- 著者
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西野 順二
西野 哲朗
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.2, pp.11-21, 2010-03-17
本論文では簡略化した評価値を導入することで,不決定性を持つため探索がしにくい多人数ゲームの終盤データベースを構築した.さらに,これを用いて多人数不完全情報ゲームの意思決定を行うプレイヤモデルへ適用し,コンピュータ大貧民大会サーバを用いた実験によりデータベースの有効性を示した.多人数ゲームには自己の判断によって利得を制御できず,第三者の合理的でない判断によって左右される不決定という状態を持つ.これに対して大貧民のサブセットである単貧民化を行って手の縮約を施し局面を限ったうえで,シングルトンにより単純化した評価を用いることで最終 10 枚の終盤データベースの構築を行い,3 人の場合で 38%,4 人で 25% の場合について必勝手を発見した.不完全情報の局面を必勝手に帰着することで着手決定を行うプレイヤモデルを構築し,対戦実験によりパフォーマンスの向上がみられ,有効なモデルであることを示した.