- 著者
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松野 賀宣
菊地 亮太
- 出版者
- 一般社団法人 日本航空宇宙学会
- 雑誌
- 日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.8, pp.221-227, 2023-08-05 (Released:2023-08-05)
- 参考文献数
- 22
航空機運航において,到着予定時刻(Estimated Time of Arrival: ETA)の予測精度は,風予測誤差に大きく影響される.本稿では,風予測誤差の影響を緩和し,ETAの予測精度を向上させるため,確率的風予測手法を提案し,巡航速度誘導則に適用する.確率的風予測では,多数の数値気象予報を行うアンサンブル予報を用いて,風を確率的に推定することで,ETAを高精度に予測する.そして,速度誘導則では,所定の許容範囲内で目標の到着時刻を満たす最適速度を決定する.本稿では,数値シミュレーションにより,確率的風予測を適用した速度誘導則の性能及び有効性を評価する.確率的風予測を適用することで,典型的な飛行管理装置に比べ,ETA予測精度が向上し,目標の到着時刻を満たすための不必要な速度変更回数を低減することができるため,航空交通管制による軌道予測性の向上や,燃料消費量の削減効果が期待される.