著者
桐淵 寿子 福場 博保
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.17-20, 1969-01-20 (Released:2009-11-16)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

各種マーガリンについて, トランス型不飽和脂肪酸の含有量を赤外吸収法によって求めた。 なお不飽和脂肪酸量, および脂肪酸組成をガスクロマトグラフイーによって測定し, これらのデーターとの相関から, 各マーガリンの特徴を考察した。アメリカ製マーガリンでは, ハード型ではトランス酸量46-73%であり, ソフト型では23-36% (一例を除く) であった。 これらマーガリンの不飽和酸含量は大体75-85%の範囲内で, 特に両者間に著しい差はなかった。 これに対し, 国産品では不飽和脂肪酸含量はソフト型43-65%に対し, ハード型23-31%で, ハード型の不飽和酸含量が著しく少なく, トランス酸量はハード型, ソフト型の間には著しい開きがなかった。
著者
四十九院 成子 福場 博保
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.108-114, 1977-04-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

プリンスメロン汁液添加ゼリーが凝固しないことからプロテアーゼ活性のあることを見いだし, 粗酵素液を調製してその酵素化学的諸性質および精製法について検討した.至適 pH 10.9, 至適温度60℃, 至適基質濃度0.8%, 熱安定領域は60℃10分間加熱まではほぼ安定で90℃で完全に失活した, 銀, 鉄, 水銀イオンなどの重金属イオンは酵素活性を減少させた.緩衝液にマグネシウム, カルシウムイオンを添加すると透析時の酵素の安定化と比活性の上昇に役立っていた.またEDTAで影響を受けずPMSFによる阻害効果が大であることから, 本酵素がセリンプロテアーゼであることが示唆された.透析, CM-セルロースおよびセファデックス G-100 グロマトグラフィーによって粗酵素液の11.4倍に精製した。分子量はゲルろ過法により約47,500と推定された.
著者
大塚 愛 森高 初恵 福場 博保 木村 修一 石原 三妃
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.759-767, 2001-10-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

コーンフラワーを原料としたトルティーヤ調製において,炭酸カルシウムを添加すると,デンプン粒子の膨潤・崩壊,分子の膨潤・水和が促進されたが,変化の程度は小さかった,炭酸カルシウム添加では,加熱により空洞が組織中に観察され,吸水率が増加した.このため,炭酸カルシウム添加トルティーヤでは水分の多い具材を巻いて食べる際には,水分を良く吸収し食べ易さが向上すると考えられた.一方,水酸化カルシウムを添加した場合には,デンプン粒子の膨潤・崩壊,分子の膨潤・水和は炭酸カルシムを添加した場合よりも促進され,組織は緻密となった.従って,水酸化カルシウム添加では,調理操作上あるいは具材を包んで食べる際には破れにくくなり,これらの点で利便性は向上すると考えられたが,添加により強いアルカリ味が生じ,赤味の強い色調になるために,利用に際しては添加量に注意を払う必要があると考えられた.
著者
坂本 秀樹 森 啓信 小嶋 文博 石黒 幸雄 有元 祥三 今江 祐美子 難波 経篤 小川 睦美 福場 博保
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.93-99, 1994
被引用文献数
1 23

トマトジュースの連続飲用による血清中のカロテノイドの濃度の変化を調べた。また同時に飲用による血清中のコレステロール濃度の変化も調べた。65名の被験者を1日1本, 2本, 3本のトマトジュース飲用区と対照のリンゴジュース1本の飲用区の4区分に分け, 連続4週間の摂取を行った。<BR>1) リコペン濃度は飲用本数の増加に従い有意に増加し, 2本以上の区分では飲用後の飲用前に対する血清中濃度は3倍以上となった。<BR>2) β-カロテンは, トマトジュース中の含有量はリコペン量の約1/30であるにもかかわらず, 血清中において有意な増加を示し, 3本の区分では飲用後の飲用前に対する血清中濃度は約2倍近くとなった。<BR>以上の結果より, トマトジュースの飲用は血清中のリコペンとβ-カロテンの濃度上昇に有効であることが明らかとなった。<BR>3) トマトジュース中のリコペンはall-<I>trans</I>型がほとんどであるのに対して, 飲用後の血清中ではcis型の増加も見られたことから, 体内ではリコペンの異性化起きていることが示唆された。<BR>4) いずれの試験区においても, 血清中のLDL-コステロールをはじめとする脂質の増加は見られず, トマトジュースの飲用によるカロテノイドの血清中の濃度上昇は, 血清脂質濃度の上昇を促さないと考えられた。