著者
馬場 典子 片山 隆志 香西 武 米澤 義彦
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.168-175, 2013 (Released:2019-09-28)
参考文献数
12
被引用文献数
2

中学校新学習指導要領では,理科の第2分野に新しく「遺伝の規則性と遺伝子」の内容が加えられ, 生徒実験として,食塩水と台所用洗剤を用いた簡便法による「DNA の抽出」が提案されている.本研究は,中学校における DNA の抽出実験について,これまでに報告されている材料と方法を再検討し, 中学校でも実施可能な DNA の抽出実験の材料と方法を提案することを目的として行われた.また,報告されている簡便法によって抽出されたものが DNA であることを確認するために,抽出物のUV吸収スペクトルを測定し,市販の DNA 抽出キットによって抽出した DNA と比較した.その結果,DNA の抽出液として,4%食塩水と5%SDS溶液の混合液(24:1)を用いること,材料としてはブロッコリーが適していることが明らかになった.また,抽出物が DNA であるか否かについてはジフェニルアミン法によって確認できることを確かめた.さらに,改良した方法を用いて行った附属中学校での授業実践をもとに,教科書の記述内容の変更を提案した.
著者
樋高 由久 古江 幸博 田村 裕昭 永芳 郁文 本山 達男 川嶌 眞之 尾川 貴洋 片山 隆之 川嶌 眞人
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.443-446, 2012-09-25 (Released:2012-11-27)
参考文献数
10

γネイルを用いた骨接合術後に二次骨折をおこした3例について報告する.〈症例(1)〉87歳,女性.施設で転倒し,左大腿骨転子部骨折を受傷.初回手術後35日目に転倒し,再骨折を認めた.〈症例(2)〉52歳,男性.施設入所中転倒し,左大腿骨転子下骨折を受傷.初回手術後38日目に転倒し,再骨折を認めた.〈症例(3)〉79歳,男性.ベッド上で左股関節痛により体動困難となり,左大腿骨転子下骨折を認めた.初回手術後182日目に転倒し,再骨折を認めた.全例がネイル先端から遠位横止めにかかる二次骨折であり,遠位横止め部位にかかる応力の集中が二次骨折に関与していることが考えられた.しかし,捻転力による二次骨折,ネイルの回旋や沈み込みによる変形や疼痛などの合併症を避けるためには,遠位横止めは必要であり,遠位横止めの是非は今後の検討が必要と考えられた.
著者
片山 隆裕 カタヤマ タカヒロ KATAYAMA TAKAHIRO
出版者
西南学院大学学術研究所
雑誌
西南学院大学国際文化論集 (ISSN:09130756)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.1-13, 2017-02

2013年7月に,訪日し短期滞在(15日以内)するタイ人とマレーシア人への観光ビザ取得が免除される措置がとられた。新成長戦略の柱の1つとして「観光立国」を掲げる日本政府は,経済成長を続けるアジア圏の中でも,特に近年,中間層の所得が急速に増加し,成長を続けるタイとマレーシアからの観光客に増やしたいという狙いがあっての措置とされる。タイ人の訪日観光客数を他のアジア主要国からの観光客数と比較してみると,2012年時点では年間約26万人と,韓国(約157万人),台湾(約133万人)など比べると,決して多いとは言えなかった。韓国,台湾からの観光客数はさらに増加傾向にあるが,他方,中国からの観光客数は尖閣諸島領有権問題などの影響を受け,減少傾向にある。しかしながら,2013年以降のタイからの観光客が大きく増加し,ビザの免除措置がとられてからは,45万人(2013年),65.8万人(2014年),77.7万人(2015年)と,年々着実に急増している。このほかにも,訪日タイ人観光客急増の理由としては,もともと親日国である上に,バンコクを中心としてタイ国内にさまざまな日本文化があふれていること,日本関係のイベントが頻繁に開催されていること,日本・タイの航空便の増便など,様々な理由が考えられる。中でも「一生行くことがないであろう県全国1位」(マイナビフレッシャーズ)の佐賀県へのタイ人観光客の急増ぶりは,全国平均の増加率をはるかにしのいでおり,300人(2013年),1480人(2014年),5180人(2015年)と急増している。では,なぜ今,「はなわさんの歌以外に思いつくものがない」(男性23歳),「アクセスが悪いので,旅行先として選びにくい」(女性26歳),「九州地方に行くとしたら,他の県が優先になる」(男性35歳)などと評される佐賀県にタイ人観光客が急増しているのだろうか?本稿では,そうした訪日タイ人の増加を,ミクロな視点から九州の佐賀県に絞って考察し,佐賀を訪れるタイ人観光客が急増した理由として,タイ映画・ドラマというコンテンツの広告効果について検討することを目的としている。まず初めに,近年におけるコンテンツツーリズムとフィルムツーリズムの概況を述べる。次に,日本とタイの交流史について触れ,現代の日タイ関係と映画『クーカム』とその中でタイ人人気俳優が演じる日本兵コボリのタイ人への影響を述べる。その上で,近年公開された幾つかのタイ映画・ドラマを取り上げ,その宣伝・広告効果と訪日タイ人観光客の観光行動との関係についての考察を行うものとする。
著者
片山 隆章
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1530-1536, 1990
被引用文献数
4

自然排卵周期を有する15例を対象に, 経腔超音波断層法を用いて子宮内膜の厚さおよび輝度の変化を経日的に観察し, それらと血中 estradiol-17β(estradiol と略す), progesterone との関係を検討した. 子宮内膜の厚さは排卵の8日前には5.8±1.8mm(mean±SD)であったが, 卵胞期には経日的に増加し, 排卵日には10.7±2.9mmとなり, 黄体期には厚さの変化はほとんど認めなかった. また排卵の2日前までの子宮内膜の厚さは全体として血中 estradiol 値と正の相関を認めたが(r=0.64, n=89, p < 0.01), 症例別に検討した方が相関係数はより高いことが示された. また回帰直線の傾きは, 個々の症例で広い範囲に分布しており, estradiol に対する子宮内膜の反応性は個体差が大きいことが示された. 次に子宮内膜の輝度の変化を経日的に観察すると, 卵胞期後期より内膜の基底層の部分から高輝度となり, 黄体期初期にかけてその高輝度部分 hyperechoic endometrial area (HEA) は子宮内腔に向けて広がることが認められた. そして子宮内膜の厚さに対する HEA の厚さの割合 (HEA ratio) は, 排卵日には34.3±11.0%(mean±SD), 排卵後5日には74.7±12.4%となり, 排卵後9日には100%となった. また排卵前2日より排卵後9日までの HEA ratio は, 血中 progesterone 値と正の相関 (r=0.68, n=91, p < 0.01) を認めた.
著者
齋藤 司 相澤 仁志 澤田 潤 油川 陽子 片山 隆行 長谷部 直幸 林 恵充 安栄 良悟 佐藤 正夫 程塚 明
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.133-137, 2009-11-25 (Released:2010-03-29)
参考文献数
8
被引用文献数
6 1

【背景・目的】小脳梗塞の臨床的特徴を検討し,初期診療上の問題点を明らかにする.【方法】2006年1月1日から2008年12月31日までの3年間に,旭川医大病院Stroke teamが診療した脳卒中患者514例のうちの小脳梗塞患者22例(4.3%)を対象とした.【結果】典型的な小脳症状を全く呈さない症例,あるいは一つのみ呈する症例が8例(36.4%)見られた.3例が救急車を利用し発症後3時間以内に受診したにもかかわらず,当初小脳梗塞と診断されず神経内科や脳神経外科以外の病棟に入院した.その3例はいずれもめまいを主訴とし,構音障害と歩行障害が見られなかった.その他2例を合わせ全体の22.7% にあたる5例が,Stroke teamによる初期の診察を受けておらず,それが当初小脳梗塞と診断されなかった要因の一つと考えられた.【結論】めまいや嘔吐を主訴とする場合は,常に小脳梗塞である可能性を考慮する必要がある.Stroke teamによる早期の正確な神経学的診察が重要である.
著者
船田 桂子 永井 利幸 吉原 良浩 岸野 喜一 片山 隆晴 松村 圭祐 宮川 貴史 穂坂 春彦 鈴木 雅裕
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.1413-1419, 2013 (Released:2014-11-21)
参考文献数
13

症例は手術歴や外傷歴のない49歳, 男性. 以前から時折下腿浮腫を自覚していたが, 自然軽快していたため放置していた. 2011年 7月に右下腿浮腫, 歩行時痛で受診. 右下腿深部静脈の拡張と血栓像を認め, 深部静脈血栓症と診断. 臨床症状, 心電図および経胸壁心臓超音波検査断層法からは肺塞栓症を疑わせなかったが, スクリーニングで施行した胸部造影CTで両肺動脈に血栓像を認めた. 抗核抗体, 凝固因子, プロテインS, プロテインCなどの血栓素因は正常範囲内であったが, 血中ホモシステイン値が67.7μmol/Lと著増しており高ホモシステイン血症を伴った深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症と診断した. 抗凝固療法およびビタミン補充療法を開始し, 自覚症状と画像所見の改善を認め, 血中ホモシステイン値は 1カ月後には正常化し, 現在静脈血栓症の再発を認めていない. 高ホモシステイン血症を伴った静脈血栓塞栓症の報告は比較的稀であり, 文献的考察を含め報告する.
著者
片山 隆 宅間 雅彦 森本 清 中村 征四郎 高島 史男 丸山 剛郎
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.191-196, 1990-02-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
10

In order to evaluate the effect of titanium diameter on reinforcement of titaniumhydroxyapatite implant and calculate the diameter of the implant under loading, stress analysis was performed using the finite element method. In finite element model, 100% or 70% of root length was supported by PMMA in place of bone and the implant was loaded 15 kgf at 45° of the implant axis.The results were obtained as follows, 1. In the case of 100% support, the titanium diameter had little effect on the reinforcement of the implant, whereas in the case of 70% support, it had much effect.2. The diameter of this implant was calculated to be more than 3.7mm under loading.From these results and the view point of manufacturing techniques, the diameter of this implant was supposed to need 4.0mm and that of titanium was to be 2.0mm.
著者
高橋 日出雄 穴沢 貞夫 東郷 実元 石田 秀世 片山 隆市 桜井 健司 石原 歳久
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.2741-2745, 1987-12-01
被引用文献数
13

消化管原発悪性リンパ腫24例を臨床病理学的に検討し,予後因子についても分析した.平均年齢は43.8歳で,男性に3倍多かった.回盲部が全体の60%を占めた.腸重積17%穿孔11%で急性腹症で来院する症例が多く目立った.Naqviの進行度分類では,I度1例,II度8例,III度10例,IV度5例と進行した症例が多かった.累積生存率による予後は術後5年生存率がわずか7%であった.非治癒切除例は2年以内にすべて死亡しているのに対し,治癒切除例の5生率は32%であった.予後の向上には早期症例の発見に努め,根治的広範囲切除が重要と考えられた.消化管の発生部位,進行度分類,治癒・非治癒切除などの因子が重要であった.
著者
片山 隆一郎 田頭 茂明 北須賀 輝明 中西 恒夫 福田 晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.8, pp.79-85, 2009-01-22

無線 LAN を用いた位置推定システムの重要な課題のひとつに,使用するデバイス間の違いによる推定精度の低下の問題がある.本稿では,デバイス間の特性の違いを明らかにし,校正を行うことで,異なるデバイスを用いた場合でも推定精度の低下を抑えることを目指す.具体的には,無線 LAN を用いた位置推定システムとしてシーン解析法に着目し,事前測定フェーズと位置推定フェーズの間に,校正フェーズを導入し,自動的にデバイス間の差を抽出する.実際に位置推定する際には,校正フェーズで抽出したデバイス間の差を考慮し,観測データを補正する.また,校正フェーズにおけるデバイス間の差を抽出するコストにも着目し,そのコストを削減することも目指す.実験により提案手法の有効性を評価し,その結果から校正しない場合と比べて,最大で約 30% の推定精度の向上を確認することができた.A critical problem with wireless LAN-based positioning systems is degradation in the estimation accuracy due to difference between employing wireless LAN devices. In this paper, we propose a device normalization technique that mitigates the degradation by analyzing and calibrating the difference in the location estimation. More specifically, we introduce calibration phase between the survey phase and estimation phase in the process of the scene analysis. The calibration phase distinguishes the difference automatically, and the estimation phase corrects observation data based on the extracted difference. Furthermore, the proposed technique reduces calibration cost for collecting calibration data. We evaluate the effectiveness of the proposed technique by experiments. The results indicate that it improves the estimation accuracy compared with no calibration.