著者
松永 敬一郎 白井 輝 五十嵐 俊久 谷 賢治 菅 千束 池沢 善郎 大久保 隆男
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.58-63, 1993-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
16

突発性難聴に対するステロイド療法直後より,掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)およびバセドウ病を発症した症例を経験した.症例は55歳女性.掌蹠膿疱症と診断されてから約1ヵ月後に突発性難聴を併発.ステロイドによく反応し聴力はほぼ正常に回復したが腰痛,胸鎖骨痛,発汗,動悸が出現した.骨シンチ, T3, T4の高値, TSHの低下,甲状腺シンチよりPAOおよびバセドウ病と診断した.メチマゾール(MMI)と非ステロイド性抗炎症剤の投与にてPAO,バセドウ病は軽快していたが,金属アレルギー検索を目的としてパッチテストを施行したところPAOおよびバセドウ病が増悪した. MMIを増量し,パッチテストで強陽性を示したアンチモンを除去する目的にて歯科治療を施行した.歯科治療後約1年間PAOの再燃は認められなかったが,バセドウ病は増悪した.バセドウ病に対してMMIを単独再投与したところPAOも良好にコントロールされた.
著者
鮫島 和行 片桐 憲一 銅谷 賢治 川人 光男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.2092-2106, 2001-09-01
被引用文献数
17

本研究では, 複数の予測モデルを用いた強化学習方式(MMRL)を提案する.MMRLでは, 制御対象の将来の状態を予測する予測モデルと, 制御出力を学習する強化学習コントローラを組としたモジュールが複数用意され, 各予測モデルの予測誤差のsoftmax関数により予測の正確なモジュールほど大きい値をもつ「責任信号」が算出される.各モジュールの学習と制御出力を責任信号によって重みづけることにより異なる状況に対応したモジュールが形成される.MMRLでのモジュール数や担当領域などの事前知識なしにロバストなモジュール化を実現するために, 空間・時間的な連続性の仮定による事前責任信号の定式化する.また, MMRLの効率的な実装法として複数の線形予測・2次報酬モデルによる最適コントローラ(MLQC)の定式化を行う.MLQCの性能の確認を行うため単振子を用いた振上げのシミュレーションを行う.単振子のつり下がり付近と倒立点付近の局所線形予測モデルとそれに対応するコントローラが学習により獲得され, 従来手法よりも高速にタスクが学習可能であり, またモジュールの冗長性にも対応可能なことを示す.
著者
清水 実嗣 山田 俊治 村上 洋介 両角 徹雄 小林 秀樹 三谷 賢治 伊東 伸宜 久保 正法 木村 久美子 小林 勝 山本 孝史 三浦 康男 山本 輝次 渡辺 一夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.389-391, 1994-04-15
被引用文献数
31

ヘコヘコ病発病豚の病原学的検索を行った.その結果,血清と肺よりPRRS ウイルスが,また肺よりMycoplasma hyorhinis(Mhr)が高率に分離された.無菌豚に分離ウイルスChiba92-1株を接種したところ,全葉性の増殖性間質性肺炎が再現され,ウイルスが長期間回収された.肺炎はMhrとの重感染例において重度化する傾向にあった.以上の成績から,わが国にPRRSウイルスが存在し,本病の発生に同ウイルスが関与することが明らかとなった.
著者
磯村 拓哉 銅谷 賢治 小松 三佐子 蝦名 鉄平
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2023-04-01

脳の計算原理を解明し人工知能に実装することは自然科学最大のフロンティアである。脳はどのように外界の生成モデルを獲得し予測や行動を実現しているのだろうか?本領域の目的は、最先端の計測技術を用いて様々な動物の脳から神経細胞の活動を高精度・大規模に取得し、データから生成モデルをリバースエンジニアリングすることで、脳の統一理論を構築・検証し、その神経基盤を解明することである。そのために神経科学と情報工学の融合領域を創成する。
著者
井上 靖雄 佐藤 幸雄 柏谷 賢治
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.38, no.429, pp.601-606, 1989-06-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

Rolling contact fatigue tests are performed by using cylindrical test pieces taken out of rail, under conditions of slip ratio 0%, Hertz' contact stress 1.2GPa, velocity 60km/hr and water lubrication. The behavior of plastic deformation below the contact surface of the test piece is analyzed with an X-ray device and a transmission electron microscope. The results indicate that the dislocation density increases, while a preferred orientation texture and a cell structure emerge in the contact surface layer with an increase in the number of cycles of rolling contact fatigue. Slip deformation of crystal is accelerated further when fatigue progresses to a number of cycles larger than a specific value and then so called “shelling” grows with a remarkable development of the texture in either the rail or the wheel.
著者
柏谷 賢治 井上 靖雄 佐藤 幸雄 松山 晋作
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.36, no.407, pp.786-791, 1987-08-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
14
被引用文献数
4 4

In order to clarify the mechanism of initiation of rolling contact fatigue cracking, so called shelling, on the running surface of rails in railway track, the characteristics of the deformed rail surface layer have been investigated by means of electron microscopes (SEM, TEM) and X-ray apparatus comparing the rolling-contacted test pieces and cold-rolled test pieces. A texture is formed as a result of the simple slip deformation of crystals in the deformed surface layer of rails used in track and the rolling contact fatigue-tested rails. This texture disappeared at the topmost surface because of the occurence of some random plastic deformation. On the contrary, the texture of the cold-rolled test pieces results from the complex slip deformation of crystals and does not disappear at the surface.
著者
青木 繁 天谷 賢治
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.121-129, 2000-06-15 (Released:2017-04-08)
参考文献数
10

After a brief description about the ill-posed inverse problems which are discretized with the finite element method etc., a method for solving such problems is presented with a practical example. This method consists of the following procedures. 1. The singular value decomposition of the coefficient matrix is performed, and then the rank is appropriately reduced. 2. A set of solutions is represented by Moore-Penrose's solution and the null space. 3. The solution is obtained by fuzzy reasoning using the set of solutions and sets of fuzzy priori information. Following three studies are presented: a study which the Kalman filtering technique is applied to estimate the material parameters of two nonlinear constitutive equations, A method for obtaining the optimal experimental/measurement procedure for general estimation problems, and a method (GA filter) for non-linear state space estimation using genetic algorithm.
著者
富田 隆 後藤 英和 住谷 賢治 吉田 正 田中 勝也 幸田 幸直
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.136, no.3, pp.517-521, 2016-03-01 (Released:2016-03-01)
参考文献数
9
被引用文献数
2 4

To avoid fluctuation of the serum lithium concentration (CLi), sodium chloride (NaCl) intake was regulated in oral alimentation. A 62-year-old woman was hospitalized and orally administered 400 mg of lithium carbonate a day to treat her mania. Her CLi was found to be 0.75-0.81 mEq/L. Vomiting made it difficult for the patient to ingest meals orally, and therefore parenteral nutrition with additional oral intake of protein-fortified food was initiated. On day 22, parenteral nutrition was switched to oral alimentation to enable oral intake of food. The total NaCl equivalent amount was decreased to 1.2 g/d, and the CLi increased to 1.15 mEq/L on day 26. Oral alimentation with semi-solid food blended in a mixer was immediately initiated. Although the total NaCl equivalent amount was increased to 4.5-5.0 g/d, her CLi remained high at 1.14-1.17 mEq/L on days 33 and 49, respectively. We investigated oral administration of NaCl (1.8 g/d) on day 52. The total NaCl equivalent amount was increased to 6.3-6.8 g/d, and the CLi decreased to 1.08-0.97 mEq/L on days 63 and 104, respectively. After the start of the orally administered NaCl, her diet was changed to a completely blended diet on day 125. The total NaCl equivalent amount was increased to 9.0-14.5 g/d, and the CLi decreased to 0.53 mEq/L on day 152; therefore, the oral administration of NaCl was discontinued on day 166. The CLi was found to be 0.70-0.85 mEq/L on days 176 and 220.
著者
深谷 賢治
出版者
日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.p58-66, 1991-01
著者
鎰谷 賢治 菊地 太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_30-I_39, 2021 (Released:2021-03-15)
参考文献数
7

トンネル点検業務の効率化や省力化を目的とした写真画像による点検支援技術が注目されている.この技術で変状の検出や測定などを高精度に行うためには,その撮影画像は変状の検出や測定などの後工程が要求する画像品質を満たす必要がある.この画像品質は,撮影条件や撮影システムの工学的性能だけでなく,撮影対象であるトンネル壁面や変状の状態からも大きな影響を受けるが,撮影されたトンネル壁面や変状の状態を定量的に取り扱うことはこれまで困難であった.本研究では,トンネル壁面や変状の状態を3種類のパラメータのみで定量的に取り扱う方法と,この方法を用いてシステムの性能を低コスト,短時間で合目的的かつ定量的にベンチマークすることができるトンネル点検用撮影画像のシミュレーション方法を開発し,その実用性について検討を行った.
著者
武谷 賢治
出版者
The Society of Fiber Science and Technology, Japan
雑誌
繊維と工業 (ISSN:18842275)
巻号頁・発行日
vol.5, no.9, pp.424-432, 1972-09-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
16
著者
青木 昭子 萩原 恵里 白井 輝 石ケ坪 良明 谷 賢治 大久保 隆男 横田 俊平 清水 広子 松山 秀介
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.729-735, 1990-05-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
22

結核患者の高免疫グロブリン血症を血清クラス別に検討するとともに, BCG菌体成分を抗原としたELISA法にて特異的血清抗体を測定した. 成人患者では血清IgG, IgAの上昇は認められたが, IgMの上昇は認められなかった. 血清IgG型抗BCG抗体価は, 結核患者血清が健常人血清に比べて有意に高値を示した. 活動性患者ではとくに高値を示し, 治療によって抗体価の低下が見られた. この抗体価の測定は結核症の診断や経過観察に有用と考えた. ついで血清抗体の認識するBCG抗原分画をイムノブロット法にて解析した. 65KDa分画は健康人血清でも高頻度で認識され, 他の一般細菌抗原との交差反応性によると考えた. 65KDa蛋白による感作が感染症の病態や自己免疫反応に影響を与えている可能性について考察した. 血清抗体に認識されたBCG抗原分画の中で, 16KDa分画は結核患者に有意に高頻度で認識された. この分画が特異性, 感受性に優れた診断法やコンポーネント・ワクチンの開発に有用ではないかと考えた.
著者
銅谷 賢治
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.265, 2007-12-05 (Released:2010-11-12)
著者
佐藤尚 内部 英治 銅谷 賢治
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG19(TOM19), pp.55-67, 2007-12-15

コミュニケーションの原型は,個体が環境や他の個体との相互作用において,報酬の獲得や適応度の向上に寄与する形で発現したと考えられる.本研究では,報酬最大化を目的とする強化学習エージェントが,余剰な行動と感覚の自由度をコミュニケーショのために使うことを学習できるための条件を,2個体が互いに相手の縄張りに入ると報酬を得るが衝突すると罰を受けるというゲームにより検証した.このゲームでは,コミュニケーションと協調行動のそれぞれが必須ではないが,発光行動を使えるエージェント間では,互いにその光を信号として利用することで衝突を避け,報酬を獲得し合う協調行動の創発が観察された.信号の表現の仕方には多様性が見られ,また作業記憶を持つエージェント間では,信号を送る側とそれに従う側という役割分化も見られた.これは,コミュニケーションと協調行動が必須ではない状況において,意味と信号の任意の対応付けによるコミュニケーションが,コミュニケーションの達成そのものを目的としなくても一般的な行動学習の枠組みにより創発しうることを示す初めての知見である.