著者
水城 安尋 玉井 幹人 志田 義輝 花田 麻須大 久我 尚之 萩原 博嗣
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.63-66, 2012
被引用文献数
1

肩石灰性腱炎において下方への亜脱臼を認めることがある.我々は巨大な肩石灰性腱炎の保存治療経過中に下方への亜脱臼が進行した一例を経験したので報告する.【症例】58歳女性,美容師.H21年9月より右肩痛が出現した.前医で石灰性腱炎の診断をうけ加療を受けたが,徐々に石灰が増大し亜脱臼をきたしたためH22年4月に紹介初診した.上肢の挙上及び回旋が著明に制限されており,単純X線では骨頭上方の巨大な石灰と骨頭の下方への亜脱臼を認めた.保存療法を行い疼痛や可動域は著しい改善が得られたが,亜脱臼は進行し5月に手術を行った.鏡視下に腱板を一部切開し石灰を除去した.術後より下方亜脱臼は改善され,術後2カ月で症状も改善し現職に復帰した.【考察】本症例では疼痛に関係なく亜脱臼は進行し,石灰の除去で速やかに亜脱臼は改善した.肩石灰性腱炎において巨大な石灰の場合,その容積による物理的な要因で下方亜脱臼が生じる可能性がある.
著者
根井 吾郎 﨑村 俊之 依田 周 森 圭介 水光 正裕 矢部 嘉浩
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.295-297, 2016

【はじめに】踵骨裂離骨折は稀な骨折である.また,転位した骨片により皮膚壊死を起こすことが報告されている.今回我々は踵骨嘴状骨折の1例を経験したので報告する.【症例】36歳・男性.バック転をした際に左踵部痛が出現し当院へ救急搬送され,単純X線像で左踵骨嘴状骨折を認めた.転位骨片により皮膚は蒼白であり,皮膚壊死を回避するために緊急手術を行った.中空海綿骨裸子3本でのラグスクリュー固定と高強度糸による締結を行った.術後3週尖足位でシーネ固定と免荷を行い,以後はアキレス腱装具装着下に荷重を開始した.皮膚壊死や創感染などの合併症なく経過し,骨癒合が得られた.【考察】踵骨嘴状骨折は稀な骨折で,皮膚壊死を起こす危険性が高く緊急手術を行う必要がある.本症例は緊急手術を行い軟部組織合併症が回避できた.
著者
増田 陽平 吉村 洋一 岡村 武志 松崎 尚志 多田 弘史
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.377-381, 2009-09-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
9
被引用文献数
1

我々が経験したinsufficiency fracture(脆弱性骨折)の7例について画像に関する考察を含め報告する.平均年齢79.7歳,男女比1:6,仙骨翼両側骨折が71.4%,片側が28.6%であった.恥骨骨折合併を42.9%に認めた.何れの患者も自制疼痛内安静度自由とし軽快した.画像的特徴としてレントゲンで骨折を判別するのは困難で,MRIにおいて特にSTIR(脂肪抑制)では仙骨部の信号変化を捉えやすかった.骨シンチでは両側骨折の場合に蝶形,H型,Honda's signと呼ばれる集積増を認める.CTでは骨折線もしくは硬化像を確認できた.日常診療で本疾患は見落とされやすいために常にその存在を念頭に置き,検査においては,恥骨骨折の存在は本疾患を考慮し,感度の高いMRI,骨シンチでスクリーニングし特異度の高いCTで確定する.
著者
宮﨑 弘太郎 野村 智洋 秋吉 祐一郎 南川 智彦 真田 京一 山﨑 裕太郎 橋野 悠也 柴田 陽三
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.494-497, 2018

<p>【はじめに】高位脛骨骨切り術における骨切り面と膝窩動脈との距離・位置関係について検討を行った.【対象と方法】当院で2016年4月~2017年7月までに施行した膝MRI検査のうち3Dデーターが保存されMPR画像の再構成が可能であった症例を用いて検討を行った.内側開大式楔状高位脛骨骨切り術時の骨切りを想定し,内側関節面から3.5cm遠位の脛骨内側縁から腓骨頭へ向かう骨切り面のMRI画像の再構成を行い,脛骨後縁と膝窩動脈との最短距離および脛骨内側縁からの位置関係の評価を行った.【結果・考察】高位脛骨骨切り術における膝窩動脈損傷は非常に稀な合併症ではあるが,損傷時の治療は緊急手術を要する重篤な合併症の一つである.高位脛骨骨切り術における骨切り面と膝窩動脈との距離・位置関係に関して検討を行ったので若干の文献的考察を加え報告する.</p>
著者
松浦 恵里子 嶋﨑 貴文 髙山 剛
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.356-359, 2017-03-25 (Released:2017-05-01)
参考文献数
3

【はじめに】ステロイド全身投与中にアキレス腱断裂を認めた2症例に対し,保存療法と手術療法を行った.【症例】症例1:63歳男性.自己免疫性水疱症に対しステロイド及び免疫抑制剤の投与中であった.ステロイド投与開始後4か月時に歩行中の右踵部の疼痛を主訴に来院し,右アキレス腱断裂を認めた.手術加療を検討したが,自己免疫性水疱症により皮膚の状態が不良であり,創傷治癒遅延や感染が危惧されたため装具を用いた保存療法を行った.症例2:79歳男性.ANCA関連腎炎に対しステロイド及び免疫抑制剤の投与中であった.ステロイド投与開始後5年時に両踵部の疼痛を主訴に来院し,亜急性右アキレス腱断裂を認めた.最大底屈位で断端の接触が得られず手術療法を行った.【考察】ステロイド全身投与患者のアキレス腱断裂に対する保存療法では腱修復に長期間を要し,画像上腱修復も不十分であり,早期運動開始および確実な腱修復を得るためには手術療法が望ましい.
著者
古森 元章 佐々木 邦雄 芝 啓一郎 山野 耕一郎 植田 尊善 浅川 耕司 森永 政博 吉浦 光三 Nobuaki Tsunoda
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.284-288, 1985-07-25 (Released:2010-03-16)
参考文献数
4

It is important to grasp sufficiently general and neurological findings in acute cervical cord injuries. In rare cases, It is difficult to grasp exact neurological findings due to disorder of serum electrolyte concentrations. To take an accurate neurological findings, it is necessary to improve serum electrolyte disorder. We examined serum sodium concentration in 85 patients of acute cervical spinal cord injuries. In one case, we could not take accurate neurological findings at the emergency room, probably because of serum electrolyte disorder.
著者
青木 佑介 大湾 一郎 伊佐 智博 森山 朝裕 金城 聡 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.678-680, 2020

<p>【目的】85歳以上の大腿骨頚部骨折に対し人工骨頭置換術を施行した症例において,術前の心機能が術後の歩行能力や生命予後に影響するかを確認するために調査を行った.【対象・方法】2015年7月から2018年6月末までに85歳以上で転位型大腿骨頚部骨折に対し人工骨頭置換術を施行した53例を対象とした.全例に受傷前・術後の歩行能力,術後の転帰について電話による調査を行った.歩行能力は,独歩,杖歩行,歩行器歩行,車椅子の4段階に分類した.術後の歩行能力は退院後最も改善した時の歩行能力とし,歩行能力維持群,低下群の2群に分類し,年齢,左室駆出率,死亡率について検討を行った.さらに,調査時の生死によって生存群,死亡群の2群に分類し,年齢,左室駆出率(Ejection Fraction[以下EF])について検討を行った.【結果】歩行能力維持群と低下群では,年齢,EF,死亡率に有意差はなかった.生存群と死亡群においても,年齢,EFに有意差はなかった【考察】術前心機能が不良でも術後の心不全合併を予防することができれば,歩行能力や生命予後への影響はほとんどないと考えられた.</p>
著者
蛯子 隼 金城 政樹 村上 弘 赤嶺 良幸 當銘 保則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.884-887, 2020

<p>腱黄色腫は家族性高コレステロール血症に伴い出現する報告が多い.高コレステロール血症を伴わない,多発性腱黄色腫の1例を経験したので報告する.症例は46歳,女性.8年前に両側手関節部と下腿後方の腫瘤に気付いた.2か月前に右手関節部腫瘤が書字やパソコン操作に支障をきたし近医受診,当院へ紹介された.初診時身体所見で両側手関節掌尺側に弾性・硬,可動性に乏しい腫瘤があり,両側アキレス腱および腓骨筋腱の肥厚を認めた.血液検査で高コレステロール血症はなく,高トリグリセライド血症を認めた.MRIで尺側手根屈筋と連続し,T1・T2強調画像で低信号,被膜のみ造影効果を示す腫瘍を認めた.切開生検で腱黄色腫と診断した後に高トリグリセライド血症に対し,脂質代謝コントロールを行い右手関節部の腫瘤を可及的に切除した.術後5か月で関節可動域・握力に術前と大きな変化はなく,書字・パソコン操作時の支障は消失した.</p>
著者
藤本 泰毅 西田 康太郎 東 千夏 比嘉 浩太郎 翁長 正道 松田 英敏 石原 昌人 仲宗根 哲 神谷 武志 當銘 保則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.864-866, 2020

<p>両側同時TKAは1回の入院・麻酔,医療コストの削減といった長所がある一方で,手術時間の延長,合併症の報告がある.当科における両側同時TKAの臨床成績を報告する.対象は2011年1月から2018年6月までに両側同時TKAを行った9例(男性4例,女性5例),原疾患は変形性膝関節症4例,関節リウマチ4例,特発性骨壊死1例,手術時年齢は63歳だった.調査項目は,平均手術時間,平均入院日数,術前後のJOA score,大腿骨脛骨角,膝関節ROM,術後の合併症とした.手術時間は平均251分,入院日数は34.6日だった.術前後でJOA scoreは43点が77点に,FTAは184°が177°に,ROMは伸展/屈曲-17°/102°が-2°/108°に改善した.術後の合併症は,表層感染1例,深部静脈血栓症2例,術後貧血1例等6例に認めた.両側同時TKAを安全に行うには年齢や合併症などを考慮しなくてはならない.</p>
著者
青木 佑介 伊佐 智博 森山 朝裕 金城 聡 大湾 一郎 仲宗根 哲 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.625-627, 2020

<p>レボフロキサシン服用後にアキレス腱断裂を受傷した若年患者の1例を経験したので報告する.【症例】32歳女性.10歳時に全身性エリテマトーデスを発症し,以降22年間ステロイド剤を使用していた.急性咽頭炎に対してレボフロキサシンの服用を開始し,翌日より両下腿後面に軽度の疼痛が出現した.レボフロキサシンはその後計7日間内服を継続し服用を終了した.服用終了後両下腿後面の疼痛は一時消失するも,内服終了3週間後,歩行中に左下腿後面に疼痛,腫脹,皮下出血が出現し,当科を初診した.左アキレス腱断裂と診断し,底屈位固定による保存療法を8週間行った.受傷後2か月のMRIではアキレス腱の連続性が認められた.受傷後8か月の時点で再発なく経過している.【考察】ステロイド使用歴のある患者に対してはニューキノロン系薬剤の使用に際してはアキレス腱断裂の副作用を念頭に置く必要があると考えられた.</p>
著者
親富祖 徹 山口 浩 呉屋 五十八 当真 孝 森山 朝裕 大城 裕理 砂川 秀之 當銘 保則 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.594-597, 2020
被引用文献数
1

<p>51歳男性,ホテル勤務.バイク走行中に転倒受傷し,近医に救急搬送された.単純X線像で左肩関節後方脱臼骨折を指摘された.静脈麻酔下に脱臼整復を試みるも整復困難であった.受傷翌日に全身麻酔下に螺子2本を用いた観血的脱臼整復術及び骨接合術を施行し,術後三角巾・バストバンドを用いた内旋位固定が行われた.術後14日目,外来受診時に再脱臼と骨折を認めたため当科へ紹介された.初診時肩関節可動域(以下,ROM)は屈曲40°,外旋-45°,内旋不可,単純X線像,CTで転位・再脱臼を認めた.初回手術後3週目で観血的脱臼整復・髄内釘を用いた骨接合を行った.術後8週間は外転装具を用いて外旋位固定し,早期より手指・肘の拘縮予防・肩甲帯リラクゼーションを行った.ROM訓練は術後4週目から行った.受傷後4カ月で復職し,受傷後20カ月で単純X線像上再脱臼なく,ROMは屈曲125°,外旋30°,内旋L5であった.</p>
著者
水田 康平 大久保 宏貴 大中 敬子 仲宗根 素子 金城 政樹 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.508-511, 2020

<p>15歳女性.1年程前からバレーボール後に左手関節痛を自覚したが,安静にて症状が改善したため医療機関を受診しなかった.4か月前グランドゴルフで地面を強打した後から疼痛が増悪し,近医を受診した.単純X線像で骨傷を認めず,装具療法・安静を指示された.2か月後に疼痛の改善なく再診した.単純X線像で月状骨の圧潰を認め,ギプス固定を行うも,圧潰が進行し当院を紹介された.初診時,左手関節背側に圧痛を認め,握力は4kg(健側比22%)と低下,手関節可動域は背屈40°/掌屈10°と制限を認めた.単純X線像で月状骨の扁平化と分節化を認め,ulna varianceは-2.4mmで橈骨遠位骨端線は閉鎖していた.MRIではT1,T2強調像ともに月状骨が低輝度を呈し,Lichtman分類stageⅢ-Aのキーンベック病と診断した.圧潰の進行を認めたため橈骨短縮骨切り術を行った.術後13か月で疼痛は著明に改善.握力:22㎏(健側比117%),手関節可動域:背屈80°/掌屈80°と改善し,MRIで月状骨のrevascularizationを認めた.</p>
著者
青木 佑介 山口 浩 伊佐 智博 森山 朝裕 金城 聡 大湾 一郎 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.578-581, 2020

<p>合併症により保存的に加療した2-part上腕骨近位端骨折で20°以上の内反変形をきたすも機能予後が良好であった3例を経験した.【症例1】51歳女性.転倒し受傷.頚体角は受傷時115°,受傷後4週95°と内反変形の進行を認めた.超音波骨折治療を行い受傷後6カ月で骨癒合した.【症例2】82歳女性.転倒し受傷.頚体角は受傷時110°,受傷後4週100°と内反変形の進行を認めた.受傷後6カ月で骨癒合した.【症例3】81歳女性.転倒し受傷.頚体角は受傷時130°,受傷後6週105°と内反変形が進行し遷延癒合を認めた.テリパラチド投与を行い受傷後4カ月で骨癒合した.3症例とも長期間リハビリテーションを行い屈曲が健側の80%以上の可動域に回復した.【考察】長期間リハビリテーション継続可能な症例では,内反変形が残存しても機能障害は少ない可能性が考えられた.</p>
著者
津覇 雄一 山口 浩 当真 孝 呉屋 五十八 大城 裕理 森山 朝裕 當銘 保則 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.570-573, 2020

<p>高齢者の腱板断裂を伴う肩関節前方脱臼の1症例を経験したので報告する.79歳,女性,無職.バイク走行中に転倒して受傷,同日救急搬送された.単純X線像で右肩関節前方脱臼を認め,同日徒手整復された.整復後に撮影された単純X線像で肩甲関節窩小骨片を伴う前方関節唇損傷を認めたが,骨片が小さいため保存療法が行われた.受傷後5ヵ月で右肩痛・挙上困難が持続するため近医を受診した.肩甲関節窩骨欠損を伴う右肩関節亜脱臼と診断され当科へ紹介された.当院初診時,肩関節可動域(以下,ROM)は屈曲40°,外旋-45°,内旋不可で,単純X線像では肩甲関節窩骨折部の骨欠損増大,立位で亜脱臼位となる不安定性を認めた.手術では骨頭軟骨損傷を認めたため人工骨頭置換,肩甲関節窩へ切除骨頭を用いた骨移植,腱板修復術を行った.術後8週間は外転装具を用いて固定を行った.術後28ヵ月で肩関節可動域は屈曲125°,外旋30°,内旋L5,日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(以下,JOAスコア)は81点まで改善し,単純X線像では亜脱臼を認めていない.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 大城 裕理 呉屋 五十八 森山 朝裕 當銘 保則 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.585-589, 2020

<p>症例1,38歳,男性,会社員.歩行中に車にはねられ受傷.救急搬送時Japan Coma Scale(JCS)200,外傷性くも膜下出血(SAH),びまん性軸索損傷(AI),左上腕骨骨折と診断.全身状態不良のため上腕骨骨折は保存療法を行った.受傷後9年で中等度高次脳機能障害が残存し,肩関節可動域(ROM)は屈曲120°,外旋15°,障害者就労支援施設に勤務している.症例2,19歳,男性,大学生.バイク走行中に転倒し受傷.救急搬送時JCS 200,SAH,AI,血気胸,頭蓋骨・右肩関節脱臼骨折と診断.受傷後22日目に観血的脱臼整復術を施行した.術後1年で復学し,術後33カ月で骨頭・関節窩変形を認め,ROMは屈曲140°,外旋60°,内旋T12レベルであった.症例3,24歳,男性,会社員.歩行中に車にはねられ受傷.救急搬送時JCS 100,SAH,頚椎歯突起・左下腿・左上腕骨骨折と診断.受傷後4日目に骨接合術を施行した.術後1年で復職し,術後2年でROMは屈曲140°,外旋75度であった.</p>
著者
岩崎 勝郎 中嶋 裕 井上 喜博 前田 謙而 常岡 武久
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.167-172, 1986-10-25 (Released:2010-03-16)
参考文献数
8

In order to clarify the factors influencing the prognosis of the femoral neck fracture in young adults, 53 fractures in 52 patients were evaluated. All patients were between 13 and 49 years old.The incidence of non-union was 6 per cent of 49 fractures and of late segmental collapse (LSC), 24 per cent of 41 fractures. Non-union was seen in patients who had Garden Stage III and IV fractures, and in patients of more than 46years old at trauma. The LSC occurred in 6 of 9 Garden Stage IV fractures and in 2 of 8 transverse fractures in middleneck, as well as in 3 of 6 patients who had operation at 22 days or more after trauma.It is concluded that there is few problems on the bone union of the femoral neck fracture in young adults. The most important factor which influences the prognosis is LSC, and the occurrence of this complication i s related to the interval between trauma and operation, and to the type of fracture.
著者
宇都宮 健 菊池 直士 横田 和也 高野 祐護 宮崎 幸政 井上 三四郎 谷口 博信 阿久根 広宣
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.241-247, 2013-03-25 (Released:2013-06-11)
参考文献数
24

本疾患は1970年Maroteuxが初めて報告した.手指に紡錘形の腫脹・熱感・疼痛を生じるが,数カ月の経過で自然軽快し予後は良好とされる.生後2カ月-15歳に好発し,寒冷期に多い.血液検査では炎症反応は認めない場合が多く,単純X線写真で中節骨に1mm大の小透亮像を多数有することが特徴である.今回本疾患と思われた3症例を経験したので報告する.
著者
馬場 秀夫 寺本 司 乗松 敏晴 藤田 雅章 松坂 誠應 岩崎 勝郎
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.1667-1672, 1991-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
19

The initial treatment that is usually recommended for symptomatic talocalcaneal coalition is nonoperative. But this time the operative treatment has been applied for those patients who fail to respond to the nonoperative treatment. Recently we treated five such cases by excision of the coalition because nonoperative treatment was not successful. Three cases were talocalcaneal coalition and two cases were calcaneonavicular coalition. The age of the patients at the time of surgery ranged from nine years to fortysix years. After the operation, we didn't use immobilization in a cast but started active exercises. Thus, operative treatment is a viable option if nonoperative treatment is unsuccessful; excision treatment, in addition to starting active exercise as soon as possible after the operation, is effective for tarsal coalition.We must suspect tarsal coalition for patients with limitation in subtalar joint and pain in the area of the coalition.We diagnose talocalcaneal coalition with radiography, tomoraphy, computed tomography and arthrography. Calcaneonavicular coalition is best seen on an oblique radiography.