著者
喜友名 翼 安里 英樹 比嘉 勝一郎 新垣 寛 知念 弘 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.326-329, 2014

高齢者でBankart病変を伴わず肩関節前方脱臼を生じ,腱板広範囲断裂を認めた2例について報告する.症例1,79歳,女性.転倒し右肩関節を脱臼し,近医で整復後,就寝中に再脱臼した.MRIでBankart病変は認めなかったが腱板広範囲断裂を認めた.受傷後3ヵ月で自動挙上が不能であったため手術を施行した.鏡視にてBankart病変は認めず,腱板広範囲断裂を認め,腱板の一次修復が困難であったため,棘下筋移行術を施行した.術後12ヵ月で,自動可動域は屈曲/外転/外旋/内旋:140°/150°/60°/Th12,JSS-SISは術前16点が62点,JOA scoreは術前8点が81点に改善し,再脱臼を認めない.症例2,73歳,女性.転倒し右肩関節を脱臼し,近医で整復後,外固定が行われた.MRIでBankart病変は認めず,腱板広範囲断裂を認めたため当院に紹介された.腋窩神経領域の麻痺は認めなかったが,受傷後12週においても自動挙上が不能であったため,鏡視下腱板修復術を施行した.術後12ヵ月で,自動可動域は屈曲/外転/外旋/内旋:140°/150°/60°/L1,JSS-SISは術前16点が67点,JOA scoreは術前15点が81点に改善し,再脱臼を認めない.腱板の再建・修復を行うことで再脱臼を防止し,肩関節機能は改善した.
著者
桑野 洋輔 古市 格 井上 拓馬 小河 賢司 秋山 隆行 渡邉 航之助 荒木 貴士
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.572-576, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
12
被引用文献数
2

【はじめに】頚椎外傷後に咽頭後間隙血腫を生じ,保存的治療で軽快した5例を経験したので報告する.【症例】年齢は47~89歳(平均63.8歳).男性4例,女性1例.交通外傷によるものが3例,転落外傷によるものが2例であった.全例に頚椎骨折を認め,1例は頚髄損傷を合併していた.抗血小板薬を常用しているものが1例あった.咽頭後間隙の最大値は11~37mmであった.2例に気管挿管を必要とし,1例は受傷後3時間で気道閉塞症状が出現したため行い,1例は予防的に行った.抜管までには12~14日間を要した.3例は気管挿管を施行せずに自然軽快した.【考察】咽頭後間隙血腫は遅発性に気道閉塞を引き起こし致命的となることもあるため,その可能性を念頭に置いた治療が必要である.
著者
古賀 唯礼 本多 弘一 後藤 昌史 中村 秀裕 久米 慎一郎 志波 直人 大川 孝浩
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.540-543, 2019
被引用文献数
1

<p>〈目的〉拘縮肩に対するサイレントマニピュレーション(SM)の治療成績を検討した.〈対象と方法〉拘縮肩症例26肩(平均年齢57.5歳)に対し,皆川らの方法に準じSMを施行し,経時的に評価した.〈結果〉術前/術後6ヵ月後の各平均値は,屈曲:109±25.4°/148±12.2°(P<0.0001),外転:96±38.8°/152.9±23.9°(P<0.0001),外旋:26.4±14.3°/43.8±18.7°(P<0.0001),内旋:L5±3.3/Th11±2.7椎体(P<0.0001)といずれも改善を認めた.またJOAスコア:40.9±9.6/65.6±9.6(P<0.0001),UCLAスコア:15.9±3.9/27.3±5.5(P<0.0001),およびVisual analogue scale(VAS)はVAS rest:26.3±33.8/5.1±10.9(P=0.0123),VAS night:38.1±33.6/4.7±8.9(P=0.0007),VAS motion:67.5±24.7/17±15(P<0.0001)といずれも改善した.〈結語〉SMは拘縮肩に対して有効な治療法と思われる.</p>
著者
太田 剛 内藤 英俊 田所 英二 原 雄人 村川 義康 河野 渉
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.1160-1163, 1989-02-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
7

An epidemiologic study of lumbar intervertebral disc herniation was undertaken at our hospital.200 patients with this condition were operated in recent four years.To all cases, we sent the questionnaire.85 patients were successfully interviewed.It was found that this condition was most likely to be diagnosed among the male sex in the age group of 30's, and the female sex in the age group of 30's, 40's, and 50's.In the occupation, more than half of the male cases were hard-workers and more than half of the female cases were clerks and house-wives.
著者
片江 祐二 島田 佳宏 松本 康二郎 近藤 秀臣 森 俊陽 西田 茂喜 山下 信行 山元 英崇
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.185-188, 2018-03-25 (Released:2018-05-21)
参考文献数
14

【症例】77歳,女性.主訴:なし.現病歴:約2ヵ月前当院呼吸器外科で肺腫瘍を疑われた.PET-CTで左大腿骨に集積を認め,骨転移を疑われ当科紹介受診となった.肺腫瘍は生検で炎症性病変であり,大腿骨CTでは異常を認めなかったため,大腿部の骨生検は行わなかった.初診5ヵ月後のMRIで大腿骨の病変の増大を認め,腰椎MRIでは年齢の割には脂肪髄が少なかった.内科受診し,血液検査でM蛋白,尿中Bence Jones(以下BJ)蛋白は検出されなかったが,κ/λFLC比の異常を認め,γ-グロブリンは低値だった.胸骨生検を行い,病理診断と臨床像を合わせて非分泌型多発性骨髄腫と診断された.現在,血液内科で薬物治療中である.【考察】非分泌型多発性骨髄腫は多発性骨髄腫の数%の稀な疾患である.血清M蛋白や尿中BJ蛋白は検出されず,診断確定までに時間を要することが多い.原発不明の多発性骨病変があり,MRIで年齢の割に脂肪髄の減少をみたときは骨髄腫を考え,非分泌型も念頭に置くべきである.
著者
古賀 唯礼 本多 弘一 後藤 昌史 中村 秀裕 久米 慎一郎 志波 直人 大川 孝浩
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.540-543, 2019-09-25 (Released:2019-12-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

〈目的〉拘縮肩に対するサイレントマニピュレーション(SM)の治療成績を検討した.〈対象と方法〉拘縮肩症例26肩(平均年齢57.5歳)に対し,皆川らの方法に準じSMを施行し,経時的に評価した.〈結果〉術前/術後6ヵ月後の各平均値は,屈曲:109±25.4°/148±12.2°(P<0.0001),外転:96±38.8°/152.9±23.9°(P<0.0001),外旋:26.4±14.3°/43.8±18.7°(P<0.0001),内旋:L5±3.3/Th11±2.7椎体(P<0.0001)といずれも改善を認めた.またJOAスコア:40.9±9.6/65.6±9.6(P<0.0001),UCLAスコア:15.9±3.9/27.3±5.5(P<0.0001),およびVisual analogue scale(VAS)はVAS rest:26.3±33.8/5.1±10.9(P=0.0123),VAS night:38.1±33.6/4.7±8.9(P=0.0007),VAS motion:67.5±24.7/17±15(P<0.0001)といずれも改善した.〈結語〉SMは拘縮肩に対して有効な治療法と思われる.
著者
比嘉 淳 勢理客 久 濱崎 直人 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.507-511, 2003 (Released:2005-02-18)
参考文献数
6

Many hemiplegic patients suffer from subluxation of the shoulder joint and show severe damage to rotator cuff and humerus. There were 12 hemiplegic patients with pain and subluxation of the shoulder. Application of triangular sling did not prevent subluxation. Radiological examination revealed some flexion and abduction (45 degrees abduction in the scapular plane) reduced not only subluxation but also pain in 11 patients. Pain remained in one patient whose shoulder was not reduced by flexion and abduction. The use of pillow, slings or other ways to keep the shoulder in some flexion and abduction was effective in reducing the subluxated shoulder joint.
著者
日高 滋紀 日高 達郎
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.1019-1023, 1990-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
13

We reported twenty-six cases of avulsion fractures induced by sprains of the ankle joint. Most of them were results of avulsion by lateral ligaments or peroneus brevis tendon. But some of them were results of avulsion by other ligaments. We should be careful not to misdiagnose these injuries by taking three-directional plain radiograms, and adding str ss radiograms if necessary. These avulsion fractures occur not only in children whose skeletals are relatively weaker than ligaments and in adolescent who often engaged in sports activity, but also in the middle aged or older women. This fact suggests that osteoporosis is one of the factors inducing avulsion fractures rather than ligamentous injuries. We treated these fractures with success, prescribing walking boots cast for four weeks.
著者
高宮 啓彰 永田 見生 後藤 博史 薗田 恭輔 井本 浩樹 真島 武 吉松 弘喜 岩崎 敏展 富田 勝郎 河原 範夫
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.1056-1060, 1999-09-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

We present four cases of primary spinal tumor in adolescents. Two patients had aneurysmal bone cyst, and two osteoblastoma. These tumors were found in the thoracic spine in one patient, and lumbar spine in 3. The patients consisted of four men, and their average age was 19 years old. Following resection of their tumors, spinal instrumentation was used in two patients because of massive destructive change in the lumbar spine. Average duration of the follow-up was 9 months. Although there has been no recurrence in all cases, further observation is necessary.
著者
李 容承 松浦 恒明 進 訓央 兼川 雄次 谷口 秀将
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.40-42, 2016-03-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
12

3例と症例数は少ないが,肩関節前方脱臼に対して上腕近位部を外側に水平移動させることで上腕骨頭が関節窩の前縁を越えるようにして整復することができた.本法は,脱臼時の肢位のまま整復するため,侵襲が少ないと言える.多くの場合,救急外来における肩関節前方脱臼の整復法の第一選択は前方挙上法で,第二選択がStimson法やヒポクラテス法であるが,Stimson法は腹臥位・長い整復時間を要するし,ヒポクラテス法は骨折や腋窩神経損傷を起こす恐れがある.第一選択の前方挙上法で整復できない場合,第二選択として本法を試すことは有意義かもしれない.
著者
萩原 博嗣
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.126-128, 2014-03-25 (Released:2014-07-01)
参考文献数
5

注射による大腿四頭筋拘縮症は乳幼時期に頻回に受けた筋肉内注射が原因であり,本邦で1973年以来大量発生が報告された.近年の新たな発症は無いと思われるが,診断されないままに経過していた1例を治療する機会があったので報告する.症例:44才 女性.主訴:歩容異状,走行困難 乳児期に近医でγ―グロブリン筋注を両大腿部に10回以上受けた.幼時期から歩容異常があったが原因不明と言われ,走ることを避けていた.最近インターネットで調べて自己診断し,当科を受診した.所見:正座は可能.腹臥位で大腿直筋の短縮を評価する指標である「尻上がり角度」は右50°,左40°で,歩容異状が見られた.歩容改善の希望が強く手術を行なった.手術は左右別に2回行なった.大腿前面を6cm切開し大腿筋膜と腸脛靱帯を横切,大腿直筋を2段にずらして完全切離した.術後は3日間股関節伸展,膝屈曲位で仰臥した後に筋ストレッチと筋力訓練を行ない,症状は消失した.
著者
松延 知哉 前川 啓 福島 俊 河野 勤 鬼塚 俊宏 今村 寿宏 畑中 均 加治 浩三 神宮司 誠也 岩本 幸英
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.190-193, 2019-03-25 (Released:2019-05-16)
参考文献数
6

【はじめに】癌化学療法施行を目的として,当科では悪性骨軟部腫瘍患者に対して橈側皮静脈カットダウン法による埋め込み型中心静脈ポートシステム(CVポート)造設を行っており,その成績を後ろ向きに検討した.【対象と方法】2016/4~2017/12に同法によりCVポートが造設された15例を対象とした.平均年齢46歳であった.手術室使用時間,手術時間,局所麻酔使用量,抜去の有無などを調査した.【結果】手術室占有時間98.5分,手術時間49.5分,局所麻酔使用量10.3 mlであった.1例で血栓形成のためにCVポート抜去を行った.1例で橈側皮静脈欠損により,予定側と反対側に造設した.【考察】橈側皮静脈カットダウン法は動脈誤穿刺や気胸などの合併症がなく,安全に行えると考えられたが,橈側皮静脈欠損などのanomalyも報告されており,造設前にエコーで確認する必要がある.【結語】橈側皮静脈カットダウン法によるCVポート造設は,悪性骨軟部腫瘍患者に対して,整形外科医が安全に行える手技と思われた.
著者
今井 さくら 島尻 郁夫 比嘉 勝一郎 親富祖 徹 島袋 孝尚 金城 英雄 金谷 文則 金城 幸雄 宮平 誉丸 大城 義竹
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.563-566, 2019

<p>頚椎特発性硬膜外血腫は初診時片麻痺で発症する場合があり,脳梗塞と誤診され抗血栓療法が行われると麻痺が悪化することがある.また脊椎手術の患者の高齢化に伴い,抗凝固薬や抗血小板薬を内服している患者が増加しており,周術期の休薬の是非や休薬期間が解決すべき課題となっている.今回初診時脳梗塞と誤診され抗血栓療法により麻痺が悪化した1例と,抗血小板薬の休薬により術後脳梗塞を発症した1例を経験したので報告する.【症例1】80歳男性.突然後頚部痛が出現し救急搬送,右半身麻痺を認め,TIAが疑われヘパリン点滴治療が開始された.麻痺は徐々に増悪し,頚椎MRIで頚椎硬膜外血腫を認めた.緊急手術により術後麻痺は改善した.【症例2】84歳男性.後頚部痛と左半身麻痺を認め救急搬送,頚椎特発性硬膜外血腫と診断した.緊急手術により麻痺は改善傾向であったが,術後4日目に意識レベル低下と右半身麻痺を認め,頭部MRIで広範囲脳梗塞を認めた.</p>
著者
山川 慶 野原 博和 宮里 剛成 島袋 孝尚 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.574-577, 2019

<p>我々は比較的稀なガス含有腰椎椎間板ヘルニアの1手術例を経験した.症例は54歳男性で主訴は右臀部から下肢への放散痛である.CTでL4/5椎間板及びL5椎体レベルの脊柱管内やや右側にガス像を認め,MRIでL5椎体レベルにT1,T2,STIRで境界明瞭な低信号の腫瘤を認めた.以上からガス含有腰椎椎間板ヘルニアと診断し手術を行った.術中所見で右L5神経根の肩口から腋窩部にかけてガス含有椎間板ヘルニアを認めた.L5神経根は圧排され緊張が強く可動性がほとんど見られなかった.硬膜とヘルニア腫瘤の癒着を剥離している際に「パン」と破裂音とともにヘルニア腫瘤が縮小.縮小した腫瘤はピースバイピースで摘出した.病理組織像は硝子化をともなった線維結合組織であった.術後12日目のCTではL4/5椎間板腔,脊柱管内にガス像を認めたが3カ月目ではほとんど消失していた.現在右下肢痛無く経過している.</p>
著者
石原 昌人 仲宗根 哲 平良 啓之 山中 理菜 親川 知 松田 英敏 東 千夏 神谷 武志 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.620-623, 2019

<p>人工股関節置換術(THA)後の腸腰筋インピンジメントに対して腱切離を行い改善した1例を報告する.【症例】62歳女性.左変形性股関節症に対し左THAが行われた.術後より左股関節自動屈曲時の鼠径部痛を認めていた.歩行は可能であり鎮痛薬内服で経過観察を行っていたが,症状の改善がなく術後6ヵ月時に当院を紹介され受診した.左股関節の自動屈曲は疼痛のため不能で,血液検査で炎症反応上昇はなく,単純X線像でTHAのゆるみは見られなかったが,カップの前方突出を認め,腸腰筋インピンジメントと診断した.キシロカインテストで疼痛は消失し術後8ヵ月で手術を行った.腸腰筋は緊張しカップの前縁とのインピンジメントを認め腸腰筋腱切離を行った.術当日より疼痛は改善し術後3日目に独歩で退院した.術後2ヵ月でADL制限なく職場復帰した.腸腰筋インピンジメントの観血的治療として腱切離は低侵襲で有効な治療法と思われた.</p>
著者
冨田 哲也 岡田 貴充 松本 嘉寛 遠藤 誠 薛 宇孝 中島 康晴
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.177-180, 2019-03-25 (Released:2019-05-16)
参考文献数
15

【目的】悪性骨軟部腫瘍の不適切切除例に対する追加手術は高侵襲となり,特に上肢では追加広範切除による機能損失が大きい.当科で追加治療を施行した上肢の不適切切除例について検討した.【対象】2011~2017年に当科紹介された上肢発生骨軟部腫瘍815例のうち不適切切除例と判断された9例を対象とした.【結果】男性7例,女性2例,平均年齢69.3歳であった.全例が浅在性軟部腫瘍であり,病理診断は粘液線維肉腫6例,隆起性皮膚線維肉腫,骨外性Ewing肉腫,CIC遺伝子再構成肉腫各1例であった.初回術前にMRIを施行されたのは3例のみで,生検は全例未施行であった.初回手術時の手技上の問題点として横皮切,被膜損傷や掻爬による腫瘍播種などがあった.当院での追加手術7例のうち4例で再建を要した.【考察】上肢発生軟部腫瘍では,浅在性腫瘍であっても一期的な切除生検は適応を限定して施行することが望ましいと思われた.
著者
坂本 圭 福元 哲也 平井 奉博 橋本 伸朗 前田 智 中馬 東彦 松下 任彦 酒本 高志
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.161-164, 2018-03-25 (Released:2018-05-21)
参考文献数
10

壊死性筋膜炎は進行すると死亡に至る重篤な感染症であり,死亡率は32.2%と高く,早期の治療が必要である4).壊死性筋膜炎の診断で緊急に切断術を施行した3症例を経験したので報告する.
著者
秋山 寛治 近藤 司
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.276-278, 1994-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
3

We reviewed the complications developing after treatment with wire traction for femoral neck fractures in thirty elderly female patients ranging in age from 69 to 90 years. Eight cases of wire movement, six cases of local infection, and nine cases of psychological symptoms were recorded during traction. Regarding the mobility of knee joint and quadriceps muscle power at four weeks postoperatively, no significant difference was found between traction through the distal part of the femur and the tibial tuberosity.
著者
松永 大助 喜多 正鎮
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.166-169, 1977 (Released:2010-02-25)
参考文献数
21

The observations of the cases of multiple peritendinitis calcarea in young sisters aged 23 were 20 are reported.Calcium deposits about joints associated with acute pain are generally considered to be a clinical and pathological entity. The disease is apparently a self-limited one, and the symptoms generally subside within two weeks. The shoulder is the most commonly involved area, but there is an increasing number of recent publications dealing with calcifications of other joints.The conditions of the disease are well discussed in the literature, and the diagnosis is not difficult when it is kept in mind, but the etiology is remained unknown.It is believed that the deposition of the calcium salt is actually the end result of a necrobiotic process. Compared with the disease of unifocus, multiple peritendinitis tends to occur in younger female and without any remarkable trauma.The discussion of familiar cases may contribute to the etiology of the disease from a viewpoint of any disposition.
著者
横田 清司 井手 隆俊 田平 史郎 村山 哲郎 下山 議七郎 井上 博
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.679-683, 1978-12-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
11

One hundred and four of radial nerve palsy were treated from 1941 to 1952. The follow-up results were classified by Sakellarides's criteria.The following results were obtained:1) The most frequent cause of palsy was fractures and dislocations in 35 cases. Next in order of frequency were 14 so called “saturday night palsy”, 9 lacerations, 7 cuttings, 7 injections and 6 contusions.2) The results of motor recovery in 26 conservative cases follow-up were excellent in 19 (76%), good in 4 (16%), fair in one (4%) and poor in one (4%), and those in 16 operative were excellent in 8 (72.8%), good in 2 (18.2%) and failure in one (9%) after neurolysis, and excellent in 4 (80%) and fair in one (20%) after nerve suture.