著者
加藤 百一 中尾 俊幸 牛島 十郎 島田 豊明 志垣 邦雄 萱島 昭二 久野 耕作
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.983-975, 1957 (Released:2011-11-04)
参考文献数
8

焼酎醪を蒸溜するさい, 分溜液の成分は初溜から後溜に到るまで逐次変化するが, このことに関しては山田, 勝田, 野白等の既往文献があり, 又ブランデーについては加賀美の報告がある。併しこれ等は何れも実験室的業績で, 旧式焼酎の製造工場における蒸溜の場合と必ず一致するものとは考えられない。かかる意味も含めて, 今回筆者等は昭和31年10-11月に醪取焼酎, 更に同32年5-6月に粕取焼酎の実地指導を行つた機会を利用して, 熊本局管内の9工場において分割蒸溜試験を行い, 各分溜液の一定量を分取して, これらの化学的成分の変化ならびに品質等について比較観察した。
著者
鈴木 了 佐武 憲二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.551-554, 1969
被引用文献数
1

ピール, サイダー, 水についての気温による最適飲用温度を調査した。Thurstone's case V型構造に基づく一対比較法による官能検査を実施し, 解析後, その好みの度合を尺度化した。その結果, 気温が高くなるにつれて最適飲用温度は逆に低下する傾向, および品温に対する好みの度合が強くなる (好き嫌いがはっきりしてくる) 傾向が認められた。湿度を極端に高くすると強い不快感のために判別能力を失い, うまさが判らなくなることも認められた。

1 0 0 0 OA ワインの味

著者
笠原 信松
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.631-634, 1980-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
32
著者
中田 久保 坂井 劭 竹田 正久 塚原 寅次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.9, pp.761-764, 1980-09-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

1.こうじ菌の生産する抗菌性物質“Yeastcidin”は, Aspergillus oryzaeのある種の菌株をこうじ汁に静置培養した時のみ生産する清酒酵母以外の醸造酵母の増殖を抑制する抗菌性物質である。2.合成培地や市販糖化酵素剤による蒸米の糖化液にこのこうじ菌を培養しても“Yeastcidin”は生産されない。3.本物質“Yeastcidin”を生産させるためのこうじ汁に用いるこうじ米の精米歩合, 製きく時間, こうじ汁濃度等に差異をもうけても生産量に影響はない。4.こうじ汁のpHは5.0~6.5の間が最も抗菌力を強く示し, 通常のこうじ汁ではpH調整の必要はなかった。5.培養温度については27~30℃の間が最も強く生産し, 培養日数は15~20日間を要した。

1 0 0 0 OA 粕漬について

著者
小川 敏男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.500-503, 1979-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
3

甘くて辛くてコリコリと歯切れもよく, これでお酒も進むしご飯もいくらでも食べられるという結構なのが奈良漬に代表される粕漬。しかも一般には「酒屋で造った奈良漬は旨い」と信じておられる。副業として推奨されるゆえんである〇伝統の粕漬に科学の光を当ててみた。
著者
木村 進
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.766-769, 1970-09-15 (Released:2011-11-04)

乾燥味噌を造ってみたいという願いは「味噌の技術」の夢であったといえる。これに関する特許も明治, 大正, 昭和にかけて60件にもおよぶという。その間, 生味噌との品質差は著しく縮まり, 近年ようやく市販にこたえる品質にまで達したのは乾燥技術の進歩のおかげである。食品の乾燥技術開発に貢献されてきた著者によって, 味噌の粉末化の技術をわかり易く解説願ったので, 現在の水準について理解していただければ幸いである。
著者
松本 武一郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.321-325, 1973-05-15 (Released:2011-11-04)

本誌1月号の「日本民族と醸造食品」に関する座談会にのぼった話題に関連して和歌山県酒造史編纂委会より遠く大和時代にさかのぼることができる紀州と朝鮮との酒造技術の交流のあかしとして百済渡来の酒神・鳴武大明神, 朝鮮からの帰化人である村主にまつわる考証がよせられた。景行天皇の第5王子といわれる酒神神櫛ノ王も紀の国の酒部をひらいており, そこに日韓の酒造技術の隔合があったにちがいない。

1 0 0 0 OA アイヌの酒 (5)

著者
加藤 百一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1247-1253, 1968-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
8

アイヌの祭リにもいろいろあって, それぞれに酒が用いられる。さらに祈願酒もある。これらの飲酒作法等興味ある解説が著者特有の筆法で記される。
著者
矢野 正次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.17-20, 1973-01-15 (Released:2011-11-04)
被引用文献数
1

味噌の品質はよくなってきたといわれているのに消費は停滞だという。味噌の需要喚起が叫ばれて久しいが, その対策となると妙案もないようだ。新春にあたり味噌を愛し, 味噌と共に歩んできた著者に味噌の今昔を語っていただいたが, 本稿は需要喚起の方向指示とも受け取ることができよう。時代が変ったということだけでは済されない。慌しい現代生活の中に日本の四季を取り戻し, 食生活の中で味噌のバライティーと味噌の季節料理の楽しさとを重んじていくようにすることは生産者の務めでもある。国鉄の宣伝する「私の中の日本」は観光と限ったことではない。著者はDiscover Misoといいたげである。
著者
蓮尾 徹夫 斎藤 和夫 藤川 茂昭 吉沢 淑
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.962-965, 1983-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5

温度を30℃と15℃, アルコール濃度を60%と50%にした場合, 貯蔵中の樽からの成分の揮散, 成分の変化について以下のことがわかつた。1) 総揮散量については温度の影響が非常に大きく, アルコール濃度は小さかつたが60%の方が多く揮散した。2) エチルアルコールー水の揮散量は30℃ではエチルアルコールの万か多く15℃では逆に水の万か多かつた。3) アセトアルデヒド, 酢酸ならびに酢酸エチルは30℃の方で多く生成され, 揮散量も多く, 50%の方が生成量, 揮散量とも多くなつた。特に酢酸エチルは温度の影響を受けやすい成分であつた。4) アセタールは温度, アルコール濃度の影響の比較的小さい成分であつた。5) 貯蔵中に増加してくるフェノール化合物, 着色度, 紫外部吸収は温度の高い方が, アルコール濃度の低い方が多く生成された。6) 指標として添加したイソアミルアルコールの揮散は温度の影響は受けたがアルコール濃度の影響はなかつた。

1 0 0 0 OA 日本酒 (その2)

著者
二瓶 孝夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.446-452, 1978-06-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
21
著者
高瀬 澄夫 姫野 国夫 冨部 忠篤
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.722-724, 1964-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4

指定した1本の清酒もろみにつき, 製造過程にしたがって原料から製品まで系統的に鉄を定量した結果, 下記の諸点が明らかになった。(1) 原料処理過程における鉄の混入が, 洗米浸せき用水中の鉄の米への沈着というかたちで起っているうたがいがある。(2) 白米中の鉄は大体かすに移行すると思われ, もうみ液状部に溶出すると考えるには非常に無理がある。(3) 米の鉄が未消化部分と結合したままかすに移るのか, あるいは一たん酵母に摂取されて菌体と共にかすに移るのかについてはさらに検討の必要がある。(4) もろみ原料 (水十米) の鉄より製品 (かす十酒) の鉄が多いという前報で述べた事実を再確認した。
著者
菅間 誠之助 西谷 尚道 河内 邦英
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.739-742, 1975-10-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
9

本格焼酎の貯蔵過程での成分変化を調べた結果, 次の知見が得られた。1. 貯蔵年数を異にする泡盛の成分を調べた結果, 高級脂肪酸数が貯蔵中に減少し, 数種の成分が増加していた。2. 室温で7カ月間びん貯蔵した甘藷製および米製焼酎24点について油臭のつよさを官能試験により比較し, 油臭の強い試料と弱い試料にわけ, それぞれの香気成分のガスクロマトグラムを比較した結果, 油臭の強い試料はリノール酸エチルが相対的に少なくジある成分ピーク (e成分と称す) が増加していることを認めた。3.高級脂肪酸類を使ったモデル系について, 日光照射, 加熱, 酸化剤処理による変化を調べた結果, e成分の前駆物質はリノール酸エチルであることがわかった。4. e成分の生成条件を検討した結果, リノール酸ニチルが空気中の酸素により, 比較的温和な条件で酸化された場合に生成することを確認した。5. リノール酸エチルの酸化物をTLCで分画し, これを焼酌に添加して官能試験をした結果, 油臭のつよさは添加量にほぼ比例した。したガミって, e成分が油臭物質を代表する一成分であると推定した。