著者
後藤 倫子 Rinko Goto
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 = The Doshisha Hogaku (The Doshisha law review) (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.599-671, 2018-07-31

ジェノサイド条約は、国際連合の下で準備作業が進められ、1948年12月9日に国際連合総会の全会一致の下で採択された。本稿は、「ジェノサイド」の造語を編み出し、ジェノサイド条約の準備作業にも参加したラファエル・レムキンが本条約の内容に与えた影響について、本条約の準備作業以前の彼の条約構想と本条約の規定を、準備作業の過程を踏まえて比較・検討することで、明らかにすることを目的とする。
著者
岡村 忠生 Tadao Okamura
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 = The Doshisha Hogaku (The Doshisha law review) (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.965-993, 2022-06-30

田中治教授 古稀記念論集
著者
大谷 實 Minoru Oya
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 = The Doshisha Hogaku (The Doshisha law review) (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.1929-1951, 2022-01-31

医療法学は、対象とする法令の分野が多岐にわたっており、体系的・統一的な研究が困難であるところから、医師の診断・医療に絞り研究する。
著者
坂元 茂樹 Shigeki Sakamoto
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 = The Doshisha law review (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.815-856, 2019-05

2018年12月26日、日本政府は、国際捕鯨取締条約からの脱退を公表した。この脱退通告に伴い、日本は2019年7月から商業捕鯨を再開することが可能となった。しかし、日本が商業捕鯨を再開するや、国連海洋法条約の締約国が日本を相手取って、同条約第65条や第194条5項の違反を理由に、強制的仲裁手続に訴える国際訴訟リスクがある。日本としては同条約第297条3項(a)但し書きによって、管轄権を否認することになろう。本論文は、日本がIWC脱退に至った背景とともに、こうした海洋法条約上の義務の抵触の有無について検討する。論説(Article)
著者
王 昭武 Zhaowu Wang
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 = The Doshisha law review (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.1699-1752, 2017-11

2011年に「中華人民共和国刑法改正案(八)」が酒酔い運転を代表とする危険運転罪を増設して以来、同罪の法的性格、交通事故罪など関係犯罪との関係、さらに酒酔い運転が一律に危険運転罪が成立するかなどの問題について、激しく争われてきていたが、以下のような結論が得られると思われる。第一に、危険運転罪は過失による抽象的危険犯ではなく、故意による抽象的危険犯である。第二に、酒酔い運転行為は危険運転罪が成立すると同時に、交通事故罪、「危険な方法による公共安全危害罪」も成立すれば、前者が後者に吸収され、後者一罪しか成立しない。第三に、刑法13条但書を抽象的危険犯である危険運転罪の認定に適用すべきで、酒酔い運転は情状によって危険運転罪が成立しないときもあることを否定できない。Since Amendment(Ⅷ) to the Criminal Law of the People's Republic of China added crime of dangerous driving represented by driving while intoxicated(DWI), the debate over the following issues heated: the legal nature of crime of dangerous driving; the relationship between this crime and other related crimes (such as crime of causing traffic casualties); whether all driving while intoxicated should be classified as crime, and so on. This article considers that the following conclusions can be drawn: first, crime of dangerous driving is not negligent abstract dangerous crime, it is intentionel abstract dangerous crime; second, if driving while intoxicated behavior constitutes crime of causing traffic casualties or crime of endangering public security with the dangerous method while the behavior constitutes crime of dangerous driving, crime of dangerous driving will be absorbed into the preceding two crimes and only constitute the preceding crime; third, the proviso of Article 13 of Criminal Law can apply to crime of dangerous driving as abstract dangerous crime, acoording to specific details, driving while intoxicated may also not constitute crime of dangerous driving.論説(Article)
著者
川井 圭司
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.4099-4138, 2009-02

論説(article)本稿は、日本プロ野球における保留制度の法的効力について契約法、独占禁止法および労働法理の観点から検討を加え、ポスティング制度の法的妥当性について明らかにするものである。このポスティング制度は1998年に日米両リーグの合意によって導入されたのであるが、ここでは、その経緯を明らかにしたうえで、同制度を巡る問題について、日米双方の法的論点を整理し、解説している。ところで、日本プロ野球選手会は2004年に史上初めてのストライキを実施し、NPBに対する交渉力を獲得してきた。そうした選手会の交渉力の向上が海外移籍制限にいかなる影響を与えるかを検証している。This article will explore the following regarding the Posting System, which was introduced as a result of an agreement between Nippon Professional Baseball and Major League Baseball : (1) The validity of the NPB's Reserve System (2) The background and reasons for the introduction of the Posting System (3) The history of the Posting System since its inception (4) The legal characteristics of the Posting System (5) The validity of the Posting System from the perspectives of both Japanese and U.S. law (6) The degree of involvement of the Players' Association, which gained greater bargaining leverage after its first strike in 2004, in key decision-making processes that continue to shape the Posting System
著者
濱 真一郎 Shinichiro Hama
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 = The Doshisha law review (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.3319-3339, 2017-03

本稿の目的は、アイザィア・バーリンの自由論についての理解を深めるために、彼の著作に依拠して、ロシアにおけるドイツ・ロマン主義の影響を整理した上で、ロシアの政治的作家であるアレクサンドル・ゲルツェンの個人の自由の捉え方について検討することである。論説(Article)
著者
櫻井 利江 Toshie Sakurai
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.711-746, 2012-09

コソボ事件勧告的意見は領土保全原則は国家間関係でのみ適用され、コソボのような非国家主体には適用されないと判断したが、なぜそのような結論を導くことができるのか実証していない。本稿は、1990年代に発生したザイール国内のカタンガ、コモロ国内のアンジュアン島およびモヘリ島およびボスニア・ヘルツェゴビナ国内のスルプスカ共和国による分離の事例、および国際文書に基づき、国際法における領土保全原則が以下のような意味をもつことを実証しようとしたものである。領土保全原則が既存国家が国内のすべての人民の自決権および人権を尊重し、すべての人民を代表する政府が存在するという条件を満たした国家の領土的現状を保護する意味で捉えられており、以上の条件を満たした国家においては、領土保全原則は人民の分離権行使を制限する役割をもつ。他方、政府による分離集団に対する深刻な人権侵害が存在するという特別な場合には、当該国家に領土保全原則は適用されず、集団の分離権が認められ、当該国家の領土的現状は維持されない。