著者
覚知 亮平
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.550-560, 2015-09-25 (Released:2015-09-25)
参考文献数
78

本報は,有機反応の精密設計に基づく新規高分子反応に関する検討をまとめた.有機分子触媒を活用したアシル移動反応により,安定エステルを有するポリマーとアミンとの高分子反応に成功した.さらに,活性化エステル含有モノマーの精密設計により,熱刺激による反応性変化や高分子鎖の局所的修飾反応も達成可能であった.活性化エステルのみならずさまざまな新しい反応を活用した高分子反応の開発に関しても詳細に検討した.角田試薬を用いた光延反応を高分子反応に適用することで,連続的高分子反応やポリアミン合成など新たな合成戦略の提案に成功した.また,Kabachnik-Fields反応などの多成分連結反応による高分子反応により,モノマー単位当たり2個以上の官能基が導入可能であった.
著者
津田 祐輔
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.10-25, 2017
被引用文献数
7

長鎖アルキル基,不飽和長鎖アルキル基,&gamma;-オリザノールなどの天然物骨格,<i>t</i>-Boc基などの光反応性基を有する各種の芳香族ジアミンモノマーを新規に合成し,市販のテトラカルボン酸二無水物モノマーと重合させ,成膜性に優れ,耐熱性も十分な可溶性ポリイミドを合成した.得られたポリイミドの薄膜に紫外線(&lambda;<sub>max</sub>;254 nmもしくは365 nm)を照射すると,水に対する接触角は照射した紫外線エネルギーに応じ,100&deg;付近から最小20&deg;付近まで大きく低下し,疎水性から親水性に制御可能であることが判明した.接触角測定の結果および各種表面分析の結果より,紫外線照射によるポリイミド表面の長鎖アルキル基などの疎水基が減少しヒドロキシ基などの親水基が生成していることが確認された.本技術は,紫外線照射により,ポリイミド表面を容易に疎水部と親水部にパターニングする手法として,プリンテッドエレクトロニクスの分野での応用が期待される.
著者
蔡 正国 塩野 毅
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.77-89, 2007-02-25
参考文献数
75
被引用文献数
2

本報では,最近進展の著しいシングルサイト触媒による重合について,炭化水素系モノマーの立体特異的リビング重合を中心に概説した.まず,バナジウム,ニッケル,4 族金属錯体触媒による &alpha;-オレフィンのリビング重合についてこれまでの研究を位置選択性や立体特異性の観点からまとめた.さらに,各触媒系の特徴を利用したステレオブロック共重合体やレジオブロック共重合体の合成例を紹介した.また,これまで困難であったノルボルネンのビニル付加リビング重合やエチレン,プロピレンとのランダム共重合,ブロック共重合について筆者らの最近の研究を中心に解説した.プロピレンと同様に立体特異性や位置選択性が要求されるブタジエンとスチレンの立体特異的リビング重合ならびにブロック共重合の最近の進展についても解説した.最後に,ポリマー鎖と同量の重合活性種を必要とするリビング重合の欠点を克服しうる,単分散ポリオレフィンやオレフィンブロック共重合体を触媒的に合成する最近の試みについてまとめた.<br>
著者
指田 孝男 本杉 賢司 赤羽 可奈子
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.169-176, 1989-03-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

高精度 (±1%RH) な静電容量型湿度センサを開発するため, 感湿材料としての高分子の性質を調べた. カルボニルまたは水酸基を有する高分子材料について検討した結果, ポリ酢酸ビニル, ポリメタクリル酸系エステル, 及び酢酪酸セルロースが1.5%RH以下のヒステリシスしか示さない有望な感湿材料であること, 高分子材料の吸脱湿による比誘電率の変化は, 高分子中の親水基への水分の吸着に起因し, 水分吸着は, 親水基の種類だけではなくまわりの疎水性に影響されることを確かめた.
著者
鈴木 信吉 森屋 泰夫 山本 隆
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.81-88, 1987-02-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
14
被引用文献数
5 5

一分子中に数個以上のO-O結合を持つポリ過酸化物 (PPO) を用いてビニルモノマーのブロックコポリマーの合成を行なった. 第一段重合はPPOで第一モノマーを重合させてポリマー中にO-O結合を持つブレボリマーを合成し, このポリマーに第二モノマーを付加重合させてブロックコポリマーを得た. メタクリル酸メチル (MMA) -スチレン (St) 及び酢酸ビニル (VAc) -スチレンの各等重量のモノマーの組合せについて行い, 次の組成の各ブロックコポリマーを得た. Poly- (VAc-b-st) /PVAc/PSt=68/24/8, Poly (VAc-b-St) /PVAc/PSt=84/6/10. 得られたブロックコポリマーについて, 成形物の電子顕微鏡による観察により, 微細な均一分散相を持つミクロ相分離構造を確認し, また, 相溶化剤としての機能も認めた.
著者
平岡 淳一郎 荻原 忠 桜井 聡 末光 淳輔 赤池 敏宏
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.693-697, 1985
被引用文献数
1

高分子材料とimmunogtoblin G (IgG) の吸着相互作用について, 既報のマイクロスフィアカラム法を用いて解析を行った. 高分子材料としてはポリメタクリラート誘導体を用いて, その構造上のパラメーター (親-疎水性, 実効荷電など) がIgGの吸着挙動に及ぼす影響について検討した結果, IgG分子はポリメタクリラート誘導体に対しては, 疎水的相互作用や複数の相互作用の協同効果による吸着が主体であり, 実効荷電を持つ材料においても静電結合とみられる吸着の割合は少なかった. また, IgGをF (ab&prime;) <SUB>2</SUB>・Fcのフラグメントに分け, 各フラグメントの吸着挙動を解析した結果, 表面荷電がneutralである材料に対して正荷電を導入することでFabサイトの, 負荷電を導入することでFcサイトの吸着親和性がそれぞれ増加する傾向を示した.
著者
守谷 武彦 榎本 兵治
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.661-673, 2001-12-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
28
被引用文献数
18 20

超臨界水によるポリエチレン分解の特徴を明らかにすることを目的として, 熱分解実験と超臨界水分解実験を行い, 分解生成物, 収率および構造などの比較を行うことにより, その特徴から見た分解機構について考察を行った. さらには, 超臨界水のポリエチレン分解への寄与についても考察した. 超臨界水分解では, 熱分解と比較して高収率で油分が得られ, かつコークスの生成が抑制されることが明らかとなった. 次に, トレーサーとして重水 (D2O) を利用したポリエチレン分解実験を行った結果, 超臨界水中の水素は生成油中に取込まれていること, そして超臨界水中の水素の生成油への供与量は水充てん率が高くなるにつれて増加することを明らかとした. また, ポリエチレン分解油への超臨界水からの水素供与機構としてポリエチレンの分解で生成したPropyleneなどの低級1-Alkeneが水和により2-Propanolなどのsecondary alcoholsへと変換され, そのsecondary alcoholsが酸化されて2-Propanoneなどのケトンとなるときに放出する水素が分解生成物に供与される機構が存在することを明らかにした. さらには, ポリエチレンの分解により生成する活性な分子末端に超臨界水から水素が供与され分子が安定化される水素化分解反応が生じていること, メチレン鎖への水素供与はある特定の部位に生じていること, そして高水充てん率では低水充てん率の場合よりも分子末端への水素供給力が高いために活性な分子を安定化させることにより, さらなる反応を抑制していることで, ガス化が抑制されていることが明らかとなった.
著者
後藤 康夫 根岩 祐貴 平澤 祐 Sijun XU Jiangchao SONG 森川 英明
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.347-353, 2016-07-25 (Released:2016-07-25)
参考文献数
25

少量の酸化グラフェン(GO)をポリビニルアルコール(PVA)へ導入したコンポジット繊維をゲル紡糸・二次延伸によって作製し,GO添加が引張物性に及ぼす影響を調べた.導入したGOはPVA中で高分散し,繊維軸方向に配向していると推定された.2 GPa以上の強度ならびに40~50 GPa程度の弾性率を有する高性能PVA繊維マトリックスに対して0.5 wt%のGOを添加することで,強度および破断伸度は低下し,ヤング率は3~5 GPa程度増加した.この引張物性の変化は,PVA/GO間の界面接着力とPVAマトリックスからGOへ伝達されるせん断応力の力関係によるものと推定した.すなわち引張応力が低い領域では界面接着力がせん断応力を上回りGOが繊維の引張変形を抑制するために弾性率が増加し,破断点近くの高応力域ではせん断応力が勝って界面剥離が起こるために強度・伸度が低下したと考えられる.
著者
吉田 博久 畠山 立子 中村 邦雄 畠山 兵衛
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.597-602, 1989
被引用文献数
16

ヒアルロン酸ハイドロゲルのガラス転移挙動をDSCを用いて検討した. ハイドロゲルは水分率 (<I>W</I><SUB>c</SUB>=水/絶乾試料, g/g) が2以下では10K/minの速度で冷却しても容易にガラス状態を形成し, ガラス転移現象が観察された. ガラス転移温度 (<I>T</I><SUB>g</SUB>) と<I>T</I><SUB>g</SUB>における熱容量の差 (Δ<I>C</I><SUB>p</SUB>) の<I>W</I><SUB>c</SUB>依存性を検討した結果, <I>W</I><SUB>c</SUB><0.5の領域ではガラス転移は不凍水が吸着したヒアルロン酸によって起こり, <I>W</I><SUB>c</SUB>>0.5の領域ではガラス化した水とヒアルロン酸との協同的な運動によって起こることが判明した. ガラス化した水のΔ<I>C</I><SUB>p</SUB>は<I>W</I><SUB>c</SUB>の増加に伴って減少し純水の値に近づき, ヒアルロン酸との相互作用の程度によってハイドロゲル中の水の構造が影響を受けることが分かった.
著者
並木 勇
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-6, 1975

触媒の種類, 触媒添加量, ホルムアルデヒド-フェノールのモル比を変えてフェノール樹脂を合成し, ポリビニルアセタール樹脂と配合した2成分系の印刷回路用接着剤のはんだ耐熱性とはく離強度を測定し, フェノール樹脂の分子構造との関連性を考察した. アンモニア, 低沸点のアミン類, アルカリ土類金属酸化物, および水酸化物などを触媒とした樹脂は良好な性能を示した. アンモニア触媒添加量がフェノールに対して5~10モル%, ホルムアルデヒド対フェノールのモル比1.5の場合に, 良好な性能を有するフェノール樹脂を得ることができる. またフェノール樹脂を溶液状態で加熱し, 熟成するとはんだ耐熱性が向上することを明らかにした.
著者
永渕 啓 樫尾 幹広 杉崎 俊夫 守谷 治
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.48-56, 2015-02-25 (Released:2015-02-25)
参考文献数
31
被引用文献数
2 2

機能性ハイブリッド材料の中間体として,スクシンイミド構造を有する新規ポリシルセスキオキサン(PSQ)を合成した.そして,この反応性置換基のアミノ化合物による開環反応を利用した温度応答性機能の付与について検討した.スクシンイミド基を単独の置換基として有し,残存ヒドロキシ基をトリメチルシリル化したPSQは水に難溶,アセトンやクロロホルムなどの有機溶媒には易溶であった.PSQ上のスクシンイミド置換基の開環反応に2-エトキシエチルアミン類を用いたところ,水溶液中で下限臨界溶液温度を,ニトロメタン中では上限臨界溶液温度を示す温度応答性PSQ誘導体が得られた.一方,エタノールアミンや2-メトキシエチルアミンを用いた場合は,水溶性となり両親媒性は示したが温度応答性は発現しなかった.また,この開環反応は,スクシンイミド基に対してこれらのアミンを2当量用いることでほぼ定量的に進行した.
著者
和田 達夫 大島 隆一
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.377-382, 1984
被引用文献数
1

ビスカルゾリル化合物の高分子固溶体の蛍光スペクトルを測定し, エキシマー生成能について検討した. a, ω-ビスカルバゾリルアルカンではクロモフォア濃度の増加に従い, モノマー発光は消光されエキシマー発光が増加した. エキシマー発光とモノマー発光との強度比の濃度変化はメチレン鎖数, C<SUB>6</SUB>>C<SUB>4</SUB>>C<SUB>10</SUB>>C<SUB>5</SUB>>C<SUB>3</SUB>の順に大きくなる. 1, 2-<I>trans</I>-ビスカルバゾリルシクロブタンでは高濃度でもサンドイッチ型エキシマー発光は見られなかつた。クロモフォアの均一分散・分子運動・相対量子収率の濃度変化の検討を行い, エキシマー生成が主に分子内で生成されることが明らかになった.
著者
横山 士吉 益子 信郎
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.637-645, 2000

分子構造の繰返しに, アゾベンゼン色素を有するデンドリマーが高い分子内組織性を有し, 超分極率を有効に増幅していることを示した. 分子集合体から発生する2次非線形光学現象の起源は, 反転対象中心のない分子配向構造であるので, デンドリマーが分子内で高度に組織化し1軸配向を有していることが明らかとなった. 本研究では超分極率の測定をHyper-Rayleigh散乱法で行い, 解析したデンドリマーの2次非線形光学特性は, 溶液中における分子コンホメーションに反映している. したがって, デンドリマーの分子組織構造が, 分子内の自己組織化によって構築されていることを示すとともに, 観察した超分極率の増幅がデンドリマー組織体によって発現した特異な現象であることを示した. 本誌では, 以上の結論に併せて, 詳細を量子化学的に考察する目的でデンドリマーの3次構造と非線形光学現象について分子動力学計算と分子軌道計算を用いて解析した.
著者
高橋 利禎 小林 敏彦
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.839-844, 1988
被引用文献数
1

いろいろの条件の下に調製されたポリビニルステアラート (PVS) の構造を透過電子顕微鏡法で研究した. 次のような結果が得られた. (1) 0.3%の高分子を含むクロロホルム溶液より水面または炭素膜上に室温でキャストして薄膜を作成した. 水面上では直径約nmの微粒子よりなる不定形な構造が形成されたが炭素膜上ではフィブリル状の構造が形成された. 電子線回折法 (ED) による研究により, PVSの側鎖は親水性の基盤 (水) 上には垂直に, また疎水性の基盤 (炭素) 上には平行に配列していると推定された. (2) PVSを疎水性基とともに極性基を持つ溶剤 (オクタノール, ニトロベンゼン, シクロヘキサノール, ベンジルアルコールなど) に60℃で溶解させ. その溶液を冷却して形成されるPVSの構造を検討した. PVSは球殻, しわのある円盤, 花弁のような結晶を形成したが. それらは側鎖がその表面に対し垂直に六方充てんした球殻状構造に由来するものと考えた.
著者
竹内 大介 朴 世訓 岡田 健史 松浦 龍一 小坂田 耕太郎
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.597-606, 2007
被引用文献数
2

シクロオレフィンポリマーは高い透明性,耐熱性を有することから注目を集めている.本報では,パラジウムをはじめとする後期遷移金属錯体触媒を用いると,ジエンの環化重合が円滑に進行し,主鎖に環構造をもつ高分子生成物の立体構造を精密に制御できることを見いだした.パラジウム錯体触媒によってさまざまな官能基を有するジエンの環化重合が進行した.得られたポリマーの 1,2-二置換シクロペンタン骨格は定量的にトランスに制御されていた.ジエンとエチレンや &alpha;-オレフィンとの共重合も可能であり,この場合にも環化は定量的におきた.7-位にアルキル鎖を有する 1,6-ヘプタジエンの反応に同様のパラジウム錯体触媒を用いると,新しい環化&mdash;チェーンウォーキング型の重合が進行し,トランス-1,2-二置換シクロペンタン環がオリゴエチレン鎖で連結されたポリマーが得られた.鉄錯体やコバルト錯体を用いると,無置換の1,6-ジエンの環化重合が進行し,1,2-二置換シクロペンタン骨格を有するポリマーが得られた.鉄錯体を用いた場合には五員環の立体構造はシス,コバルト錯体を用いた場合にはトランスに制御されている.<br>
著者
高橋 彰 若林 宏 本多 和彦 加藤 忠哉
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.269-274, 1978
被引用文献数
1

ABおよびABA型のスチレン-テトラヒドロフランブロック共重合体 (テトラヒドロフランプロックの分子量60,000~70,000) のぬれと表面のモルホロジーを検討した. シクロヘキサン溶液から製膜したフィルムへの水の接触角 (θ) 測定とオスミウム酸で染色したフィルムの電子顕微鏡観察を行った. cosθはブロック共重合体の組成に依存せず, テトラヒドロフランに富む共重合体のぬれはポリスチレンにほぼ同じであり, スチレンに富む共重合体はこの逆であった. 電子顕微鏡写真の解析からスチレン部の表面組成を求めた. スチレン部あるいはテトラヒドロフラン部の表面への蓄積はテトラヒドロフラン部の結晶化または界面活性によることが示された. cosθ, すなわち, ぬれは表面のモルホロジーに無関係に共重合体の表面組成の関数であることが分かった.
著者
新保 正樹 越智 光一 山田 光夫
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.57-63, 1980-01-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
16
被引用文献数
3 8

ビスフェノール型エポキシ樹脂を促進剤の三級アミンまたはオクチル酸スズの存在する系と存在しない系とで脂肪族α, ω-ジカルボン酸を用いて硬化した. これらの系の硬化促進機構が引張Masaki SHIMBO強さや引張せん断強さ, 官能基の濃度およびゲル量の変化に基づいて検討された. その結果促進剤を添加した系では, 硬化物のエポキシ基反応率, 引張強さおよび引張せん断強さは促進剤を添加せぬ系とほぼ同じ値を示すが, 三級アミンまたはオクチル酸スズの添加によってその硬化時間は短縮された. また, これらの硬化物のけん化および反応率の変化から, 三級アミンによる促進系では硬化物のエステル結合の形成が選択的に促進されエーテル結合の抑制されることが示された.
著者
金澤 有紘
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.442-452, 2016-09-25 (Released:2016-09-23)
参考文献数
49

異種モノマー間の交差生長反応を伴う共重合系として,ビニルエーテルとオキシランのビニル付加・開環同時カチオン共重合に関する最近の研究を概説する.オキシラン由来のオキソニウムイオン生長種にビニルモノマーが付加しないため,これらのモノマーの共重合は一般に難しいとされてきた.そこで,オキソニウムイオン生長種の開環反応により炭素カチオン種を生成するようモノマー構造・開始剤系に着目し,適切に設計することで,両モノマー間の交差生長反応を伴った共重合が進行することを明らかとした.本報ではさらに,交差生長反応の頻度に影響を与える因子,ケトンを用いた三元共重合系の構築,アルコキシオキシラン・環状ホルマールを用いた制御カチオン共重合系の設計に関する研究結果についても述べる.
著者
小川 和郎 藤原 麻由 近藤 好美 水下 義信 小野 慎 吉村 敏章
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.341-345, 2004-06-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
15

さまざまなデンプンをアセチル化することにより, 置換度の増加に伴うアセチル基の分布を検討した. アミロース含量の高いハイアミローススターチは, 低密度のアミロース部分からアセチル化が起こり, 低置換体ではアミロース部分にアセチル基が多く導入される. 一方, アミロース含量の低いデンプンは, アミロペクチンの構造によってアセチル基の分布が異なった. B型の馬鈴薯デンプンのアミロペクチンは分子鎖が長いため, アミロース分子とからみ合った部分が存在し, アセチル化はアミロースとアミロペクチンに同時に起こる. A型のコーンスターチはアミロペクチンの分子鎖が短いため, アミロースとアミロペクチンが単純な混合物として存在し, アセチル化はアミロース部分から進行する. しかしながら, アセチル化機構が異なっても, アセチル化デンプンの結晶構造には影響を与えなかった.
著者
浦山 真衣奈 岡村 慎太郎 西峯 准 末永 勇作
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.184-189, 2015-04-25 (Released:2015-04-24)
参考文献数
19

スチレン(St),グリシジルメタクリル酸エステル(GMA),ジビニルベンゼン(DVB)を原料に無乳化剤乳化重合法にて,単分散型高分子微粒子を調製した.この高分子微粒子表面にRAFT剤を化学的に固定化するためにまず,リンカー分子としてエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル(EGAE)を導入後,ジチオエステル系RAFT 残基がリンカー末端にアミド結合したRAFT-1粒子を調製した.RAFT剤の導入量(Loading Capacity (LC))は,硫黄原子Sの元素分析値から200 µmol/gと見積もった.RAFT-1粒子存在下アクリル酸モノマーをもちいて,RAFT重合を行い,ポリアクリル酸が表面グラフト重合した粒子径333 nmの単分散型高分子微粒子(SG-PAA-1)の合成に成功した.同様にトリチオ炭酸エステル系RAFT剤を表面固定化したRAFT-2粒子では,RAFT剤の導入量は40 µmol/gと低く,アクリル酸を重合した後の粒子径は448 nmとなった(SG-PAA-2).SG-PAA-1粒子の水分散溶液は,pH 2以下の酸性領域では,微粒子が凝集沈降したが,中性に戻すと再び均一分散した.