著者
杉本 芳範 田中 伸哉 古川 彰久 渡辺 和夫 吉田 敏臣 田口 久治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.205-210, 1987

ジャケット冷却時の醪温度応答特性の解析結果をもとに, 温度制御方式としてカスケード制御を採用し, 総米1トン仕込みの醪で発酵ガス発生速度をオンライン計測しつつ計算機を利用した適応的自動制御を行ったところプロセスは順調に制御され, 生成酒の品質も目的に近いものが得られた。
著者
辻 謙次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.609-616, 1985

日本のウヰスキー製造の創始者である竹鶴政孝氏が若くして渡英し, スコットランド・カンベルトン市で本格的ウヰスキー製造を実習されたことは有名であるが, 1920年5月帰国直前にまとめた実習報告書が, このほど南九州在住の旧摂津酒造関係者によって大切に保存されていることがわかった。<BR>日本の洋酒の歴史を語る上で欠かすことのできない貴重な資料なので, あえて全文を公開させていただくこととした。資源の少ないわが国の事情が常に氏の念頭にあったことと, 西洋の美酒を日本で造ろうという強い意欲があってこそ完成された記録である。
著者
菊地 勇次郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.487-492, 1973

塩と米酢の味しかしらなかったわが国の古代人が, 中国大陸から伝えられた豆醤と肉醤を, どのように料理に生かしたか。味つけは, 各人が食繕で行なった平安時代の習慣が, 中世のうちに調理中に味つけしてしまう仕方にかわるとともに, 醤や鼓の姿がどのようにかわって江戸から現代まで伝えられてきたか。これは, われわれの先祖が味わい, 伝えてきた醤油や味噌の物語である。
著者
田中 利雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.175-181, 1987
被引用文献数
1

食文化に食事の形態と食器がつきものであるように, 飲酒文化にも飲み方や酒器は切リ離せない。特に清酒は燗という独特の飲酒習慣が培われてきたため, その酒器も時代変遷をたどっている。<BR>本稿は燗に視点をあてて酒器の移リ変リを探リ, 飲酒を通して時代風俗やライ7スタイルを点描している。酒器-つとっても文化の香を感じる一編である。
著者
大谷 惣助
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.665-671, 1973-09-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
3

中国のビール, ブドウ酒, 薬味酒についての詳細な紹介である。カメでつくるビールに外来技術の同化結合のための工夫がうかがわれる。また中国における果酒生産の大運動などわれわれからみてうらやましい話である。中国のリキュールは漢方薬の国柄だけあって合成香味料で簡単にわりきっているわが国のそれにたいして将来のための警鐘ともなろう。
著者
伊藤 恭五郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.640-643, 1981-10-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4

主食である米を主原料とする日本酒の醸造経営者であり技術者である著者は, 酒造米流通の歴史を省み, 酒造業の将来を望んでその制度の改正や対策が急務であることを真剣に訴える。
著者
植原 宣紘
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.27-33, 1983-01-15 (Released:2011-11-04)

中国各地の葡萄の品種とそのルーツ並びに栽培情況, ワイン生産などを詳細に解説していただいた。北京周辺のメイクイシャン, 厳寒に強いアムレンシス, 中国随一の葡萄の産地であるトルファンの葡萄, さらに甲州種の親といわれるロンイェン, その親と考えられるホータンハウの話など, 興味深く記載されている。
著者
森 正
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.292-296, 1968-03-15 (Released:2011-11-04)

国税庁醸造試験所は創立以来60余年を経たが, それは近代清酒製造技術の発展史でもある。今また新庁舎落成をみてますます将来の発展が期待されるとき, その敷地のいわれを知ることも興味のあることである。思いがけず, そこには幕末の世情を反映した遺跡が秘められている。ここに市井の歴史研究家森氏の研究の一端を紹介したが, これを機会に文化史的遺跡を保存する方法を講じて戴きたいものである。
著者
加藤 百一
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会雑誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.p282-289, 1979-05
著者
村井 幸吉
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.242-243, 1977

ウイスキー類の著しい躍進に比べ, 衰退の影がつきまとっているのが清酒である。少なくとも酒類間における現在のシェアを守リ, 地方業者が生きてゆくためには, まず酒類業者が作り上げられて来た体質を反省し, 強い企業意識を持つことであると筆者はいう。
著者
大場 俊輝 中村 欽一 佐藤 信
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.343-348, 1984
被引用文献数
1

官能検査パネルを選択し, 訓練する方法を開発し標準化することを目的として, 嗅力正常異常判断甘味・酸味の識別, 甘さの濃度の識別, 有機酸の味の識別テストを講習生, 酒類販売業者, 酒造技術者を対象として行った。<BR>1. パネル選定用5基準臭 (オルファクトメーター) を用い, 嗅力正常異常判断を行った。その結果, 講習生26人 (平均年令24才) 中24名 (92%) が合格であったが, 酒類販売業者は8名 (平均年令46才) 中3名 (38%) のみ合格であった。年令が若い方が嗅力は優れていた。<BR>2. 甘味・酸味の識別能力をペアー・テスト (14組) で調べた結果, 酒造技術者グループは, 講習生グループおよび酒類販売業者グループと比較すると危険率5%以下で有意な差があり, 識別能力が優れていた。<BR>3. 甘味の識別能力は, 訓練することにより向上し, 判断が安定化することがわかった。また, 個々の被検者では, 訓練することにより甘味・酸味とも識別能力の向上する被検者がおり, 訓練することの必要性が知られた。<BR>4. 利酒の経験のない被検者は甘味よりも酸味の識別能力が優れていた。<BR>5. 甘さ濃度の識別では, 講習生は69%合格したのに対し, 酒類販売業者は38%であった。<BR>6. 乳酸, クニン酸リンゴ酸, コハク酸の4有機酸の味の識別では, 講習生は27%合格したのに対し酒類販売業者は全員不合格であった。個々の有機酸では, リンゴ酸, コハク酸の味が識別しやすく, 乳酸とクエン酸とを誤識別する傾向があった。