著者
佐藤 充克
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.10, pp.740-749, 2012 (Released:2017-12-15)
参考文献数
39

赤ワインの機能性については,「フレンチパラドクス」に端を発した赤ワインブームの後も,種々の研究が続けられている。今回は,赤ワインの活性酸素消去効果を発表した,日本の赤ワインの機能性研究の第一人者である筆者に,特に注目されている成分であるレスベラトロールについて最新の話題を含めて解説していただいた。
著者
小崎 道雄 飯野 久和 岡田 早苗 関 達治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.193-198, 2000

ラオスは周辺諸国のタイやインドネシアなどに比べて, まだ近代化の波にそれぽど洗われてなく, 古くからの生活文化を残している。今回は, そのラオスにおける酒と麹について解説していただいた。
著者
藤井 史子 尾関 健二 神田 晃敬 浜地 正昭 布川 弥太郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.10, pp.757-759, 1992-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5
被引用文献数
24 28

麹の酵素を失活させるため熱風乾燥した麹 (水分含量10%以下) を粉砕し, 糖化酵素剤ででんぷん等を消化除去せず, そのまま50mM燐酸緩衝液 (pH7.0) にて洗浄後, Yatalaseを作用させ, 生成したG1cNAc量をReissigらの方法により定量し菌体量を算出することで, 簡便に麹中の菌体量の定量が可能となった。また, 製麹時間毎の麹中の菌体量の推定も, 酸分解で生じるグルコサミン量と良好に一致した。
著者
坂口 健二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.313, 1991
被引用文献数
1
著者
坂口 健二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.9, pp.626-637, 2005

わが国の醸造学・醗酵学に, いち早く生化学的視点を導入して「応用微生物学」を発展させた偉大な先覚者坂口謹一郎先生。醸造に携る者にとって, 決して忘れられない存在ではあるが, 先生が東京大学教授を退官されてから約半世紀, ご逝去から早10年。先生から直接ご薫陶を受けた多くの先輩諸氏も既に第一線を退かれた。<BR>本誌第100巻に当たり, 醸造学・酒学の大恩人である先生に最も間近で接してこられたご子息に「人間・父坂口謹一郎」を語っていただいた。
著者
伊藤 俊彦 小松 幸恵 高堂 斐 高橋 仁 田母神 繁 小泉 武夫 中沢 伸重 岩野 君夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.7, pp.562-569, 2008-07-15
参考文献数
10
被引用文献数
5 4

鑑評会の審査成績と相関の高い未知成分を単離・精製し, これらの未知成分がチロソール, β-フェニルエタノール, トリプトフォールで有ることを明らかにした。更に, 吟醸酒中に存在する濃度での呈味性を合成清酒を用いて三点識別嗜好試験を行い調べた結果, チロソールは苦味, 渋味, 雑味を, β-フェニルエタノールは渋味, 雑味を, トリプトフォールは酸味, 苦味, 渋味を呈する事を知った。
著者
竹村 朋実 渡辺 清香 田中 万祐子 進藤 斉 小泉 武夫 高橋 康次郎
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.8, pp.547-555, 2011-08-15
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

本研究は,長期貯蔵した本みりんの抗酸化性にアミノ・カルボニル反応の後期段階で生成する褐色色素メラノイジンが寄与していることを明らかにしたものである。市販本みりんの着色度と抗酸化性との間にはr=885**(n=19,p<0.01)と高い相関関係が認められた。貯蔵期間の短い一般的な本みりんの着色度(OD430nm)は0.028~0.122と低く,DPPH-ラジカル消去活性から求めた抗酸化性は257~431 Trolox equivalent(μmol/100ml)であった。一方,貯蔵した本みりんの着色度及び抗酸化性は,3年貯蔵本みりんOD430nm:0.676, 抗酸化性:1,064 Trolox eq.(μmol/100ml),10年貯蔵本みりんOD430nm:10.641, 抗酸化性:2,978 Trolox eq.(μmol/100ml)と,貯蔵期間とともに着色度・抗酸化性ともに増加した。精製した着色物質は抗酸化性のピークと重なることから,貯蔵本みりんの抗酸化性は主としてメラノイジンそのものに起因すると考えられた。着色度当りの抗酸化性(Trolox eq./OD430nm/100)は,貯蔵期間の短い本みりんでは35.3~113.4の値を示したが,貯蔵により小さな値となり熟成本みりんでは2.8~15.7の値に,また,精製した着色物質では1.92~5.72 (平均 3.55)に収束した。精製着色物質の分子量は3年貯蔵本みりん26~43KDa,10年貯蔵本みりん34~57KDaと推定され,貯蔵とともに本みりんの着色物質が高分子化し,それに伴い抗酸化性も増加することが認められた。さらに,温度履歴の明確な試験醸造本みりんの貯蔵試験により,着色度の増加とともに抗酸化性が増加することを確認した。
著者
太田 剛雄 高下 秀春 轟木 康市 岩野 君夫 大場 俊輝
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.922-926, 1992-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19
被引用文献数
12 11

1. 清酒中の抗酸化活性を調べたところ, 清酒中には原料米中よりも強い抗酸化活性が存在した。2. 清酒中の抗酸化活性はAmberlite XAD-2に吸着され, 50%メタノールにより溶出した。3. 50%メタノールによって溶出される活性区分は分子量の異なるA, B, C, Dの4つのフラクションからなり, C, Dフラクションの主成分はそれぞれフェルラ酸およびチロゾールであった。4.分子量の大きいAフラクションは0.5N NaOHまたはジアスターゼ原末による加水分解でフェルラ酸を遊離し, フェルラ酸の配糖体エステルと推察された。本研究の一部は日本酒造組合中央会との共同研究として実施した。
著者
佐野 元昭
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.9-14, 2017 (Released:2019-02-15)
参考文献数
16

コウジ酸は麹菌が生産する美白成分であり,多くの美白化粧品に使用されているが長らく生合成遺伝子は不明であった。麹菌ゲノム解析が終了すると,著者らはその情報を活用することにより,コウジ酸生合成遺伝子(kojA,R,T)の特定に成功した。また,コウジ酸生産阻害となる硝酸ナトリウムの取り込みを行うトランスポーターを破壊することによりコウジ酸の大量生産にも成功した。現在,コウジ酸生合成経路を特定するための解析をすすめられている。著者らが解析を行っているコウジ酸生合成経路に関する知見の一部をご紹介頂いた。
著者
加藤 寛之
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.6, pp.426-432, 2014

ワインのコルク臭や清酒のカビ臭の原因物質であるTCA (トリクロロアニソール) は、極低濃度で異臭として感じられることが知られている。コルク臭やカビ臭はワインや清酒の品質を大きく損ねてしまうが、TCAには「異臭」だけでなく、他の香りを感じなくさせてしまう強力なマスキング効果があるという興味深い結果が筆者らによって明らかにされた。運悪くコルク臭ワインやカビ臭清酒に当たってしまったら、他の香りがマスクされるか試してみてはいかがだろう。