著者
辻 英明 笹原 剛志 菅野 博英 大場 淳司 神名川 真三郎
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.50, pp.16-20, 1999-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6
被引用文献数
1

1995~1998年にかけてササニシキBL栽培圃場に分布したイネいもち病菌レースを調べ, その分布変動要因を解析した。本品種栽培圃場では, 1996年までレース037が広く分布していたが, 1998年には本レースの分離地点数が減少した。これはササニシキBLでレース037に罹病性の構成系統の混合割合を1997年から減らしたためと考えられた。しかし, 1997年以降混合割合が増加した構成系統に対する親和性レースが新たに分離され, 1998年にはササニシキBLを構成する4系統全てが県内で確認されたいずれかのレースに対し罹病性となった。これは同質遺伝子系統の混合栽培においても短期間で親和性レースが出現し, いもち病に対する発病抑制効果が低下する可能性があることが示された。
著者
櫻井 民人
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.61, pp.201-203, 2010

<p>Pure pollen of tea <i>Camellia sinensis </i>is known to be an excellent food for the production of offspring by adult thrips but is difficult to obtain. Therefore, the effect of commercially available bee pollen of <i>C. sinensis </i>or <i>C. japonica </i>on reproductive performance was compared with that of pure pollen of <i>C. sinensis </i>in <i>Frankliniella occidentalis</i>. The number of eggs deposited by females differed significantly among the three types of food: the bee pollen of <i>C. japonica </i>was less effective than the others, whereas the bee pollen of <i>C. </i><i>sinensis </i>was comparable to the pure pollen. No significant difference was observed in hatchability or adult emergence rate among the pollen types. These results suggest that the bee pollen of <i>C. sinensis </i>can be used as food for the efficient rearing of <i>F. occidentalis</i>.</p>
著者
荒川 昭弘 岡崎 一博
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.54, pp.185-188, 2003-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
3

福島県県北地方のモモでドウガネブイブイによる果実被害が多発傾向にあるので, その防除方法を検討した. 成虫の性フェロモントラップへの誘殺消長はモモ早生品種収穫期の7月中旬にピークとなり, 果実被害の発生時期と一致した. 周囲に発生源のない圃場とその周囲に生息する幼虫の防除を試みたが, 翌年の被害軽減にはつながらなかった. これに対し, 飛来する成虫に対する薬剤散布の効果は高く, 現状ではこの方法が効果的であると判断される.
著者
大友 令史
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.65, pp.167-169, 2014-12-19 (Released:2018-01-30)
参考文献数
1

岩手県のワラビ栽培ほ場においてルイスコメツキモドキによるワラビへの被害を確認した.主な被害は成虫の食害痕により外観品質が著しく損なわれるというものである.現地における被害状況および被害茎における時期別の生育ステージを調査することによって岩手県のワラビほ場における発生生態の一部を推測した.また,同一ほ場でアシグロコメツキモドキの発生も認められたがワラビにおける加害については確認できなかった.
著者
諏訪 正義 渡部 茂 菅川 勝次 小川 勝美
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.34, pp.104-106, 1983

常温倉庫内に保管した着色米混入玄米の, 保管中における着色程度の進行の有無および着色米関与菌の動向について検討し次のことが明らかとなった。(1) 着色米は, 紅変米, 背黒米, 茶米の3種類に類別された。これらの混入率は保管中に変化しなかった。(2) 玄米の白度も保管中に変化せず, 着色程度の進行は認められなかった。(3) 着色米からは<I>E.purprascens, Alternaria</I> spp., <I>Fusarium</I> spp.が分離され, 特に前者が高率に分離された。(4) これら関与菌は保管中に経時的に死滅した。また接触感染しなかった。
著者
佐久間 秀明 佐藤 睦人 中村 淳 荒川 昭弘
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.60, pp.235-237, 2009 (Released:2017-05-25)
被引用文献数
1

イチゴ苗に寄生する微小害虫に対する物理的防除法として,ポット苗の真空処理法を案出し,ワタアブラムシに対する防除効果について検討した.真空デシケータに油回転真空ポンプを接続した真空処理装置を作成し,イチゴポット苗を1kPa の真空中に静置する時間を変えた処理を行った結果,12 時間以上の真空処理でワタアブラムシの防除が可能であった.また,真空処理により小葉が外縁部から褐変する障害が生じたが,12 時間処理では程度が軽微であった.
著者
高梨 祐明 豊島 真吾 小野 浩司 田村 博明 太田 智彦 金光 幹雄
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.60, pp.274-276, 2009

ナミハダニは落葉果樹の樹上と下草を季節的に異動することが知られている。樹冠下にナミハダニの増殖に好適な草種が繁茂している環境では、除草によって生息場所を失ったナミハダニの移動分散を助長し、樹上密度を上昇させたり、殺ダニ活性のある除草剤を使用することにより、樹上のナミハダニ密度を低減できるという報告もある。ナミハダニは現在、広範囲な薬剤に対する感受性低下が問題となっており、効果が不十分な殺ダニ剤の残効期間を少しでも長く保つため、再増殖の原因となる移入を遮断することが重要である。そのため、主な移入源となる株元雑草をハダニとともに除去できる技術があれば、殺ダニ剤散布の削減に繋がり、IPMの推進に貢献するものと期待される。そこで、雑草とハダニを同時に防除する方法として、株元雑草のバーナー処理を行い、その後のナミハダニ樹上密度に及ぼす影響を評価した。なお本研究は(独)農研機構交付金プロジェクト研究「東北地域における農薬50%削減リンゴ栽培技術体系の確立」の一環として遂行されたものである。
著者
萩田 孝志 佐々木 純
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.45, pp.67-71, 1994

1991年7月に北海道恵庭市の食用ユリ (品種: 白銀) に原因不明の葉枯れ症が発生した。病徴は, 茎に茶褐色のすじ状のえそを伴い葉が枯死した。1992年に食用ユリ主要栽培地帯を調査した結果, 本症は道内全域に発生し, 収穫皆無のほ場もみられた。本症罹病葉の汁液接種により病徴が再現され, その発病株からチューリップモザイクウイルス (TBV) とひも状ウイルスが検出された。両ウイルスを混合接種した場合のみ葉枯れ症を生じた。また, 本症はりん茎を通して次代に伝染した。以上のことから, 本症はTBVとひも状ウイルスの重複感染によって生じ, わが国では未報告のウイルス病であるので, ひも状ウイルスの同定および病名について今後検討したい。
著者
西脇 由恵
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.63, pp.52-56, 2012

<p>トマト褐色根腐病の対策の一つとして耐病性台木利用が挙げられる.2010~2011 年に,トマト褐色根腐病多発圃場において,本病耐病性台木「ドクターK」,「グリーンガード」,「フレンドシップ」および「ブロック」の利用による発病抑制効果およびトマトの生育への影響を調査した.栽培終了時の根部病斑面積率が自根栽培では50~66%であったのに対し,接ぎ木栽培では7~29%となり,台木品種間での差はあるものの根部発病が抑制され,耐病性台木の利用は本病に有効な手段であることが示された.トマトの生育への影響を調査した結果,自根栽培に比較して接ぎ木栽培では茎径が太く,草勢が維持されていた.また,4 月中下旬の低温期に定植する作型では5 月下旬定植の作型と比較して,低段位における自根区と接ぎ木区の茎径の差が大きかった.耐病性台木の利用は栽培前期から根部発病が抑制されることにより,草勢低下を回避し,被害を軽減していると考えられた.</p>
著者
大友 令史 千葉 武勝 遠藤 征彦
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.50, pp.176-178, 1999-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4

岩手県北部におけるネギコガの発生消長にもう一つの重要害虫であるネギアザミウマの発生消長を加味し, さらに防除薬剤の作用特性も明らかにしたうえで, 防除組み立て実証試験を行った。ネギコガの成虫の発生の山に合わせた年間4回前後の薬剤散布で, ネギアザミウマも防除が可能であった。
著者
関根 崇行 相澤 正樹 永野 敏光
出版者
The Society of Plant Protection of North Japan
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.56, pp.44-47, 2005

小型ファンを利用した送風機を自作し, 施設内に環流を発生させることにより, 雨よけ夏秋トマトに発生する地上部病害への影響を検討した.本機を48m<I>2</I>のパイプハウスに2組 (向かい合わせに2機ずつ4機) 設置し, 梅雨入り前から常時送風することにより, 灰色かび病および葉かび病の発生を軽減することが可能であり.特に灰色かび病に対する発病軽減効果は高かった.また, 本機の適用により, 7月下旬から9月初旬の化学合成農薬の使用を減らしても, 発病を低く抑えることが可能であり, 夏秋トマトの農薬節減栽培の可能性が示唆された.一方, 本機の送風によりうどんこ病の発生はやや多くなったが, 防除が必要な程度の発生ではなかった.
著者
木村 清幸 児玉 浩一
出版者
The Society of Plant Protection of North Japan
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.39, pp.35-40, 1988

1987年, 秋田県北部でアワヨトウが多発した。糖蜜誘蛾器による調査では, 成虫は年3回の山を作る発生消長を示した。成虫100頭以上の多誘引は6月, 8月, 9月, 11月にみミられ, この成虫が多数誘引された時の上空3000m付近の気象をみると, 気温の高い南西の強風軸が北日本に進路をとっていた。<BR>2世代目には水稲に被害がみられた。被害分布状況から水田付近の牧草地が発生源と推察され, 水稲での2世代目幼虫の生息密度は1世代目の牧草地における幼虫密度と薬剤防除時期の二つの要因が影響していた。<BR>幼虫加害による止葉食害面積率の増加は収量減少に結びついていた。
著者
筒 井等 早川 博文 後藤 千枝 石田 茂樹 伊吹 俊彦
出版者
The Society of Plant Protection of North Japan
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.39, pp.199-202, 1988

ラジコンヘリによる微量散布での防除効果を評価するため, ジャガイモヒゲナガアブラムシを対象として防除試験を行った。ジメトエート・フェンバレレート乳剤の微量散布は, 圃場中央畦では慣行散布と同等の防除効果であった。農薬散布後, バレイショ葉を採取してジャガイモヒゲナガアブラムシを接種した結果, ラジコンヘリ飛行直下畦のジャガイモ葉ではト, 中, 下位葉とも100%の死亡率で, 慣行散布より防除効果が高かった。しかし, 飛行直下より離れた畦では生残虫が見られた。農薬の付着程度と死亡率との関係では'供試したジメトエート・フェンバレレート乳剤とチオメトン乳剤とも, 5.6粒/cm2以上で死亡率10O%であった。
著者
森谷 茂 渡邊 和洋 西 和文
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.45, pp.76-79, 1994-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14

アブラナ科野菜根こぶ病菌に汚染された圃場を供し, ハクサイ根こぶ病に対する熱水注入による土壌消毒効果を検討した。約70℃の熱水を, 圃場全面及び畦面に深さ20cm層が55℃になるまで注入した区のハクサイの生育・収量は, 無処理区より著しく勝り, クロルピクリン注入区 (以下クロピク注入区) と大差がなかった。根こぶ病は播種後24日目ではいずれの区も発生が認められなかったが, 播種後33日目では無処理区, クロピク注入区, 熱水全面注入区にそれぞれ13%, 5%, 2%の発生株が認められた。播種後88日目の収穫時における発生程度は, クロピク注入区>>無処理区>熱水畦面注入区>>熱水全面注入区の順であった。また, クロピク注入区と熱水注入区では発芽期でのヨトウムシ類による被害が無処理区より極めて少なく, 熱水注入による殺虫効果も認められた。汚染土壌を温湯浸漬処理したポット栽培試験では, 各処理区の発生程度は無処理区よりいずれも減少したが, 発生が全く認められなかったものは55℃: 240分処理区だけであった。
著者
河野 勝行 平井 一男 氣賀澤 和男
出版者
The Society of Plant Protection of North Japan
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.38, pp.125-126, 1987

コガネムシ類4種 (サクラコガネ.スジコガネ.ヒメコガネ, アカビロウドコガネ) に対する誘蛾灯3種 (プラックライト, 水銀灯, 白熱電球) の誘引性の比較と, 設置場所の違いによる誘引数の比較を行った。4種ともプラックライト, 水銀灯, 白熱電球の順で捕獲数が多く, アカビロウドコガネを除く3種では統計的に有意だった。ヒメコガネは他の3種と比較すると設置場所による捕獲数の違いが大きく, 移動力が低いと思われた。
著者
西脇 由恵
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
no.63, pp.52-56, 2012-12

トマト褐色根腐病の対策の一つとして耐病性台木利用が挙げられる。2010~2011年に,トマト褐色根腐病多発圃場において,本病耐病性台木「ドクターK」,「グリーンガード」,「フレンドシップ」および「ブロック」の利用による発病抑制効果およびトマトの生育への影響を調査した。栽培終了時の根部病斑面積率が自根栽培では50~66%であったのに対し,接ぎ木栽培では7~29%となり,台木品種間での差はあるものの根部発病が抑制され,耐病性台木の利用は本病に有効な手段であることが示された。トマトの生育への影響を調査した結果,自根栽培に比較して接ぎ木栽培では茎径が太く,草勢が維持されていた。また,4月中下旬の低温期に定植する作型では5月下旬定植の作型と比較して,低段位における自根区と接ぎ木区の茎径の差が大きかった。耐病性台木の利用は栽培前期から根部発病が抑制されることにより,草勢低下を回避し,被害を軽減していると考えられた。
著者
稲岡 徹 早川 博文 米山 陽太郎
出版者
The Society of Plant Protection of North Japan
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1982, no.33, pp.139-141, 1982

1981年6月5日より9月17日まで北海道和寒町の町営三和, 福原両牧野において, 吸血性アブ類の種構成と季節消長を調査した。5属12種が記録され, このうちニッポンシロフアブが全体の約50%を占め, これに次いでアカウシアブ, シロフアブ, ゴマフアブ, キノシタシロフアブ, キバラァブが多かった。アブは6月下旬より9月中旬まで見られ, 種数, 個体数とも7月中旬より8月中旬までが最も多く, 牛体への害もこの時期に集中していた。
著者
高倉 重義 山田 英一
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.32, pp.54-56, 1981-12-15 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4

土壌中の線虫密度の変動を深度別に調査した結果、感受陣品種栽培区の畦上では地表~10cm、次いで11~20cmの層で著しく増殖するのに比し、抵抗性品種栽培区の畦上では地表~30cmまで植付期の30%以下に低下したが畦間では70%か残存した。感受件品種植付時にOxamyl粒剤30kg/10a施用した区では地表~10cmの層で薬剤の効果が高かったが11cm以下の層では劣った。