著者
伊関 千書 鈴木 雅雄 古田 大河 佐橋 佳郎 鈴木 朋子 金子 明代 上野 孝治 三潴 忠道
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.131-139, 2015

症例は45歳女性で,X-2年4月より全身性疼痛,発熱,倦怠感,冷え,下痢,食欲不振,めまい,頭痛,不眠などを発症し,X-1年5月に当センターにて線維筋痛症と診断された。X 年5月に入院時,慢性疲労症候群も合併していると診断された。手の少陰経と太陽経に発汗と血管攣縮を伴う疼痛発作が毎日出現しており,複合局所疼痛症候群(CRPS)と診断された。通脈四逆湯(乾姜9g,甘草4g,烏頭6g)を処方後,ほとんどの症状の軽減がみられ,CRPS 発作には大烏頭煎(烏頭1g,蜂蜜10g)の頓服が有効であった。鍼灸治療では,心気血両虚証と心庳証に対し,神門,内関,三陰交,太衝,足三里,陰陵泉,心兪,肩中兪,風池へ配穴し低周波鍼通電治療(1~4Hz)を併用し,手の少陰経と少陽経へは子午流注経絡弁証も用いたところCRPS 発作頻度が減少した。湯液と鍼灸の併用は,難治性の疼痛症候群合併症例に有効であった。
著者
伊関 千書 鈴木 雅雄 古田 大河 佐橋 佳郎 鈴木 朋子 金子 明代 上野 孝治 三潴 忠道
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.131-139, 2015 (Released:2015-08-12)
参考文献数
39
被引用文献数
1

症例は45歳女性で,X-2年4月より全身性疼痛,発熱,倦怠感,冷え,下痢,食欲不振,めまい,頭痛,不眠などを発症し,X-1年5月に当センターにて線維筋痛症と診断された。X 年5月に入院時,慢性疲労症候群も合併していると診断された。手の少陰経と太陽経に発汗と血管攣縮を伴う疼痛発作が毎日出現しており,複合局所疼痛症候群(CRPS)と診断された。通脈四逆湯(乾姜9g,甘草4g,烏頭6g)を処方後,ほとんどの症状の軽減がみられ,CRPS 発作には大烏頭煎(烏頭1g,蜂蜜10g)の頓服が有効であった。鍼灸治療では,心気血両虚証と心庳証に対し,神門,内関,三陰交,太衝,足三里,陰陵泉,心兪,肩中兪,風池へ配穴し低周波鍼通電治療(1~4Hz)を併用し,手の少陰経と少陽経へは子午流注経絡弁証も用いたところCRPS 発作頻度が減少した。湯液と鍼灸の併用は,難治性の疼痛症候群合併症例に有効であった。
著者
添田 暢俊 斎藤 拓朗 竹重 俊幸 浅野 宏 武藤 亮 高間 朗 渡部 晶之 遠藤 俊吾 五十畑 則之 三潴 忠通 鈴木 朋子 金子 明代 伊関 千書 関本 信一
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.011-018, 2015-01-31 (Released:2015-05-13)
参考文献数
25

要旨:消化器外科手術後では術後せん妄の併発により重篤な合併症を併発することがある。抑肝散はせん妄に対する効果が報告されているが,経口摂取が困難な時期には使用しにくい。そこで抑肝散の座薬を作成し安全性と効果を検討した。【方法】座薬は漢方薬エキス製剤にホスコH─15を加えて作成し1日4回使用した。消化器外科手術を行った227例を対象とし,せん妄の程度は8時間毎にNEECHAM Confusion Scale(以下,Nスケール)により評価し。治療は抑肝散を第一選択とし8時間後にNスケール20pt以上へ上昇した場合を有効と判定した。【成績】227例中,Nスケール19点以下のせん妄は26例(11.5%)に認めた。この26例中23例に対して抑肝散座薬を使用し,有害事象を認めず,17例(73.9%)で有効であった。【結論】消化器外科手術後のせん妄において,抑肝散座薬は安全に使用可能で73.9%で効果を認めた。
著者
鈴木 朋子 山東 勤弥 Tomoko SUZUKI Kinya SANDO
出版者
大阪樟蔭女子大学学術研究会
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.253-263, 2016-01

本研究は、広くダイエット法として普及している低炭水化物ダイエット(Low Carbohydrate Diet: LCD)の 減量効果および安全性について検討することを目的とする。方法は、1)LCD の方法について概観し、2)LCD の体 重減少効果について報告した学術論文を収集し、文献的に検討した。その結果、LCD の特徴は、炭水化物(糖質)を 含む食品の摂取は制限するが、たんぱく質および脂質を主成分とする食品に対する制限は設けられていなかった。医 学系学術論文データベースを用いて検索し、21 論文を検討対象とした。体重減少効果は、1)観察期間が長いほど、 2)炭水化物熱量比が低いほど、高くなる傾向が観察された。また、3)Blackburn の体重減少の評価法を参照する と、約70%の研究で高度な体重減少が観察され、安全性への疑問が示唆された。LCD は、一般的に健康的な食事と して推奨される食事の熱量構成比と大きく異なること、糖尿病性腎症患者においては腎機能を悪化させる危険を伴う ことをはじめ、適正かつ注意喚起を促す情報をあわせて普及していくことの重要性が窺われる。Weight loss effects and safety of low carbohydrate diets(LCD), which are common in Japan, are examined. This literature review was conducted to reveal 1)features of the LCD methods, 2)factors that influence weight loss, and 3)safety of weight loss, with reference to Blackburn's weight loss clinical evaluation index. Twenty one LCD studies, whose subjects were healthy obese people, were selected for review from the academic medical research database. Most LCDs allow intake of high fat and high protein foods, rather than a strict regime of limiting carbohydrates. Weight loss appeared to be greater in studies with longer rather than with shorter observation periods. Also, the greater weight loss was observed, the carbohydrate to energy intake ratio became smaller. Rapid weight loss was observed in about 70% of the studies, which presents a risk of malnutrition. LCDs should be used with caution because 1)the energy ratios of LCDs diverge widely from the healthy diet that is recommended from Japanese dietary reference intakes, and 2)the risks of worsening renal function will increase if patients with diabetic nephropathy use LCDs. Warnings about possible negative effects of LCDs should be publicised to protect people's health.
著者
鈴木 朋子 山東 勤弥 Tomoko SUZUKI Kinya SANDO
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 = Research Bulletin of Osaka Shoin Women's University
巻号頁・発行日
vol.6, pp.253-263, 2016-01-31

本研究は、広くダイエット法として普及している低炭水化物ダイエット(Low Carbohydrate Diet: LCD)の 減量効果および安全性について検討することを目的とする。方法は、1)LCD の方法について概観し、2)LCD の体 重減少効果について報告した学術論文を収集し、文献的に検討した。その結果、LCD の特徴は、炭水化物(糖質)を 含む食品の摂取は制限するが、たんぱく質および脂質を主成分とする食品に対する制限は設けられていなかった。医 学系学術論文データベースを用いて検索し、21 論文を検討対象とした。体重減少効果は、1)観察期間が長いほど、 2)炭水化物熱量比が低いほど、高くなる傾向が観察された。また、3)Blackburn の体重減少の評価法を参照する と、約70%の研究で高度な体重減少が観察され、安全性への疑問が示唆された。LCD は、一般的に健康的な食事と して推奨される食事の熱量構成比と大きく異なること、糖尿病性腎症患者においては腎機能を悪化させる危険を伴う ことをはじめ、適正かつ注意喚起を促す情報をあわせて普及していくことの重要性が窺われる。
著者
稲村 達也 Nguyen Thi Mai Huong 藤田 三郎 鈴木 朋美 絹畠 歩 岡田 憲一
出版者
近畿作物・育種研究会
雑誌
作物研究 (ISSN:1882885X)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.41-49, 2022 (Released:2022-10-21)
参考文献数
16

大福遺跡とベトナムのトゥン・ノイ・ラム遺跡(Thung Noi Lam)から検出された出土米ブロック,および唐古・鍵遺跡と大中の湖南遺跡から検出された出土稲わらブロックを対象に,X線Computed Tomography(CT)計測をSPring-8において画素サイズ25.1μmおよび12.04μmの計測条件で実施し,ブロックに内在する穂軸と伸長茎の微細構造が明瞭な2次元連続画像を得た.その画像の解析によって,穂軸と伸長茎の節に着生する苞葉の形状から穂首節を判別し,その苞葉の形状と一次枝梗の着生位置に基づいて穂首節の下端に接続する穂首節間を特定することで,穂首節間の横断面画像から大維管束の数を評価できることを明らかにした.
著者
鈴木 朋美
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-26

前年度に引き続き、ベトナム中部サーフィン文化の甕棺資料の実測図化と遺物編年の作成を目標に据え、トゥアティエンフエ省、ビンディン省、フーイェン省、コントゥム省、クァンナム省ホイアン市・ディエンバン県にて資料調査を行い、コンテクストの確認と報告資料の補完を行った。まず、昨年度の成果を元に、トゥーボン川流域に属す遺跡とフォーン川流域に属す遺跡の土器の比較を行い、器種構成の違いや型式的差異を指摘し、2つの遺跡間に生じる差異は地理的要因だけではなく時間差も含まれているという見解に至った。ビンディン省では、未接合資料を実測することで報告書では指摘されていなかった有肩甕棺から有稜深鉢形甕棺の型式変化を観察できた。さらに、ホイアンではゴーマーヴォイ遺跡で多数を占める卵形甕棺とサーフィン文化の甕棺の典型的形態ともいわれる長胴甕棺の中間の型式と思しきハウサーI遺跡の甕棺を確認できた。これにより、現在までのサーフィン文化の編年の細分化が可能となり、自身が行った甕棺の形態分類における時間的差異と地域的差異を整理できた。以上より、サーフィン文化の広域編年に関して、1)サーフィン文化の甕棺の形態は地域ごとに独自の変化をたどる2)トゥーボン川流域では、ゴーマーヴォイ遺跡の主要な形態である卵形甕棺から、ハウサーI遺跡・タックビック遺跡の長胴化した甕棺、そしてアンバン遺跡・ビンイェン遺跡の長胴甕棺という変化が主要な甕棺の変化である、という見解に至った。
著者
大原 重洋 鈴木 朋美
出版者
日本コミュニケーション障害学会
雑誌
コミュニケーション障害学 (ISSN:13478451)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.15-22, 2004-04-25 (Released:2009-11-19)
参考文献数
20

自閉症児における疑問詞構文への応答能力の発達過程を検討した.対象は,自閉症児26名であり,統制群として知的障害児26名を選んだ.各対象児の応答可能な疑問詞の種類数を調べたところ,自閉症児も知的障害児と同じ順序で疑問詞構文への応答能力を獲得することが見いだされた.〈S-S法〉の段階における応答可能な疑問詞の種類数を比較検討したところ,自閉症群は,知的障害群と同じ〈S-S法〉の段階でも,応答可能な疑問詞の種類数が少なかった.自閉症児と知的障害児とでは,〈S-S法〉の段階と疑問詞構文への反応の関連が異なることが示唆される.
著者
鈴木 朋子 今井 瑞香 窪田 素子 北 嘉昭 土田 知宏
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.22-29, 2015 (Released:2015-09-29)
参考文献数
15

目的:腫瘍マーカーは早期がんでは上昇しにくい,偽陽性が多いなどの理由から,スクリーニングには不適格と考えられている.今回CA19-9について,受診者への適切な情報提供・精査への案内に役立てるデータを得るために,当センターでのCA19-9陽性的中率と高値例の傾向を検討した.対象:2006年1月から2013年6月までに,当センター人間ドックでCA19-9を測定した延べ32,508例中,高値(>37.0U/mL)を呈した延べ790例のうち,人間ドック高値後に計2回以上,当院(病院もしくは当センター)でCA19-9の再検を施行した320例を検討対象とした.方法:CA19-9はARCHITECT® アナライザー i 2000SR(アボット,東京)CLIA法にて測定し,正常値:0.0~37.0U/mLとした.結果:8症例にがんを認めた.内訳は膵臓がん4例,胆嚢管がん1例,十二指腸がん2例,大腸がん1例だった.8症例のがん診断時のCA19-9値の中央値は,198.2(46.4~2,968)U/mLだった.うち5例には過去に正常値の記録があり,残る3例は初回指摘だった.陽性的中率は2.5%だった.結論:CA19-9陽性的中率は2.5%と低率のため,CA19-9高値例を全例精査するのは非効率的だが,CA19-9高値とその推移だけで要精査群の抽出は困難と思われた.今後,臓器特異性の高いmicroRNAとの併用など,より効果的ながんスクリーニングの選択肢が増えることを期待する.
著者
鈴木 朋子 伊関 千書 佐橋 佳郎 三潴 忠道
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.130-135, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
19

『傷寒論』を原典とする白朮附子湯は意外に報告が少ない。今回我々は痛みで体動困難となった患者に対し白朮附子湯が著効した症例を経験したので報告する。症例は介護施設入所中の84歳女性。主訴は痛みによる体動困難。 X 年1月定期受診した際左側胸~側腹部の激しい体性痛を訴え即日入院となった。精査上器質的異常は認めず,問診にて冬期にもかかわらず脱水予防のため水道水を2—3L/日近く施設で摂取させられていたことが判明した。小便は自利だが数日便秘であった。NSAIDs などは効果なく,入院当日より白朮附子湯を開始した。内服後大量の軟便を排泄するとともに痛みは急速に改善し退院調整後第13病日退院した。会津地方の介護施設で冬場に水道水を多飲させられ水毒に陥り「風湿相搏」状態となったことが今回の痛みの一因と考えられた。風湿が原因の痛みに対しては桂枝附子湯,甘草附子湯とともに白朮附子湯も考慮すべき処方と考えられる。
著者
大原 重洋 廣田 栄子 鈴木 朋美
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
Audiology Japan (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.230-238, 2011-06-30
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

難聴幼児通園施設に併せて, インクルーシブ環境 (保育園・幼稚園) に通園する聴覚障害児9名を対象として, 聴力正常な幼児 (聴児) 集団における社会的遊びの発達段階とコミュニケーション行動について観察し, 聴力レベル, 言語能力等の要因の関与について分析した。対象児は平均聴力71.2dB (SD18.0) で, 3歳4ヶ月から6歳1ヶ月児であった。その結果, 協同遊び段階3名 (33.3%), 一人遊び段階1名 (11.1%), 並行遊び段階3名 (33.3%), 保育士との遊び段階2名 (22.2%) に分類できた。聴覚障害3~4歳児では, 聴児の発話の受信が困難な傾向を認めたものの, 全例で概ね聴児とのコミュニケーションの成立を認めた。対幼児のコミュニケーション行動の発達は, 聴力レベルや言語能力よりも生活年齢の要因の関与が大きかった。