著者
瀬戸口 善則
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.714-715, 1997-09-05
著者
榊 茂好
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.435-438, 2007-06-05
著者
石黒 武彦 安西 弘行
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.381-389, 1982-05-05

1970年代にはTTF・TCNQをはじめとする有機合成金属が準1次元物性としての新鮮さからまた有機超伝導体への期待をこめて物性研究者の関心を集めた. 1980年代に入り(TMTSF)_2PF_6をはじめとする有機物が超伝導性を示し, しかもスピン密度波相と超伝導相そして電荷密度波相の競合, 共存の舞台となっていることが明らかにされた. これら有機合成金属は有機化学, 物性物理の境界領域にある. 本稿では有機合成金属における伝導電子の由来, 低次元性をもたらす構造, 超伝導性の特徴などについて紹介する.
著者
松澤 通生
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.402-412, 1986-05-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
47

常識に反して, 異常に膨脹した原子がこの世の中に存在する. 一つの電子が高い主量子数を持つ軌道に励起された状態にある原子を高リュードベリ原子と云い, これが上記の膨脹した原子の正体である. 原子の世界での最も簡単な系でもある. 静かにそっとしておくと寿命は長いが, 他粒子と出会うとすぐこわれやすい. 超高真空が実現している星間空間では半径0.02mm程度の原子が存在する. 地上でも 10-4cm 程度の半径の原子を実験室で作れるようになった. この励起原子は風変わりな存在で, 原子の世界でのスケールから大分かけ離れた挙動を示す. 本解説ではこの励起原子のいささか "非常識" な振舞について解説し, その正体を明らかにする.
著者
宇賀神 知紀 西岡 辰磨
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.435-443, 2021-07-05 (Released:2021-07-05)
参考文献数
46

量子情報理論は,量子エンタングルメントという古典論には現れない量子論の非局所性を特徴付ける重要な概念を,情報量として定量化してその性質を研究する学問である.量子情報理論はその名が示すとおり量子物理学と情報理論の交差点であり,両分野のアイデアを取り込みながら急速に発展している.一方で近年は量子情報理論で培われた概念や手法を,素粒子論,物性論,一般相対論などの基礎物理学に応用するという新しいアプローチが登場し,目覚ましい成果を上げている.場の量子論への量子情報理論的なアプローチにおいて,これまでは1つの量子状態の量子情報量を測るエンタングルメント・エントロピーの研究が中心であったが,最近は相対エントロピーとよばれる2つの量子状態の間の差を測る量子情報量の重要性が徐々に認識されるようになってきた.相対エントロピーは常に非負であり,また2つの量子状態が等しい場合にのみゼロとなることから,与えられた量子状態の空間上の「距離」のような役割を果たす.相対エントロピーは非負値性に加えてあるクラスの量子操作の下で単調性を示すなどのよい性質をもっている.これらの一般的な性質は,場の量子論を含む量子多体系に適用したとき,そのダイナミクスに強い制限を与えることが最近の研究でわかってきた.例えば2つの量子状態を上手く選ぶことで,相対エントロピーの「非負値性」から熱力学第二法則を導出することができる.同様の手法を用いると,ある空間領域の中に詰め込むことができる物質場のもつ(エンタングルメント)エントロピーに上限(Bekenstein限界)を与えることができる.相対エントロピーのもう1つの重要な性質である「単調性」もまた場の量子論に適用した際に,平均化されたヌル・エネルギー条件や,C-定理などの著しい結果を導く.一般に,場の量子論では局所的なエネルギー密度は正とは限らない.しかし平均化されたヌル・エネルギー条件は,エネルギー密度をある空間領域にわたって積分したものが正であることを主張する.またC-定理は粗視化の下で理論の変化を記述するくりこみ群のフローに対して強い制限を与える.ほかにも量子重力理論におけるホログラフィー原理や,時間に依存する系への相対エントロピーの応用も盛んに議論されている.AdS/CFT対応は反de Sitter時空(AdS)上の重力理論と,その境界上に住んでいる(重力を含まない)共形場理論(CFT)が等価になることを主張する.どのようにCFTから重力理論が創発されるのかは不明であったが,共形場理論における相対エントロピーを使うとAdS時空上の重力のダイナミクスを読み取れることがわかりつつある.またスクランブリングとよばれる,熱平衡状態における量子情報の急速な脱局所化現象が,ブラックホールの情報喪失問題や非平衡系において本質的な役割を果たすが,この現象を検出する手段としての有用性も指摘されている.
著者
宍戸 寛明 芝内 孝禎 寺嶋 孝仁 松田 祐司
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.877-881, 2010-11-05 (Released:2020-01-18)
参考文献数
24
被引用文献数
1

ある種の希土類化合物では伝導電子の有効質量が自由電子の数百倍にもに達する「重い電子」による金属状態が形成され,今まで知られている金属の中で最も強い電子相関を持った状態が実現される.これまでの重い電子系化合物はすべて3次元的な電子構造を持っていた.最近我々は分子線エピタキシー法により希土類化合物の人工超格子薄膜を作製し,重い電子系の次元性を3次元から2次元に制御することに成功した.2次元空間の重い電子系(2次元近藤格子)は通常の金属が示すフェルミ液体的振る舞いから大きくはずれた振る舞いを示す.
著者
小久保 英一郎 井田 茂
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.349-356, 2000-05-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
16

われわれにもっとも身近な天体,月は実は衛星としては特異なものである.その起源のシナリオとして近年有力視されているのは巨大衝突説である.巨大衝突説では,火星くらいの大きさの天体が原始地球に衝突し,その衝突により形成された原始月円盤から月が形成される.この原始月円盤からの月形成の大規模N体シミュレーションを行い,原始月円盤がどのような時間スケールで,どのように進化するのかを調べた.その結果,円盤の赤道面上で円軌道をもつ1個の大きな月が約1ヵ月かけてロッシュ限界のすぐ外側に形成されることがわかった.また,月の質量は初期円盤の単位質量当たりの角運動量によって決まることもわかった.ここでは明らかになった月形成過程の運動学的なフレームワークを紹介する.
著者
久徳 浩太郎 仏坂 健太
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.319-323, 2014-05-05 (Released:2019-08-22)

重力波による全く新しい天文学-重力波天文学-の幕開けが手の届くところに迫っている.一般相対論で予言される時空の計量の波である重力波は,ブラックホールや中性子星のような強重力天体が激しく運動するときに効率良く放射される.そのためこれら強重力天体,通称コンパクト天体が対をなした連星が重力波を放射しながら合体する「コンパクト連星合体」は,最も有望な重力波源である.重力波の直接観測は間違いなく物理学の一つの金字塔となり,さらに強重力場の観測による一般相対論の検証や原子核以上の密度を持つ中性子星内部の観測など,重力波天文学によって初めて可能になる様々な展開が期待される.その幕を開く鍵になるのが重力波源からの電磁波放射,すなわち重力波源の電磁波対応天体の観測である.重力波の検出は質的に新たな挑戦であり,初検出を確実にするには他の状況証拠の存在が望まれる.その点で電磁波は,古来の肉眼による夜空の可視光観測から,現在では電波からガンマ線まで,幅広く宇宙の観測に用いられてきた信頼のおける手段である.そのため,連星が合体するときに特徴的な電磁波が放射され,それを観測できれば,連星が合体しているという確かな証拠を得て,重力波の検出をより確実にできる.では,連星が合体するとき本当に,またされるとしてどのような電磁波が放射されるのだろうか?電磁波対応天体は近年大きな注目を集めており,理論研究が急速に進展している.一つの確実に近い知見は,連星の合体に伴って中性子星から物質が放出されると,様々な機構での電磁波放射が期待できるということである.そのため,連星合体に伴って起こる質量放出の様子を調べることは,電磁波対応天体の定量的な理論予言のために不可欠である.我々は数値相対論シミュレーションを用いて,中性子星を含むコンパクト連星の合体では,太陽質量の0.1-10%程度の物質が光速の10-30%で放出される可能性が高いことを,一般相対論での定量的な計算として初めて示した.電磁波対応天体の理論モデルによれば,これだけの物質が放出されれば,それに付随して十分に観測可能な明るい放射が期待できる.たとえば,放出された物質の中でr過程元素合成と呼ばれる過程により非常に重い中性子過剰核が合成され,放射性崩壊して温度が上がるために増光が起こる「巨新星」や,放出された物質が宇宙に存在する希薄な物質と衝突して,シンクロトロン放射を起こす「コンパクト連星合体残骸」などが電磁波対応天体の有望な候補となる.我々の質量放出の研究とほぼ同時期,2013年の6月に,巨新星と見られる増光現象が初めて観測された.我々は質量放出の結果に放射輸送のシミュレーションを組み合わせ,観測された現象が巨新星の理論予言と整合することを明らかにした.この一例の観測は決定打ではないが,重力波源の電磁波対応天体として,巨新星を始めとする理論的な予言が現実のものとなる蓋然性が高まったといえる.同時に,理論予言に過ぎなかった電磁波対応天体の探査に多大な観測能力が投入されたことは,この分野が注目を集めていることの証左となろう.
著者
渡部 昌平 佐藤 嶺 二国 徹郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.541-546, 2022-08-05 (Released:2022-08-05)
参考文献数
19

人間同士の関係やインターネット上の関係など現実世界には複雑なネットワークがあらゆるところに存在する.ビッグデータなどのデータ科学の進展と相まってこの複雑ネットワークの理解は急速に進んでおり,スケールフリー性・スモールワールド性だけでなく,お馴染みのフラクタル性などが存在することもわかってきた.さらに現在,量子探索のアルゴリズムが様々なネットワーク構造に適用され,ネットワークと量子探索が織りなす関係の理解が進んでいる.フラクタル構造に着目した場合,その構造を特徴づける指標にフラクタル図形の次元というキーワードがある.ユークリッド次元dE・フラクタル次元df・スペクトル次元dsがそれである.フラクタル次元とスペクトル次元は,ユークリッド次元と違い非整数値になる特徴をもつ.フラクタル図形を生成するとき一辺を何分割するかというスケーリング係数sも特徴量の一つだ.ネットワーク上の量子探索を理解するうえでは,ターゲットを見つけ出すための計算時間Qが格子点数Nに対してどのようにスケーリングするかという問題が重要になる.特に,整数次元dの格子ではQ≥max{ N 1/d, √N}となるのだが,非整数次元の場合にこのdはユークリッド次元dEになるのだろうか? フラクタル次元dfやスペクトル次元dsなのだろうか? そもそもこのような関係式自体が存在するのだろうか? 2010年にPatelとRaghunathanが,シェルピンスキーギャスケットとシェルピンスキー四面体を用いて提案した一つの仮説は,スペクトル次元dsによるQ≥max{ N 1/d, √N}である.著者らはシェルピンスキーカーペットや拡張されたフラクタル格子で幅広く調べ,仮説どおり確かにスペクトル次元dsによるスケーリングであることを確認した.計算時間のスケーリング指数はd=2を境にして切り替わるが,この2次元近傍ではべき則から外れることもわかっている.スピン系などの相転移と同様,量子空間探索でも2次元が臨界的な次元になっている点は大変興味深い.著者らのこの分野でのもう一つの貢献として,有効的計算時間に現れるスケーリング仮説の発見がある.ターゲットサイトでの最大発見確率Pmaxとターゲットを発見する計算時間Qは格子点数に対してそれぞれPmax∝N -αとQ∝N β(ただしα,β>0)のようにべき的に振る舞う.確率から見ると試行回数1/Pmax程度でターゲットの発見を期待するが,量子振幅増幅の議論から試行回数は1/√Pmax程度でよい.これとオラクルの演算回数としての計算時間Qを合わせて,有効的計算時間Qeff≡Q/√Pmaxを新たな指標として導入してみよう.この有効的計算時間はQeff∝N c(ただしc=β+α / 2)とスケールされるが,このスケーリング指数cが,フラクタル図形の特徴量の組み合わせ<inline-graphic xlink:href="abst-p541.png"/>で数値誤差の範囲内で高精度に与えられることがわかった.この仮説は,フラクタル構造を特徴づけるユークリッド次元・フラクタル次元・スペクトル次元・スケーリング係数が一つにまとまって現れるという意味でとても興味深い関係式になっている.現在のこのスケーリング指数に数学的証明は存在せず未解決問題となっている.
著者
脇山 徳雄
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.53, 2017-01-05 (Released:2017-12-28)

追悼近角聰信先生を偲んで