著者
浅利 裕伸 池田 敬 岩崎 亘典 岩下 明生 江成 はるか 江成 広斗 奥田 加奈 加藤 卓也 小池 伸介 小寺 祐二 小林 喬子 佐々木 浩 姜 兆文 杉浦 義文 關 義和 竹内 正彦 立木 靖之 田中 浩 辻 大和 中西 希 平田 滋樹 藤井 猛 村上 隆広 山﨑 文晶 山田 雄作 亘 悠哉
出版者
京都大学学術出版会
巻号頁・発行日
2015-03-25

希少種の保護や過増加した在来種・外来種の対策など、野生動物をめぐるさまざまな課題に応えるフィールド調査法。各動物の食性や個体数に関する既存研究をまとめ、地図の読み方やフィールド機材の使い方、糞や足跡をはじめとする動物の痕跡の識別法を具体的に示し、得られた情報から食性や個体数、生息地を評価する方法を体系的に解説する。
著者
篠田 優香 佐伯 緑 竹内 正彦 木下 嗣基
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.179-187, 2021 (Released:2021-08-26)
参考文献数
32

タヌキのロードキル発生状況を,茨城県阿見町から千葉県成田市までの約35 km区間において32ヶ月間にわたり記録した.この間に124件のロードキルが確認され,秋に多く発生していた.また,この約半数が全体の3分の1に満たない水田優占地帯で発生した.ロードキル発生要因を景観構造の観点から解明するため,ロードキル数を目的変数,土地利用割合を説明変数とした偏最小2乗(PLS)回帰分析を行った.その結果,「水田」と「緑の多い住宅地」が,ロードキル数に対する変数重要度の大きい正の要因であることが明らかとなった.さらに,水田優占地帯においては,大区画水田が単一的に広がる景観と,樹林地や住宅地と混在した小区画水田が残存している景観では,ロードキルの発生時期と発生場所に違いが見られた.これらのことから,タヌキのロードキルは,秋季の分散に伴う行動特性に加え,周辺の土地利用割合,タヌキの生息地利用と景観構造との相互作用による影響を受けていると考えられた.
著者
上田 剛平 小寺 祐二 車田 利夫 竹内 正彦 桜井 良 佐々木 智恵
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物保護 (ISSN:13418777)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.47-57, 2012-05-31 (Released:2017-09-07)
参考文献数
32
被引用文献数
5

The Japanese hunter population has been declining and aging since the 1970s. As hunters' removal of nuisance animals is important for the prevention of agricultural damage, their retention is critical for sustainably managing Japan's wildlife. In order to understand the reasons for the decline in the number of hunters and propose appropriate retention measures, we surveyed 1,409 people who did not renew their hunting licenses in 2008 and 2009. The respondents who revoked their trap hunting licenses were younger and had significantly shorter hunting careers than those who revoked their gun hunting licenses. The former had mostly carried on hunting for nuisance control until the cost of hunting became too expensive for them to continue. Therefore, provision of economic incentives could be an important retention measure. While the main reason given by both big game and bird hunters was the reinforcement of gun holding regulations, bird hunters indicated that the reduction in the number of game birds and loss of hunting area were also problematic factors. Thus, in order to retain bird hunters, it is important to improve the environmental conditions of bird hunting.
著者
竹内 正彦
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.34-46, 2017-05-10 (Released:2022-05-27)

『源氏物語』「夕顔」巻において、光源氏は「顔をほの見せたまはず」夕顔を訪問する。従来、三輪山式神婚譚がふまえられていることが指摘され、光源氏は覆面姿であるか否かといった議論がある当該箇所について、覆面の文化史的意義や光源氏の顔のあり方等をおさえながら、光源氏は覆面をつけていたと考えるのが妥当であるとし、そのことによって呼び起こされてくる伝承世界を考察したうえで、物語世界が構築されていくありようについて考えた。
著者
竹内 正彦
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00007, (Released:2023-02-03)

近年,地球温暖化による農産物への被害,影響が懸念されている.リンゴでは高温により,着色不良や内部褐変の発生や冬場の高温により耐寒,耐凍性が低下した状態での急激な低温,霜による被害が発生している.また台風,秋の長雨による落下や冠水被害の発生も見られる.長野県では多様な品種により7から12月までの長期に渡るリレー方式の栽培がなされている.災害の時期により各品種の生育度合いが異るため,熟度,加害の度合いも異なる.加害果は大半が未熟果であり安全性や食味で多くの課題がある.一方,未熟果には機能性の成分であるポリフェノールを多く含み,機能性の素材として期待される.気象変動に関し,予測,予防,品目,品種,栽培技術面での対策は進んでいるが,被害を受けた農産物の利用法に関する検討は進んでいないのが現状である.今後,国,地域や産地および加工業者が一体とあり安全面の整備,利用法について取り組む必要がある.
著者
佐藤 正衛 竹内 正彦 山端 直人 平田 滋樹
出版者
関東東海北陸農業経営研究会
雑誌
関東東海北陸農業経営研究 = Kantō Tōkai Hokuriku journal of farm management (ISSN:21897646)
巻号頁・発行日
no.107, pp.55-61, 2017-02

わが国では、野生鳥獣による農業被害や自然生態系への影響が深刻化しており、農作物被害額については、ここ十数年、年間200億円前後で推移している。鳥獣被害の深刻化、広域化の背景として、江成は、農山村の体力低下と野生動物との関わりの変質化を指摘している。具体的には、過疎化、高齢化による耕作地、樹園地の放棄、撤退、狩猟者減少等の体力低下が生じた。これに加え、薪から石油、牛馬から自動車へといった生活様式の変化に伴う里地利用の事実上の消滅から、野生動物が集落内の環境を利用するようになり、また、野生鳥獣の経済的価値も低下し、人との距離感、捕獲指向が変化した。その延長での農地侵入、被害の増加、拡大という構図が考えられることから、被害対策としては、野生動物と人との距離感を広げる環境整備と確実な技術と実施方策に基づく被害防除に加え、加害個体の捕獲の3つを連携させた「総合対策」が重要である。こうしたなか2007年に成立した鳥獣被害防止特別措置法にもとづき市町村が主体となって被害防止対策に取り組まれてきたものの鳥獣被害を軽減させることができなかったことから、さらなる対策の強化が必要とされた。そこでの捕獲目標は、シカ、イノシシの生息頭数を平成35年度までの10年間で半減させるというものであり、これを実現するためにICT等を用いた大量捕獲技術の導入や捕獲鳥獣の食肉加工利用の推進を図ることとされている。そして、これら対策の実施主体は市町村に設置される鳥獣被害対策実施隊であることから、今後は実施隊への支援策の拡充が重要な課題であるといえる。その具体策のひとつとして新しい捕獲技術導入の採否や捕獲鳥獣の食肉加工利用の適否を判断するための情報の提供があげられる。桑原・加藤は、イノシシ対策としてのワイヤーメッシュ柵設置コストを試算し政策支援額の目安を提示した。しかし捕獲は分析対象とされておらず、今後提供されるべき支援情報として必ずしも十分ではない。そこでこうした課題に応えるため、本稿では、まず捕獲の技術体系データの構築方法を検討し、次に手順にそってデータ構築を実施する。そして、構築データを用いて従来の狩猟方法との比較分析を実施する。さらに、分析結果をふまえて、主に実施隊への有用情報の提供可能性の観点から技術体系データの利活用方法を考察する。
著者
竹内 正彦
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.187-196, 2007 (Released:2007-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

An invasion prevention plan against wild badgers (Meles meles) was designed for a field of cultivated strawberries. Badgers climbed nets using their claws and caused damage in the object field in Fukuyama City, Hiroshima Prefecture, in 2003. After the invasions recurred in 2004, the animal was judged to have been a badger. Subsequently, appropriate netting material that corresponded to the badger's invasion behavior was selected and a method of constructing a defense net was devised: a corrugated plate was placed in the ground of the strawberry field. No invasions occurred during the fruiting period in May 2005, suggesting that this net system was an effective countermeasure. The system completely prevented agricultural damage. Defensive measures against damage by meso-carnivores such as badgers include those that protect against digging animals, climbing animals, and scrambling animals. Against the former, the corrugated plate was effective. Against the latter two, slippery netting material was effective.