著者
石井 恵 金田 重郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.1284-1295, 1997-07-15
被引用文献数
3

事務処理システムは,従来,手続き型言語,テーブルドリブン記述,トリガといった,状態遷移を表現する言語により記述されてきた.しかし,この種の状態遷移記述では,(1)事務処理に必要な手続きをすべて網羅的に書き切ることが難しい,(2)事務規則と整合性のとれた処理結果が生成されることをプログラム記述上で確認することが難しい,等の問題を有していた.上記問題を解決するため,本論文では,事務処理を,「事務処理で扱うデータを事務処理規則と整合する状態に維持する整合性管理処理」とモデル化する.そして,それを具現化する,制約プログラミングによる整合性管理システムを提案する.具体的には,事務規則を制約として記述し,制約充足エンジンによって,事務規則と整合するデータ状態を生成する.本手法を実用事務処理システムのタスクに試用した結果,事務規則を容易に制約記述でき,プログラム記述量を半減できた.また,手続き型記述の実用システムでは十分には対応できなかったレアケースに対しても対処可能となった.This paper presents a constraint satisfaction mechanism for office systems.Regulations for business can be regarded as constraints in terms of the data in business databases and application forms.Clerical work can be regarded as consistency maintenance to keep the data consistent with the constraints.We rewrote an office system using constraints.Experimental results show that all the regulations can be easily described in constraints,the description size is reduced by 50% of the original system and the constraints cover rare cases exhaustively.
著者
新谷 公朗 清水 宏章 金田 重郎 芳賀 博英
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.53, pp.17-24, 2005-05-27
被引用文献数
1

幼稚園・保育所の幼児教育では、保育者(幼稚園教諭、保育士)と保護者が子どもの発達段階について十分にコミュニケーションする必要がある。この際に有力な手段になるのが動画である。しかし、市販されているWebカメラによる動画配信は、不適切な画像を配信する恐れ等があり、必ずしも、保育者の評価は高くない。本稿では、保育者が複数のカメラを用いて、必要とおもったシーンのみを複数のアングルから撮影し、保育者によって編集された動画をBBS形式で保護者と共有するシステムを提案する。BBSシステムは、時間的に推移する動画像の関連したところにコメントを書くことができる点が従来のBBSとは異なっている。プロトタイプによるヒアリングを行なった結果、保護者、保育者双方から積極的評価を得た。しかし、カメラの画角の問題、複数のカメラからの画像選択の移動について課題も明らかになった。今後は、標準・広角のカメラの混在、RFIDによる子どもの位置・方向検出手法を併用を目指しながら、現場における実験を継続したい。This article proposes a framework for community support in infant education. The framework adopts the concept of "Discussion-Embedded Video(DEV),"which is video data within which some comments and discussion are virtually "embedded."By watching the video and embedded comments,participants, including parents of children,school teachers,medical staff,psycho-specialists and other specialists,can more effectively conduct discussions about children. Moving images of the children are recorded by multiple cameras,and by editing the multiple video streaming data,personalized motion pictures of one child are created. Participants can then watch this edited video and discuss it. This article describes the system`s basic concept,schematic illustration of implementation,and an example of its use.
著者
新谷 公朗 清水 宏章 金田 重郎 芳賀 博英
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. IS,[情報システムと社会環境] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.17-24, 2005-05-27
参考文献数
10
被引用文献数
1

幼稚園・保育所の幼児教育では, 保育者(幼稚園教諭, 保育士)と保護者が子どもの発達段階について十分にコミュニケーションする必要がある.この際に有力な手段になるのが動画である.しかし, 市販されているWebカメラによる動画配信は, 不適切な画像を配信する恐れ等があり, 必ずしも, 保育者の評価は高くない.本稿では, 保育者が複数のカメラを用いて, 必要とおもったシーンのみを複数のアングルから撮影し, 保育者によって編集された動画をBBS形式で保護者と共有するシステムを提案する.BBSシステムは, 時間的に推移する動画像の関連したところにコメントを書くことができる点が従来のBBSとは異なっている.プロトタイプによるヒアリングを行なった結果, 保護者, 保育者双方から積極的評価を得た.しかし, カメラの画角の問題, 複数のカメラからの画像選択の稼動について課題も明らかになった.今後は, 標準・広角のカメラの混在, RFIDによる子どもの位置・方向検出手法を併用を目指しながら, 現場における実験を継続したい.
著者
井田 明男 金田 重郎 熊谷 聡志 藤本 明莉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.1340-1350, 2015-05-15

今日ビジネスアプリケーション開発の現場では空前のアジリティが求められている.また,システムはよりいっそうデータ指向的になってきている.そのため,アプリケーションの中核となるモデルとして構築されるドメインモデルは,1)問題領域を端的に記述し,2)ドメインの専門家と開発技術者との意思疎通を促進し,3)ドメインの論理要件を満たして,4)データベース設計のデータモデルへの変換もストレートフォワードに行えるようなモデルであることが要求される.しかしながら,オブジェクト指向の発想だけでは,このようなドメインモデルを構築することは難しく,かといってデータ項目主導型の正規化理論をそのまま持ち込むことは困難である.そこで,本稿では,存在従属性に着目したドメインモデルの構築手法とUMLのクラス図をベースとした表記法を提案する.ホワイトボードに手書きできるくらい簡潔でありながらも識別子の関係が手に取るように理解できるモデルを目指す.存在従属性の概念は理解しやすく,ドメイン中のいたるところで見出されるため,提案手法により,第4正規形と同等以上の正規化レベルを持ったドメインモデルが自然に構築できる.提案手法がオブジェクト指向手法において正規化に似た役割を果たし,ドメインエキスパートとシステムエンジニアが共同で参加するモデリング作業の一助となれば幸いである.
著者
金田 重郎
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年,高齢者・子どもの「孤食」が注目されている.孤食を解決するためには,「何時,どのくらいの食事を摂っているか」を知る必要がある.そこで,本研究では,食事には毎回,特定の「箸」を使う日本の慣習に着目し,導電性箸を用いた,食事センシング手法を検討した.具体的には,箸と食物,あるいは,箸と腕,体がなす閉回路を利用して,食物を掴んだ,あるいは,口に運んだ,タイミングを検出した.箸プロトタイプを用いて実験を行った結果,食物を掴んでいる事,及び,口に食物を運んだ瞬間を,99%の確率で検出できた.更に,集団食事に導電性箸を適用すると,「話の輪」に入ってゆけない参加者を検出できることも確認できた.
著者
高橋 一夫 平野 真紀 糠野 亜紀 新谷 公朗 金田 重郎 白井 由希子
出版者
常磐会短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

保育現場では子ども達の表現活動が重視されている。その表現活動には言語表現の領域があり、日々の保育においても絵本の読み聞かせなどが豊かに実践されている。ところが、絵本などを用いずに話す「素話(すばなし)」は、保育の場において衰退しつつある。そこで本研究では、言語表現活動として重視されるべき「素話」が、なぜ保育現場で衰退しているのかを実証的に分析し、「素話」の実践を支援する方策を模索した。その結果、「素話」では絵本の読み聞かせと異なり、子ども達が想像力を働かせていることが明らかになった。そして、この「素話」に特徴的な効果を理解することが、豊かな実践に必要であることが分かった。
著者
金田 重郎 井田 明男 酒井 孝真
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2014-IS-128, no.3, pp.1-8, 2014-05-30

サピア=ウォーフの仮説は,母語が対象世界の認識に影響する可能性を示唆している.特に,ソフトウェア開発上流工程では,自然言語 (母語) を用いるため,サピア=ウォーフの仮説の影響を受ける可能性がある.しかし,何故か,このことは,従来論じられて来なかった.そこで,本稿では,クラス図が英語の認知構造を反映していること,そして,そのことの認識なしでクラス図を理解しようとしても困難が生じる恐れがあること,を示す.ただし,著者らの従来研究では,日本では良く知られた英語 5 文型を用いてきた.5 文型は非英語圏出身者に英語を教えるためのツールであるが,現在の英国の文法書では,「所格」 を必須とする 7 文型が推奨されている.そこで,本稿では 7 文型を用いてクラス図を理解する.これによって 「もの-こと-もの」 パターンの本質も理解できる様になる.更に,クラス図では,関数従属性によるモジュラリティの確保が必要であることを論じて,7 文型の視点をも併せ,クラス図作成のためのガイドラインを提示する.このガイドラインの下で,日本語特有の 「存在文 (『ある』 型文)」 表現ではなく,関数従属性を取り出しやすい 「行為文 (『する』 型文)」 を用いて,日本語記述文を単文化すれば,日本語圏に生まれた者であっても,見通し良くクラス図を作成できる.本稿で示したクラス図への理解によって,初学者はより易しくクラス図の本質を学び得ると確信している.
著者
金田 重郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.61, pp.1-8, 2010-05-20
被引用文献数
3

要求分析におけるモデリングは,対象世界を認識する行為である.従って,モデリング手法の背後には,その手法を開発した民族の認識哲学が反映されている可能性がある.そこで,本稿では,MASPアソシエーションが提唱する「概念データモデリング(CDM)」及び,それを支える米国発の技術「オブジェクト指向」と,米国の哲学「プラグマティズム」との関係を分析する.具体的には,1)「オブジェクト指向」は,パースの「科学の方法」「可謬主義」そのものであり,2)動的モデルによるエンティティの粒度制御は,パースの新カテゴリー論との類似性が示唆される.更に,3)モデル間を行き来するアプローチは,クワイン・デュエムテーゼにより説明される.プラグマティズムへの理解と対比は,オブジェクト指向とCDMを日本人が理解するための一助となるものと考える.
著者
金田 重郎 吉田 和正 吉澤 憲治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.32, pp.31-38, 2009-03-11
参考文献数
21
被引用文献数
4

概念データモデリング (CDM) では,対象ビジネスの 「意味」 を図や言葉によって表現するこれは,対象ビジネスをひとつの 「語彙」 により表現し,モデラの間で相互に伝達していることに他ならないそうであるなら,言語学の意味論の蓄積を用いて,「CDM には何ができて,何ができないか」 を明らかにできる可能性がある.そこで,三浦つとむの言語過程説をベースとして,S.I.ハヤカワの一般意味論を用いて CDM を分析する.これによって,現状の CDM では,ハヤカワの外在的意味の範囲にモデリング対象が限定されていることを示す.そして,その限界を打破するため,CDM の組織間連携図に内在的意味を導入する手法を提案する.具体的に,心理学の動機付け理論を導入し,人間らしい組織改革の指針が CDM から得られることを示す.Conceptual Data Modeling (CDM) is a requirment-analysis method proposed by MASP Association. This paper analyzes the CDM approach by using Semantics Theory. Hayakawa's Generalized Semantics Theory shows that the CDM modeling is restricted to Externalized Semantics defined by the operation definition. As the result, CDM approach can be reinforced by introducing Internal Semantics to the modeling process. Thus, this paper applies Motivation Theory to the "Soshiki-kan Renkeizu" of the CDM. The proposed method has been applied to a road maintenance application and the effects of the proposed methods has been clarified.
著者
池田 定博 金田 重郎 金杉 友子 加藤 恒昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.710, pp.113-120, 2000-03-17
参考文献数
6
被引用文献数
2

商品開発やマーケティングでは、効果的なコンセプトの作成が極めて重要である。しかし, 思いついた多数のコンセプトや広告コピー案の中から, 戦略の柱となるキーワード候補を絞り込んでゆく方法は知られていない.本稿では, この問題を解決するため, 「流行ことば予測」手法を提案する.そこでは, まず, 過去・現在・将来における流行語の背景となる社会的要因を、「ことば」として表現する.そして, 今後流行の可能性がある新しい「ことば」と, これら社会的要因との距離を計算し, 「近い」と算出されたことばから, 流行のキーワードを開発する.過去の「ことば」としては、自由国民社発行の「現代用語の基礎知識」を使用し、距離計算にはベクトル空間法を利用した。1998年度の流行語大賞である「ショムニ」等が, どのような背景により流行したかを実験的に分析する。
著者
笹田 慶二郎 新谷 公朗 古川 宗孝 豊田 実香 金田 重郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.35, pp.69-76, 2004-03-23
被引用文献数
10

近年,子育て支援を目的として,保護者と保育者をつなぐグループウェアシステムが多数提案されている.この考え方を発展させ,保育者,保護者,子育て支援センターの行政担当者,医師などが,連絡帳などの子どもに関する情報を共有し,中長期に渡って発達段階を見守る「e?子育てNETシステム」を実現できれば,保育の質の向上に資すると考えられる.しかし,その際の大きな課題は,子どもの活動記録のデジタル化である.各種活動記録の投入を保育者の業務とすると,保育者の負担が増大する.そこで,本稿では,e?子育てNETシステムの中核部として,ベテラン保育者のノウハウを用いて活動記録を容易にデータ投入できる「デジタル連絡帳」を提案する.デジタル連絡帳は,ベテラン保育者のKnowledgeを,多数のテンプレート(例文)として持っており,その選択・加工により,容易に連絡帳を作成できる.連絡帳は,携帯電話,Webによって保護者に配信される.そして,選択されたテンプレート種別などから児童原簿が自動生成される.本稿では,XMLをベースとして開発されたデジタル連絡帳プロトタイプ,及び,幼稚園・保育所の保育者を対象に行ったシステムに対するヒアリング結果について報告する.Recently, many application systems were developed for infant education domain: kindergarten or nursery schools. These conventional systems, however, lack the viewpoint of working reduction for nurses/kindergarten-teachers. Thus, this paper proposes a new supporting system "e-Infant Education NET System" as the way to improve infant education quality. By using the proposed system, parents, nurses/teachers, domain experts of administrative office, and medical-doctors own digital records of child activity in common. The major subject of the proposed system is easy activity record making for each infant. To resolve this problem, the authors developed "Digital Communication Notebook System" having knowledge of veteran nurses/teachers in example sentence format, each of which is called "Template." A nurse or kindergarten teacher selects and modifies the template. This template selection results in automatic generation of a digital communication notebook, daily reports, and special reports for administrative offices. The resultant digital communication notebook is sent to parents through E-mail of mobile phone or Web homepage. This paper demonstrates the outline of the implemented system and the nurses/teachers comments concerning the newly developed system.
著者
井上 明 金田 重郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.25, pp.115-122, 2007-03-15
参考文献数
8
被引用文献数
9

近年、ICT教育の手段としてPBLが注目されている。しかし、従来提案されているPBLはジョナサンが定義する3段階のうち、2番目のアドバンスレベルでありテュートリアルにより実行されるべき範囲に限定されている。そこで、本稿では、ジョナサンによる3区分の最終段階であるエキスパートレベルの知識獲得を目指したカリキュラムとして、自治体と大学が連携し、学生自身が要求分析・設計・コーディング・実応用・保守を担当する社会連携型PBLカリキュラムを提案する。本アプローチは2000年度より進めてきた。実際に問題解決能力テストPSIによって受講生を評価した結果、研究のみを実行している学生に比して、中心メンバーとして活躍した学生・院生は、高い問題可決能力の指標を示した。反面、グループ学習特有の性質として、受講生の問題解決能力のバラツキは大きくなっている。本稿では、5年間の実践経験を踏まえて、この社会連携型PBLのプラクティスを示し、今後の発展の方向についてあわせて論じている。Recently, PBL (Project Based Learning / Problem Based Leaning) approch is focused in ICT learning domains. However, conventional PBL approach in ICT learning is the second stage of learning, defined by D.H. Jonassen, a researcher in Constructive Learning. The second stage is an advance level of the knowledgeacquisition, suitable for coaching leaning approach.In this paper, a PBL approach for the third level of Jonassen's model is proposed. The level is the expert level and the PBL approach can be realized only in the real world application system development.The authors started the real world system develpment PBL approach in 2000.This paper sumirizes the details and experiences in the PBL approach. Some practices are demonstrated and the future works are crarified.
著者
金田 重郎 上野 康治 高橋 一夫
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

デジタル絵本は,複数ストーリを切り替え可能である.本稿ではメインストーリに出現したキャラがサブストーリであるドリルを仲介する「絵本ドリル」を提案する.また,Webカメラによって,子どもの視線を話者にリアルタイムにフィードバックする.社会実験の結果,キャラが子どもの興味を誘因することを確認した.一方で,「話しに入りこむ」子どもはキャラに興味は示さない.これらは絵本の読み聞かせにひとつの示唆を与える.
著者
金田 重郎 上坂 和也 今城 和宏 三本 貴裕 新谷 公朗 糠野 亜紀
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.2, pp.1-8, 2010-05-15

物語を絵本などの道具を用いずに,語りのみで子どもに聞かせる 「素話」 は,子どもの想像力・集中力向上の効果が高いとされる.反面,演じる保育者の負担は大きく,保育現場でも実施頻度は多くない.本稿では,素話における保育者の負担を軽くするため,子ども達の反応をフィードバックすることを最終的なターゲットとして,ステレオカメラと加速度センサを用いた読み聞かせ分析システムを提案する.ステレオカメラは子ども達全体や保育者を撮影する位置に設置し,それぞれの子どもには加速度センサを装着してもらった.幼稚園での読み聞かせ実演に基づく分析の結果,1) 集中して聞いている子どもとそうでない子どもを識別可能,2) 素話全体の盛り上がりの分析等に 「笑い」 分析が有効,3) 笑いの集団内での伝播現象,等を確認できた.Storytelling increases children's imagination and their ability to think. However, storytelling requires a certain amount of special skill for childminders or kindergarten teachers. If teachers had a support tool to assist storytelling, they might use storytelling more often. To develop such a tool, this paper proposes a new system to detect the concentration of each child during storytelling. The system employs two types of sensors: 3D stereo video cameras set in the room and 3-axis accelerometers attached to the waist of each child. The video signal is processed by OKAO Vision (OMRON Corporation). The unification of data from the two sensors enables us to detect the concentration level of each child and the propagation pattern of laughing among the children.
著者
アルモアリム フセイン 秋葉 泰弘 金田 重郎
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.421-429, 1997-05-01
被引用文献数
7

This paper studies the problem of learning decision trees when the attributes of the domain are tree-structured. Quinlan suggests a pre-processing approach to this problem. When the size of the hierarchies used is huge, Quinlan's approach is not efficient and effective. We introduce our own approach which handles tree-structured attributes directly without the need for pre-processing. We present experiments on natural and artificial data that suggest that our direct approach leads to better generalization performance than the Quinlan-encoding approach and runs roughly two to four times faster.
著者
本村 憲史 橋本 誠志 井上 明 金田 重郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.2985-3000, 2000-11-15
被引用文献数
5

ネットワーク上にあふれている個人情報は,デジタルデータであるがゆえに,複数ソースからのデータを統合できる.このため,紙に書かれた個人情報と比べ,個人のプライバシー侵害を招く危険性が大きい.欧米には,この種の情報統合の危険性を視野に入れたプライバシー保護法制が存在する.たとえば,ドイツ身分証明書法は,個人IDによる情報統合を禁止しており,民間部門に対するプライバシー保護法制自体が存在しないわが国と大きく異なっている.ただし,先進的な欧米のプライバシー保護法制といえども,ここで想定されているのは,キー属性による統合である.しかし,非キー属性であっても,複数属性を併用すれば,実質的にキー属性と等価に働くことに注意をすべきである.いずれにせよ,デジタルデータ化された個人情報は,統合が容易であり,データ主体・データ管理者の予知範囲を超えて侵害が発生する.特に,インターネットで広く利用されているCookieは,この情報統合の有力な手段であり,米国のみを視野に入れた仕様であるために,わが国では情報統合の危険がより大きい.情報統合によるプライバシー侵害は,個々のデータ管理者の善良なる管理監督のみでは防ぎえない.わが国でも,情報統合を前提とする法制度の確立と,あわせて,データ主体が個人情報の存在をつねに把握しうる,個人情報流通管理システム/データ監察官の設置が必要である.This paper discusses data combination,which is a new type of privacy infringement in a computer network.It is someone combines plural data in the network according to a key attribute and gets complete profiles of a target person.It is one of the most effective means of Database marketing in the present information society.But it has a risk of serious privacy infringement at the same time.This paper tries to show positive policies to this problem.Firstly, it surveys West European privacy protection law systems,which suppose data consolidation and discusses how to evaluate the possibility of privacy infringement.Thirdly this article clarifies the functions of ``Cookie'' in the Internet, experimentally.Our experiment shows we can easily exchange ``user ID'' between two companies in Japan.Because there are no privacy protection law systems, which suppose a private sector,data combination and privacy infringement with ``Cookie" are to be more serious in Japan.As a conclusion this article suggests necessities of positive counterplans: construction of law and information systems supporting personal data exchange and protection fitted to data consolidation.
著者
谷川 紗恵子 野田 徹 金田 重郎 芳賀 博英
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

本論文では,人間が規則正しく食事をしているかを検出する手法を提案する. 顎の上下運動をドップラーセンサで検出し, Wavelet変換と自己相関関数を用いて咀嚼を検出する.具体的には,Wavelet変換により,身体や箸の動きなど,顎の上下運動以外から生じる信号を除去した後,センサから出る二波の出力の位相のずれによって,顎のセンサへの接近,離反の判別を行い,自己相関関数を用いて周期性を検出する.