著者
内部 英治 銅谷 賢治
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.293-304, 2007-12-05 (Released:2008-11-21)
参考文献数
57
被引用文献数
1

近年の人工ニューラルネットや機械学習の発展により, 学習能力を持った様々なロボットや人工エージェントなどが開発されている. しかしロボットに目的の行動をうまく学習させるためには (1) メタパラメータ, (2) 報酬関数, (3) 状態表現, (4) 学習アルゴリズムの選択, といった問題を注意深く設計しなければならない. 多くの人工システムでは, それらは設計者が試行錯誤を通して設定していたが, 人間やそれ以外の動物は多様に変化する環境下でも新しい行動を次々と学習している. このようなメタな学習を実現している計算理論とは何かを解明することがサイバーローデントプロジェクトの目的である. 本稿では我々の研究を中心として, 上記4つの問題を自律的に調整・獲得するための手法について概説する.
著者
長谷 賢治
出版者
沼津工業高等専門学校
雑誌
沼津工業高等専門学校研究報告 (ISSN:02862794)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.97-102, 2002-01-31

The Linear Time-varying State Space Model(LTM) is one of important system models in engineering. The purpose of this report is to present a new computational algorithm for solving minimum norm control problems of LTM. The new algorithm is based on the small gain theorem. The justificability of the new approach is illustrated by some examples.
著者
長谷 賢治
出版者
沼津工業高等専門学校
雑誌
沼津工業高等専門学校研究報告 (ISSN:02862794)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.9-13, 1988-01-30

Squire's theorem is fundamental in a fluid stability theory. This theorem asserts that in a parallel flow, the critical Reynolds number for 3-dimensional (3-D) disturbances is always greater than that for 2-D disturbances. This report attempts to give a proof of Squire's theorem in a constructive approach. A process of the proof itself gives a method of a stability analysis for 2-D parallel flows. The stability of fundamental flows, I. e. a plane Poiseuille flow and a Couette flow, are invenstigated by the method. These results give a good agreement with previous one.
著者
住谷 賢治 馬場 泰行 猪股 伸一 豊岡 秀訓 幸田 幸直
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 = Journal of the Pharmaceutical Society of Japan (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.120, no.7, pp.652-656, 2000-07-01
参考文献数
17
被引用文献数
8

Orally-disintegrating tablets of clonidine hydrochloride, an α_2-adrenergic agonist, were prepared by the method of drying an aqueous suspension. The suspension was prepared using powdered lactose, and the composition ratio was 2 : 1 (powdered lactose : 0.048% clonidine hydrochloride solution). The suspension was dried under 4±1℃(72±15% R.H.). We obtained tablets containing clonidine hydrochloride (40μg/tablet). Physical properties of the tablets were as follows : hardness was 4.0 kgf, and disintegration time was 41.7 s (in vitro). In the clinical use, 8 patients, aged 1-2 year and weighing 9-11 kg, received approximately 4μg/kg body weight as clonidine hydrochloride. The tablet was administered 90 min before entering the operating room. All patients were willing to accept the tablet. The quality of separation from parents, sedation and a mask acceptance were excellent on all patients. These results suggest that the orally-disintegrating tablet of clonidine hydrochloride was useful in a clinical situation for the preanesthetic medication of pediatric patients aged 1-2 year.
著者
多田 邦尚 一見 和彦 山口 一岩 石塚 正秀 本城 凡夫 樽谷 賢治
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

瀬戸内海東部海域における近年の栄養塩低下とその原因について研究した。瀬戸内海では高度経済成長期に富栄養化が著しく赤潮も多発していた。その後、水質は改善されたが、逆に近年では養殖ノリの色落ち等の被害が出ている。栄養塩の減少原因には、陸域からの窒素負荷量の減少だけでなく、堆積物からの栄養塩溶出量の低下も大きく影響していると考えられた。栄養塩濃度と赤潮発生件数等との関係についても検討した。
著者
松本 有央 岡田 真人 銅谷 賢治 菅生 康子 山根 茂 河野 憲二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.686, pp.93-100, 2001-03-14

サル側頭葉に存在する顔細胞集団の活動パターンから視覚刺激画像の階層的な構造を抽出できるかどうかを検証するために, Sugaseらの実験データを解析した. 45個のニューロンの活動から38枚の刺激画像に対する38個の応答ベクトルを生成し, そのベクトルをVariational Bayes (VB)アルゴリズムを用いた混合正規分布解析でクラスタリングした. その結果, 異なった画像に対応するニューロン集団を表すベクトルは, 応答の開始時(90-140ms)において"顔か単純図形"などの大分類情報に対応する3つのクラスターを形成した. それに遅れて(140-190ms)それぞれのクラスターは分離し, "人の個体分類"などの詳細な分類情報に対応するサブクラスターを形成することを発見した. さらに相互情報量を計算することでニューロン集団はヒトは個体, サルは表情, 図形は形によって詳細なクラスターが形成されていることが分かった.
著者
川人 光男 銅谷 賢治 春野 雅彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, no.38, pp.57-64, 2000-06-22

言語などのヒトの高次認知機能を神経科学の研究対象とするためには、サルなどの動物実験で得られた神経科学のミクロなレベルの知識を、計算理論を媒介として、ヒトを対象にした脳活動の計測データや、言語学などの研究と統合する必要がある。このための新しい計算理論とそれを支持するデータを紹介する。我々の提唱するアプローチの対極となる、Chomskyが構築した生成文法研究で大前提とされる仮定に対する批判を行いながら、研究の全体像を俯瞰する。
著者
青木 繁 BUI Huy Duon YANG Wie KNAUSS Wolfg 北川 浩 岸本 喜久雄 YANG Wei HUY Duong BU WEI YANG WOLFGANG KNA MAIGRE H. RAVICHANDRAN ジー ROSAKIS Ares NAKAMURA Tos 天谷 賢治
出版者
東京工業大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

本研究は,日米中仏の4ヶ国の研究者の共同研究により実施するのもので,材料の破壊プロセスにおける微視的な内部構造変化について総合的に検討するとともに,それらを踏まえたメゾスコピック材料モデルを構築することを目的とする.すなわち,本研究では,原子レベルならびにナノレベルにおける微視的アプローチ,不均質材料,材料界面,高分子材料,複合材料の損傷・破壊モデルの検討,および,衝撃荷重や環境など外因の影響を踏まえた材料モデルの考察など,種々の立場から,材料モデルの構築を進めるとともに,相互に協力,啓発を行い,それらを統合化した材料の寸法尺度,時間尺度に対する階層構造を的確に捉えたメゾスコピック材料モデルの構築を目指している.本研究において設定した調査テーマは下記の通りである.(1)分子動力学法を基礎とする材料モデルの構築,(2)材料の損傷・破壊現象のミクロとマクロメカニクス,(3)界面強度特性とミクロ・マクロ材料モデル,(4)不均質材料の特性発現機構と損傷機構のミクロ・マクロモデル,(5)複合材料の損傷過程とミクロ・マクロモデル,(6)ミクロ構造を考慮した高分子材料モデルの形成とマクロ特性,(7)破壊のプロセスゾーンの損傷モデル,(8)衝撃荷重下における材料の破壊モデル,(9)材料の環境強度に及ぼす電気化学因子のモデル化また,東京工業大学,カルフォルニア工科大学,エコールポリテクニークにおいて共同研究を実施するとともに,中国,カナダ,アイルランド,ポルトガルにおいて調査研究を実施した.それらの結果,材料の内部微細構造の変化のダイナミクスを多面的に捉えるための分子動力学法,境界要素法,有限要素法などの種々の方法に基づくモデリング手法についての知見が得られた.
著者
田中 沙織 銅谷 賢治 岡田 剛 上田 一貴 岡本 泰昌 山脇 成人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.157, pp.37-42, 2002-06-20

強化学習において「メタパラメタ」の設定は非常に重要かつ困難な問題である.本研究では神経修飾物質のセロトニンが報酬予測の時間スケールを決定するという仮説の検証に向けた準備実験を行った.長期と短期の報酬予測を行うタスクを用意し,実行中の脳活動をfMRIにより測定したところ,長期の報酬予測では視床下核,視床背内側核,淡蒼球などの基底核と,皮質では帯状回後部,前頭前野,頭頂後頭側頭連合野に顕著な活動が見られた.これに対し,短期の報酬予測では被核,帯状回前部に目立った活動が見られた。これらの結果は,時間スケールの異なる報酬予測は,異なるネットワークを介して行われていることを示唆していた。さらに強化学習理論に基づいた解析を行ったところ,長期の報酬の予測誤差に関連する部位は視床下核,淡蒼球であった.この結果は,大脳基底核の強化学習モデルを支持するとともに,さらに機能ごとに詳細化されたモデルを構築するうえで重要な手がかりになることと思われる.