著者
畝山 多加志
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
pp.2018-0035, (Released:2018-10-11)
参考文献数
18

対称ジブロックコポリマーのミクロ相分離構造を取り扱うための粗視化モデルとして,ソフトダンベルモデルに基づく自己無撞着場(SCF)理論を提案する.二つの粗視化粒子を連結することでジブロックコポリマーを表現するソフトダンベルモデルに対して標準的なSCFモデルの導出手法を適用することで濃度場と外場に対する自己無撞着な連立方程式を導出する.得られたSCFモデルを用いて一次元系でシミュレーションを行うことで,ミクロ相分離構造を再現できることを示す.また,得られたSCFモデルの性質について考察を行う.
著者
斉藤 貴宏 黒沢 規宏 渡辺 正義 岩崎 泰彦 石原 一彦
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.200-206, 1998-04-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

グルコースセンサー用生体適合性高分子メディエーターを実現する目的で, 側鎖にリン脂質類似構造を有し, その重合体が優れた生体適合性を示すことが知られている2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン (MPC) とレドックス活性モノマーであるビニルフェロセン (VFc) の共重合体 (VFc-MPC) を合成した. 本共重合体表面にウサギの血小板多血漿 (PRP) を接触させて血小板粘着挙動を観察したところ, 本共重合表面への血小板の粘着は少なくMPCユニットの導入による血小板粘着抑制効果が顕著に現れた. さらに本共重合体をグルコースオキシダーゼ (GOD) を用いた酵素電極の高分子メディエーターとして適用し, グルコース溶液中で本共重合体のメディエーター特性について検討した. メディエーション反応による触媒電流が観測され, VFc-MPC共重合体はGOD/電極間の電子移動反応を媒介する高分子メディエーターとして機能することが見いだされた.
著者
古川 薫 吉崎 修
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.291-298, 1978-05-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

ε-カプロラクタムの単純な加圧重合によるナイロン6の連続製造法において, 初期組成と重合条件による反応生成物の特性との定量的相関を見いだすため本研究を行った. 粘度安定剤としては酢酸又はブチルアミン, あるいはこれらの両者を0.05モル比以下で用い, 水分量0.3モル比以下とともに密閉容器中でラクタムを重合した. 十分平衡に達した生成物の物性を分析した. 粘度安定剤とポリマー末端基との間に等反応性を仮定して主反応の平衡定数を求めた. この定数は上の組成の範囲では組成による変化はほとんど見られなかった. 平衡での直鎖状分子数ST, 数平均重合度P, および残存ラクタム量xが平衡定数と初期組成を用いて理論的に導かれた. 得られた理論値は実測値によく一致し, 粘度安定剤と分子末端基の等反応性を仮定した平衡反応の取扱いが妥当であることが示された.
著者
奥山 健二 川口 辰也
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.229-247, 2010 (Released:2010-04-23)
参考文献数
98
被引用文献数
5 9

Triple helix は,すべてのコラーゲンで見られるタンパク質のユニークな構造モチーフである. コラーゲンらせんにおいては,そのアミノ酸配列中で Gly が必ず 3 残基ごとに存在し,イミノ酸含量が多いという厳密な制約が必要である.繊維状コラーゲンの X 線回折パターンは,1920 年代から研究されてきたが,回折データが少ないために繊維回折像だけからではユニークならせんモデルは得られていない.一方,最近 15 年間に,多くのコラーゲンモデルペプチドの単結晶解析が行われ,平均のらせん対称,水素結合ネットワーク,triple helix 周りの水の分布,ヒドロキシプロリンによる triple helix の安定化に対する構造論的な知見など,物理化学的に重要な情報を提供してきた.
著者
古川 柳蔵 石田 秀輝
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.341-350, 2013-07-25 (Released:2013-07-25)
参考文献数
38
被引用文献数
3 1

心豊かに生きるという人の本質を担保しつつ,この人間活動の肥大化をいかに停止・縮小させることができるかということが,厳しい環境制約下における暮らしの最重要課題である.現在,人間活動の最小単位である個人のライフスタイルを革新的に変えることができるのかどうかが問われている.崩壊しつつある自然の循環のメカニズムやシステムを持続的なものに戻すために,自然を基盤としたテクノロジーに改めて着目し,心豊かなライフスタイルに転換するシステムであるネイチャー・テクノロジー創出システムの構築が急がれる.そのシステムの第一ステップに用いられる,バックキャスティングを用いたライフスタイル・デザイン手法に求められる要件について論じ,ライフスタイル・デザインの実証を試み,課題を抽出した.この手法を用いて技術開発が進む事例に基づき,企業を主体としたイノベーションの可能性を論じる.
著者
福永 俊晴 永野 啓 金谷 利治 水谷 宇一郎
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.665-669, 1996
被引用文献数
1

機械的に試料を叩くというメカニカルミリング法を用いて, これまで完全な非晶質にならなかったポリビニルアルコール (PVA) を非晶質化させた, その結晶相を表すブラッグピークはミリング時間とともにその強度が減少し, 完全な非晶質相を表すハローパターンとなった. 密度の減少ならびに非弾性散乱データにおける「低エネルギー励起」の増大も観察された. この結果によりメカニカルミリングによりPVAも非晶質単相となることが分かった. さらに, 構造因子<I>S</I> (<I>Q</I>) をフーリエ変換し求めた相関関数を種々の相関距離で逆フーリエ変換することにより, 実空間上の乱れの距離を明らかにした. ミリングの練り込み効果により, <I>S</I> (<I>Q</I>) を再現できる相関距離は短くなり, 乱れが増大することが明確となった.
著者
味岡 直己 横山 明弘 横澤 勉
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.907-921, 2007

本報では置換基効果を利用した連鎖縮合重合法によって合成できる分子量分布の狭い縮合系高分子を含むさまざまな高分子アーキテクチャーの合成およびその自己集積化について述べる.芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリエーテルを一成分とする一次構造の制御された AB, ABA, BAB, ABC ブロック共重合体やスターポリマー,スターブロック共重合体,ミクトアームスター共重合体をポリマーどうしのカップリング反応,リビング重合末端を利用した方法,末端修飾を行うマクロ開始剤法,オルソゴナル開始剤を用いたマクロ開始剤法で合成した.それらの自己集積では特異的な集積構造が形成された.<br>
著者
日野 常稔 持田 晃一 岡村 誠三
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.225-233, 1983-04-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
7
被引用文献数
5 7

固定化材料や組織適合性材料などいわゆるバイオマテリアルとして, ポリビニルアルコール (PVA) とケイ酸との複合体について検討を行った. ゾル状の複合体がPVA水溶液中でテトラエチルオルソシリカート (TES) を加水分解することによって合成することができた. このゾルは中和によって水不溶性のゲルに変り, 又乾燥すればキセロゲルとなる. PVAとケイ酸との問の結合には化学結合の存在が推定され, これは水による溶解度と膨潤度の測定を含めて赤外吸収スペクトルや結晶化度の測定結果から指摘された. 微生物菌体・酵素・タンパク質・その他の高分子がこの複合体の中和の際に容易に固定される. また生体組織適合性は十分に良好であり, 組織との固定の状態も強いことが見いだされた.
著者
湯川 美穂 池田 浩人 萩原 里美 黒田 菜月 川原 光喜 湯川 栄二 安藝 初美
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.648-651, 2015-10-25 (Released:2015-10-23)
参考文献数
12

The mechanical properties of moderately dilute solution of Konjac powder (KP) and its hydrolysates (hKP) were characterized by viscosity and texture profile analysis. hKP was prepared by partial acid hydrolysis of KP in 70% ethanol solution at 130°C. The viscosities of 0.3%~0.5% KP solutions and 0.6%~1.0% hKP solutions were about 50~500 mPa·s and 80~400 mPa·s respectively. The hKP solution moved around the mouth more slowly and allowed better control of swallowing than KP solution. This indicates that hKP may be useful as a thickener to take medicine due to its low adhesiveness.
著者
羽田 次夫 清瀬 篤信 高橋 重三 野村 春治 黒川 正隆
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.383-391, 1983
被引用文献数
1 3

ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) の構造を明らかにするため, ディスパーション粒子を圧縮, 圧延して作った生テープの構造を熱分析 (示差熱分析, 熱機械分析), X線回折, 電子顕微鏡で調べた. 生テープはディスパーション粒子が圧着しており, X線回折図は配向を示す. 焼結時にほぼ無配向となり, 冷却により再びめいりょうな配向構造にもどる. 冷却速度を遅くすると, 圧延方向に平行な縞 (Striation) を持つバンド構造が割断面に現れる. 焼結時間が長くなると配向構造から無配向構造へと変化する. 熱機械測定によって, PTFE生テープは溶融状態においてさえ, 焼結前の履歴を長く保っていることが明らかになった. 十分に履歴を解消するには約450℃の高温または低温で長時間, 例えば370℃で2時間以上の焼結が生テープでは必要である.
著者
原田 貴弘 宮原 隆 中嶋 直敏 栗原 和枝
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.792-799, 2002-12-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
30

チミン (T) およびアデニン (A) を末端に有する両親媒性分子を用いて, 雲母基板上に核酸塩基を表面に有する単分子膜を調製した. 水溶液中 (pH4~10) において, 調製した核酸塩基表面間に作用する力を, 表面力装置 (SFA) を用いて, 表面間距離の関数として測定した. (i) T-TおよびA-A表面間では, 核酸塩基の酸解離を反映して, それぞれ, pH7以上またはpH4以下において電気二重層斥力が観察された. また, A-Aの場合, pH8以上でも斥力となり, 水酸化物イオンの吸着による電気二重層斥力と考えている. それ以外のpH領域では, 90nmに及ぶ長距離引力が作用した. これは主に核酸塩基の疎水性による引力と考えられる. (ii) 相補的なT-A表面間においては, pH4~10の領域においてつねに長距離から引力が観察され, 特に純水中においては, 60nmの長距離から引力が観察された. 生理的pH条件下において, 相補的な核酸塩基間にpKaと疎水性の最適化が起こっていると考えられる. (iii) 接着力は, T-A表面間でもっとも強く, 特に中性のpH領域で接着力は極大となった. この事実は, 生理的pH条件下で, 相補的な核酸塩基対がもっとも効果的にその分子認識能を発現していることを示している.
著者
加門 隆 斎藤 和美 三輪 泰彦 佐伯 健作
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.665-668, 1974-11-25 (Released:2010-03-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

動的粘弾性によるガラス転移温度 (Tg) とASTMによる熱変形温度 (HDT) などの耐熱変形温度の関係を求めた。 触媒型硬化剤を除く, 多くのポリアミンおよび酸無水物で硬化したエポキシ樹脂について, 次のような相関関係が得られた.HDT=0.97Tg- (29±3.9) ℃この結果とさきの報告から, 同一硬化剤系では, HDTと橋かけ密度 (ρ) の間には次の関係にあることが分かった.HDT=K log ρ+K′K, K′は定数.
著者
橋爪 章仁 光上 義朗 遊佐 真一 森島 洋太郎
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
pp.2018-0039, (Released:2018-10-23)
参考文献数
31

An unsymmetric diblock copolymer b-Q57A97 of (ar‑vinylbenzyl)trimethylammonium chloride (Q) and N,N-dimethylvinylbenzylamine (A), synthesized by reversible addition-fragmentation chain transfer radical polymerization, and its molecular assemblies were characterized by static and dynamic light scattering and steady state fluorescence using N-phenyl-1-naphthylamine (PNA) as a probe. Scanning electron microscopy observations indicated that b-Q57A97 formed a unique fern leaf-like morphology in the presence of NaCl.
著者
三宅 雅也 佐藤 満
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.617-623, 2015
被引用文献数
2

ドライウォーター,ドライポリマー水溶液,ドライゲルなどのドライ物質の調製をさまざまな条件で試みるとともに,調製に及ぼす諸条件について検討した.内部液相の表面張力や粘度と調製の際のかくはん時間(機械的エネルギー)が複雑にからみ合って調製の可否が左右されることが明らかとなった.また,表面張力の低さが原因でドライポリマー水溶液が調製されない系では,ポリマー水溶液相をゲル化することでドライ物質を調製可能な高分子種の選択領域を広げることが可能となることを見いだした.
著者
長尾 祐樹
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
pp.2018-0012, (Released:2018-07-10)
参考文献数
65
被引用文献数
1

高プロトン伝導性高分子には,エネルギー変換,センサー,触媒,アクチュエータなどさまざまな用途がある.含水により高プロトン伝導性を示す高分子の分子設計は,強酸性基を骨格に導入し,含水により親疎水の相分離構造を形成させ,親水チャネルを使ってプロトンを輸送させることに基づいている.Nafionのような高プロトン伝導性高分子は,相分離構造を示すものの,長距離秩序をもたないために,構造とプロトン伝導性の相関の議論は容易ではなかった.筆者らの研究グループは基板界面を利用して高分子を配向させ,分子配向がプロトン伝導性に与える影響を調べてきた.本報では,Nafionの薄膜化によるプロトン伝導度の低下,アミドオリゴマー薄膜のプロトン伝導度の基板依存性,ポリペプチド薄膜の分子配向によるプロトン伝導度の向上,およびスルホン化ポリイミド薄膜が有するリオトロピック液晶性による組織構造と高プロトン伝導性の相関を述べる.
著者
藤田 祐二 KOO Kong-Khen ANGOLA Juan Carlos 井上 隆 酒井 哲也
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.119-131, 1986
被引用文献数
1 20

延性高分子とぜい (脆) 性高分子とからなる耐衝撃性プラスチックの設計は, 近年, ポリカーボネートとスチレン-アクリロニトリル共重合体などの混合系において見いだされた新しい概念である. この多相系プラスチックにおいては, 分散相としてのぜい性高分子の存在により延性高分子の剛性とじん (靱) 性を同時に向上させることが可能であり, 実用面からの興味も大である. 本報では同様な強化機構を持つ他の新しい多相系を見いだすため, 種々の延性高分子とぜい性高分子の組合せについて, それらの力学物性評価を行った. また, 多相構造の電子頭微鏡観察や変形時の応力解析を行い, 強化機構について考察した. その結果, ポリカーボネート/ポリメタクリル酸メチル系など新たに6種類の強化系を見いだし, この現象がかなり一般性のあることを明らかにした. また, これらの強化系においては, ぜい性高分子の分散相が変形時に冷延伸され, これによって強化が発現することを確認した. さらに, 修正Eshelby理論をもとにした応力解析より, ぜい性高分子の冷延伸の成否はMisesの降伏条件式によって記述しうることが判明した. 以上より, 成分高分子のヤング率, ポアソン比などの材料定数より強化の成否を半定量的に予測する可能性が示唆された.
著者
水野 渡 川口 真知子 猿倉 薫子 沢潟 いづみ 竹内 茂彌
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.513-521, 1996-09-25
参考文献数
9
被引用文献数
2

市販生分解性プラスチックから射出成形により試験片を作成し, 富山県内6カ所の土壌・水中での生分解性を評価した. バイオポールは, 分解によりき裂が発生し, 試験片の強度が大きく低下した. マタービーは, 試験片表面で分解と樹脂や可塑剤の溶出が起きた. また, 重量や強度の低下は他の樹脂に比べ大きくなった. エコスタープラスをブレンドした試験片では, 表面のでんぷんのみ分解が起き, 重量や強度の低下はほとんど見られなかった. 試験場所や埋設深さにより分解の進行に違いがあった. また, 分解の進行は春から秋にかけて速く, 冬から春にかけて緩やかになる傾向があり, 分解場所や季節による分解環境の影響がみられた.
著者
太田 和子 沢原 英幸 宮本 裕美 河原 一男
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.809-816, 1985-11-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
9

水溶性多糖であるプルランを用い, 徐放性錠剤の作製を試みた, プルランは粉末を直接打錠するのみで錠剤となる. 水中での溶解挙動を研究し, 次の特徴を見いだした. 碇剤は崩壊することなく, 表面より徐々に溶解して含有した薬物が放出される, その溶解速度はほぼ0次に近く, プルランの分子量に依存し, 試験液のpHにはよらない. 多層錠あるいはコーティング錠とすることによって溶解挙動を変化・制御できる. 薬物を70%含有しても水中で崩壊しない. 製剤方法が容易で, 人体に安全なことからも, プルランは薬物の徐放性製剤に利用できると考えられる. 医薬の賦形剤として用いられているデンプン, 微粉末セルロース及び各種のセルロース誘導体とプルランとの混合物の錠剤について研究した結果, 溶解速度がほぼ0次であるプルランの特徴は大部分の混合錠剤でも同様であった. ビーグル犬を用いたスルファメチゾール放出実験の結果, 高分子量プルラン, プルランとヒドロキシプロビルメチルセルロースとの混合物の錠剤は徐放効果があることが認められた.
著者
加門 隆 斎藤 和美 三輪 泰彦 佐伯 健作
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.119-123, 1974-02-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
12
被引用文献数
6 3

酸無水物で硬化したエポキシ樹脂の構造と動的粘弾性について検討した。ゴム状態式のフロント係数 (φ) はすべて1より小さく, またジアミン硬化エポキシ樹脂のφより小さかった。同一酸無水物硬化樹脂系でのφは橋かけ密度 (ρ) が小さくなると小さくなっていく。ガラス転移温度 (Tg) は芳香環や脂環などの嵩だかい酸無水物で硬化した樹脂のほうが脂肪族酸無水物より高い。そして, 同一酸無水物系では, Tgとρの間には次式の関係にあることが見いだされた。Tg=K1logK2ρここでK1, K2は定数。K1は嵩だかい脂環族酸無水物系のほうが脂肪族酸無水物系より大きい, そしてK2は両系ともほぼ同じ値であった。
著者
新田 晃平
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.281-293, 2016
被引用文献数
5

高分子材料の破壊挙動が複雑な点は,炭素原子間の共有結合と二次的な分子間相互作用が力学応答を支配していることにある.高分子の破壊理論は主鎖の破断強度が実測の破壊強度値に比べて桁違いに高いことをどのように理解するのかということで発展してきた.ガラス状高分子では,内在する固有のき裂やひび割れが起点となって延伸方向に垂直に成長する巨視的クラックやき裂が起こる.結晶性高分子では,破壊の起点の発現は分子や原子レベルの量子論的な分子間相互作用による鎖間の解離によって起こる.いずれにしても,その微視的起点から巨視的なき裂への成長については速度論的さらには確率論的に解析され,最終的に連続体力学による応力とひずみに基づくエネルギー論的概念で解析できる.