著者
水野 由多加
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.93-128, 2010-11

This article researches advertising by studying specific cases in American advertising history from the 20th century from the viewpoint macro socio-psychology. The author tries to show that successful advertising relies on a combination the product and its social value rather than effective advertising appeal itself,and can be called an institutional (social)innovation. This notion has rarely been studied. Many researches treat advertising as an exit medium for innovation; however,this paper provides a supplemental view point of innovation research,and tries to bridge the gap between macro socio-psychological or cultural consumption studies and economic or management research. 本稿の目的は、20世紀アメリカ広告の歴史的事例分析をマクロ社会心理的に行う広告研究である。その帰納的に見出される観察知見は、社会的(制度的)イノベーション(innovation) と呼び得るものであり、従来隠されていた「広告の社会価値結合」という特質を明確にした。広範に経済学・経営学の中で扱われるイノベーション研究に対して、この知見は、補完的なイノベーション論の視点を詳細化し、また従来無視されがちであったマクロ社会心理研究、あるいは消費文化研究と経済・経営学研究の架橋の可能性も併せて示すものである。
著者
佐藤 万亀子
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.77-107, 2005-03

経済の混迷する現在、職場の労務管理は、家族的温情主義から、個人と組織の欲求を統一した人的資源管理への移行が時代の趨勢となり、キャリアカウンセリングの台頭を見ることになった。職場カウンセリングの来談に動機づけられない日本人の意識構造をカバーするために、スクリーニングとして「労働意識調査」を介した回答結果によって、自己の意識を客観的に見てもらう体験を通して、来談のための内発的な動機づけを高めると考えられた。呼び出しに応じて来談したクライエントは、面接場面で、象徴的な自己を吐露する現象が見られた。これらのクライエントの抱える問題の内容は、多種多様で、かつ深刻であった。問題がさらに重大にならない前の早い時期に、もし、パーソンセンタードのカウンセリングによって、認知変容ができれば、クライエントの人生の真の意味を気づかせるばかりか、さらに精神的健康の増進にもつながると考えられる。さらに医療費の軽減をもたらすことが期待でき、今後の医療政策へも、一つの示唆を与えることが出来ると考えられる。
著者
常木 暎生
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.271-291, 2006-03-30

日本人の政治意識は低いと言われているけれども、政治討論番組は一定の視聴率を確保し、長期間に渡って放送されている。サンデープロジェクトと日曜討論の二つの政治討論番組における司会者の言動が視聴者にどのような印象を与えているかを内容分析とSD法によって分析した。日曜討論の司会者が発言権の分配に徹して、際立った印象を与えていないのに対し、サンデープロジェクトの司会者田原総一郎は討論を親しみ易く、活性化させ、楽しいものにしている反面、攻撃的、感情的で、苛立たしさ、迎合的といった印象を与え、視聴者の感性を刺激している。これにより視聴者は政治討論番組をおもしろく感じ、興味を示すようになっている。
著者
永井 良和
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.203-279, 2021-09-30

1920年代から1930年代にかけて、わが国の都市ではモダン文化が開花した。なかでも、ジャズ音楽と社交ダンスの大衆化は、その象徴的現象である。しかしながら、当時の史実を再構成するために必要な基礎資料の整備は、いまだじゅうぶんとはいえない状況にある。この資料では、昭和戦前期に大阪・尼崎で刊行されていた雑誌のうち、『ダンサー』・『ダンスフアン』・『ダンス時代』の3誌について、未発見の号や欠号などがあるものの、関西に存在したタクシーダンス・ホールの詳細を知る手がかりとして、目次を復刻し、重要な記事の一部を翻刻する。なお、この作業は、1995年から1996年にかけて連載した、東京で発行されていた雑誌の目次総覧についての資料の続編にあたるものである。In the 1920s and 30s, Modernism was the distinctive feature of Japanese urban culture. To understand that period, an appreciation of jazz music and ballroom dancing are particularly important. Relevant information for reconstructing these phenomena is, however, lacking. This time, three magazines from this period published in Osaka and Amagasaki, Dansâ (The Dancer), Dansu-Fan (The Dance Fan), and Dansu-Jidai (The Dance Time) have been studied with the help of several informants and public libraries. Although there may be many missing numbers, the found issues contain a lot of valuable information that detail the taxi-dance halls that existed in Osaka, Amagasaki, and the Kansai area. Therefore, as a result of the study, I created a log of all the issues that I could find, and reprinted several important articles.
著者
水野 由多加
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.129-138, 2013-12

Although the new Media Studies Major at the Faculty of Sociology, Kansai University, began in 2013, this program can be traced back 65 years to its foundation, when it was originally called the Department of Journalism (and Media) Studies, at the Faculty of Letters, Kansai University, in 1949. A great many changes has occurred since then but might easily be forgotten. In this article, the author describes in detail the prehistory of the Media Studies Major at the Faculty of Sociology, Kansai University.関西大学社会学部マス・コミュニケーション学専攻は2013年からメディア専攻に改称・改編したが、その淵源は1949年の文学部新聞学科設置にあり、以来65年の経緯を持つ。この機会にメディア専攻の前史として専攻の忘れられがちな歴史を専攻に絞ってまとめた。
著者
水野 由多加
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.129-138, 2013-12-20

Although the new Media Studies Major at the Faculty of Sociology, Kansai University, began in 2013, this program can be traced back 65 years to its foundation, when it was originally called the Department of Journalism (and Media) Studies, at the Faculty of Letters, Kansai University, in 1949. A great many changes has occurred since then but might easily be forgotten. In this article, the author describes in detail the prehistory of the Media Studies Major at the Faculty of Sociology, Kansai University.関西大学社会学部マス・コミュニケーション学専攻は2013年からメディア専攻に改称・改編したが、その淵源は1949年の文学部新聞学科設置にあり、以来65年の経緯を持つ。この機会にメディア専攻の前史として専攻の忘れられがちな歴史を専攻に絞ってまとめた。
著者
清水 和秋
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Sociology, Kansai University (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.191-211, 2018-03

因子分析の理論は、最尤法と漸近的方法のような数理統計学的理論を組み込んだ形で発展してきた。しかしながら、因子分析研究の手順にはまだ誤用がみられる。いくつかの研究において、天井効果や床効果を示す項目を削除して因子分析が行われている。因子分析に必要なサンプル数は明確ではない。因子の数を決定するためにKaiser-Guttman 基準は使うことはできない。そして、この目的でScree Graph とParallel Analysis を使用している研究は数多くあるが、そのための決定的な方法はない。Varimax のような直交回転は最終的な解と考えることはできない。しかしながら、Geomin は単純構造だけでなくより複雑な因子の布置に対しても優れた回転方法と考えられている。因子回転問題を考慮した単純構造とbifactor 構造について議論した。因子分析の使い方には多くのartifacts があるが、この問題は、Mplus やR Package などのSEMプログラムによって組み込まれた複数集団の同時分析によって因子的不変性を検証することによって対処することができる。
著者
雨宮 俊彦
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.89-141, 2000-09-25

本論文では,視覚記号の基本的な問題をあつかった。第1部では,視覚記号と聴覚記号の比較,音声言語と絵的記号の比較がなされた。そして,著者は,種々の視覚表示と視覚表現が,マー(1982)のとなえる視覚的情報処理における諸段階の表象と諸側面に関連して位置づけられることを指摘した。第II部では,グッドマン(1968)による記譜性にかんする記号論とデイーコン(1997)によるシンボリック・レファランスの成立についての説が,それぞれ批判的に検討された。最後に著者は,視覚記号における四種類のレファランス(外延指示、共示、例示、表現)のしくみの解明をこころみた。付録では,マンガ(日本のストーリーコミックス)表現が,音声言語表現と絵的表現の融合したものとして分析された。
著者
雪村 まゆみ
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Sociology, Kansai University (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.1-15, 2020-03

近代国家成立とともに、各国の文化的生産物は、文化財として国内法あるいは慣習によって保護されてきた。本稿では、世界遺産条約といった国際的な文化財保護制度の枠組みが浸透するなかで、それらがいかに変化するのか、また、新たな批准国の参画は、世界遺産条約にいかなるインパクトをもたらすのか、という問題について考察することを目的とする。そのために、まず、2節では、日本が世界遺産条約に批准するプロセスについて、国会議事録等を資料として考察する。次に、3項では、日本が世界遺産条約に批准してすぐに開催された「木造建築」のオーセンティシティを議論する「奈良会議」に至る経緯と、そこで議論された文化財のオーセンティシティの解釈について考察する。また、4項では広島の原爆ドームが世界遺産に登録されるプロセスを分析し、日本国内の文化財保護行政の変更点を示す。さいごに第5項では旧閑谷学校の世界遺産登録運動のプロセスを分析することで、戦略的に文化財のカテゴリー変更が推し進められる実態を明らかにする。以上のことより、国際的な文化財保護の制度化は、他者の文化との交流を促すため、不可避的に各文化の価値基準の変化を引き起こすことが明らかとなった。本稿は、2018年度-2019年度科学研究費助成事業・研究活動スタート支援「世界遺産制度が地域の文化財保護におよぼす影響」(研究代表者:雪村まゆみ、課題番号 : 19K20933)による研究成果の一部である。
著者
吉岡 至
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.65-92, 2021-03-31

2019年2月24日、沖縄で実施された県民投票は辺野古沿岸への普天間飛行場移設・新基地建設のための「埋め立て」の賛否を問うもので、沖縄の民意をあらためて示す一つの重要な機会であった。本稿は沖縄の地方新聞である『沖縄タイムス』と『琉球新報』が県民投票をめぐる争点や沖縄の民意をどのように伝えたのか、その報道の特徴を明らかにすることを目的としている。報道内容の分析を通じて、2つの側面― 県民投票に関する「全県実施」の可能性と「反対」の民意を強調していることを、その特徴として指摘した。
著者
橋本 理
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.5-42, 2007-03-25

This paper reviews and explains the significance and issue of community business. First it introduces points of contention in community business by comparing studies on non-profit organizations. Then, it explains that how the local and national Japanese governments have dealt with this issue. 本論文は、コミュニティビジネス論の展開を整理し、コミュニティビジネスの意義と問題点を明らかにすることを目的としている。第1に、コミュニティビジネスに関する議論がどのように展開されてきたかをNPO研究との比較のなかから整理する。第2に、コミュニティビジネスが国や自治体における政策のなかでどのように位置づけられてきたかを明らかにする。
著者
浅田 正雄
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.317-336, 1975-11-04

創立九十周年記念特輯
著者
高増 明
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-20, 2015-10

Japanese popular music (J-Pop) is currently facing a critical situation. After having reached a peak of JPY 600 billion in 1998, sales have dropped steadily throught the present day. The crisis exists in a quantitative as well as a qualitative aspect. The same types of songs are ranked in the hit-charts and J-Pop songs are produced to be salable only in the Japnese market. They deviate from global trends in popular music. In this article, we analyze how this music industry crisis developed and how it can be solved. We consider factors that drove the crisis by focusing on the economic stagnation and changes in the economic characteristics of music goods. As the policies that can rescue J-Pop from the crisis, we propose the possibility of indie records companies that the artists can establish by themselves as well as suggest government intervention in the music industries through taxes and subsideies. In the final section, we summarize the implications of this article and refer to the current state of the music markets in the US, China, and South Korea. 日本のポピュラー音楽は危機的な状況にある。音楽コンテンツの売上は1998年に約6,000億円に達したが、その後は傾向的に減少している。危機は、量的側面だけではなく質的側面についても存在する。最近は、同じタイプの音楽がヒットチャートの上位を独占し、日本のポピュラー音楽は、世界の動向からは乖離して、日本のマーケットだけを目指すようになっている。この論文では、危機がどのようにして生じ、それをどのように解決するのかを考えていく。危機を起こした原因としては、経済の停滞と音楽の財としての特性の変化に注目する。危機を救う方法としては、アーティスト自らがすべての役割をこなすインディーズと政府が音楽市場に介入し、音響機器に課税するとともに、補助金を交付する方法を提案する。最終節では、論文の内容を要約するとともに、日本の状況をアメリカ、中国、韓国と比較する。

1 0 0 0 IR BSE報道再考

著者
常木 暎生
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.213-232, 2007-03

BSE感染牛が日本で発見されてから5年半が経ち、BSE問題がようやく落ち着いた現在、BSEが人々に与えた影響を再検討する。新聞記事データベースを利用して記事内容を分析し、政府の初期対応の遅れ、徹底した牛検査、アメリカ牛輸入再開、人々のBSE不安、食品業界による牛肉偽装工作を検証し、BSE問題の背景には食の安全性に対する人々の懸念が存在していると論じた。
著者
高木 修 柏尾 眞津子 西川 正之
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.77-103, 1997-09-25

183名の教師と309名の大学生が,経済状況,宗教の影響,政治,国民及び国家の安全性,家庭の機能,自然環境などに関する価値の現状あるいは過去5年間にわたる変化をいかに認識しているかを明らかにするために調査票に回答した。Schwartz(1990)の12の動機づけ領域から構成された22項目から成る価値変容尺度が邦訳されたが,その一部は,日本の文化にふさわしい内容に変更された。教師は,大学生に比べて,価値の育成と人生の諸問題を克服する技術の養成における両親の役割が衰退し,国民や国家の安全性は脅かされるようになったと一層認識し,そのためか,政治に一層関心を示していた。物質主義者は,脱物質主義者に比べて,日本人であることに一層誇りを感じ,教育,法制度およびメディア等の社会制度を一層信頼していた。他方,脱物質主義者は,相互扶助の精神が弱まってきているだけでなく,人種や宗教や考えの異なる人への寛容度が低下してきていると一層認識していた。これらの結果に基づいて,今後の研究の方向性が提案された。
著者
片桐 新自
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-46, 1998-09-25

本稿は, 1987年以来5年おきに継続的に調査してきた「大学生の意識と価値観」の第3回調査を基礎とした論稿である。本稿の狙いは,この10年の間の大学生の意識と価値観の変化を明らかにすることにある。調査の結果,以下の5点が大きく変化したものとして浮き上がってきた。1)男女関係のあり方に関する意識の変化, 2)社会関心と上昇志向の低下, 3)政治に対する関心と参加意欲の低下, 4)自衛隊に対する肯定的見方の増加, 5)大学別の意識差の縮小。しかし,確かにこうした意識は変化しているが,他方で,その根底にある「やや個人主義的でありながら,他人との協調性を大事にし,大きな社会の変化を望まず,できることなら楽しく楽に暮らしていきたい」という価値観―筆者はこれを「個同保楽主義」と名付けている―自体は,大きな変化はしていないということも明らかになった。
著者
飯田 紀彦 井上 澄江 畑 律江 増田 浩二
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.87-111, 2001-10-31

「未来の高齢者」である若年者を調査することによって、任意後見制度をより有効に活用するための必要な情報を得る目的で意識調査を行った。対象者は、K大学の学生で男性79名(平均年齢22歳)、女性70名(平均年齢22歳)であった。われわれの先行研究である中高年齢群(平均年齢男性67歳、女性60歳)の任意後見制度に関する意識調査のデータを比較対照とした。任意後見制度の利用に否定的な回答をした人は、学生群3.4%、中高年齢群16.9%であった。学生群は、任意後見制度の利用の可能性を考えている人が多いことが分かった。痴呆症の病名告知を希望する人は、学生群は82%、中高年齢群は87%であり、学生群も大多数が告知を希望していることが分かった。学生群で、将来の仕事として成年後見人を考えている人は男性4%、女性10%であった。任意後見制度の利用は、今後増加することが予想され、制度のさらなる充実が望まれる。
著者
雨宮 俊彦
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.253-291, 2001-03-21

ソシオン理論の特徴は、みっつある。ひとつめは、エージェントとしてのソシオン間の荷重関係をプリミィテイブとすることである。ふたつめは、個人・社会のダイナミズムをとらえるために概念と記述法を、ツールとして提供しようとすることである。みっつめは、解明の目標とするのが、ローカルで個体的な過程とグローバルで集合的な過程の循環のダイナミズムと、個体内の主観的な荷重関係と個体外の客観的な荷重関係の間の内部化と外部化の循環のダイナミズムの二重の循環にあることである。本論文とつづく論文では、ソシオン理論を、エージェント・環境相互作用モデルとして定式化するための検討をおこなう。本論文では、エージェント・環境相互作用モデルの概観をおこない、荷重関係がエージェント・環境相互作用モデルでどのようにあつかわれるのか検討した。自律的エージェントの環境内での適応行動と学習、社会的感情が、荷重関係をもとに分析できることがしめされた。特集・ソシオン理論の冒険
著者
佐々木 土師二
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.197-269, 2006-03-30

観光心理学では、観光者行動だけでなく、観光地域の住民の行動も研究する必要があるが、現状では、ほとんど取り上げられていない。本稿では、外国の文献資料にもとづいて、ツーリズムが地域社会やその住民に及ぼす社会的・文化的インパクトの諸現象を概観した後、地域のツーリズム開発に対する住民の態度の実証分析にもとづく知見を通覧した。この住民態度の把握のためには、標準的態度尺度の構成の必要性が強調され、調査項目の収集が試みられた。さらに、Ap (1992)の論文に依拠して、訪問者と住民の相互作用に関する社会的交換理論による説明と仮説的命題が検討された。
著者
片桐 新自
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.83-114, 2009-10-30

Sociology should be sensitive to the situation of the current times,and able to analyze,predict and make timely proposals.Sociology shouldn't appear slowly as the interpreter after the situation settles,but should exist as a sharp too for analyses,predictions and proposals while the situation is changing.This paper contains analyses,predictions and proposals concerning situations that occurred during three years of men's change,for example,the birth of "Herbivorous boy".