著者
鈴木 光太郎
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、実験心理学における空間知覚の諸問題の歴史をたどり、西洋の近世哲学の問題意識が、近・現代の実験心理学にどのように引き継がれたのかを明らかにすることを目的とした。研究では、17・18世紀の哲学者が「モリヌー問題」や「倒立網膜像問題」などの問題をどのようにとらえていたかを明らかにした上で、そこで措定された問題に答える形で、実験心理学者が「先天盲の開眼手術」の研究、「逆さメガネ」や「顔面視」の実験を行なったという経緯を明らかにした。
著者
栗原 隆 加藤 尚武 座小田 豊 尾崎 彰宏 野家 伸也 伊坂 青司 山内 志朗 鈴木 光太郎 佐藤 透 城戸 淳
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

「主体」は空間の中で、形の認知に感応する中でこそ自覚されるものであって、自我の自己措定のような機序によって成り立つものではないことが確認された。
著者
鈴木 光太郎
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

月の錯視とは、地平線方向の月が真上方向の月よりも大きく見える現象である。実験1では、ほぼ完全暗黒にしたホール内で月の錯視をシミュレートした状況を作り、月が下方向に見える場合について検討した。その結果、下方向の月も水平方向の月に比べ過小視されるという結果が得られた。実験2では、野外で鏡に月を映し出して、単眼視観察と両眼視観察の比較検討を行なった。その結果、両眼で観察することが月の錯視の生起には決定的に重要であることが示唆された。
著者
長田 佳久 西川 泰夫 鈴木 光太郎 高砂 美樹 佐藤 達哉 鷲見 成正 石井 澄 行場 次朗 金沢 創 三浦 佳世 山口 真美 苧阪 直行 藤 健一 佐藤 達哉 箱田 裕司 鈴木 光太郎 櫻井 研三 西川 泰夫 鈴木 清重 増田 知尋 佐藤 隆夫 吉村 浩一 鈴木 公洋 椎名 健 本間 元康 高砂 美樹 仁平 義明 和田 有史 大山 正 鷲見 成正 増田 直衛 松田 隆夫 辻 敬一郎 古崎 敬
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では, 国内で行われてきた実験心理学研究に関連した機器や資料の現状の把握, 保管方法の検討及び活用方法に関して検討した。本研究活動の成果として,1) 国内の研究機関で保管されている機器の状態の把握,2) 廃棄予定の機器の移設,3) 機器・資料のデジタルアーカイブ化,4) 機器・資料の閲覧方法の検討の4つが挙げられる。これらの成果を通じて, 日本の実験心理学の歴史的資料を残し, 伝えるための手法に関する基盤を築いた。
著者
鈴木 光太郎
出版者
新潟大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究では,月の錯視を両眼視および眼位の点から検討した。夜間に野外(新潟大学人文学部屋上)で,被験者から50度上方向と水平方向3mの距離にある2枚の平面鏡(80×80cm)上に実際の月を映し,被験者に上方向の月に対する水平方向の月の大きさ(直径)のマグニチュード推定を行なわせた。1.その結果,両眼視の場合には,月の錯視(直径比が1.5倍程度)が生じた。一方,被験者に最初に単眼視で観察させた場合には,月の錯視はほとんど生じなかった。2.しかし,最初に両眼視条件を行なわせたあとの単眼視条件では,月の錯視が両眼視条件と同様に生じた。3.上方向の月を観察する際に,頭を傾け目が月に水平になるようする条件(水平視条件)と頭を垂直に保ち目だけを上に向ける条件(仰視条件)も設けた。その結果,両眼視条件では,水平視条件に比べ仰視条件での錯視量のほうが有意に大きく,眼位の効果が観察された。しかし,この効果は,単眼視条件では観察されなかった。4.以上の結果は,これまで問題視されることの多かったTaylor & Boring(1942)の知見を支持した。以上より,両眼視では,動眼系の状態(レンズ調節,輻輳,瞳孔)が上方向を見る時と,水平方向(地平方向)を見る時とで異なり,その違いが月の錯視を生じさせている可能性が示唆される。一方,単眼視では,上方向と水平方向とでは動眼系の状態に差がないため,錯視が生じない可能性がある。5.しかし,なぜ両眼視条件のあとの単眼視では月の錯視を生じるのかについては,今後さらに検討を行なう必要がある。