- 著者
-
奥田 圭
關 義和
小金澤 正昭
- 出版者
- 一般社団法人 日本森林学会
- 雑誌
- 日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
- 巻号頁・発行日
- vol.94, no.5, pp.236-242, 2012-10-01 (Released:2012-11-22)
- 参考文献数
- 50
- 被引用文献数
-
11
5
シカの高密度化に伴う植生改変による鳥類群集への影響を明らかにするため, 栃木県奥日光のシカ密度の異なる3地域 (各地域8地点) において植生構造と鳥類群集の種組成の関係を調べた。シカ密度と植生条件との関係を調べた結果, シカ密度と生木本数, 胸高断面積合計, 樹種数との間に負の相関がみられ, シカの高密度化により植生構造が改変していることが示唆された。次に, TWINSPANと判別分析を用い, 鳥類群集の種組成の変化要因を調べた。TWINSPANの結果, 調査地点はグループA (シカ高密度地点) とB (シカ低密度地点) に, 鳥類はグループ1∼4に分類された。開放的な環境を選好する鳥種は主にグループ1に属し, グループAに多く出現した。低木層を採食場所とする鳥種は主にグループ4に属し, グループBに多く出現した。樹洞営巣性の鳥種は主にグループ2と3に属し, グループAとBに同程度出現した。また, 判別分析の結果, グループAとBの違いを最もよく判別する植生条件は, 低木層と亜高木層の生木本数と, 低木層の樹種数であった。以上から, 本調査地の鳥類群集の種組成が変化した主要因は, シカの高密度化に伴う植生改変であると結論した。