著者
森川 美羽 石崎 武志 高野 智早 渡辺 享平 田畑 麻里 佐藤 義高 西本 武史 小坂 浩隆 片山 寛次
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.541-544, 2012 (Released:2012-08-21)
参考文献数
18

【目的】がんの診療に伴い, 吃逆はしばしば経験し, 治療に難渋することが多い. 化学療法に伴って出現した持続性の吃逆に対して, プレガバリンが奏効した2症例を経験したので報告する. 【症例】症例は共に進行肺扁平上皮がんであり, 症例1はカルボプラチン+パクリタキセル, 症例2はネダプラチン+イリノテカンの2剤併用化学療法を施行した. 2症例共に抗がん剤の投与に応じて吃逆の出現, 増悪を認めており, 薬剤が誘発したと考えられた. 吃逆はメトクロプラミド, クロルプロマジン, ガバペンチンに抵抗性であり, プレガバリン 150 mg/日の投与によりすみやかに改善した. 【結論】鎮痛補助薬として近年用いられるようになったプレガバリンは, その薬理作用である神経細胞の過剰興奮の抑制により吃逆にも効果がある可能性がある.
著者
持田 有希 野中 聡 津布久 健一 高野 智央 大塚 智 草野 麻里 恩田 浩一 樋口 佳子 岩部 昌平
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.A1107, 2005
被引用文献数
1

【はじめに】近年,高齢化する精神科の長期入院患者において,加齢や活動量の減少による身体能力の低下や転倒の発生状況に関する報告が散見される。我々は,第39回日本理学療法士学会学術大会において,当院の精神科入院患者の約3割が転倒経験者であり,転倒は高齢患者に多いことを報告した。精神科入院患者における身体能力や運動療法実施の効果に関する報告は散見されるが,精神科入院患者と同年代の健常者や一般病棟入院患者の身体能力を比較した報告はみられない。そこで今回,我々は精神科入院患者の身体能力を測定し内部疾患患者や同年代の健常者との比較を行い,若干の知見を得たので報告する。<BR>【方法】対象は当院精神科入院患者のうち病棟内を独歩している者で,平成15年4月から9月までの6ヵ月間における転倒の有無を診療録より後方視的に調査できた24例のうち,本研究の目的の説明に対して同意が得られた9例(全例男性,平均年齢60.4±9.4歳,診断名:統合失調症)とした。一般病棟入院患者(一般入院患者)における対象例は,当院に内部障害で入院し,理学療法を施行し病棟内を独歩している4例(男性3例,年齢79.0±10.1歳)とした。また健常者の対象群には複数の先行研究による同年代の健常者のデータを用いた。評価項目は,年齢,等尺性膝伸展筋力(下肢筋力),握力,10m最大歩行速度(歩行速度),開眼片脚立位保持時間(片脚立位時間)とした。なお両病棟における対象例が少ないため,統計手法は用いずに個々の症例について比較を行った。<BR>【結果】精神科入院患者9例中2例に転倒歴があり,いずれも年齢は70代であった。精神科入院患者と健常者との比較では下肢筋力,握力,歩行速度といった比較的短時間に筋力を発揮する項目において精神科入院患者の値が健常者の値を大きく下回っていたが,片脚立位時間では健常値に近似した値を示した。精神科入院患者の転倒例と一般入院患者との比較では握力,歩行速度,片脚立位時間において精神科入院患者が一般入院患者の最大値よりも高値を示した。<BR>【考察】本研究では,精神科入院患者については十分な同意が得られず測定に至らない症例が多く,一般入院患者については独歩症例が少なく十分な検討には至らなかった。しかし精神科入院患者は転倒の有無に関係なく全ての年代において健常者よりも身体能力的に劣っており,精神科入院患者の転倒例は一般入院患者と比べて評価結果が比較的良好にも関わらず転倒していた。本研究では症例数も少ないことから転倒例の身体特性は明らかにならなかったものの精神科入院患者には同年代の健常者に比べて身体能力が低い者の存在が認められ,精神科入院患者に対する理学療法の必要性が示唆されたものと思われた。
著者
赤見 理恵 高野 智
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.33, pp.72, 2017

<p>日本語では「サルまね」,英語でも「Ape(動詞)」「Monkey see, monkey do.」などの言葉があるように,サルはヒトのまねをするというイメージがあるようだ。多くの霊長類は学習によりさまざまな行動を習得するが,模倣による学習の対象は主に同種他個体である。それではなぜ,ヒトのまねをするというイメージがあるのだろうか。調査1では日本モンキーセンター附属世界サル類動物園の来園者を対象に,霊長類に対して抱くイメージを入園前に調査した。調査に協力した192名の来園者のうち89%が,「サルはヒトのまねをするのがうまい」に〇か×で回答する設問に〇と回答した。調査2では大学生132名を対象に,個体追跡法により行動観察を学ぶプログラムを体験する前と後に自由連想法により霊長類に対するイメージを調査した。「ヒトのまねをする」に類似した回答は見られなかった。「ヒトに近い」に類似した回答は観察前も観察後も約20%で見られた。「賢い,頭がよい」に類似した回答は観察前27.7%に対して観察後6.9%と有意に減少した。一方で「仲間がいる,家族想いだ」に類似した回答が5.3%から37.4%に有意に増加した。「サルまね」のイメージは,ヒトに近く賢い霊長類のイメージから類推されるものだと考えられるが,一部ではテレビや動物園などのメディアが霊長類を擬人的に扱ってきた影響もあるのではないかと考える。しかし本調査により,野生とは異なる動物園の環境であっても,野生に近い群れで飼育し種内関係をつぶさに観察できるようにすることで,霊長類に対するイメージを変えることができる可能性が示唆された。霊長類に関する正しい知識やイメージを伝えていくために,今後も動物園だからできることを模索していきたい。</p>
著者
藤田 智 塚原 秀明 内藤 勇気 岩瀬 友美 一瀬 裕介 高野 智秀
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.219, 2011

【目的】 各種スポーツ競技においてメディカルサポート活動が普及してきており、障害予防の必要性も認知されてきている。栗生田らはセルフケアを中心とした障害予防教育を早期から現場へ普及させる必要があるとしており、チーム・個人での障害予防への取り組みは、指導者の理解度にも左右されると思われる。今回、栃木県の高等学校野球指導者に対しアンケート調査を行い、各チームの障害予防の取り組み状況について調査を行ったので報告する。【方法】 対象は、栃木県高等学校野球連盟に加盟する計64校の監督指導者を対象とした。栃木県高校野球連盟に説明し同意を得て、役員を通じ調査用紙を各校に送付した。アンケート内容・説明に同意した監督指導者から回収した。調査内容は、1)平成22年度における最高成績(ベスト4以上を上位校。ベスト8,16を中位校。左記以下を下位校)2)全体練習時間におけるウォーミングアップ(以下アップ)、クールダウンの割合。3)コンディショニングなどに関する内容とした。【結果】 回収率は56%(36校)であり、各項目を成績で分けた。全体練習時間の中でアップの割合は、上位校(7校)14%、中位校(10校)18%、下位校(19校)20%。クールダウンの割合は上位校7%、中位校10%、下位校12%。コンディショニングなどの内容のベスト3は、上位校でコア・体幹(100%)、瞬発力(100%)、フォームチェック(86%)。中位校でコア・体幹(80%)、肩チューブトレーニング(80%)、栄養、瞬発力(70%)。下位校で瞬発力(84%)、コア・体幹(79%)、有酸素(68%)であった。【考察・まとめ】 アップ・クールダウンは、上位校ほど全体練習の中での割合は少ない傾向であった。これは監督指導者が技術的なトレーニング内容を重視していることが考えられる。また下位校ほどその割合が長いのは、選手の基礎体力を重視しているか、効率的に行えていない可能性もある。コンディショニングなどに関しては、多くの監督指導者がコア・体幹系に注目している。今後のさらなる検証も必要であるが、栃木県高校野球連盟と連携を取りながらメディカルサポート部として活動していく予定である。
著者
野中 聡 高橋 正雄 高野 智央 和地 秀章(OTR) 弓削 幸子 高木 有希
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.94, 2006

【背景および目的】住環境整備の効果に関するこれまでの報告では,整備内容や使用状況に関する調査が多い。しかし,これまでに効果の検証に加えて,利用者側とサービス提供者側との問題意識の相違について検討した報告は見当たらない。そこで,本研究では利用者と提案者であるPT・OTとの問題意識の相違について明らかにし,望ましい住環境整備について検討するための資料を得ることを目的とした。<BR>【方法】対象は,平成15年1月から平成17年3月までに当院リハビリテーション科スタッフが訪問家屋調査を実施して,外出,入浴,排泄のいずれか1つ以上を対象とした住環境整備に対する助言をおこなった介護保険利用者の中で,在宅生活の継続が確認できた14名のうち,本調査への協力が得られた9名とした。主な調査内容は(1)整備の提案内容,(2)実際の整備状況,(3)住環境整備の効果(動作自立度,介護負担感,使用状況,満足度)とし,事前の訪問家屋調査報告書からの情報収集,利用者宅への訪問による整備箇所および実演動作の目視確認をおこなった。住環境整備の効果については,社団法人シルバーサービス振興会(2004)の方法を参考にした。<BR>【結果および考察】対象者は男性3例,女性6例,平均年齢71.4歳,事前調査時の要介護度は要支援および要介護1が半数以上を占めていた。外出(9例23箇所)では提案内容との一致は11箇所(47.8%)であり,上がり框や玄関外側の整地や手摺りの設置等の過少整備が多く,乖離の理由は本人や家族の希望によるものが多かった。入浴(7例33箇所)では提案内容との一致は26箇所(78.8%)であり,シャワー椅子や浴槽内マット,バスボードや手摺りの設置等の過少整備が多く,乖離の理由は本人の判断によるものが多かった。排泄(8例14箇所)では提案内容との一致は11箇所(78.6%)であり,トイレまでの移動や出入り,立ち上がりに使用する手摺り等の過剰整備が多く,乖離の理由は本人の希望によるものが多かった。各行為により整備や乖離の状況が異なっており,過少整備では問題が未解決であることが多く,特に外出に関する玄関周辺の整備においてその傾向が強かった。また過剰整備にはPT・OTの目から見て不要と判断される整備が多く,その大部分が本人の不安感の訴えにより整備されており,経過により不使用となっていた箇所が多かった。いずれの乖離も利用者側のデマンズと提案者側が判断したニーズの不一致が主な原因と考えられた。また,使用状況や満足度は重要な評価項目ではあるが,今回の調査では動作自立度や介護負担感と関連が見られないことがあり,効果の検証には複数の指標を用いた多角的な評価が必要と思われた。
著者
野崎 あさみ 遠藤 由香 松尾 良子 三石 淳之 塚本 健二 Reva Ivan 高野 智洋 岩尾 泰久 樋口 渉 西山 晃史 山本 達男
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.125, no.12, pp.686-690, 2011-12

平成17年度から山本正治医学部長 (当時) の支援のもと, 日露学生交流を従来の直流から交流に変えるべく, 学生の訪ロ計画を再開した. 内山聖医学部長 (当時) のもとではレベルアップとchangeに取り組み, 高橋姿医学部長のもとでは最大規模の日露ワークショップを開催した. 活動の基本方針 (キーワード) は強い信念と最低限の費用. この方向性のもとで, 学生交流については部活の趣を前面にだし, 学生は学生目線でロシアを見つめてきた. 活動6年間の軌跡をまとめた.
著者
竹森 敬祐 磯原 隆将 川端 秀明 窪田 歩 高野 智秋 可児 潤也 西垣 正勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.135, pp.425-432, 2013-07-11

情報収集モジュールなどを組み込んだスマホアプリからの勝手な情報送信が問題となる中、利用者に送信情報を説明するアプリ向けのプライバシーポリシー(以後、アプリプラポリ)の策定が求められている。我々は、情報送信を伴うアプリとアプリプラポリの実態調査を行い、63%のアプリが情報送信を行い、うち9割がアプリプラポリを持たないか、持っていたとしても送信情報を正しく記載していないことがわかった。そこで本研究では、Marketがアプリの第三者検証機関として審査役を担い、正確で解りやすいアプリプラポリを生成・提示することで、利用者判断を仰ぐフレームワークを提案する。特徴として、アプリ解析力のある技術検証機構を持つことで、誤った申告とアプリプラポリの生成を予防できる。ここで、アプリのダウンロードや利用実績に応じた報酬を支払うレベニューシェアを適用する。これにより、過剰な情報送信や目的が判然としないアプリは利用者から倦厭され、報酬が低下する経済論を働かせる。本手法をアプリMarketに実装・運用した結果、16%のアプリしか情報送信を行わないこと、アプリの趣旨に沿った必要最低限の情報送信に限られることを確認する。