著者
岡林 昌彦 清水 公夫 森田 修己
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.179-188, 2001-02-10
参考文献数
17
被引用文献数
9 3

目的: 本研究の目的はカスタムメイドのラミネートマウスガードの設計, 製作にかかわる基準を提言することにある.<BR>方法: 9種類のシート材を用いて, 厚さ, 吸水性, 定荷重下における変形ならびに成形後のマウスガードの各部の厚さを評価した.<BR>結果: 1. 各製品ともにシート材は均一な厚さであった. 2. 吸水率は, D20 (Erkodur2.00mm) が最大で, F4 (Erkoflex4.00mm) が最小であり, Es (Essix) とPr (Pro-form) は同程度であった. 3. 定荷重による変形率は浸漬によってErkodurは増加し, Erkoflexは減少したが, EsとPrでは浸漬による影響は認められなかった. 4. 成形後の厚さは, すべての材料, 積層成形, 組合せ成形において減少し, Erkodur, Erkoflex, ErkoflexとErkodur, ならびにErkoflex間の組合せ成形では, 咬合面部が10~20%であり, 他の部位は30~46%であった. 一方, Es, Prでは口蓋側歯面正中部は2~4%であり, 他の部位は26~54%の範囲で減少した.<BR>結論: 本論文は, マウスガードシート材の吸水性, 浸漬による硬さへの影響ならびに成形後のマウスガード各部の厚さを定量的に明らかにし, カスタムメイドのラミネートマウスガードの設計, 製作に関する有用な示唆を与えている.
著者
深瀬 敦 藤田 忠寛 青木 英夫 玉置 勝司 山村 雅章 山田 重雄 渡辺 英男 盛重 正仁 兼松 恭規 遠藤 ゆかり
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.1092-1101, 1992-10-01
被引用文献数
3 1

近年,コンピュータ支援による補綴物製作の手法が広く検討されているが,当講座においても,1984年頃よりCAD/CAM補綴のシステム化に関する課題に着手した.歯冠補綴物の変遷を考えると,CAD/CAMによる加工は"第三の波"ともいえるが,現在ではすでに製作方法も実用化の段階に入っている.しかし,補綴物は一般工業製品とは異なる多くの条件をもつので,その特殊性を考慮した独自のソフトウェアの構築が必要である.本論文は,CADによる歯冠形態設計の手法として,マスターモデルの修正法,支台歯マージンの設定法,エルミート曲線による軸面形態付与法について検討したものである.
著者
西本 公紀 高島 史男 多田 純夫 宮内 修平 堤 定美 丸山 剛郎
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.819-829, 1987-08-01
被引用文献数
12

歯冠修復物に対する審美的な要求は, 年々高まってきている. これに呼応して, 種々の材料が開発されており, その1つとして, キャスタブル・ガラス・セラミックスがある. ガラス・セラミックについては, 物性等は明らかになってきている. しかし, 臨床的な破折実験等も少なく, また力学的解析もほとんど行われていないのが, 現況である. 本論文は, コーニンググラスワーク社とデンツプライ社の共同開発による'DICOR'について, 力学的な検討を行った報告である. すなわち, 有限要素法を用い, 咬合力が正常または異常に補綴物に作用した状態を想定し, 応力解析を行い, 破折, 脱離等の可能性の有無について検討した.
著者
鍋島 竜將
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.135-145, 1995-02-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
57
被引用文献数
2

The influence of the occlusal vertical dimension on the muscle fiber conduction velocity (MFCV) and muscle fatigue was studied in the human temporal and masseter muscle in six healthy subjects (22-30years old). Occlusal vertical dimension was changed from the intercuspal position (ICP) to the maximum bite-raising position (21.0mm) by applying three different occlusal splints along the habitual opening-closing movement path. Muscle fatigue was developed until the subject stopped contracting the muscle at each occlusal vertical dimension. The EMG responses were evoked by electrical stimulation of the skin at the mandibular notch. The EMG signals were detected using a surface linear electrode array having seven contacts placed on the muscle fibers. The MFCV was calculated from the time delay between adjacent EMG signals.The results were as follows:1. The MFCV was increased with increment of the contraction level but decreased with increment of the occlusal vertical dimension.2. The MFCV was decreased with muscle fatigue at each occlusal vertical dimension.3. The endurance time was decreased with increment of the occlusal vertical dimension. The results indicate that occlusal vertical dimension is an important parameter for the propagation velocity of action potentials and for the development of static muscle fatigue.
著者
山口 泰彦 久恒 泰宏 木村 朋義 小松 孝雪 内山 洋一
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1113-1120, 1995-12-01
被引用文献数
29 9

本論文は最近,咬合の診査に用いられはじめた工業用の感圧フィルムを応用したデンタルプレスケールについて検討したものである.咬合接触部位を診査する上で原理的には咬台紙を用いるのと似ているが,これの特徴は各々の咬合接触部位の接触圧が測定できることにある.したがって,顎の機能異常の診断などにその応用が期待されている.しかし,フィルムの厚さや物性によって,咬合のさせ方によっては本来の接触圧が正確に測定できない場合もあるので,本論文はその使用上の特性を明らかにし,それを踏まえて臨床で有効に使用しようとするものである.
著者
二川 浩樹
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.171-179, 2006-04-10
被引用文献数
1

この10年間, 歯科補綴学に関連した領域の研究分野も細分化・専門化し, 関連領域の学会も非常に多くなってきています.それに伴い, 関連分野の学会誌も多数作られ, 和文誌に加え英文誌も刊行され始めています.(社) 日本補綴歯科学会ではProsthodontic Research & Practice (PRP) が刊行され, 2006年より年4回の発行が行われます.他学会や学会誌なども含めて省みた場合, 学会での多くの発表がそのまま埋もれたままになっているという問題点があります.また, この一方で, 論文を厳しく査読することでそのレベル・クオリティを高めようとする学会誌は多くあります.しかし, 学会発表を一人前の原著論文に育てることに手を差しのべてくれる学会誌はほとんどないことに気づきました.編集委員会では, PRPの編集に際し, 投稿された論文をいかにしてより良い英語の原著論文に育てていくかを中心に査読を行うことで意見の一致がみられていますので, 投稿された先生方に, 海外投稿では得られないメリットを感じていただけるものと考えています.われわれは第114回学術大会 (新潟) や地方支部会においてPRPのスキルアップセミナーを開催してきました.本総説は, セミナーの後半部分の内容をまとめたもので, 実験を立案した際の文献検索と参考文献の見つけ方, 用語集・文例集の作成の仕方 (イントロ-考察まで), Web辞書の紹介などPRPへの投稿に向けての英語原著論文の準備の仕方をできるだけ具体的に紹介しています.
著者
川本 善和 檜山 礼秀 根本 美佳 島 弘光 河原 一茂 島田 和基 吉成 勝海 浅野 澄明 桟 淑行 五十嵐 孝義 齋藤 仁弘 西山 實
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.632-641, 2001-10-10
被引用文献数
15 3

目的: 本研究の目的は, 高フィラー型硬質レジン修復物の補修時に追加築盛を行う際の表面処理条件が曲げ接着強さに及ぼす影響を明らかにすることである.<BR>方法: 高フィラー型硬質レジンとしてエステニア (エナメル質用レジンEE, 象牙質用レジンED) を用い, 製造者指示に従い重合した被着体 (2×2×12.5mm) に, 処理なし (NT), シラン処理 (S), ボンディング処理 (B), シラン処理とボンディング処理を併用 (SB) の条件で表面処理を行った後に, 直接法 (D) ではクリアフィルAP-Xおよび間接法 (I) ではEEによる追加築盛を行って重合し, 曲げ接着試験用試験体 (2×2×25mm) を作製した. 作製した試験体は, 37℃で24時間水中保管後に3点曲げ試験を行い, 曲げ接着強さとした.<BR>結果: 被着体EEおよびEDの両者で, 直接法はD-S≒D-SB>D-B>D-NTの順に, SとSB間を除き有意 (one-way ANOVA, P<0.05) に大きな値を示し, 間接法はI-SB>I-S>IB>I-NTの順に有意に大きな値を示した. また, 破断面のSEM観察では, D-NTおよび1-NT以外のすべての処理条件で, 被着体および追加築盛体での凝集破壊が認められた.<BR>結論: 直接法および間接法の両者で, SBとSが最も効果的で, 次いでBが有効であった.
著者
Satoru Ozono Tadahiro Fujita Masato Matsuo Kazuo Todoki Takatsune Ohtomo Hideyuki Negishi Toshio Kawase
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.366-374, 2008-07-10 (Released:2008-10-10)
参考文献数
36
被引用文献数
5 6

Purpose: Bone marrow stromal cells (BMSCs) are a promising cell source in applications for tissue engineering and regenerative medicine. Optimization and control of the growth and differentiation of cultivated cells can be achieved by the administration of growth factors and hormones in vitro. This study provided experimental information on the enhancement of the osteogenic potential of rat BMSCs in vitro and in vivo.Methods: Mineralized nodule formation of rat BMSCs in culture for 3 weeks with dexamethasone (Dex)-treated media supplemented with both basic fibroblast growth factor (bFGF) and 17β-estradiol (E2) was examined by histology. In porous β-tricalcium phosphate (β-TCP), proliferation, migration, and differentiation of BMSCs were examined by histology and transmission electron microscopy. After culturing, the composites were subcutaneously implanted into syngeneic rats. The tissues with implants were harvested after 4 weeks and evaluated microscopically by using histological stain.Results: Dex-treated media supplemented with both bFGF and E2 was the most effective in mineralized nodule formation of BMSCs in vitro. Light and electron microscopy revealed the presence of many cells with developed rough endoplasmic reticulum. Bone formation in the BMSC/β-TCP composites in cultures in vitro for 3 weeks was observed histologically at 4 weeks after implantation. When BMSC/β-TCP composites were cultured in Dex-treated media supplemented with both bFGF and E2, the amount of bone formation at implants was substantially greater than that of composites cultured in Dex-treated media supplemented with bFGF.Conclusion: The combined use of bFGF and E2 could effectively improve the bone-forming ability of BMSCs.
著者
岩並 恵一 石原 正隆 坪田 有史 小林 和弘 松山 喜昭 小久保 裕司 福島 俊士
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.109-113, 1995-02-01
被引用文献数
17 1

日常の臨床における支台築造方法や築造材料の種類について,1977年(昭和52年)と1986年(昭和61年)に実施した調査報告に続く第3報である.特にレジン築造を含む成形材料による築造の頻度に注目したが,前回の28%から8%に減少していた.大学附属病院での調査であるため特殊な環境におけるものとの解釈もあろうが,意外の感は否めない.その他,鋳造体としての銀合金の使用頻度の減少や,合着用セメントとしてのリン酸亜鉛セメントの激減などのデータも得られている.
著者
柳澤 定勝
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.1335-1342, 1987-12-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
26
著者
鈴木 章
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.105-108, 2005-02-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
2

症例の概要: 本症例は咀嚼・審美障害を主訴とする51歳男性に対して, 支台歯への負担軽減, 清掃性の向上, 審美性などの点から, コーヌス義歯治療を選択した. しかし, 食事が味気ない, 温度感覚がないなどの口腔機能感覚のさらなる改善を求められたため, 上顎臼歯部にインプラント補綴治療を行った. 前歯部についてはコーヌス義歯の内外冠を利用した可撤性ブリッジに改良した.考察: 本症例を通じて, 患者の要望に応じた適切な治療計画を選択することの難しさが痛感された.結論: 治療計画を変更したことにより, 口腔内不快感は消失し患者のQOLは改善された. 定期的にメインテナンスを行い装着後3年経過するが, 良好に推移しており患者も大変満足している.
著者
石井 立人
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.363-371, 1994-04-01
被引用文献数
5

ヒトの頭部の側方傾斜に伴う,下顎位の偏位や咀咽筋の筋電図の応答についての報告は多数ある.しかし筋電図の反射性の応答については,緊張性頚反射や緊張性迷路反射が実験的な確証のないまま説明されている.本実験では,側方傾斜に伴って傾斜側外側翼突筋下頭と対側側頭筋後部の活動が冗進するパターンが認められた.そしてこの筋活動パターンが下顎に限局される重力に対応する下顎位の水平的な位置調節としての制御機能としての役割を果たしていることを明らかにした.特に側方体位をとらせて,頚部のみ水平面に対して垂直となるような姿勢,すなわち頚部屈曲位にて,頚部を屈曲させながらも,千顎の側方方向への重力の影響を取り除いた姿勢条件を用いたことがおもしろい.
著者
片山 隆 宅間 雅彦 森本 清 中村 征四郎 高島 史男 丸山 剛郎
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.191-196, 1990-02-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
10

In order to evaluate the effect of titanium diameter on reinforcement of titaniumhydroxyapatite implant and calculate the diameter of the implant under loading, stress analysis was performed using the finite element method. In finite element model, 100% or 70% of root length was supported by PMMA in place of bone and the implant was loaded 15 kgf at 45° of the implant axis.The results were obtained as follows, 1. In the case of 100% support, the titanium diameter had little effect on the reinforcement of the implant, whereas in the case of 70% support, it had much effect.2. The diameter of this implant was calculated to be more than 3.7mm under loading.From these results and the view point of manufacturing techniques, the diameter of this implant was supposed to need 4.0mm and that of titanium was to be 2.0mm.
著者
村井 健二 竹下 文隆 今給黎 一孝 末次 恒夫
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.858-872, 1993-08-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
32
被引用文献数
4 3

The difference in the tissue reaction in the tissue-titanium interface between mature (22-week-old) and young (6-week-old) rats was examined by using light microscopy with decalcifiedsemi-thin sections (1μm) and undecalcified sections (40μm) and scanning electron microscopy (SEM). A titanium implant (diameter=1.0mm: height=1.5mm) was inserted into a tibia.Rats in both groups were killed on the 1st, 3rd, 5th, 7th, 14th and 28th day after operation. The bonycontact ratio and area and thickness of the newly formed bones in the undecalcified section weremeasured with an image analysis system.On the 5th day, calcification in newly formed tissue was observed in young rats, and on the 7thday, in mature rats. On the 7th day, the mass of bone-like tissue in the mature rats was smaller thanthat in young rats. On the 28th day, the implant in both rats was almost enclosed circumferentiallywith newly-formed bone (thickness=20-30μm). However, by the image analysis, the bonycontact ratio and the area of newly formed bone in the mature rats were significantly smaller thanthose in the young rats. SEM revealed collagenous fibril-like structures (thickness=2-5μm) inthe bone-titanium interface of the mature rats, but obscure structures (thickness=0.4-0.6μm) inthat of the young rats.
著者
新田 茂夫
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.768-778, 1998-10-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

Polyelectrolyte complex (PEC) is produced as a result of mixting polycations and polyanions. Since PEC has strong bio-compatibility, attention has been paid to its applications such as to prostheses for sites of tissue defect. In this study, PEC coating was applied to implants with the aim of reducing the period required for achievement of osseointegration of the implant and bone and increasing contact area. Thus post-implantation tissue reactions were investigated. As a result, the PEC-coated Titanium (Ti) and Hydroxyapatite (HA)-coated implant required shorter periods for achievement of osseointegration than the non-PEC-coated implant used as the control, the width of the bone trabeculae formed was increased, and the bone contact ratio was accelerated. These results suggested that PEC is a useful biological material for reducing the period required for achievement of osseointegration of the implant and bone and for increasing the contact area.
著者
前田 芳信 栄村 勲 中村 公一 西田 圭 野首 孝祠
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.900-905, 1995-10-01
被引用文献数
14 2 2

近年,咬合と全身の運動機能との関連が注目されてきている.そこで本研究では,高齢者における咬合支持が全身の運動機能の制御,特に平衡調節機能に果たす役割について検討した.特に,従来まで行われてきた静的条件下での平衡度の測定に加え,動的刺激を与えた条件下での応答時間ならびに対称性の計測を行った.その結果,高齢者における咬合支持の有無は,全身の平衡調節機能のなかで,主として静的条件下での平衡調節に関与している可能性が示唆された.
著者
竹下 文隆 鮎川 保則 伊山 慎二 曽根 寛之 末次 恒夫
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.188-194, 1997-04-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
18

The purpose of this study was to investigate the tissue reaction to three kinds of membranes, Gore-Tex Augmentation Material (GTAM), Vicryl, and Dura Mater, placed on bone defects around the titanium implants. Nine adult dogs weighing 15kg were used in this study. The dogs were sacrificed either 2, 4, or 12 weeks after placement. Vicryl was exposed 2 weeks after placement. Histologically, it was found that Vicryl was completely resorbed, Dura Mater was replaced with connective tissue at 12 weeks, and bone defects using GTAM and Dura Mater but not Vicryl were partially filled with newly-formed bone tissue. Active bone formation was observed in the space between membranes and pre-existing bone tissue.
著者
角江 信彦
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.1183-1193, 1996-12-01
被引用文献数
10

近年注目されているオールセラミッククラウンのエンプレスは,あらかじめ結晶化されたセラミックインゴットを用いるため,常に安定した強度と寸法精度を得ることを可能にした. 本論文は,このエンプレスによる客観的で優れた色調構築法を確立するために必要な光学特性を製作過程の条件に基づいて検討したものである.その結果,エンプレスは加熱加圧成型ならびに追加焼成に対して色彩学的にきわめて安定した材料であると評価された.