著者
松田 龍人 青山 英樹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-48, 2003-05-31
被引用文献数
5

本研究は,消費者の形状に対する嗜好を予測し,消費者が求める形状を提示するシステムを開発することを目的としている.本報は,その基礎研究と位置づけられ,対象を自動車とした場合の形状の嗜好を予測する方法について提案している.アンケートより,自動車形状に対する感性を表現する8つの形状イメージ用語として,"かわいらしさ","あきのこない","カジュアル性","フオーマル性","安定感","シャープさ","スポーティさ","空間性"を抽出している.15年間の販売台数と自動車形状に対する形状イメージ用語の5段階評点データから重回帰分析を行い,各年の形状イメージ用語に対する標準偏回帰係数の近似式を導出している.この標準偏回帰係数を各年の形状嗜好を表す重みと仮定し,近似式から標準偏回帰係数を導出することにより,形状嗜好を予測している.車種別販売台数予測と実販売数の比較,および形状イメージ用語の標準値回帰係数の予測とアンケート結果との比較を行い,提案した形状嗜好の予測方法について評価している.
著者
李 艶 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.37-46, 2010-01-31
被引用文献数
1

本稿は、約千年の歴史を有する景徳鎮磁器産業を支えてきた磁器手づくり工房の様態を、文献ならびに現地調査採集資料に基づいて明らかにしたものである。その結果、次のことを明らかにした。(1)景徳鎮では、工房ごとに定められ制作工程を担う精緻な分業体制が布かれながらも、それらの工房が相互的・全体的に結びつき、巨大な磁器生産組織が構築されていた。(2)細分化された分業に基づく工房における磁器づくりのなかで個々の制作工程にかかわる技術・技法の構築、合理的施設の創出が促進された。(3)職人たち自らによる同業者組合が組織され、景徳鎮に居住するおよそすべての人びとが伝統的磁器生産にかかわる都市が構築された。(4)磁器生産を介しての世界との交流・交易を通して500〜600年間ほど世界の磁器市場を独占した景徳鎮の核をなしていたのが伝統的磁器手づくり工房であった。
著者
水本 徹 山岡 俊樹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.6_103-6_108, 2014-03-31 (Released:2014-06-10)
参考文献数
13

BtoB (Business to Business)製品とBtoC(Business to Consumer)製品の間には多くの相違点が存在する.例えば,BtoC 製品は,操作者と購入決定者が同じ人物である,初心者を含めた幅が広いユーザーが使用する,様々な場所や時間に利用されるといったケースが多い.一方,BtoB 製品は,操作者と購入決定者が異なる,専門的な知識を持ったユーザーが使用する,業務で使用されるため利用状況が限定的であるといったケースが多い.このような違いがあるBtoB 製品に対して,BtoC 製品のユーザビリティ評価で用いられる「見やすさ・判断しやすさ・操作しやすさ」などといった一般的なチェックリストによる評価を実施しても,ユーザビリティ上の問題点をうまく抽出することができるかは疑問である.そこで,BtoB 製品である医療機器のユーザビリティ評価を通じて,BtoB 製品に適したユーザビリティ評価手法を考察した.
著者
田村 直樹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.52, pp.248-249, 2005-05-30

Design is one of the most important issue in a marketing practice these days. We can find a lot of designed products in our market. To understand such marketing environment we need a new approach to the field. Now we make a discussion about "Design Sociology" that connects Marketing and Design fields. In this approach, we use Affordance concept and Ethnomethodology. These concept and methodology are new scientific approach against a traditional scientific thought. In our discussion, we are focusing on Product Design, and we are trying to see a Social Code and Object. These code and object make interaction each other, then, an information is afford to people's action. In this mechanism, the social code becomes an interface to sec the object. On the other hand, the object becomes a media to transfer the social code. This concept we call "reflexivity" is the most important issue in our discussion.
著者
植田 憲 大國谷 文秀
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.330-331, 2009-06-20

Recently, the disposal problem of the pruned-off branch of pear generated in Kamagaya City, Chiba Prefecture. Every year it has become aggravated. Measures have not been so done up to now, and the solution by something a new method is groped for, and it has misgivings about the decline of the identity in the region. Then, it is a purpose to propose a new use method of the pruned-off branch of the pear by using it for the material of environment-friendly wood plastic. Moreover, it assists to improve a regional identity that has gone out. The authors proposed planter that used wood plastic, it can be used in the space such as around the station, parks, and roads in the residential area that everyone shared. The planter assume the one to unite two or more modules that are able to be connected with all screw bolt.
著者
趙 採沃
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.49-58, 2005-09-30

本稿は、アメリカの「Art to Wear」における造形的特徴を「Art to Wear Movement」(1960年代後半〜1980年代初頭)における先駆者的な役割を果たした作家を中心に考察した。その結果、次のようなことが明確になった。アメリカの「Art to Wear Movement」は、第2次世界大戦以降のアメリカ社会、文化的な要素や問題意識を背景に提示されたユニークな美術概念である。また、既存のアートジャンルに捕らわれない新たな美術表現の提案であった。造形的な特徴は、1)手工芸技法(クロシェット、ハンド・ダイングなど)の使用、2)天然素材の使用(毛糸、フェルト、天然染料など)、3)特に、平面的な絵画や立体的彫刻等の、従来のアートのジャンルの分類方式には収まらない脱ジャンル的な作品形式や、衣装の形態(ジャケット、キモノ、マント、ドレスなど)が挙げられる。4)「Art to Wear」作品の着用、すなわち、「ウェアラビリティ(Wearability)」よって、作品と着用者および鑑賞者の間、または、制作者、さらには周辺空間までも含めた上での「インタラクティビティ(Interactivity)」を目指していた。
著者
原田 利宣 森 典彦
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.11-16, 1998-07-31
被引用文献数
4

今日, 自動車の銘柄数は国内だけで100を超えるようになったが, そのフロントマスクデザインはいくつかの系統のデザインに棲み分けされている。そこで, 本研究は, その棲み分けに影響を与える要因を究明することを目的としている。まず, Shepherdらのヒトの顔の認知に関する研究と同様なことを, 自動車のフロントマスクに対して行った。その結果, ヒトは自動車のフロントマスクをヒトの顔と同じようにとらえ, 輪郭(ボディのシルエット), 目(ヘッドランプ), 鼻(ラジエターグリル), 口(バンパーのエアインテーク形状)の順で注目度が高かった。また, ヒトが自動車のフロントマスクをみたとき, 犬系や猫系などの動物の顔をプロトタイプとして想起していることが推察され, それらプロトタイプの種類がデザインの棲み分けの一要因となっていることが推察された。さらに, ラフ集合理論により, 犬系, 猫系のプロトタイプを想起する要因となる形態要素の集合を抽出した。その集合は, 犬系, 猫系の顔の特徴を抽象化した形であることが推察された。
著者
庄子 晃子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.31-36, 1997-01-31
参考文献数
22
被引用文献数
5

ドイツの建築家ブルーノ・タウト(Bruno Tauto, 1880-1938)は, 1933年11月より翌1934年3月まで, 乞われて我が国の工芸産業の指導機関である商工省工芸指導所の顧問(嘱託)を務めた。タウトは最初の出会いである1933年9月の工芸指導所研究試作品展覧会の視察に基づく提案書の提出を皮切りに, 赴任直後から離任直前まで, 工芸指導所に対して熱心に提案や助言を重ねた。タウトが工芸指導所に提出した文書10編が岩波書店に残る。それらは, Vorsch1age(提案)6編, Berichte(報告)3編, Antwort(返答)1編に整理できる。それらの中でタウトは, 輸出振興を課題として欧米物のスケッチ的模倣的図案に終始している工芸指導所に対し, 伝統と現代の統合, すなわち日本の古来からの伝統(感覚, 形式, 材料, 技術)と西欧の近代精神・技術・生活との結合から, 日本独自の現代産業工芸の典型としての質の高い規範原型を創出して, 国内の工房や工場を指導していくことが工芸指導所の責務であり, 真に日本的なものは世界に通じるとする立場を貫いた。
著者
金子 宜正
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.50, pp.48-49, 2003-05-01

The Ittenschule (1926-1934) was an art and design school established by Johannes Itten in Berlin. Among the instructors at the Ittenschule were painters Shounan Mizukoshi and Yumeji Takehisa and there were two students from the Jiyugakuen, Misses Mitsuko Yamamuro and Kazuko Sasagawa. Until now I have publicized some papers on the details of their activities at the Ittenschule and their acceptance in Japan. This presentation further clarifies how Itten's way of thinking in the art/design education and the activities of the Japanese people interrelated, including their mutual interchange and the circumstances in Berlin surrounding Itten in those days. The relationship between Itten's artistic thought in modern design and Japan is thus discussed.
著者
伊藤 孝紀
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.27-36, 2006-03-31
参考文献数
21
被引用文献数
3

美術から出発するインスタレーションは、美術館から都市に展開され、多様な広がりがある。しかし、これまで体系的な研究はされていなかった。本報では、環境演出によるデザイン手法を確立するための基礎研究として、演出手法の一つであるインスタレーションをとりあげ、分析し類型化することで、その活用特性とファインアートとデザイン分野との関係を明らかにした。25年間、実際におこなわれた展示会を対象とし、解析のために13項目79指標を設定した。多変量解析手法の数量化3類をもちいて、インスタレーションの活用特性を示す3分類軸を抽出した。さらに、これらの3分類軸にもとづくクラスター分析による類型化では、5タイプがえられ、そのなかでインスタレーションとみられる4タイプの特性を明らかにした。なかでも、ひとつのタイプには、環境演出の実態を示唆する特性がみられたので、環境演出の概念を、特定の環境を活かし、相互作用性のあるプロセスを仕掛ける行為と位置づけた。
著者
陳 明石 清水 忠男 佐藤 公信 一海 有里
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.7-12, 1999-07-31

商店街の「公有私用型」歩行者空間の例として, 千葉県千葉市の商店街を対象に調査を行った。対象地域の歩行者空間には, 日中, 様々な仮設的要素が路上に観察された。店舗からはみ出している商品や広告物に関しては, 商店側は歩行者の通行阻害になるのを認識しつつ意図的に路上に置く傾向がある。歩行者はそれら仮設的要素を「街の活気が感じられる」「歩きながら店の様子を知ることができる」「気軽に商品を見られる」と肯定的に評価する一方, 十分に歩行者の目を楽しませる魅力がないことについて否定的に評価している。また, 放置自転車については, 歩行者・商店側共に否定的な評価であり, 路上に設置された店舗側からの日除けの支持物についても, 歩行者側は否定的である。これらのことから, 商業地域の歩行者空間に見られる仮設的要素に関する人々の評価は, その種類や置かれ方及び評価する人の立場によって異なり, 相反することもあるといえる。従って, 商店街に活性化を促したり, 人々の利便性や楽しみを生み出すためには, 路上の仮設的要素を一律的に規制するのではなく, 多様な要求を念頭においた制御の仕方が求められる。
著者
原田 利宣 森 典彦 杉山 和雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.9-16, 1994-03-31
被引用文献数
24

今日,形状処理工学におけるスプライン曲線の研究は数多くなされている。しかし,それらは曲線の定義方法,制御性などの研究が中心であり,感性的な面からの研究は少なかった。そこで,本研究では感性的な角度から曲線を定量化することを目的とし,デザイナーが自動車のキーラインを決める際にどのような感性(イメージ用語)によって曲線を制御しているかを調査した。その結果,曲線の曲率の変化の仕方とボリュームに関連するイメージ用語よって制御していることが抽出され,これらを定量化する方法を開発した。さらに,この定量化手法を用いて,カーブ定規や自動車に用いられている曲線の解析を行った。その結果,カーブ定規や自動車に用いられている曲線の種類(曲線式)や性質を特定できることが確認された。これらの結果から本定量化手法が実際の自動車の曲面設計時における客観的指標として応用が可能であり,さらには今後の曲線(面)の性質とイメージ用語の関係を研究する際の手ががりとなると考えられた。
著者
堀口 利枝 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.57-66, 2009-11-30

本稿は、絵巻物にみられる「笠」の意匠を観察・解析したものである。調査対象とした平安時代から室町時代のおよそ400年間に制作された絵巻物33巻の中に、人々が使用する「笠」の図像が1153点みられた。それらの図像の観察を通して、本稿では「笠」の意匠の特質を下記のように析出した。(1)平安時代は巾子のある「笠」のみであったが、鎌倉時代以降には、「笠」の材料や製作方法の進展とも関連し、巾子のない「笠」や塗りの「笠」がみられ多様な「笠」の文化が繰り広げられる。(2)「笠」は、上流者から庶民に至るまで多くの階層で使用されていたが、階層ごとに、使用者と「笠」の種類・形状との間に一定の関係性がみられる。(3)「笠」の使用目的は、風雨・風雪・陽光などを避ける物理的・実用的機能のみならず、女や僧・尼たちの間では顔・面を覆い隠す道具でもあった。(4)祭りに登場する「笠」には特異な風流が施され、神が降り立つための標、降り立った神そのものの標としての役割を果たした。
著者
永井 由佳里 野口 尚孝
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.27-36, 2003-05-31
被引用文献数
1

本研究に先行しておこなった,多くの被験者を用い,ローイングに焦点を当てたデザイン過程についての実験結果をもとに,本研究では,より深くデザイン思考過程を探る目的でデザイン行為をリアルタイムで追跡観察する実験をおこなった.4人の被験者に,「きれいなテープディスペンサーのデザイン」という課題を課し,それぞれ約20分間にわたるデザイン行為の過程を詳細に観察記録した.実験の結果,デザイン課題の主部あるいは述部と探索空間の関係や思考モードとの関係,プレドローイング行為などが抽出され,思考過程を把握するうえでの重要な手がかりとなりうることが分かった. 続報においては,それらの実験記録の解析から,各被験者がどのような思考経路でデザイン創造をおこない,どのような種類の探索をおこなっているのかについて追体験的に考察し,各被験者の比較をおこない共通部分を抽出し,デザインにおける創造的思考過程を思考経路という観点からモデル化することを試みた.
著者
橋本 英治 寺内 文雄 久保 光徳 青木 弘行 鈴木 邁
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.45, pp.28-29, 1998-10-30

In case of this study, as the means to fulfill the lifetime that object has, the affection for object was systematized. Fron the results of the questionnaire investigation and the interviewing investigation that uses the Repertory Grid Technique, the graph systematized was made. As a result, the four factors of occurrence of affection was found out. That factors is that object be equipped with the excellent structure and mechanism, that good materials be used for object, that object be equipped with the characteristic which isn't in the other object and that the new sense of value occurs to the object.
著者
車 政弘
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.46, pp.210-211, 1999-10-15

After examining 465 registrations of design for an electric 'kotatsu' from 1955 to 1996,the following results have been achieved; Many devices for electric heaters were registered for several years after 1955. Many of the wooden frame for a 'kotatsu' were shaped like square, but in the 1980's, more and more 'kotatsu's began to have rectangular frames, and had the same function as a traditional low table in Japan. Most of the registrations of devices such as collapsible legs or detachable legs had been finished before 198O. An electric 'kotatsu' has more frequently been used all through the year since 1975. Since that time an electric 'kotatsu' has remarkably established its position as a traditional low table in the living or dining room in Japan.
著者
趙 英玉 田中 みなみ 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.46, pp.208-209, 1999-10-15
被引用文献数
1

In the Q'ing dynasty, the Man ethnic was superior to Han ethnic, and became a ruler of China.The authors analyse the characteristic of motifs and meanings of the nobles' cloth ornaments in this dynasty expressed by the novel of "The Dream of the Red Chamber" and attempt to classify the symbolic order of the nobles of Han. The result can be outlined as follows : 1)The cloth ornaments for both male and female became similar in Q'ing dynasty. 2)The use of border decoration influenced from the nomadic Man ethnic became popular. 3)This dynasty saw the emergece stylistic change in decoration, from realistic to abstracts. The decorative styles of Han previously derived from Confucious thinking was altered by the styles of Man's nobles.