著者
米田 信子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.255, 2008

ナミビアはアフリカ諸語による母語教育を推進しているが,アフリカ諸語の話者たちは英語による教育を望んでいる。英語なくしては現金収入も十分な情報も得ることができない現実の中での選択である。「母語で教育を受ける権利」だけではなく「自分の言語に誇りを持つ権利」が見直される必要があると思われる。本発表ではアフリカ諸語推進の可能性とそこにフィールドワーカーがどのように関わることができるのかについて検討する。
著者
米田 信子 永原 陽子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

東ヘレロ語コミュニティにおける現地調査で収集したデータをもとに,声調,テンス・アスペクト・ムードの体系,複文の構造を中心にヘレロ語の記述研究を行った。その成果は論文および国内外の学会や研究会で発表した。また国際共同研究については,2010 年度に Lutz Marten 氏(ロンドン大学)とヘレロ語の共同研究を開始したほか,最終年度には英国から 2 名のバントゥ諸語研究者を招聘し,これまでの成果発表と共同研究の展開を目的とした国際バントゥ諸語ワークショップを大阪で開催した。継続的な国際共同研究へ展開させる十分な土台ができたものと思われる。
著者
梶 茂樹 品川 大輔 古閑 恭子 米田 信子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

声調声調というと、東アジア大陸部のいわゆる単音節語をイメージすることが多い。しかしながら、これらをもって声調言語一般を語るわけにはいかない。アフリカにおいては多様な声調言語の類型が現れる。例えばコンゴのテンボ語のように、単語を構成する音節(あるいはモーラ)数に従って声調のパターンが等比級数的に増える言語もあれば、タンザニアのハヤ語のように互換の音節数に従って等差級数的に増える言語もある。さらにウガンダのニョロ語のように単語の音節数に関係なくパターン数2を保持する言語もある。さらにアフリカの声調・アクセント言語において重要なことは、声調の語彙的機能にも増して文法的機能が卓越していることである。
著者
梶 茂樹 米田 信子 古閑 恭子 品川 大輔 塩田 勝彦 神谷 俊郎 若狭 基道
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アフリカには多くの声調言語が話されている。アフリカの声調言語の特徴は、アジアの声調言語に比して、声調の語彙的機能が低く文法的機能が高いということである。例えば、多くのバンツー系諸語では、しばしば声調のみで時制・アスペクトが区別されるし、また声調のみによって関係節かそうでないかが区別される。またガーナのアカン語では所有表現が声調のみで表現されるということもある。このような声調の文法的機能はアフリカの声調言語の大きな特徴である。
著者
米田 信子 中島 久 小森 淳子 竹村 景子 米田 信子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では「スワヒリ語圏」におけるスワヒリ語すなわち「超民族語」(民族を超えた共通語)と諸民族語の相互の影響を明らかにするために,東アフリカにおいてスワヒリ語と各民族語に関する社会言語学的調査および記述言語学的調査を行なった。スワヒリ語圏には異なるタイプの言語接触の状況が存在するが,各地域での調査結果を比較しつつ網羅的に言語状況を捉えたことにより,スワヒリ語圏の言語文化的な動態をより正確に記述することができたと思われる。
著者
原口 庄輔 岡崎 正男 佐々木 冠 時崎 久夫 田中 伸一 寺尾 康 上田 功 米田 信子 小松 雅彦 西山 國雄 白石 英才 三間 英樹 田端 敏幸 本間 猛 深澤 はるか
出版者
明海大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、今まで一見すると混沌した状況にあった音韻類型に関する諸問題について、帰納的接近法、演繹的接近法、相関関係からの接近法、という三つの方法論により、新たな知見を得ることを目的としたものである。研究期間中に、三つの方法論により次の研究成果が上がった。(1)個別言語の具体的な音韻現象に関する新たな一般性の発見、(2)最適性理論における制約に関する新たな提案、(3)語の韻律構造と文の語順の相関関係の明確化。これらの知見は、すべて、新しい音韻類型確立に貢献するものである。
著者
萬宮 健策 堀 一成 松本 健二 石島 悌 平松 初珠 片桐 真子 米田 信子 藤家 洋昭 山根 聡 宮本 マラシー 竹原 新 竹村 景子 高橋 明 近藤 久美子 長谷川 信弥
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

言語横断的な会話文および語彙データベース作成が、本研究の最大の目的であった。言語によってデータベースの大きさにばらつきは出たものの、多言語間での語彙や短文の簡易検索や、一部の言語における映像資料との連携などが可能となった。日本では商業ベースで注目されることが少ない、いわゆるLCTL(LessCommonlyTaughtLanguages)の外国語教育への応用も含め、これまでにあまり例を見ない使用に耐えるデータベースが構築され、当初の目的は概ね達成できたと考える。