著者
鰐川 彰
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.241-250, 2003-04-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
21
被引用文献数
8 6

ウィスキーの製造工程全般にわたり酒質に及ぼす影響を検討したところ, 乳酸菌がモルトウィスキーの新規香気成分生成に関与することを解明した。乳酸菌は, 従来汚染菌として発酵停止やオフ・フレーバー生成の原因となることは知られていた。一方, 新しく他の微生物と協調してファッティな甘い香気成分を生成し, 同定の結果γ-decalactoneとγ-dodecalactoneと判明した。その生成経路につき, また伝統的に使用しているビール余剰酵母の酒質に及ぼす影響をも検討した。
著者
山田 歩 福田 玄明 鮫島 和行 清河 幸子 南條 貴紀 植田 一博 野場 重都 鰐川 彰
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.129-132, 2011 (Released:2012-03-29)
参考文献数
6

本研究では,テイスティングの際に,好き嫌いの理由を意識的に分析することが,サンプルへの選好に与える影響を検討した.参加者は,好きな理由を分析するか,嫌いな理由を分析するか,もしくは分析せずにPepsiとCokeを試飲し,それらの好みを判断した.その結果,分析をしなかった参加者はPepsiよりCokeを好む傾向があったが,好きな理由を分析した参加者はPepsiへの選好を強めることが確認された.嫌いな理由を分析した参加者は,PepsiとCokeに示す好みに違いがなくなった.また,好きな理由についてはPepsiはCokeより記述しやすいと判断されたが,嫌いな理由については両者に違いがなかった.これらの結果は,意識的に味の好き嫌いを分析するテイスティング場面では,直感的な評価と異なる結果をもたらすこと,また,サンプルの理由の記述しやすさがそうした評価の変動を増減させていることを示唆する.
著者
尾崎 一隆 鰐川 彰
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.3, pp.150-162, 2008-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
34

近年, 分析形の官能評価方法と機器分析データを組み合わせることで, 様々な食品の「おいしさ」や「劣化」に寄与する成分が明らかになっている。本稿では, 定量的記述分析法による官能評価と化学分析を組み合わせてビールの「おいしさ」を解析する研究について, 詳細に解説いただいた。様々な分析手法とともに, ケモメトリックス手法等も大変参考になると思われる。
著者
山田 歩 芳澤 希 鮫島 和行 野場 重都 舛田 晋 鰐川 彰 植田 一博
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.437-446, 2015-09-01 (Released:2016-03-01)
参考文献数
30

Consumers often express different preferences for beverages in sensory test settingscompared with those in real-life settings. This study investigates the effects of tastingcontext on consumer tasting and evaluation of beverages. Three groups of respondentsparticipated in a blind taste test of a consumer beverage in different settings and thenevaluated the pleasantness of the beverage. Those who tasted in a real-life settingtended to report greater pleasantness for the sample than those who tasted in a testsetting where they were asked to rate multiple sensory characteristics of the sample.Those who tasted in a test setting in which they were not asked to rate these char-acteristics tended to give the sampled beverage moderate ratings that ranked betweenthose given by the other two groups. Several potential explanations for the effects oftasting context are discussed.
著者
鰐川 彰
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.107, no.8, pp.559-570, 2012 (Released:2013-10-08)
著者
岸本 徹 尾崎 一隆 鰐川 彰
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.361-367, 2007-09-25 (Released:2008-09-19)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

わが国で統一化されたビール官能評価方法について解説した.北米およびヨーロッパで統一化された国際評価方法をもとに,日本と欧米との言葉や文化の違いを視野に入れ,それらの香味用語が意図する意味を十分に考慮し作成されたものである.また,ビール独自の官能評価方法に関して述べ,官能評価と成分を対応させる試みについて,ホップ香気や酸化臭について具体例を挙げ解説した.