著者
長谷川 博
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

時系列データ解析を基礎とした非平衡熱・統計力学の帰納的構築に関する研究を行った。化学振動反応時系列データおよび企業の売上・利益時系列データの解析を行い有意義な結果を得た。また非平衡熱・統計力学についても理論的研究を進めた。(1)熱力学における仕事についての揺動散逸定理を示した。すなわち仕事はエントロピー関数の時間偏微分の自己相関関数として厳密に表される。系が長時間相関を持つ場合、ヒステリス・ループの面積(仕事)に操作周期についてフラクタル・スケーリングが現れることを示した。長時間相関を持つハミルトニアン・カオス力学系による数値シミュレーションで検証した[論文1]。(2)Bromate-Sulfite-Ferrocyanide(BSF)反応振動時系列データをParticle Filterを用いて解析することで、Rabai-Kaminaga-Hanazakiによる反応モデルを改良し、定常・振動の相図を定量的に検証することに成功した[発表1]。(3)東証上場企業の売上・利益時系列データを解析し、自己組織化臨界現象としてのPareto分布を流入のあるときの安定固有超関数として解釈することで、経済系と物理系を共通の視点で捉えることができるようにした[発表2]。(4)仕事についての不等式すなわち熱力学第2法則を、一般の非平衡初期状態についても、成立するように拡張することに成功した。同時に可逆な力学と不可逆な熱力学との関係について、ハミルトニアン・カオス力学系を基礎に解明した[発表3,4]。
著者
長谷川 博 鷲尾 隆 石宮 由香里
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.843-847, 2002-02-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
服部 進 関 章良 行司 菅男 岡本 厚 長谷川 博幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.9, pp.1484-1491, 1996-09-25
被引用文献数
6

現在筆者らはディジタル画像処理で空中写真画像から地形図を図化する図化機「ごくう」を開発中である.相互標定点の計測精度は図化の精度を規定するが,実用上画素の大きさに限界があるので,画像本来の精度を出すには標定点座標をサブピクセルまでとるのが望ましい.しかも作業を軽減するため画像処理を援用した標定が強く望まれている.本論文では相互標定点の座標を半自動の計測法で,高精度かつ安定して計測する手続きを提案した.標定点計測には従来から通常の相関法および最小2乗相関法が提案されているが,後者は恣意的に使うと不安定である.前者も精度についてはあまり報告されていない.本論文では,これらを実験的に比較し,後者が優れていることを示すと共にパラメータ(相関窓の大きさ,自由度)と計測の精度および安定性の関係を調べた.最小2乗相関法は収束域が狭いので,実用性を高めるためこれを広げる工夫を加えた.得られた画像座標の精度の期待値は1/3画素であった.
著者
加瀬 卓 小平 進 寺本 龍生 久 晃生 古川 和男 山口 博 捨田利 外茂夫 長谷川 博俊 郭 宗宏 西堀 英樹 北島 政樹 向井 万起男
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.2055-2059, 1992-07-01
被引用文献数
11

1970年1月から1991年9月までに当教室において経験した,痔瘻に随伴した肛門管癌7例について検討した.7例のうちわけは男性6例,女性1例で,年齢は43〜77歳(平均59.1歳)であった.痔瘻または膿瘍発症から癌確診までの期間は4年〜47年(平均22.9年)であった.主訴として粘液分泌,肛門部痛,腫瘤・硬結触知,出血,肛門狭窄,などが認められた.7例全例に腹会陰式直腸切断術が施行され治癒切除4例,非治癒切除3例であった.組織型は粘液癌3例,高・中分化腺癌3例,扁平上皮癌1例であった.7例中4例は,初回生検で確定診断可能であったが,残りの3例は癌確診までに頻回の診断手技を要した.長期にわたり痔瘻を有し,粘液分泌,腫瘤・硬結触知などの症状を呈する症例については癌の合併を考慮し瘻管切除を含む頻回の生検を施行して確定診断を下すべきであると考えられた.
著者
太田 岳洋 大久保 貴生 石塚 恒夫 古川 聡 朝戸 裕二 小野 久之 吉見 富洋 雨宮 隆太 小泉 澄彦 長谷川 博
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.602-602, 1994-07-25

第25回消化器病センター例会 1994年1月22日‐23日 東京女子医科大学弥生記念講堂
著者
吉元 洋一 勝田 治己 長谷川 博一 杉浦 昌己 宮川 博文 古川 良三 青山 賢治 三橋 俊高
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.321-328, 1988-07-10
被引用文献数
4

脳卒中患者87例に対し, Brunnstrom Stageと姿勢反射機構検査を行い, 以下の結論を得た。1. 上・下肢Brunnstrom Stageと本検査得点の比較では, 全てのStageにおいて健側との間に有意な得点差を認めた(下肢StageI : p<0.05, 他は全てp<0.01)。2. 上・下肢StageIIとIIIの比較では, 健側及び麻痺側共に有意差を認めた(p<0.01)。3. 上肢StageVとVI, 下肢StageIIIとIV, IVとV, VとVIの麻痺側間の比較において有意差を認めた(p<0.05)。4. Brunnstrom Stageと本検査得点の相関係数は, 上肢健側r=0.555, 麻痺側r=0.825, 下肢健側r=0.613, 麻痺側r=0.872と中等度以上の相関関係を認めた。
著者
長谷川 博俊
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、高機能性蛍光・磁性ビーズ(FFビーズ)に上皮細胞で発現している抗原に対する抗体を固定し、血液中や便中の上皮細胞を効率よく磁気回収を行い、回収した細胞を用いての診断を行うことを目的とした。抗EGFR抗体固定化FFビーズとA431(EGFR高発現株)を用い、細胞回収率の検討を行った。回収した細胞を用いてのタンパク質発現や遺伝子異常の検索、癌細胞の同定は臨床検体を用いるには至らなかった。また、大腸癌担癌患者における血清bFGFと、大腸癌細胞の上皮細胞および血管内皮細胞に発現しているPLGFの検討を行った。静脈侵襲および術前CEA値との間に有意な相関を認めた。
著者
長谷川 博 鹿野 真人 佐藤 栄需 金子 哲治 門馬 勉 武石 越郎
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.439-444, 2006-12-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
2 3

高齢者の頭頸部癌治療では副作用が少なく,高い安全性と根治性が要求される。われわれは高齢者口腔癌に対し,ドセタキセル(TXT),シスプラチン(CDDP),ペプロマイシン(PEP),5-FUによるTCPF動注化学療法を行い,その安全性と有効性について検討した。2002年3月から2005年5月までTCPF動注化学療法を行った75歳以上の扁平上皮癌症例10例を対象とした。年齢は75~84歳,平均80歳。部位は舌口腔底8例,頬粘膜1例,上顎歯肉1例。全症例に浅側頭動脈か後頭動脈経由で動注用カテーテルを留置し,TCPF動注化学療法を行い,7例に生検切除を,2例に根治的切除を行った。原発部位に対する効果はCR率80%(8/10),PR率20%(2/10),pathological CR率67%(6/9)であった。副作用は,脳血管障害はなく,動注側の粘膜炎と脱毛が主であり,血液毒性など全身的な副作用はほとんど認めなかった。本療法の有効性と安全性は高く,ハイリスクの高齢者にも根治的治療として適応し得ると考えられた。