著者
郭 庚熙 青木 宏展 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1_11-1_20, 2023-07-31 (Released:2023-08-03)
参考文献数
16

今日、急速な経済発展の傍らで、地域に根ざして形成されてきた地域固有の文化の衰退が危惧されている。その対策として、当該地域の文化や資源を活かした地域活性化が求められている。本稿は、千葉において誕生・発展した漁師の晴れ着「万祝」を対象としたものである。万祝の型紙のデジタル化に基づき、万祝の認知度向上や共有化に資する資源の活用方法を、実践を通して提示することを目的とした。具体的には、万祝の型紙の図柄のデジタルデータの取得・保存を行うとともに、それらを活用した生活用品の提案、展示・ワークショップの実施、職人との連携などを試みた。以上の取り組みの結果、万祝のデジタル化・活用による地域活性化への可能性について以下を抽出した。(1)地域住民とのコミュニケーションによる万祝の顕在化、(2)自律的な地域活性化への可能性、(3)地域社会での共有のためのプロセスの提示、(4)職人との協力による伝統的工芸の継続。
著者
長井 千春 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.77-86, 2007-05-31 (Released:2017-07-11)
参考文献数
34

ヨーロッパの後進国ドイツは、19世紀末には世界屈指の産業国家に成長していた。日本では、同じ頃、イギリスに代わる近代化の準拠国として新たにドイツに照準をあわせ、重要な輸出産業である陶磁器製造においてもドイツを模範とした。本稿は、マイセンでの磁器開発を起点に盛んとなるドイツ磁器産業の発祥から発展の経緯を検証するなかで、その特性を整理し考察を試みた。19世紀中葉のドイツ文化圏には4つの特徴ある磁器産業地帯が形成されていた。各産地ともに資源環境に恵まれ、量産技術の開発と合理的な経営に優れた工場が多く、これまで特権階級の所有物であった磁器を日用必需品として、幅広い生活層への普及に貢献した。そして、20世紀初頭には輸出量でアメリカ市場を制覇し、かつて粗悪で悪趣味と呼ばれた磁器製品は、国策としての工芸振興とデザイン運動との連動により、技術力とデザインで国際的に認知されるまでに力をつけ始めていた。
著者
高橋 正明 高山 英樹 山手 正彦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.1-10, 1996-09-10 (Released:2017-07-25)
参考文献数
14

我が国の時刻表では、必要な情報をより得やすいものにすることと、新たな情報を収めるという相反する要求に対し、視覚伝達という視点から、様々なデザイン上の技術的回答が示された。ページ方式の採用と判型の定型化は、限られたスペースの中に情報を掲載するためのデザイン開発の誘因となった。ピクトグラムは、その代表的な例であり、我が国の時刻表では、限りある紙面の中で情報を速く分かりやすく伝達することを目的として早い時期から採用された。索引地図は、検索機能を優先した我が国独自の変形地図として、煩雑な文字情報だけでは得にくい細かな情報に、瞬時に到達させるという点において優れたデザイン上の工夫であった。また、視覚情報への置き換えが困難な文字による列車情報では、文字に微妙な変化を与えることによって見る情報としての要素が加えられた。この様に時刻表では、全体を通して「読む」から「見る」への一貫した提案が行われてきた。
著者
町田 俊一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.79-84, 2003-11-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
5

これまでの伝統的工芸品産業が、デザインを取り入れることができなかったことについては、産地が形成されてきた経緯のなかで、高度な社会分業体制が構築され、新たな業務に対する柔軟性を失ったことが原因として考えられる。また、明治以来、製造業の社会的地位が低く見られるようになり、職人が手作業労働者に位置づけされたために、職入のなかからデザイナーを養成する余裕もなかったことも要因にあげられる。デザインを取り入れるためには、現在の製造システムを大幅に変革し、合理化する必要性があるが、その効果は大きいことが示唆された。それは、製品の価値を拡大するだけでなく、製造従事者の社会的地位や労働の魅力を向上し、伝統的工芸品産業自体を再生するものである。また、デザインを産地内に定着させるためには、産地の特性に適したカリキュラムを有する教育の場が必要であり、地方公設試験研究機関や大学などがその役割を担うことが期待される。
著者
樋口 孝之 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.45-54, 2008-01-31 (Released:2017-07-11)
参考文献数
49
被引用文献数
1

デザインを保護する制度の整備について,明治初期に,物品の「新形」の「発明」・「創製」を保護する,あるいは「形状模様」の「新按」を保護するものとして検討がなされていた。明治中期にデザインを保護する制度を日本へ導入する際,英国法におけるdesignは日本語の「意匠」へ訳出された。1888(明治21)年に発布された意匠条例は,高橋是清が尽力して制定したものである。高橋は,1年間にわたって欧米諸国のdesign保護制度の調査を行なった。帰国後,デザインを保護する必要を訴求する意見書において,日本の人民の技能の長所は専ら「意匠」にあると述べている。そして,「形状模様もしくは色彩」に関わる「意匠」を保護するものとして制度を制定した。意匠条例を制定する審議の際に,保護対象となるdesign概念を「人ノ意匠上ヨリ成レルモノ」ととらえて,designを「意匠」と訳出したと記録されている。1888年に発布された意匠条例において「意匠」の語は,主体(人)が客体(物品)をどのようなものとするか案出する思考行為,またはその思考行為から得られた成果を示す意味内容で用いられていた。
著者
横井 聖宏 中島 瑞季
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.3_49-3_56, 2021-01-31 (Released:2021-02-20)
参考文献数
29

本研究では,無彩色の平面で表現された写真,絵画などの作品の印象や季節感を演出する要素として,作品を照らす展示照明の活用可能性を検討するため,照明の色温度と照射位置を要因として取り上げて,これらがモノクロ写真作品の印象と季節感に与える影響を評価実験によって確かめた.実験では,20枚のモノクロ写真作品を1枚ずつ無作為な順番で壁に展示した状態で実験参加者に呈示し,5枚ごとに作品を照らす展示照明の色温度と照射位置の組み合わせを変更したうえで,それぞれの作品に対して7段階SD 法による印象評価と5段階評定尺度法による季節感評価を求めた.その結果,展示照明の色温度や照射位置によって,作品の印象や季節感に有意な差が認められた.また,照射位置は季節感に直接的な影響を与え,色温度は明るさ感の印象を変化させることで間接的に季節感に影響を与えるという有意な因果関係が認められた.ただし,これらの影響は小さく,作品に対する評価や解釈をまったく異なる方向に変化させるようなものではないと考えられる.
著者
肖 穎麗 宮崎 清 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.5_19-5_26, 2009-01-31 (Released:2017-11-08)
参考文献数
23

本稿は、中国における意匠権保護のあり方を導出するための一過程として、古文献に基づき、古代中国における「模倣」の観念について考察したものである。 その結果、以下の知見を得た。 かつての中国において、「模倣」は「臨模」という概念でとらえられ、学習過程でなされるべき行為であった。また、その体験を通して、ものの創造行為に対する敬意を涵養しつつ、自らの独自性が培われた。「模倣」は、決して悪の行為としてみなされることなく、学習・鍛練に不可欠な奨励すべき行為として位置づけられていた。「型」「手本」への出会いを喜び、その「真」に近づくべく徹底した「模倣」を積重ねることが、オリジナリティのある自己の世界の創造に通じると考えられていた。 「模倣」に関するこのような観念は、今後、知的財産としての意匠権のあり方を考えるにあたって、多くの示唆を与えてくれる。それゆえ、古代中国における「模倣」に関する観念は、今日、再認識されるべきである。
著者
松井 実 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.3_1-3_10, 2016-09-30 (Released:2016-12-21)
参考文献数
42

進化理論の適用範囲は生物にとどまらない.本稿は文化進化の議論を基盤に,設計の進化について論じる.設計は2つに大別される.一方は理念で,機能に関するアイディアや情報である.他方は設計理念に基づいて開発された製品などである.本稿は,前者の設計理念は進化するが,後者の人工物は進化の主体ではないことを示す.設計理念とその発露としての人工物の関係は,生物学における遺伝子型と表現型の関係に似ている.表現型とは,腕や目,行動などをさし,遺伝子型はその原因となる遺伝子の構成をさす.表現型は,生物の製作するものをさすことがある.たとえば鳥の巣やビーバーが製作するダムなどで,「延長された表現型」とよばれる.人工物は設計の表現型ではあるが,人間の延長された表現型ではない.人工物は文化的遺伝子の発露であって,人間の遺伝子の発露ではない.もしそうであれば,人工物の良し悪しによってその製作者の遺伝子が繁栄するか否かが影響されなければならないからだ.進化理論は,とらえがたい複雑な現象である設計を理解するには非常に有用である.
著者
影山 友章
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.4_1-4_6, 2022-03-31 (Released:2022-04-26)
参考文献数
14

“手間や労力がかからない製品やサービスの方が優れている”とされる,従来の価値観とは異なる,「不便益」という考え方が近年注目されている。一方,不便益を備えた物事を生み出すための方法論は,まだ未完成であると言える。本研究の目的は,「不便益を備えた製品やサービスを生み出すための方法論」を構築することである。そして,その目的を達成するために,新たなデザイン指標の仮説として「製品の使用過程における“余白”」を提案する。これは,製品やサービスを使用する際に,ユーザーの行動や意思がどれだけ介在できるのかを示したデザイン指標である。本研究では,その指標を実際のデザインプロセスの中で活用できるようにするために,概念の整理,細分化を行なった。そして,プロダクトデザインを専攻する大学生のデザイン実践に,整理された余白の概念を取り入れることで,そのアプローチの有効性の確認を試みた。結果,不便益を備えたいくつかのデザインアイデアを生み出すことができ,理論構築の足掛かりを築くことができた。
著者
岩崎 信治
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.67, pp.11-16, 1988

日本のモーターサイクルが米国に輸出をしはじめたのは1960年前後である。輸出モデルはどのメーカーも国内用のものをそのまゝ米国向に転用したもので、せいぜい塗色や部品を変える程度であった。米国よりそこはかとなく「トレール」という市場ニーズが知らされても、なかなか理解することができなかった。現地に進出したばかりの営業本社やデザインオフィスの情報ネットができ、日本からの開発チームのフィールドサーベイが可能になってから「トレールの遊び方」が判ってきたのである。輸出史上初の米国専用モデル、ヤマハトレールDT1は1968年に発売された。発売と共に大ヒットとなり米国市場で大成功を収めた。予定外の日本、欧州市場でも新カテゴリーモデルとして大人気で受け入れられた。本稿はデザインを担当した筆者の体験による「研究ノート」である。
著者
李 志炯 崔 庭瑞 小山 慎一 日比野 治雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.5_101-5_108, 2017

文字の太さは人間の感情や態度などと関係がある。たとえば,文字を読む際に太さが変化しても文字の意味が伝わるのは同様であるが,受ける印象には差が生じる。そのため,正確なコミュニケーションの実現のためには文字の太さと印象の関係について検討する必要がある。そこで,本研究では明朝体,ゴシック体の2書体それぞれのひらがなとカタカナを対象に文字の太さ(レギュラー,セミ・ボールド,エクストラ・ボールド)による印象の変化についての検討を加えた。その結果,明朝体のひらがなの場合,レギュラーでは柔和性・高級感・女性的な印象などが,他の太さでは柔和性・重厚性・男性的な印象などが抽出された。一方,明朝体のカタカナ・ゴシック体のひらがなおよびカタカナの場合,レギュラーでは先鋭性・高級感・女性的な印象などが,他の太さでは先鋭性・重厚性・男性的な印象などが抽出された。これらの結果により,文字の太さごとの印象の特徴および文字の太さによる印象の変化が明らかになった。
著者
丸山 萌 田内 隆利 久保 光徳
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.3_41-3_50, 2020

<p>本研究の目的は,人形用キモノの形態学的特徴から衣服のデザイン要素としての「キモノらしさ」を明らかにすることである。人形用のキモノは,和裁の理論にとらわれない方法で,人のキモノをより特徴が際立つように簡略化し,再構成したものであると考えられる。人形用キモノの特徴を調査するため,1/6 スケールの着せ替え人形「ジェニー」用に作られた 17 点のキモノ作品例を収集し,分類した。実際にそれらの人形用キモノを再現し,制作過程の検証と形の観察を行った。各作品の特徴を人のキモノと比較し,材料と各パーツの構成の関係,制作の難易度,各部の幅の比率,人形の身体の形との関係に着目した。考察の結果,キモノらしさのデザイン要素は,人形用キモノ全体に共通する特徴としての一定の形の要素に加え,布幅に由来する各部の幅の比率,材料を無駄なく生かす使い方にあると結論づけた。また人形のキモノがこれらの要素を踏まえつつ,自由な解釈により制作された様子を示した。</p>
著者
崔 晋海 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.2_21-2_28, 2017-09-30 (Released:2017-12-22)
参考文献数
3

本研究の広義の目的は,戦略的デザインプロセスとは,について答えることである。しかし,まずデザインプロセスを語るためには,デザインプロセスを記述する必要があり,またその記述方法は,他のデザインプロセスと比較検討できるような記述方法でなくてはならない。 そこで本研究は,デザインプロセス同士を比較・検討できる記述方法を模索し,その記述方法に従い,試行としてA社の実際に行われているプロダクトのデザインプロセスを記述し,分類した。 そして実際に,A社の9つのデザインプロセスを記述し,工程数に着目することにより,4つのタイプ(デザイン先行型,ルーチン開発型,市場反映型,デザイン受注型)に分類し,またそれぞれの関係性を明らかにした。
著者
渡辺 慎二 池本 浩幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.6_19-6_26, 2015-03-31 (Released:2015-07-31)
参考文献数
12

大規模企業のインハウスデザイン部門(デザイン部門と略す)は,事業活動を優位に進めるために,限られたデザインリソース(人や活動費用)を使い,多様な分野でパフォーマンスを最大に発揮することが常に求められる。事業の目的に沿って如何に質の高いデザイン業務を効率的に行うかの視点が常に重要である。そのため,デザイン部門の規模が大きい程,デザイン業務の把握と管理は難しくなる。 本研究では,この課題に対して,デザイン業務に関する時間(工数)に着目し,デザイン部門の業務を定量的に把握する仕組みと部門マネジメントの統一指標の策定によって,デザイン業務管理プロセスを改善する方法を提案した。提案内容は,(1)業務プロセスの見える化,(2)業務プロセスの品質を低下させる要因の特定,(3)業務管理データの決定と運用方法の策定,の三段階で構成される。実業務に本方法を適用した結果,本方法がデザイン部門の効率改善に有効であることを確認した。
著者
増成 和敏
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.5_51-5_60, 2013-01-31 (Released:2013-03-14)
参考文献数
24

本論は,松下電器において真野善一が目指したデザインマネージメントについて,主として真野の発言,記述とヒアリング調査より,以下の内容を明らかにした。1) 真野は,様々な場面を利用して,経営幹部,関連部門に対してデザイン啓蒙の発言をした。2) 施策としては,デザイン協議会, デザイン研究グループを発足させ,初のデザイン方針発表会を開催した。3) 真野の施策はデザイン力強化とそのためのデザイン組織の一元化を目指したが,会社の理解を得ることは難しく,デザイナーは各事業部に分散した。4) 真野は,造形こそ主たるデザインマネージメントでありデザイン評価に繋がるとして取り組んだが,会社はデザイン組織マネージメントを求めていた。
著者
千代田 憲子 森田 昌嗣
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.1-10, 1999-03-31
被引用文献数
2

本研究は, 街路景観エレメントと街路景観イメージの関連性に着目し, 街路景観エレメントのあり方について研究して, ストリートアメニティ形成方法を提案することを目的としている。本報では, 街路景観エレメントに関する実態調査として, 「街路景観エレメントの数量と分布調査」および「色調による色彩分布調査」の物理量調査を行ない, 次に街路景観イメージの意識調査として, 「SD法による街路景観イメージ調査」および「アンケートによるベスト・ワースト5地点調査」を行なった。その結果, 街路景観エレメントの充実は, 街路景観イメージの向上に明らかな効果が認められた。また, 街路景観エレメントが連続することにより, 相互に影響して全体の街路景観イメージを高めるなど, 街路景観イメージと街路景観エレメントの間には密接な関係があることが明らかになった。
著者
玉垣 庸一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.47-54, 2005-05-31 (Released:2017-07-19)

本研究はCGでの活用を目指して三色表色系の拡張を試みたものである。最初に、色光の空間Vnから加法混色系の色空間への線形写像Ψ^^-(等色写像)を用いて等色実験を記述した。色光空間の基底にも色空間の基底にも依存しない等色写像と、双方に依存する等色行列の中間的な表現として、色光空間の基底には依存しないが色空間の基底には依存するような線形作用素を新たに提案しセンサと名付けた。次に、写像の結果がゼロベクトルとなるような色光の集合すなわち等色写像の核をKerΨ^^-とするとき、同一の色感覚をもたらす一群のメタメリックな色光が同値類を形成して、色光空間Vnの核KerΨ^^-に関する商ベクトル空間Vn/KerΨ^^-の元となることを示した。これにより、加法混色系におけるグラスマンの法則は商ベクトル空間への写像の性質を反映したものであることが明らかとなった。