著者
福井 正博 林 憲一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.210-217, 2013-01-01 (Released:2013-01-01)
参考文献数
23

GPU(Graphics Processing Unit)はコア数を増加させることで集積度を増し,電力密度を増やすことなく年率1.7倍の集積度増を続けており, 今後しばらくその勢いを緩めることはない.数百~数千個のコアを1チップに集積し,大規模な並列処理が可能となっている.GPUメーカーもソフト開発環境を提供するなど,普及に力を入れていることもあり,GPUの計算能力を一般科学技術計算に適用する試みが注目を浴びるようになってきた.大規模な問題を扱うLSI設計や検証に対しても,その可能性が広がっている.本稿ではGPUを用いたLSI設計の高速化の動向について,以下の二つの観点でまとめる.まず,画像専用プロセッサGPUがいかに生まれ,それが,どのような経緯で一般科学計算に用いられるようになったかという点を解説する.次に,複雑なLSI設計の各種問題に,GPUの計算能力がどのように適用され,どれだけのパフォーマンスの改善が期待できるか,あるいは,今後のアルゴリズム開発がどのように変わっていくかという点について述べる.
著者
西原 英 谷口 一徹 加藤 晋也 福井 正博
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.24, pp.1-6, 2013-03-06

本研究では,太陽光パネルと蓄電池を持つ家庭を対象とした電力需要のピークカットに貢献する蓄電池マネジメント手法を提案する.提案手法では,過去の類似した発電/需要パターンを基に,蓄電池マネジメントを数理計画問題として定式化することで電力需要のピークカットを実現する.提案手法により,電力需要のピークが大きくなる夏や冬の日において,最大51%もの大幅なピークの削減を行うことができた.
著者
林 磊 石崎 龍 鷹羽 浄嗣 福井 正博
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J99-B, no.7, pp.481-489, 2016-07-01

蓄電池は蓄電容量や内部抵抗の劣化に伴い変化するため,残量予測や充放電など管理を高精度かつ安全に行うためには,起電力や内部抵抗などの内部パラメータの同定が必要である.システム同定の方法としては忘却係数付きの汎用問題に対する逐次最小2乗法が複数提案されているが,本論文では,蓄電池のOCVと電極表面抵抗の同定を目的とし,SOCとOCVの関係に着目することにより,端子電圧と端子電流の比率に基づき最適な忘却係数を算出する発見的手法を提案する.実験により,充放電電流や環境温度の様々な条件に対して,1Hzの電流電圧サンプリング条件で,SOCに関して5%以下の誤差,電極表面抵抗に関しては10%以下の誤差で同定できる良好な結果を確認した.
著者
田中 正和 福井 正博
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.1323-1329, 2002-05-15

リーフセルの回路最適化において,性能および面積の観点からトランジスタの折り返し段数を最適化する手法について記述する.従来のトランジスタの性能最適化手法では,サイズすなわちゲート幅のみが最適化の対象であり,折り返し段数はレイアウト設計時に性能を考慮せずに決定されていた.一方,本手法では,トランジスタの拡散共有や折り返しが性能および面積に与える影響を推定する手法を利用し,性能最適化の観点からトランジスタサイズだけでなく折り返し段数をも決定する手法について記述する.実験の結果,トランジスタサイズのみを最適化した場合と比較して,ライブラリセルの遅延を最大15%改善できることが分かった.
著者
有馬 理仁 林 磊 福井 正博 島田 幸司
出版者
一般社団法人 エネルギー・資源学会
雑誌
エネルギー・資源学会論文誌 (ISSN:24330531)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.11-20, 2018 (Released:2019-02-08)
参考文献数
19

The penetration of renewable energy is advanced to implement low-carbon society. Especially the increase of the photovoltaic generation energy is remarkable. But as a result, the trend that net electricity demand is decreased in the daytime and is increased suddenly in the evening, which is called ‘Duck-Curve phenomenon’ become apparent, and the destabilization of the utility grid caused by the fluctuation of photovoltaic generation power output. To solve this problem, the virtual power plant is planned as one of the solutions, and the battery aggregation using the distributed and cooperated rechargeable batteries is considered as one of the technical elements. One of the strong candidate of rechargeable battery is lithium ion batteries. To maximize the profit of the battery aggregation, it is necessary to diagnose the degradation in real time and estimate the cost effectiveness of lithium ion batteries. We found the convenient technique of diagnosis which can be done under operation of lithium ion batteries and battery management systems. To contribute to optimum system operation of the distributed and cooperated rechargeable batteries, we propose a new cost effectiveness index of lithium ion batteries based on this technique.
著者
福井 正博 林 憲一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.210-217, 2013

GPU(Graphics Processing Unit)はコア数を増加させることで集積度を増し,電力密度を増やすことなく年率1.7倍の集積度増を続けており, 今後しばらくその勢いを緩めることはない.数百~数千個のコアを1チップに集積し,大規模な並列処理が可能となっている.GPUメーカーもソフト開発環境を提供するなど,普及に力を入れていることもあり,GPUの計算能力を一般科学技術計算に適用する試みが注目を浴びるようになってきた.大規模な問題を扱うLSI設計や検証に対しても,その可能性が広がっている.本稿ではGPUを用いたLSI設計の高速化の動向について,以下の二つの観点でまとめる.まず,画像専用プロセッサGPUがいかに生まれ,それが,どのような経緯で一般科学計算に用いられるようになったかという点を解説する.次に,複雑なLSI設計の各種問題に,GPUの計算能力がどのように適用され,どれだけのパフォーマンスの改善が期待できるか,あるいは,今後のアルゴリズム開発がどのように変わっていくかという点について述べる.
著者
福井 正博 築山 修治
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

集積回路技術の進展に伴い,回路が大規模化・複雑化すると共に,物理変動によるタイミング動作保証が困難化している.本研究課題は,次世代の集積回路に対して,製造ばらつき,電源電圧,熱変動,トランジスタの経年劣化を考慮し,チップレベルでのタイミング解析を高速に行う技術の確立を目指し,(A) パワーゲーティングによるラッシュカレントに関する信頼性ホットスポットの見える化システム,(B) トランジスタの発熱,電源配線のIRドロップの高速統計的解析技術の解明,(C) NBTI などの経年劣化と製造ばらつきに起因する遅延ばらつきを統一的に取り扱うことができる遅延モデルと統計的静的遅延解析手法を完成した.
著者
田中 正和 福井 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.96, no.558, pp.31-38, 1997-03-07

レイアウト合成時のトランジスタの拡散領域の容量を精度良く評価して、トランジスタのゲート幅の最適化を行う手法について報告する。従来手法では、拡散の共有化やトランジスタの折り返しといったレイアウト合成時に変化する容量や面積を正確に見積もっていなかった。本手法では、回路性能に大きな影響を与えるトランジスタの拡散領域の共有化の行なわれる箇所をトランジスタの接続関係やゲート幅から推定し、その推定に基づいてレイアウト合成時の拡散領域の容量をより正確に見積り、定式化し、最適なトランジスタサイズの決定に用いるものである。本手法によるクリティカルパス遅延の最適化では、最大10%の改善効果が得られた。
著者
中嶋 将太 福井 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.412, pp.129-134, 2009-01-22

近年,LSIの微細化,高性能化に伴い,設計時間の短期化や高性能を維持したままでの低消費電力化といったことが求められるようになった.これらの要求をかなえるために,デザインプロセスにおいて,高いレベルですばやく電力や遅延時間を見積もるということが非常に重要である.本稿ではRTLにおける遅延マクロモデルの提案を行っている.このモデルはV_<dd>,V_tのばらつきに対してトランジスタレベル並みの精度を目標としている.モデル化の手法,及び寄生容量の考慮などに関する検討内容と実験結果について示す.
著者
中嶋 将太 福井 正博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.7, pp.129-134, 2009-01-22

近年, LSI の微細化,高性能化に伴い,設計時間の短期化や高性能を維持したままでの低消費電力化といったことが求められるようになった.これらの要求をかなえるために,デザインプロセスにおいて,高いレベルですばやく電力や遅延時間を見積もるということが非常に重要である.本稿では RTL における遅延マクロモデルの提案を行っている.このモデルはVdd, Vt のばらつきに対してトランジスタレベル並みの精度を目標としている.モデル化の手法,及び寄生容量の考慮などに関する検討内容と実験結果について示す.Recent, due to the rapid progress of LSI technology, efficient and low-power designs have been highly required to keep high performance. To satisfy these requests, it is very important to be able to explore the value of power and delay at a high-level early in the design process. This paper proposes a new efficient RTL delay macro-model to address these recent problems. The goal is to provide transistor-level accuracy at the RTL with Vt and Vdd variability. The Modeling algorithm that considers parasitic capacitances and experimental results are discussed.
著者
中嶋 将太 福井 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RECONF, リコンフィギャラブルシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.414, pp.129-134, 2009-01-22

近年,LSIの微細化,高性能化に伴い,設計時間の短期化や高性能を維持したままでの低消費電力化といったことが求められるようになった.これらの要求をかなえるために,デザインプロセスにおいて,高いレベルですばやく電力や遅延時間を見積もるということが非常に重要である.本稿ではRTLにおける遅延マクロモデルの提案を行っている.このモデルはV_<dd>,V_tのばらつきに対してトランジスタレベル並みの精度を目標としている.モデル化の手法,及び寄生容量の考慮などに関する検討内容と実験結果について示す.
著者
中嶋 将太 福井 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.413, pp.129-134, 2009-01-22

近年,LSIの微細化,高性能化に伴い,設計時間の短期化や高性能を維持したままでの低消費電力化といったことが求められるようになった.これらの要求をかなえるために,デザインプロセスにおいて,高いレベルですばやく電力や遅延時間を見積もるということが非常に重要である.本稿ではRTLにおける遅延マクロモデルの提案を行っている.このモデルはV_<dd>,V_tのばらつきに対してトランジスタレベル並みの精度を目標としている.モデル化の手法,及び寄生容量の考慮などに関する検討内容と実験結果について示す.
著者
大槻 正明 河合 真登 小八木 達也 福井 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.416, pp.49-54, 2008-01-09

システムの大規模化に伴い設計期間の短期間化・低消費電力化が求められるようになった.これらの要求を満たす為にはより抽象度の高い段階において短時間で且つ高精度な電力推定を行い,低消費電力化技術を施すことが重要である.本稿ではLook-Up Table(LUT)を用いた新たな高効率電力モデル化手法を提案する.従来の提案手法に対して,LUTの大きさを大幅に削減することができるため,RTLの電力解析,および電力ライブラリ構築の大幅な効率化が期待できる.実験により,従来手法に比較して,解析精度をほぼ同レベルに保ちながらライブラリ構築に要する計算時間を約1/10に削減できることを確認した.