の結果、CSSSは「ポジティブ自己陳述」「ネガティブ自己陳述」という2つの因子があることが示され、信頼性と妥当性が確認された。研究IIでは、小学生546名を対象に、 CSSSとスペンス児童用不安尺度(SCAS)による調査を実施した。その結果、SCASのすべての下位尺度において、「ネガティブ自己陳述」が強く影響していることがわかった。また、SOM得点によりポジティブに偏った認知の群は、 SCASの得点が低いことが示された。
著者
宮田 八十八 石川 信一 佐藤 寛 佐藤 正二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-14, 2010-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、Children'sSocialProblem-SolvingScale(C-SPSS)を開発し、学級単位で実施する社会的問題解決訓練の効果を検討することであった。研究1では、92名の児童を対象に自由記述による質問調査を行い、対人的トラブル場面を収集した。次に、小学生365名を対象とした本調査を実施した。その結果、C-SPSSは再検査法により十分な信頼性があることが示され、内容的妥当性と構成概念妥当性も確認された。研究IIでは、43名の児童が社会的問題解決訓練群に、45名の児童がウェイティングリスト統制群に設定された。訓練実施後、統制群には変化がみられなかったのに対して、訓練群では問題解決スキルが有意に上昇していた。これらの結果から、C-SPSSの実用的可能性、および社会的問題解決訓練の効果および課題が検討された。