著者
山田 快 堀本 菜美 長谷川 賢典
出版者
日本スポーツ心理学会
雑誌
スポーツ心理学研究 (ISSN:03887014)
巻号頁・発行日
pp.2022-2108, (Released:2022-08-04)
参考文献数
51

This study examined Japanese athletesʼ perceptions of a good coach, including the necessary personal or behavioral characteristics. Data were collected using an open-ended questionnaire survey of 140 collegiate athletes (68 males and 72 females; average age 19.49 ± 0.96 years) from 26 sports. The KJ method was applied to extract the characteristics of a good coach. These factors were then categorized according to the closeness of response meanings. The 399 valid characteristics obtained were classified into 93 categories, and finally consolidated into five categories: “practicing athletecentered coaching,” “possessing superior humanity,” “having excellent knowledge and skills,” “making precise assessment and action,” and “building confidential relationships.” The results indicate that modern athletes believe a good coach should have the five core attributes. This finding suggests that a noble character is fundamental. Furthermore, coaches should update their knowledge and skills, behave appropriately in reading sport fields accurately, and forge solid relationships with athletes. The good coach would be able to embody athlete-centered with such practices. Therefore, coaches are expected to continue developing their personality and coaching skills, while keeping in mind athletesʼ and social needs. This study can serve as an essential guide for those who wish to become good coaches.
著者
永井 大介 長谷川 賢一
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.27-34, 1986-02-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
14

中枢性聴覚障害は, その障害部位により種々の特異的異常現象を示す.しかし, 聴覚中枢経路が極めて複雑であるが故に, 未だその原因は明確にされていない.そこで聴覚刺激反応時間を測定し, 時間的要因より聴覚中枢経路の機能の解明を試みた.即ち, 正常者と脳血管障害による片麻痺患者の聴覚刺激反応時間を測定し, その対照として視覚刺激反応時間をも測定して聴覚中枢機能について考察した.検査対象は, 熱海綜合病院に入院している脳血管障害による左・右片麻痺患者 (各25名) , 及び生理的加齢変化以外の難聴のない正常者 (20名) とした.検査方法は, 全身反応装置 (八神理化器製, Y.B.1000) を改良し, 与えられた聴・視覚刺激を感受したら被験者は直ちにスイッチを押す (Tapping) 方法を用いた.刺激反応時間測定は7回行い, 最高値と最低値を除く5回の平均値を算出し, これを反応時間とした.Tappingは, 利き手, 非利き手による反応時間差がないことを確認した上で, 片麻痺群では健側手を用いて行った.正常群, 左・右片麻痺群における聴覚・視覚刺激反応時間を測定した結果は次の如くであった.正常者について1) 聴覚刺激反応時間は両耳聴にて293msecであり, 左・右片耳聴の323~326msecよりも短い.2) 視覚刺激反応時間は両眼視, 左・右単眼視で差はなく, 277~279mesecである.3) 視覚・聴覚刺激反応時間には有意差は認められない.片麻痺患者について1) 正常者群に比べ, 視覚・聴覚刺激反応時間は, 全ての項目で100~150msec有意に延長している.2) 聴覚・視覚刺激反応時間にて左右差は殆ど認められないが右片麻痺群の聴覚刺激反応時間では右耳聴が左耳聴に比べて有意に延長している.3) 聴覚・視覚薊激反応時間には有意差は殆ど認められないが, 右片麻痺群の右耳聴と右眼視の間には有意差を認める.以上のことから, 脳血管障害による片麻痺群においては, 正常者群に比べて聴覚・視覚ともほぼ同様の反応時間の延長を認める.このことは, 片麻痺群では刺激に対する認知時間, 感覚・運動両中枢での伝達時間, 運動領での指示・組立時間の延長に起因すると考えられる.しかし, 右片麻痺群の右耳聴の反応時間が左耳聴よりも明らかに延長し, また視覚刺激反応時間における同群の右眼視よりも延長していた.これより右片麻痺群の右耳聴の反応時間の延長は四丘体から左側頭葉聴覚領へ到る部位での伝達障害によることが最も考えられる.
著者
小島 千枝子 大野 友久 長谷川 賢一 藤田 大輔
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.25-35, 2013-04-30 (Released:2020-04-30)
参考文献数
19

【目的】半固形物は一般に,舌を口蓋に押し付けることによる押しつぶしで処理される.しかし,健常者において,固形物のように咀嚼して食べる人が存在する.本研究では,口蓋の高さが半固形物の咀嚼パターンに影響している可能性を検討した.【対象】健常若年成人女性50 名.【方法】① 上顎の歯型模型を作製し,咬合平面から口蓋の底部までの高さを5 mm 間隔で計測した.② 最大舌圧を3 回測定し,平均値を分析の対象とした.③ ゼリー5 g 程度の自由嚥下を観察と問診で,咀嚼と押しつぶしパターンに分類した.④ 咀嚼パターンの9 名に対し,ソフトワックスによる模擬PAP(Palatal Augumentation Prosthesis)を口蓋の最も高い部分に貼り付け,摂食パターンの変化を観察し,舌圧を測定した.⑤ 3 名に対しVF を行い,模擬PAP 有無での嚥下動態を比較した.【結果と考察】統計分析により,押しつぶしと咀嚼に分ける口蓋の高さのカットオフ値が20 mm と算出された.口蓋の高い人は咀嚼が有意に多く,舌圧は有意に低かった.口蓋の高い9 名に模擬PAPを装着すると,咀嚼パターンから押しつぶしパターンに変わり,舌圧は平均5 kPa 上昇した.嚥下開始時の食塊の先端の位置は,咀嚼パターンでは喉頭蓋谷以降が83% を占めたが,押しつぶしパターンに変わると,口腔・咽頭上部領域が100% になり,喉頭蓋谷持続時間も短縮した.口蓋の高い人が半固形物を咀嚼する理由については,食塊を破砕しやすいことに加え,送り込みに関しても,半ば自動的に咽頭へ送り込まれる Stage Ⅱ Transport を用いたほうが容易であることによると推測された.嚥下障害者においても,口蓋の高い人はもともと半固形物を咀嚼していた可能性がある.スクリーニング段階で,口蓋の高さと咀嚼パターンを観察項目に加えることを提案したい.口蓋の高い人には,PAP 装着を選択することが有効と考えられた.
著者
斎藤 徹 長谷川 慶子 長谷川 賢
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.15-20, 2002-07-31 (Released:2014-02-26)
参考文献数
25
被引用文献数
2

歯科治療による口腔機能の改善が, 高齢者の食事形態および日常生活活動 (ADL) を改善させるか否かを検索した。対象は1999年1月から2001年12月の間に当科にて歯科診療を施行した65歳以上の高齢者117症例とした。食事形態は, 常食, 米飯+キザミ食 (主食: 米飯, 副食: キザミ食), 粥+常菜 (主食: 米粥, 副食: 常菜), 粥+キザミ食 (主食: 米粥, 副食: キザミ食), ミキサー食, 経管栄養の6形態に分類した。また, ADLは食事, 入浴, 排泄, 更衣, 移動の5項目をそれぞれ自立, 一部介助, 全介助に分類した。以上の症例中, 歯科治療後に食事形態が1段階以上改善したもの: 59例 (50.4%), 不変: 53例 (45.3%), 悪化: 5例 (4.3%) であった。歯科治療前と比較して常食が著明に増加し, 粥+キザミ食が顕著に減少した。また.ADLの自立度のいかんにかかわらず, 約4割~6割の症例で食事形態の改善が見られた。他方, ADLの評価5項目中, 1項目以上で改善が認められたもの: 4例 (3.4%), 悪化したもの: 5例 (3.4%), 不変: 109例 (93.2%) であった。歯科治療前後でADLに著明な変化はなかった。
著者
中沢 正治 小佐古 敏荘 高橋 浩之 持木 幸一 井口 哲夫 長谷川 賢一
出版者
東京大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1988

本研究は、CR-39固体飛跡検出器にポリエチレンなどの適当なラジエ-タを組み合わせ、ラジエ-タ物質と中性子の核反応で生じた荷重粒子CR-39への入射量を調整することで、全体として中性子感度曲線が、中性子線量当量換算係数のエネルギ-依存性をできるだけ再現するような最適ラジエ-タの組み合わせと飛跡計数方式を見出すことを目的としている。咋年度までに、標準的なラジエ-タ付きCR-39線量計および飛跡読み取りシステムの試作と予備的な中性子感度曲線の校正(検証)実験を行なった。本年度は、まず中性子検出効率の理論的検討を行ない、実験的に確証するため、東大原子力工学研究施設内の重照射設備およびブランケットにおいて中性子照射実験を行った。試料として、CR-39プラスチックに厚さがそれぞれ0.86,1.90,4.02mg/cm^2のポリエチレン、および厚さ5mmの^6Li_2CO_3を密着させたものを使用し、人体のアルベド効果を模擬するため、後方にポリエチレンブロックを置いて行なった。その結果、各ラジエ-タ厚で、中性子エネルギ-に依存する検出効率の実験値は、誤差の範囲内で比較的良く計算値と一致した。つぎに、これら4種の感度特性と、ラジエ-タ無しの特性からレムレスポンスを近似的に求めるため、重み係数を最小2乗法により求めた。これによると再現性は良好である。特に、中性子線量当量換算係数が大きく変化する100KeVから1MeVの中性子エネルギ-領域の再現性に優れていることが明らかとなった。しかし、10MeVを超えると、検出器感度が低下するため、レムレスポンスの再現性が悪くなる。この対策として、薄いアルミ板をCR-39プラスチックの前面に置くことのより、感度を高められることが確認されている。以上より、小型・計量で取り扱いが容易な中性子個人被爆線量計の実用化の見通しがついた。