著者
深澤 圭太 石濱 史子 小熊 宏之 武田 知己 田中 信行 竹中 明夫
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.171-186, 2009-07-31
被引用文献数
7

野外の生物の分布パターンは生育に適した環境の分布や限られた移動分散能力などの影響をうけるため、空間的に集中した分布を持つことが多い。データ解析においてはこのような近隣地点間の類似性「空間自己相関」を既知の環境要因だけでは説明できないことが多く、近い地点同士ほど残差が類似する傾向がしばしば発生する。この近隣同士での残差の非独立性を考慮しないと、第一種の過誤や変数の効果の大きさを誤って推定する原因になることが知られているが、これまでの空間自己相関への対処法は不十分なものが多く見られた。近年、ベイズ推定に基づく空間統計学的手法とコンピュータの能力の向上によって、より現実的な仮定に基づいて空間自己相関を扱うモデルが比較的簡単に利用できるようになっている。中でも、条件付き自己回帰モデルの一種であるIntrinsic CARモデルはフリーソフトWinBUGSで計算可能であり、生物の空間分布データの解析に適した特性を備えている。Intrinsic CARモデルは「空間的ランダム効果」を導入することで隣接した地点間の空間的な非独立性を表現することが可能であると共に、推定された空間的ランダム効果のパターンからは対象種の分布パターンに影響を与える未知の要因について推察することができる。空間ランダム効果は隣接した地点間で類似するよう、事前分布によって定義され、類似の度合いは超パラメータによって制御されている。本稿では空間自己相関が生じるメカニズムとその問題点を明らかにした上で、Intrinsic CARモデルがどのように空間自己相関を表現しているのかを解説する。さらに、実例として小笠原諸島における外来木本種アカギと渡良瀬遊水地における絶滅危惧種トネハナヤスリの分布データへの適用例を紹介し、空間構造を考慮しない従来のモデルとの比較からIntrinsic CARモデルの活用の可能性について議論する。
著者
伊藤 隆 御厨 貴 季武 嘉也 有馬 学 武田 知己 小池 聖一 梶田 明宏
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

近代日本史料情報の収集、整理、公開及び将来期待される史料情報機関への提言作成を目的として以下のような研究成果をあげた。1、史料収集ア)ヒアリング調査。史料所在に詳しい研究者を合計19名招聘し、ヒアリングを実施した。イ)史料所在調査。史料所在情報を収集するため、12回の出張を行った。さらにさまざまな史料目録類を収集した。また、中央官公庁に対し精力的に所蔵史料の問い合わせを行った。2、史料整理多くの研究協力者に手伝ってもらって、収集した史料群約20文書の整理を行った。その一部は既に目録を活字化したが、全体の量は膨大であったので残念ながら作業は完結せず、今後も整理を続行する予定である。3、ホームページの充実以前より開設しているホームページ(http//:kins.grips.ac.jp)に情報を追加するなど、その充実をはかった。また、他機関が行っているインターネット上での史料情報公開に関して考察を加え、その問題点等を探った。5、新機関への提言我々は会合の都度、どのような史料情報集約機関が望ましいのか、情報を交換し話し合ってきた。以上、詳細については研究成果報告書に譲るが、そのほかに本研究の成果を中心として『近代日本人物史料情報辞典』(仮題)という刊行本を出版する予定である。
著者
奥 健太郎 河野 康子 武田 知己 黒澤 良 矢野 信幸 相原 耕作 村井 哲也 岡崎 加奈子
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は自民党政権の意思決定システムの形成過程に関する共同研究である。研究成果の特に重要なものとしては、事前審査制の歴史的考察がある。従来、自民党政権の事前審査制は1962年の赤城書簡を嚆矢とし、それ以後次第に慣習化されたと考えられてきた。しかしながら、我々の共同研究の結果、以下の点が明らかになった。第一にその淵源は桂園時代に遡ることができ、戦時体制下ですら与党審査が重要な意味を持っていたこと、第二に、事前審査制は自民党結党直後から今日に近い形で始まり、赤城書簡によって事前審査制が完成したことである。
著者
深澤 圭太 石濱 史子 小熊 宏之 武田 知己 田中 信行 竹中 明夫
出版者
日本生態学会暫定事務局
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.171-186, 2009 (Released:2011-04-05)

野外の生物の分布パターンは生育に適した環境の分布や限られた移動分散能力などの影響をうけるため、空間的に集中した分布を持つことが多い。データ解析においてはこのような近隣地点間の類似性「空間自己相関」を既知の環境要因だけでは説明できないことが多く、近い地点同士ほど残差が類似する傾向がしばしば発生する。この近隣同士での残差の非独立性を考慮しないと、第一種の過誤や変数の効果の大きさを誤って推定する原因になることが知られているが、これまでの空間自己相関への対処法は不十分なものが多く見られた。近年、ベイズ推定に基づく空間統計学的手法とコンピュータの能力の向上によって、より現実的な仮定に基づいて空間自己相関を扱うモデルが比較的簡単に利用できるようになっている。中でも、条件付き自己回帰モデルの一種であるIntrinsic CARモデルはフリーソフトWinBUGSで計算可能であり、生物の空間分布データの解析に適した特性を備えている。Intrinsic CARモデルは「空間的ランダム効果」を導入することで隣接した地点間の空間的な非独立性を表現することが可能であると共に、推定された空間的ランダム効果のパターンからは対象種の分布パターンに影響を与える未知の要因について推察することができる。空間ランダム効果は隣接した地点間で類似するよう、事前分布によって定義され、類似の度合いは超パラメータによって制御されている。本稿では空間自己相関が生じるメカニズムとその問題点を明らかにした上で、Intrinsic CARモデルがどのように空間自己相関を表現しているのかを解説する。さらに、実例として小笠原諸島における外来木本種アカギと渡良瀬遊水地における絶滅危惧種トネハナヤスリの分布データヘの適用例を紹介し、空間構造を考慮しない従来のモデルとの比較からIntrinsic CARモデルの活用の可能性について議論する。
著者
深澤 圭太 石濱 史子 小熊 宏之 武田 知己 田中 信行 竹中 明夫
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.171-186, 2009-07-31 (Released:2017-04-20)
参考文献数
51
被引用文献数
10

野外の生物の分布パターンは生育に適した環境の分布や限られた移動分散能力などの影響をうけるため、空間的に集中した分布を持つことが多い。データ解析においてはこのような近隣地点間の類似性「空間自己相関」を既知の環境要因だけでは説明できないことが多く、近い地点同士ほど残差が類似する傾向がしばしば発生する。この近隣同士での残差の非独立性を考慮しないと、第一種の過誤や変数の効果の大きさを誤って推定する原因になることが知られているが、これまでの空間自己相関への対処法は不十分なものが多く見られた。近年、ベイズ推定に基づく空間統計学的手法とコンピュータの能力の向上によって、より現実的な仮定に基づいて空間自己相関を扱うモデルが比較的簡単に利用できるようになっている。中でも、条件付き自己回帰モデルの一種であるIntrinsic CARモデルはフリーソフトWinBUGSで計算可能であり、生物の空間分布データの解析に適した特性を備えている。Intrinsic CARモデルは「空間的ランダム効果」を導入することで隣接した地点間の空間的な非独立性を表現することが可能であると共に、推定された空間的ランダム効果のパターンからは対象種の分布パターンに影響を与える未知の要因について推察することができる。空間ランダム効果は隣接した地点間で類似するよう、事前分布によって定義され、類似の度合いは超パラメータによって制御されている。本稿では空間自己相関が生じるメカニズムとその問題点を明らかにした上で、Intrinsic CARモデルがどのように空間自己相関を表現しているのかを解説する。さらに、実例として小笠原諸島における外来木本種アカギと渡良瀬遊水地における絶滅危惧種トネハナヤスリの分布データへの適用例を紹介し、空間構造を考慮しない従来のモデルとの比較からIntrinsic CARモデルの活用の可能性について議論する。
著者
石山 大三 小川 泰正 広瀬 和世 武田 知己 中村 晋作 若狭 幸 オセニェング オラオツェ ステバノビッチ ゾラン
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.139, no.2_3, pp.10-20, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
15

In the study area of eastern Serbia, which includes the Bor and Maidenpek mining areas of the Republic of Serbia, a research of environmental evaluation of the study area was carried out by means of field survey for environment and satellite image analysis in order to establish and improve methods for assessing the environmental impact of mining areas by satellite image analysis. The results of this study showed that it was possible to efficiently determine the distribution of overburdens and tailings in a wide area based on the distribution of points having jarosite spectra, and that it was possible to distinguish waste rocks such as overburdens and tailings with high environmental impact from those waste rocks with relatively low environmental impact based on the mineral assemblage of the waste rocks estimated from satellite image analysis. In addition, if topographical data before and after mining development are obtained from the satellite image analysis, the volume of the waste rocks can be estimated, and the quantitative estimation of the amount of toxic elements dissolved from the waste rocks could be possible by combining the experimental data on the extraction of toxic elements from the waste rocks. In addition, the predicted hazardous area (Type I), where high concentration of Cu may be leached from the waste rocks revealed by the surface survey, corresponds to the area where waste rocks such as overburdens and tailings is distributed around the mine and the area where waste rocks such as tailing is distributed along the river downstream of the mine as estimated by the satellite image analysis. These results indicate that it is possible to predict the environmental impact in advance of the survey in the mining area, and to predict the environmental impact in the mining area where it is not possible to go directly to the survey and to consider guidelines for countermeasures.
著者
武田 知己
出版者
一般財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.200, pp.200_7-200_22, 2020

<p>Japanese diplomacy is often regarded as a diplomacy without grand strategy. This paper doesn't see it that way. The paper finds Japanese diplomacy rich in strategies. In general, a strategy is to make through the interaction between the international perception and identity. The paper focuses on the idea of Japanese Bridge-Building Diplomacy among many and discusses how the idea was coined and shows it had undergone various vicissitudes until the 1950s.</p><p>An early 20th century version of Bridge-Building strategy was coined by Shigenobu Okuma under the name of Fusion of East and West Civilizations. In his theory the Western civilization reached the United States and the Eastern civilization reached Japan and these two civilizations came into contact with the Perry's arrival to Yokohama Bay in the middle of 19<sup>th</sup> century. The Japanese with this miraculous encounter, in Okuma's theory, had a vocation to bring Western superior civilization to the East. This idea was translated into Japanese China policy and inherited by the Ministry of Foreign Affairs and such leaders of the ministry as Shigeru Yoshida and Mamoru Shigemitsu. Although the idea was fully performed neither in the early 20<sup>th</sup> century and in the 1950s, this paper shows the possibilities of the revival of the strategy in the coming era of the US-China confrontation in the 21th century and argues the value of inheriting the idea of Bridge Building Strategy as "unfinished self-portrait" of Japanese Diplomacy is eminent.</p>
著者
武田 知己
出版者
大東文化大学法政学会
雑誌
大東法学 (ISSN:02870940)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.59-92, 2019-03

敗戦後、日本の国際連合加盟を推進した指導者たちの議論を、国際秩序論(国際秩序観)を背景に分析し、新国家建設のための指針として読み直す。本稿では、吉田茂と重光葵の議論を取りあげた。吉田は大国思考・冷戦思考に裏付けられ、自由主義陣営の大国としての日本をイメージしつつ、日本の国際連合加盟戦略を論じた。た議論を展開しているが、重光はアジアの勃興に強い関心を示した。それは、重光が全権代表として論じた日本は東西の架け橋となる得るという外交理念の背景となった。
著者
武田 知己 小熊 宏之 石濱 史子 竹中 明夫
出版者
日本農業気象学会
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.237-244, 2010-03-10 (Released:2011-04-04)
参考文献数
5
被引用文献数
2 1

Information on the ground surface can now be acquired easily and highly accurately using digital aerial photographs. A digital canopy model (DCM), which is calculated by subtracting a digital terrain model (DTM) from a digital surface model (DSM) of the vegetation, provides useful information for studies of wild animal habitats and plant species distributions. However, DCMs have been used mainly for forests, and their validity for herbaceous plants requires further verification. In this study, we used the ADS40 airborne digital sensor to clarify the relationship between a DCM and the height of herbaceous species. Our study area was the Watarase wetland in the northern Kanto Plain, central Japan. Suitable habitats for the many rare plants found in this wetland are maintained by controlled burning in early spring. We acquired three DSMs: just after the controlled burn in April 2006; in August 2006, when the vegetation height peaked; and in April 2007, also just after the controlled burn. We calculated the DCM based on the difference between the August DSM and a DTM developed by using the minimum height values from the two April DSMs. We also performed a field survey during the August DSM acquisition, during which we measured the height of the uppermost leaves with a measuring pole at 16 measurement points and estimated the vegetation structure from photosynthetic photon flux density (PPFD) profiles measured with quantum sensors at each point. The calculated DCM height correlated very well to the height of the uppermost leaves (r2 = 0.96), although it was about 100 cm lower. In contrast, the DCM and the height of maximum intercepted PPFD were highly correlated (r2 = 0.97) and showed a 1:1 relationship.
著者
中路 達郎 武田 知己 向井 譲 小池 孝良 小熊 宏之 藤沼 康実
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.205-213, 2003-08-16
被引用文献数
3

4年生ニホンカラマツ(Larix kaempferi Sarg.)植林地において,夏季の葉群の分光反射率と,純光合成速度,クロロフィル蛍光および葉内色素の日変化を同時に観測し,葉内色素量や光合成活性と分光反射指標(NDVIおよびPRI)の関係を検討した。日変動を示したNDVIとPRIはともに,葉内のクロロフィル濃度や総カロテノイド濃度と有意な相関関係になかった。NDVIは,純光合成速度との間には正の相関が認められたが,弱光条件下では,その関係にばらつきが生じた。PRIはキサントフィルサイクルの酸化還元状態を反映し,光合成における光利用効率と光化学系II量子収率の日変動との間に正の相関関係にあった。光合成活性との間の相関係数は,NDVIよりもPRIで高い値が得られた。以上の結果より,カラマツの光合成の日変化に注目した場合,リモートセンシングによって得られるPRIは,光合成の光利用効率を評価する指標として有効であることが明らかになった。
著者
伊藤 隆 渡邉 昭夫 尾高 煌之助 佐道 明広 武田 知己 梅崎 修
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

現代日本史料の調査、収集、整理、公開等を踏まえた政策課程と政策史研究を目的とし、以下のような研究成果を上げた。1、オーラルヒストリーの実施研究期間内に30人以上のオーラルヒストリーを実施し、終了したオーラルインタビューの速記録をまとめ冊子化した。2、史料整理多くの研究補助者の協力を得て、収集した史料について整理を進め、20冊以上の史料目録を刊行することができた。3、研究会の実施研究期間内に、日本近現代の史料・政策過程・防衛政策等について、計11回の研究会を開催し、速記録をまとめ報告集として冊子化した。4、近現代日本人物史料情報辞典3の刊行及び続巻の編纂平成16年に第一巻、平成18年に第二巻を吉川弘文館より刊行し、第三巻を平成19年12月に刊行した。なお、第4巻の準備も開始した。5、シンポジウムの開催「<戦後>は終わったか?」についてシンポジウムを開催し、活発な討論が交わされた。速記録をまとめ報告書に掲載した。
著者
武田 知己 平野 高司 浦野 慎一 堀口 郁夫
出版者
The Society of Agricultural Meteorology of Japan
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.145-153, 2001-09-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

Canopy structure of crops is an important factor determining the radiation environment of the canopy. Although many researchers have dealt with foliage distribution by using a probability density function, studies that reproduce a spatial destribution and spatial form of foliage in 3 dimensional (3D) space have only recently been reported. In this study, we developed a geometric model by using L-system to reproduce the form of sunflower plants in 3D space. The model consisits of frame and leaf models. In order to obtain functions to illustrate the frame model, positions of nodes, leaf bases, and leaf tips were measured from photographs of sunflower plants taken at five different stages in a growing season, and lengths of internode, petiole and leaf were determined. Moreover, lengths of five lateral veins, and divergence angle between midrib and fifth lateral vein were measured.Growth curve of internode and petiole could be expressed as a logistic function of step number in L-system. Leaves elongated as a function of petiole length. Zenith angle of petiole decreased with step number from 1 to 7, and then stabilized at about 35°. Leaf zenith angle was related to petiole zenith angle. Divergence angles between successive leaves differed in different phyllotaxis. In distichous phyllotaxis, divergence angle was 180° between the leaves at the same node, and 90° between the leaves at successive nodes. On the other hand, in alternate phyllotaxis, divergence angle was about 135°. Leaf expansion could be related to increase in leaf length.In conclusion, the geometric model using L-system successfully reproduced the growth of sunflower plants with increase in node number.