著者
寺谷 亮司
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.16-30, 2004-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
12

モーリシャス共和国は, アフリカらしくないアフリカの小さな国であるという (筆者) が, われわれにも馴染みは薄い。現地へ産業調査のために派遣された筆者からモーリシャスの酒類産業と飲食文化の一端を紹介する記事が寄稿された。
著者
河原 秀久
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.355-363, 1994-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
16

食品加工の際に産出する食品廃棄物の再利用は, 資源有効利用の面のみならず環境汚染防止の面からも急務の事項である。著者は, 食品廃棄物の再利用の困難はそれが水に不溶であることに着目した。そこで, 不溶性脱脂大豆の可溶化とオカラの分解を微生物の酵素を利用することにより, 従来利用のむずかしい廃棄物の再利用について解説していただいた。
著者
永井 照和
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.3, pp.175-181, 2003-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
11
被引用文献数
4

グルコン酸は多くの発酵食品中に, 特に蝉蜜中に多く含まれハチミツ酸と名づけている会社もある。その安全性はすでに公の機関で確認済みで, 多くの食品にその塩類が使用されている。ここではグルコン酸とその各種塩類の特徴と機能の食品への利用例を説明してもらった。近年見出されたグルコン酸塩類の小腸での吸収が少なく, 大部分は大腸に達しビフィズス菌や乳酸菌などに利用され, 短鎖脂肪酸の産生など機能性食品としての評価をも紹介して貰った。
著者
小山 周三
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.12, pp.900-907, 2012 (Released:2017-12-18)

消費者との接点に立つ小売店の販売状況について解説をお願いした。地域に密着した専門小売店の状況は大変厳しい時期が続いている。その中で,スーパーやコンビニエンスストアと異なる販売戦略で「元気のいい地域小売店」の状況を,「優良経営食料品小売店頭表彰事業(全国コンクール)」を通して,具体的に見ていく。その結果,消費者と「きずなづくり」に欠かせない経営観が見えてくるが,個別の例の中から共通して見えてくるポイントを提示していただいた。当誌の読者の多くがメーカー側の立場におられると思うが,消費者に直接サービスを提供する立場をより理解することにより,「元気のいい地域小売店」へのメーカー側の販売戦略に参考になると考える。
著者
横塚 弘毅
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.91-101, 2000-02-15 (Released:2011-09-20)
被引用文献数
1
著者
宮岡 俊輔
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.9, pp.651-656, 2014 (Released:2018-04-06)
参考文献数
16
被引用文献数
1

酒類全体の需要が低迷する中にあって,好調な売れ行きを維持している梅酒を代表とするリキュール類には,柑橘を活用した商品も数多く存在する。しかし,柑橘特有の苦味や油臭さ,保存性などが問題とされている。本解説は,愛媛県の特産である柑橘の果皮をホワイトリカーに漬け込み,減圧蒸留を駆使することで柑橘特有の苦味と油臭さを低減させた。その一方で,柑橘の特徴香を最大限に生かす減圧蒸留条件を明らかにし,得られた蒸留酒を活用したリキュール開発を提案した研究事例である。

1 0 0 0 OA たばこと官能

著者
榊 武志
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.511-517, 1989-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
21
被引用文献数
1

酒類をはじめとする飲食品の品質及び製造管理はそれぞれの官能検査によらざるをえないが, たばこにおいても同様である。しかし, たばこの場合は, 着火して喫煙するということで, 喫煙時の温度や湿度, 時間当たりの喫煙回数, 喫う長さ等々喫煙条件をかなり厳密に決め標準化する必要があり, その点では複雑な官能検査が要求される。今回は, 身近かなたばこにどのような官能検査が用いられ管理されているかを解説していただいた。
著者
福田 典雄 平松 幹雄 産本 弘之 福崎 智司
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.641-645, 1995-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
17

液化発酵において, 粉末活性炭素を添加することにより, 酵母の増殖が促進され香気成分生成縫が増加する現象の要囚について検討した。静置発酵において, 槽の高さ方向における溶存酸素 (DO), 溶存炭酸ガス (DCO2) および酵母濃度の分布を経時的に側定した。粉末炭による酸素の持ち込み量は相対的に少量であり, また, 添加, 無添加醪における, DO濃度の経時変化に差異は認められなかったことから, DOは粉末炭添加効果の重要な因子ではないと考えられた。一方, DCO2濃度には明確な差異が認められ, 炭酸ガスの生成が活発な発酵中期 (3~7日) を通して, 粉末炭添加醪の方が常に低い値を示した, 髪た, 無添加醪では, 槽の下部ほどDCO2濃度が高くなる濃度分布が明確に見られた。粉末炭添加醪における, 発酵中期の酵母の濃度分布は, 槽全体にほぼ均一であり分散性に優れていた。これに対して, 無添加醪では, 槽の下部に酵母が沈降する傾向が見られた。これは, 活発な炭酸ガスの発生に伴う発酵液の流動性に起因していると考えられた。全酵母数当たりの酢酸インアミル生成量は, 粉末炭添加によって約2.5倍増加した。以上の結果から, 粉末炭添加による酵母の増殖促進ならびに酢酸インアミル生成量の増加の重要な要因はDCO2濃度であることが確かめられた。
著者
恩田 匠
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.9, pp.628-635, 2015 (Released:2018-05-18)
参考文献数
17
被引用文献数
1

ワインのマロラクティック乳酸菌は,ワイン酵母に較べてスターターの実用化が困難とされていたが,近年では色々な特長を持った乳酸菌スターターが市販されるようになり,マロラクティック乳酸菌も使い分ける時代になってきた。今回は,これらのスターターの性質を日本の赤ワインに使用して比較した結果を解説していただいた。
著者
小崎 道雄 飯野 久和 トク トランリン ホウ ファムタン 関 達治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.327-337, 2002

「米酒」醸造地帯の「米酒」と米関係食品の製法, 特徴, 背景などについて, 東南アジア全域に渡り長期調査された筆者に, 前回に引き続き甘酒, 梗米酒, 糟米酒, 籾殻吸管酒, 焼酎について解説していただい。「米酒」の製造に黒米や赤米を使ったり, 米を焦がす方法や, 米とともに雑穀やキャッサバを使用するといった工夫がみられて面白い.<BR>又吸管の籾殻壼酒は親睦だけでなく, 儀礼的にも重要な位置を占めており, 飲酒文化面からも興味深い。
著者
志村 保彦
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.96, no.12, pp.814-822, 2001-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

しょうゆの基本技術として, 本醸造しょうゆを中心に「原料処理から製品」に至るまでを2回にわたって93巻1, 2号に解説してもらった。今回は最終工程である精製加工技術について解説して戴いた。今回, しょうゆの基本技術の (その3) をもって全工程を網羅したことになる。その1, 2, 3を併せて活用戴きたい。
著者
奥田 将生 磯谷 敦子 上用 みどり 後藤 奈美 三上 重明
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.2, pp.131-141, 2009 (Released:2016-01-18)
参考文献数
20
被引用文献数
7 6

鑑評会の出品酒を実験材料として,窒素(N)や硫黄(S)含量と50°C1ヶ月間貯蔵後のポリスルフィド生成量の関係を検討した。清酒中のNとS含量には強い正の相関関係がみられ,清酒中の硫黄化合物の多くは原料米のタンパク質に由来することが推察された。また,全硫黄化合物の2~5割がアミノ酸であることがわかった。50℃1ヶ月貯蔵により生成するポリスルフィドについて,DMDSは全試料で検知閾値以下であったが,DMTSは約半数の試料において検知閾値を上回った。貯蔵前清酒中の成分との関係において,DMTS,DMDS含量は,全N及びS含量,アミノ酸態のNやS含量に有意な正の相関関係がみられた。各成分間の偏相関分析の結果,着色度の増加には全Nとグルコース含量が深く関係するのに対し,ポリスルフィドの生成にはアミノ酸態のS含量が深く関係することが示唆された。以上から,硫黄化合物の多い清酒は老香が生じやすいというこれまでの推定を成分的に裏付ける結果が得られた。
著者
上芝 雄史
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.7, pp.491-496, 2003-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
8
被引用文献数
3

醸造場のシンボリックな存在であった「木桶」。今でも味噌や醤油醸造に一部使われているが, 容器としての主役の座を降りて久しい。しかし, 木桶ならではの価値や魅力が見直され, 酒類醸造で仕込み容器に復活させる事例も見られる。今やわが国で数少ない桶師として木桶製作の技術を守り続ける著者に, 木桶の魅力と桶師の現状を解説していただいた。

1 0 0 0 IR お味噌の効能

著者
渡邊 敦光
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.11, pp.714-723, 2010-11-15
参考文献数
46
被引用文献数
1 2

わが国の代表的発酵食品の一つである味噌について,健康や長寿に良いことが伝承されてきたが,食塩の過剰摂取による弊害のおそれも指摘されてきた。これまで味噌等の発酵食品の健康・栄養に関する知見については伝承的な説明が広く知られていたが科学的な研究の発展が遅れていた。近年,動物を用いた臨床研究,分子生物学,分子栄養学の研究が進展し,味噌を含む発酵食品の健康機能性が急速に明らかにされつつある。本解説では,味噌の抗癌効果を長年に亘って研究し味噌の生理機能研究を牽引してきた研究者の一人である著者に,これまでのご自身の研究成果と国内外の研究成果を紹介していただき,味噌の健康機能について幅広くわかりやすく解説していただいた。

1 0 0 0 OA 食塩について

著者
橋本 壽夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.7-15, 2004-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
25

塩の専売法が廃止されてから, 様々な塩が販売されるようになった。しかし, 現在でも, 製塩や塩に関する情報は少なく, マスメディアや特殊製法塩の製造業者の多くは, 科学的根拠が乏しかったり, 無いにも拘らず, ある種の塩を誇大に宣伝して, 消費者に誤った認識を与えていると言われる。塩についての判断基準となる「塩の科学」の著者であり, 前に本誌に「食塩と高血圧との関係」についての解説もいただいた著者に, 改めて今回は, 製塩法と塩の品質, 食塩の安全性, ナトリウム以外のミネラル, 食塩と健康問題等について詳細に解説いただいた。
著者
蛸井 潔
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.306-316, 2012 (Released:2017-12-12)
参考文献数
34
被引用文献数
1

ホップはビールに爽快な苦みと香りを与える。ホップ品種特有の香りと,そこに寄与する化合物の探索について国内外で盛んに取り組まれている。さらに近年は分析技術の発展に伴い微量な香気成分の探索も可能となった。本稿では,ホップ品種が与えるソーヴィニオン・ブラン様香気と,寄与成分である微量化合物について,ワインのチオール研究の第一人者である故富永敬俊博士らと共に筆者らが取り組んだ研究を紹介する。
著者
宮田 悟
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.8, pp.585-588, 1994-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
1

米の品種と醸造特性はもとより, 最近は栽培条件と醸造特性に関心が払われるようになってきた。米作に携わる人々にとっては何よりも収穫量の確保が最優先課題と思われるが, 過去に例をみない平成5年の不作のときでさえ, 周辺が壊滅状態の中で平年並みに近い収穫をあげた農家があるという。それほど栽培技術はいろいろな可能性を秘めているが, 今後醸造特性との関連を究明していくうえで興味ある体験であったと言える。酒造家が稲作も兼業するケースがみられるようになって, 今後ますますその分野の研究が進展することが期待される。